真・恋姫†無双〜赤龍伝〜第40話「官渡の戦い 亀と氷」 |
真・恋姫†無双〜赤龍伝〜第40話「官渡の戦い 亀と氷」
曹操「皆、これからが本番よ! 向こうの数は圧倒的。けれど、向こうは連携も取れならい、黄巾と同じ烏合の衆よ!」
全軍に曹操の声が響き渡る。
曹操「 血と涙に彩られたあの調練を思い出しなさい! あの団結、あの連携をもってすれば、この程度の相手に負ける理由などありはしない! それが体現壮語でないことは、この私が保証してあげましょう!」
夏候淵「総員、突撃!」
三国志でも名高い官渡の戦いが始まった。
予想外にも、呂布が袁紹軍として参戦してきたことにより、勝敗は分からなくなっていた。
赤斗は虎牢関での話の続きをするため、呂布のもとに向かおうとしていた。
赤斗「じゃあ、行ってくる」
曹操「待ちなさい! あなた一人では行かせられないわ」
赤斗「誰か見張りをつける?」
曹操「補佐ぐらい必要でしょう? 典韋を連れていきなさい」
赤斗「いいのか。典韋は貴重な戦力だろ?」
曹操「呂布に当たる戦力としては、これでも不安なのだけれど……あなたに任せることにするわ」
赤斗「ありがとう。あまり期待はしないで、でも期待に応えられるように頑張るよ」
赤斗は典韋と三人の兵を連れて呂布のもとへ向かった。
典韋「赤斗さん。何でそんなに呂布に拘るんですか?」
馬で戦場を駆けながら、典韋は赤斗に尋ねる。
赤斗「……聞いたら笑うよ。もしくは呆れる」
典韋「笑いません」
赤斗「そっくりなんだよ。……夢に出てきた子に」
典韋「夢?」
赤斗「……でも、その夢はただの夢ではない気がするんだ。虎牢関で会ってそう思えるようになった」
典韋「それが、呂布に拘る理由ですか?」
赤斗「そう。……呆れただろ」
典韋「そんなことないですよ。素敵だと思います」
赤斗「はは……。素敵……か」
陳宮「呂布殿ー! 袁紹から出撃命令がでましたぞー!」
呂布「……わかった。出る。…………あっ」
陳宮「どうしたのですか?」
呂布「……来る。これは………赤斗」
陳宮「…………」
呂布は虎牢関でも感じたように、赤斗が近づいてくることに気がついた。
陳宮「また、あの男なのですか? 呂布殿、その男とセキトを重ねるのは止めたほうがいいのです。セキトはもう……」
反董卓連合との戦いが始まる前、呂布の一番の親友だったウェルッシュコーギーのセキトは、洛陽の屋敷に押し入った三人組の男たちから呂布を守ろうとして斬り殺されていた。
未だに呂布はセキトのことを引きずっている。そのことを陳宮は心配していた。
呂布「……来た」
陳宮「!」
こちらに迫ってくる赤斗たちが、呂布の視界に入った。
陳宮「皆、戦闘準備をするのです!」
呂布「……ちんきゅ、待って」
兵たちに戦闘準備をするように命じた陳宮を呂布は止める。
陳宮「呂布殿!?」
呂布「……する必要、ない」
陳宮「…………」
赤斗たちが呂布たちの前に現れた。
呂布「……赤斗」
赤斗「……呂布」
陳宮「……っ」
陳宮は赤斗を睨みつけている。
赤斗「ひさしぶり。虎牢関以来だね」
陳宮「何しにきたのです! 呂布殿に挑みにきたのですか!?」
赤斗「いや、話をしにきた。何で君たちは袁紹のところに居るんだ?」
陳宮「お前には関係ないことなのです!」
赤斗「もし。……もし良かったら、……僕と来ないか?」
陳宮「なっ!!」
典韋「赤斗さん!?」
呂布「…………」
赤斗「……どうだろ?」
呂布「!!」
その時、呂布は赤斗に向かって、方天画戟で斬りかかってきた。
赤斗「恋!?」
赤斗は反応しきれずに、呂布の真名を叫んだ。
ガキン
しかし、呂布の方天画戟は赤斗を攻撃するのではなく、赤斗を後ろから斬りかかろうとしていた人物の剣を防いだ。
玄武「ちっ」
赤斗に斬りかかってきていたのは、赤斗と一緒についてきた三人の兵のうちの一人。司馬懿から赤斗暗殺を許された玄武だった。
典韋「あなた、何をしているんですか!?」
玄武「黙れ」
赤斗「破あぁぁっ!」
今度は典韋に斬りかかろうとした玄武を、赤斗は覇気をぶつける技 龍咆で牽制した。
玄武「なっ!」
典韋「はああ!」
怯んだ玄武に、典韋は伝磁葉々を放った。
玄武「がはっ」
伝磁葉々をまともに受けた玄武は吹き飛んだ。
赤斗「大丈夫か、典韋?」
典韋「はい。大丈夫です。ありがとうございました」
赤斗「呂布もありがとう。助かったよ。……それとゴメン。つい真名で呼んじゃって」
呂布「(フルフル)真名で呼んでいい」
陳宮「恋殿っ!?」
赤斗「えっ。いいのか?」
呂布「(コクン)」
陳宮「うぅぅ……。それにしても、いきなり斬りかかるなんて一体なんなのですか?」
赤斗「あいつ、僕を狙ったんだよね?」
典韋「袁紹の間者でしょうか? とりあえず取り押さえてください」
典韋は残り二人の兵に命じた。
兵士「はっ!」
赤斗「さて話を戻すけど、恋、ちんきゅ。……僕と来ないか?」
陳宮「まだ、そんなこと言っているのですか!?」
赤斗「僕は真面目に言っているんだけどね」
呂布「……どうして?」
赤斗「理由?」
呂布「(コクン)」
赤斗「それは……」
兵士「ぎゃああああっ!」
兵士「ぐはっ!」
玄武を取り押さえようとしていた兵士二人の悲鳴が聞こえた。
玄武「……貴様ら許さん」
兵士を斬った剣を持ったまま、玄武は赤斗や典韋、呂布たちを睨みつける。
典韋の攻撃により、ボロボロになった玄武の鎧がどんどん崩れ落ちていく。
すべての鎧がなくなり、鎧の下から黒の衣を纏った姿を現す。そして、兜も落ち玄武の素顔が露わになった。
典韋「あっ!」
典韋が玄武の素顔を見て驚きの声を上げた。
赤斗(……似ている)
玄武の顔は、どことなく司馬懿に似ていた。
典韋「あなたは何者です?」
玄武「全員、殺す」
そう言って、玄武の姿が消えた。
典韋「え?」
赤斗「典韋!」
ガキン
典韋を襲おうとした玄武の剣を赤斗が花天と月影で止めた。
赤斗「問答無用か!?」
玄武「言ったはずだ。全員殺すと」
赤斗「全員って、どこまでさ?」
玄武「決まっている! この顔を見た者 全員だ!」
赤斗「……横暴だな」
玄武「喜べ。貴様は最優先に殺しやる」
赤斗「それはそれは……遠慮したいなっ!!」
今度は赤斗から玄武に斬りかかった。
典韋、呂布、陳宮は赤斗と玄武の戦いを見守る。
赤斗と玄武の力は互角だった。今も、一進一退の攻防が続いている。
陳宮「呂布殿。今のうちですぞ!」
呂布「……うん?」
陳宮「今のうちに、曹操の首を取りにいきますぞ!」
典韋「そんなことはさせません」
典韋が呂布たちの前に立ちはだかる。
陳宮「邪魔をすると容赦しないですぞ!」
典韋「呂布さん! 赤斗さんの話は、まだ終わっていませんよ!」
陳宮「うるさーーいのです!!」
呂布「ちんきゅ?」
陳宮「話が終わっていようがいまいが関係ないのです!」
典韋「……そんな」
氷雨「そう言わずに話ぐらい聞いてやったらどう?」
典韋・陳宮「!!」
呂布「……だれ?」
その場に現れたのは、洛陽で董卓と賈駆を殺そうとした氷雨だった。
氷雨「私は氷雨。よろしくね♪」
陳宮「何の用なのですっ!?」
氷雨「天下無双と謳われる飛将軍呂布。その配下の鍛えられた兵士たちを頂きにきたのよ」
陳宮「な、何を言っているのです? 呂布殿の部下に、お前なんかについて行く者など一人もいないのですっ!!」
氷雨「ざんね〜ん♪ もう遅いよ」
典韋「えっ?」
陳宮「……どういうことです?」
氷雨「こういうことさ」
そう言って氷雨は右手を軽く上げる。
右手を上げると同時に、今まで静観していた呂布の部下の兵士たちが呂布や陳宮、典韋に槍を向けた。
陳宮「皆、どうしたですか?」
氷雨「御覧の通り……さ♪」
陳宮「……そんな」
呂布「……ちんきゅ、下がって」
うな垂れる陳宮と氷雨の間に、呂布が割り込んだ。
氷雨「悪いんだけど戦わないよ。私も飛将軍呂布とは戦いたいけど、戦うなって命令されているんだよね。……じゃあね。兵たちをありがとう♪」
突然、辺り一面に霧が立ち込めてきた。
陳宮「待つのですっ!」
引き上げようとする氷雨を、陳宮が追いかけた。
氷雨「……うるさいよ」
グサっ
陳宮「…あ……あぁ」
氷雨の槍“氷影”が陳宮の胸深くに突き刺さった。
氷雨「ふんっ。……邪魔するから」
そう言って氷雨は槍を抜くと、兵士たちと一緒に霧の中に消えていった。
呂布「ちんきゅ!」
槍が抜かれて倒れた陳宮の身体を、呂布が抱き起こす。
陳宮「がはっ、……れ、恋ど……の。はぁはぁ……」
陳宮は口から血を吐きながら、呂布の真名を呼ぶ。
陳宮の胸からは血が止まらずに、自分の服も抱いている呂布も赤く染めていた。
赤斗(一体何が起きているんだ?)
赤斗は周りの様子がおかしいことに気がつく。
玄武「死ね!」
典韋「赤斗さん!!」
その隙を玄武は突こうとしたが、典韋の電磁葉々が飛んできて防がれた。
赤斗「助かったよ、典韋。……一体何が起きている?」
典韋が赤斗の隣に駆け寄ってきた。そして、赤斗は現状の確認をした。
典韋「詳しいことはあとで。今は一旦引き揚げましょう」
赤斗「え!?」
玄武「逃がすか」
玄武が赤斗と典韋に向かって突撃してきた。
呂布「……させない」
玄武「くっ、呂布か!」
玄武は斬りかかってきた呂布の攻撃を辛うじて躱した。
赤斗「あっ。………………………………」
呂布の姿を見て言葉がそれ以上出すことが出来なかった。
呂布の姿は、陳宮の血で真っ赤に染まっていたからだ。
典韋「どうしますか? 私たち三人を同時に相手しますか?」
玄武「ちっ、…………覚えておけ。必ず命は貰う」
さすがに赤斗、典韋、呂布の三人を同時に相手するのは分が悪いと思ったのか、玄武は氷雨と同じように霧の中に消えていった。
つづく
〜あとがき〜
呂です。読んでくださって、ありがとうございます。
真・恋姫†無双〜赤龍伝〜に出てくるオリジナルキャラクターの紹介
オリジナルキャラクター@『風見赤斗』
姓 :風見(かざみ)
名 :赤斗(せきと)
字 :なし
真名:なし
武器:花天と月影……二振りの日本刀(小太刀)。赤色の柄で赤銅の鞘に納まっているのが“花天”で、黒色の柄で黒塗りの鞘に納まっているのが“月影”。
本編主人公の少年。
身長168a。体重58`。年齢17歳。黒髪黒眼。
放課後に道場で古武術の達人である先生に稽古をつけてもらうのが日課だったが、ある日道場で黒尽くめの男に襲撃される。
その際、赤い光に包まれて恋姫の世界に飛ばされる。
死にかけていた所を、火蓮によって保護され“江東の赤龍”という異名を付けられる。
古武術 無双無限流を学んでおり、その奥義を使えば恋姫の世界の武将とも闘えることができる。
無双無限流には、『全ての奥義を極めしとき、その身に龍の力が宿る。』という伝承がある。
奥義には“疾風”“浮葉”“流水”“月空”“烈火”“絶影”“龍鱗”“狂神”などがある。
奥義の同時発動は可能だが、奥義単体の発動以上に身体に負担がかかる。
能力値:統率3・武力4・知力4・政治2・魅力4
オリジナルキャラクターA『孫堅』
姓 :孫
名 :堅
字 :文台
真名:火蓮(かれん)
武器:南海覇王……やや長めの刀身を持つ、両刃の直刀。派手な装飾はないものの、孫家伝統の宝刀。
孫策(雪蓮)たちの母親。
身長173a。腰まで伸びる燃えるような赤い髪の持ち主。
血を見ると雪蓮以上に興奮してしまう。
孫尚香(小蓮)には非常に甘い。周りの人間が呆れるほどに甘い。
この外史“赤龍伝”では孫堅は死んでいない。
能力値:統率5・武力5・知力3・政治4・魅力5
オリジナルキャラクターB『諸葛瑾』
姓 :諸葛
名 :瑾
字 :子瑜
真名:藍里(あいり)
武器:風切羽(かざきりばね)……火蓮から受け取った護身用の短刀。諸葛瑾(藍里)の実力が低いので、あまり役に立っていない。
諸葛亮(朱里)の姉。
諸葛亮(朱里)とは違い、長身で胸も大きい女性。髪は金髪でポニーテール。
温厚で気配りのできる性格で、面倒見も良い。赤斗の世話役として補佐につく。
一時は、自分たちとは違う考え方や知識を持つ赤斗に恐怖心を持っていた。
政治、軍事、外交と様々な仕事をこなすが、諸葛亮(朱里)には僅かに及ばない。
能力値:統率3・武力1・知力4・政治4・魅力4
オリジナルキャラクターC『太史慈』
姓 :太史
名 :慈
字 :子義
真名:嶺上(りんしゃん)
武器:雷電(らいでん)……二本の小型の戟。
非常に勇猛かつ、約束に律儀な武将。銀髪レゲエの女性。
孫策(雪蓮)と一騎打ちして引き分けたことがある。
それ以来、孫策の喧嘩友達になっており、よく喧嘩をしている。
また、諸葛瑾(藍里)と仲が良い。
弓の名手でもあり、その腕は百発百中。
能力値:統率4・武力4・知力3・政治2・魅力3
オリジナルキャラクターD『司馬懿』
姓 :司馬
名 :懿
字 :仲達
真名:不明
武器:不明
黒尽くめの衣装を身に纏った、曹操軍の軍師。
曹操軍に属しているが、曹操からの信頼はないといっても良い。
色々と裏で暗躍しており、虎牢関では張遼を捕え、術により自分の傀儡にしている。
能力値:統率5・武力?・知力5・政治5・魅力?
オリジナルキャラクターE『玄武(げんぶ)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:魏軍正式採用剣……魏軍に配備されている剣。
司馬懿の部下。
普段は何の変哲もない魏軍の鎧を身に纏い、普通の兵士にしか見えない。
しかし、眼の奥からは異質な気を醸し出している。
鎧の下には黒の衣を纏っており、素顔は司馬懿に似ている。
虎牢関では、鴉と一緒に張遼を捕えた。
能力値:統率2・武力4・知力3・政治1・魅力2
オリジナルキャラクターF『鴉(からす)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:爆閃(ばくせん)……司馬懿から受け取った回転式拳銃。
司馬懿の部下。
性格は軽く、いつも人を馬鹿にしているような態度をとる。
司馬懿と同じ黒い衣装だが、こちらの方がもっと動きやすい軽装な格好をしている。
寿春城では、孫堅(火蓮)を暗殺しようとした。
能力値:統率2・武力4・知力2・政治1・魅力3
オリジナルキャラクターG『氷雨(ひさめ)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:氷影(ひえい)……氷のように透き通った刃を持つ槍。
司馬懿の部下。
青い忍者服を着た長い白髪の女。
背中には“氷影”を携えている。戦闘時には全身からは氷のように冷たい殺気が滲み出す。
洛陽で董卓(月)と賈駆(詠)を暗殺しようとした所を、赤斗と甘寧(思春)に妨害される。
能力値:統率2・武力4・知力3・政治1・魅力3
オリジナルキャラクターH『宮本虎徹』
姓 :宮本(みやもと)
名 :虎徹(こてつ)
字 :なし
真名:なし
武器:虎徹……江戸時代の刀工が作った刀。
赤斗の古武術の師匠。
年齢は50歳。実年齢よりも、肉体年齢は若い。
赤斗と一緒に、恋姫の世界に飛ばされたと思われる。
最初は河北に居て、それからは用心棒をしながら、色々と辺りを転々としている。
赤斗曰く、『無双無限流の妙技を見せてやるっ!』が口癖で、その実力は呂布(恋)以上。
能力値:統率?・武力6・知力5・政治?・魅力?
※能力値は「5」が最高だが、呂布の武力と劉備の魅力は「6」で規格外。
説明 | ||
この作品は、基本的に呉√にそっては行きますが、他√に 脱線することもあります。 赤斗が曹操の保護下に入ったので、ただ今は魏√に脱線中です。 主人公も含めてオリジナルキャラクターが多数出てきます。 未熟なため文章におかしな部分が多々あるとは思いますが、長い目で見てくださると助かります。 |
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