真・恋姫†無双‐天遣伝‐(27)
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・Caution!!・

 

この作品は、真・恋姫†無双の二次創作小説です。

 

オリジナルキャラにオリジナル設定が大量に出てくる上、ネタやパロディも多分に含む予定です。

 

また、投稿者本人が余り恋姫をやりこんでいない事もあり、原作崩壊や、キャラ崩壊を引き起こしている可能性があります。

 

ですので、そういった事が許容できない方々は、大変申し訳ございませんが、ブラウザのバックボタンを押して戻って下さい。

 

それでは、初めます。

 

 

 

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洛陽が一丸となって戦うと決めてから約二週間後。

洛陽では。

 

 

「城壁の外側を鉄の板で覆え!

矢を防ぐ為の措置だ!」

 

「おいガキ共! ここは戦の準備中だ、とっとと・・・何、差し入れだと?

すまん、ありがたく貰っとく、後で食わせてもらうぜ」

 

「火攻めの危険があるからな、火薬とか馬草みてーな燃えるモンは専用の箱に入れて仕舞っとけ!」

 

「いいか! 敵が何時来てもいい様に、気ぃ引き締めとけよ!!」

 

『応っ!!』

 

 

鎧やそれ以外の衣服が忙しく城壁の周りを動き回る。

あちこちで野太い声が上がり、それに応じて更にものが動く。

それを満足気に見ながら、董卓軍の将華雄は丸太に金剛爆斧を振り下ろした。

 

 

“スパーン!!”

 

「すいませんね将軍、薪割りなんかさせちまって」

 

「いいや、問題ない。

寧ろ性に合っている」

 

 

飯店の親父に頭を下げられながら、華雄は言われた言葉に首を振って否定する。

 

 

「戦しか能の無い私なのだ。

この程度でも、戦以外で役立つならば喜んで手伝う、さっ!」

 

“スパーン!!”

 

「ありがとうございやす!!」

 

 

華雄に深く頭を下げ、親父は店の方へと走って行った。

それを見届けてから、華雄は汗を拭いた。

そして感じる。

 

 

「寒くなってきたな・・・」

 

 

そう。

今の季節は冬。

何時水が凍り、雪が降り始めてもおかしくない。

 

 

「金具は大敵だな」

 

「寒さの事でしょうか?」

 

「うむ」

 

 

華雄と共に薪を割っていた菖蒲が言う。

 

彼女の手に握られた大斧『鬼斬』が一瞬煌めく。

その直後には、真っ二つになった薪が飛んでいた。

 

 

「ほぅ、見事だ」

 

「そ、そんな、私なんか華雄さんの足下にも・・・」

 

「いや十分素晴らしい。

精進を続ければ、もっと伸びるだろう」

 

「き、恐縮です」

 

 

モジモジと身を縮み込ませる菖蒲に対し、華雄は更に褒める。

華雄からして見れば、菖蒲は同じ戦斧使い。

斧を扱う技術の巧みさ等は、他の誰よりも良く分かるのだ。

 

 

「華雄将軍! 西門より狼煙が上がっておりますー!!」

 

「西門だと?」

 

 

城壁の上の方から兵の一人にかけられた言葉に、顎に手をやって考える。

ここより西と言えば、漢中もしくは西涼。

もしかしたら天水だろう。

蜀が来るのならば、恐らく南だろうから除外。

 

 

「念の為、西門を警戒しろ。

私も向かう!」

 

「あ、私も行きます」

 

「了解しました!」

 

 

その言葉を最後に、その兵の姿が消え、暫くして城壁の上から煙が上がり始めた。

 

狼煙。

一刀が発案し、様々なパターン分けをして使われる事となった連絡用の代物。

他にも、手旗信号や篝火信号などもあり、それらを使う事で混乱を避けて正確な情報伝達を行うようになっている。

狼煙が上がったのを確認してから、華雄と菖蒲は動いた。

 

 

「急ぎ行くぞ徐晃。

万が一、があってはならんからな」

 

「はい!」

 

 

自分の得物を手に取り、二人は西門に急いだ。

 

 

 

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―――洛陽西門。

 

 

「状況はどうなっている!?」

 

「華雄将軍、徐晃将軍!」

 

 

西門の城壁上に到着すると同時に、すぐ近くにいた見張りの兵に問う。

その兵は、一度だけ敬礼をし、すぐに報告を始める。

 

 

「はっ、遠方五里程の辺りに土煙が。

恐らくは騎馬かと」

 

 

指差した方角には、確かに土煙が上がっているのが分かる。

 

 

「西方よりの騎馬と言う事は、西涼か・・・・・・」

 

 

華雄の呟いた言葉に、正門付近の兵達の間に緊張が走る。

この場にいる兵達は、西涼騎馬の恐ろしさを良く知っている。

 

華雄の表情も非常に険しい。

彼女も騎馬民族に生まれ育った身。

西涼の強さは身に染みて理解できてしまう。

それに何より、現状此処は世界中の敵だ。

敵としてやって来たと考えた方が良い。

 

 

「対攻城戦の準備を整えろ。

あれが本当に西涼の軍ならば、間も無く攻められるぞ!」

 

「はっ!!」

 

 

華雄の号令を受け、兵は既に十分整えられた装備を次々に手に取る。

矢を防ぐ為の大盾や、梯子を燃やす為の油の入った壺などをだ。

 

 

「構え!」

 

 

次いでその号令で、一斉に城壁に並んで盾を構えた。

そのまま、騎兵の土煙が迫って来るのを待つ。

盾の後方に弓兵も並び、矢を引かずに弓を構える。

 

攻撃準備は完了した。

華雄は総大将達の元に伝令を走らせ、自分は何時でも攻撃の命を下せる様に目を凝らす。

 

土煙が徐々に大きくなり、遂に深緑の馬旗を華雄は見た。

そしてそれと共に顕わになって来る騎馬の数の多さ。

パッと見二万以上。

強く奥歯を噛む。

西門にいる兵だけでは迎え討ち切れない可能性の方が高い。

 

 

「総員、矢を番えろ!」

 

 

弓兵が一斉に弓を引く。

更に号令が下れば、皆一斉射出来るだろう。

誰かが唾を飲んだ。

それだけ緊張している。

 

菖蒲も顔色が悪い。

西涼軍の強さは、彼女も噂として良く知っている。

 

華雄の頬にも冷汗が流れた。

そして、後もう少しで弓の射程に入ろうかと言う所で、騎馬が一斉に停止してその隊の中から一人一際大柄の馬に跨った女性が出て来た。

 

思わず兵が矢を射かけようとするが、菖蒲はそれを止める。

華雄も、目を凝らして相手を見た。

 

 

「あたしは、西涼の名代馬孟起だ!

どうか、あたしだけでも門の内側に入れて貰いたい!

天の御遣い殿と話したい事がある!!」

 

 

翠だ。

華雄も良く知り、何度か手合わせした事もある。

 

 

「将軍、如何なされますか!」

 

「・・・ちぃ」

 

 

こちらに指示を求めて来た兵の言葉に軽く舌打ちを漏らす。

華雄はこう言った事態に対して、独自の判断を下す事は出来ない。

何分以前程では無いとは言え、華雄は根っからの武官だ。

策等を見抜く事は不得手なのである。

 

 

「・・・華雄さん、私は入れても良いと思います」

 

「何!?」

 

「っ! そ、その、彼女は嘘を吐ける人ではない様に思えるのです・・・・・・」

 

「む、確かに」

 

 

それは確かに同意できる。

しかし、やはり此方の判断一つで済む程容易い話ではない。

何せ、門の外にいるのは西涼騎馬二万以上。

もしも何かを企んでいて、門を開けたら閉めるまでに少なくとも百騎以上は突っ込んで来る。

そうなれば、此方が被る被害は甚大だ。

情報では水関の先に集結し始めていると言う連合の到着を待たずして、洛陽は落ちてしまうだろう。

だがしかし・・・

 

 

「門を開けてくれ!」

 

「何っ!」

 

「あ、主様が」

 

 

下の方から聞こえて来た一刀の声に驚き其方を見れば、一刀が門を開こうとしていた。

焦り、降りようとするが、間に合わない。

 

外の翠も、馬から降りてゆっくりと門の方へと歩いて来ていた。

一見武器は持っていない。

が、隠し持っている可能性は否めない。

 

門が開く。

そして一刀が外へ出た直後、今度は門が閉まる。

外には、一刀と翠、そして二万を超える西涼騎馬の大軍勢が残された。

 

 

 

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真・恋姫†無双

―天遣伝―

第二十六話「前夜」

 

 

「貴様! 何故門を閉めた!?」

 

「うっ! 華雄将軍、御遣い様がそうしてくれと」

 

「何だと!」

 

 

門を警備する任に就いている兵を締め上げるが、それが一刀の意思であると知り、華雄は本気で一刀が何を考えているのか分からなかった。

外にいるのが翠とは言え、今は敵である可能性の方がよっぽど高いのだ。

 

 

「ええい、今すぐ門を開けろ!

私も出るぞ!」

 

「それは出来ません」

 

「何ぃ!?」

 

「御遣い様が出た後、誰も外に出すな。

そう命じられております」

 

「くそっ!!」

 

 

悪態を吐き、その場に座り込む。

今此処で無理矢理押し通ろうと思えば、出来る。

その程度の武は持っている。

しかし、だ。

 

菖蒲が許さないだろう。

一刀に身も心も捧げる気満々の菖蒲は、先程から華雄の傍を離れて門の前へと移動していた。

そして、今度は門を背にして立っている。

誰も通さない気が良く分かる。

これでは、どうしようもない。

 

 

「・・・・・・どうか、無事に終わってくれ」

 

 

結局、華雄には祈る事しか出来なかった。

 

 

 

―――城門外。

 

 

「久し振りだな、翠」

 

「・・・うん」

 

 

頬を染め、しおらしく一刀の前に立つ翠。

一刀の方は、少し警戒して気圧を放っているのが分かっているのにも拘らず、翠の方は生一刀に再会できた喜びの方が上回っていた。

その所為で、一刀も少し毒気を抜かれてしまう。

 

 

「それで、何の用があって来たんだ?」

 

「あー、その、それが・・・」

 

「何だ、妙に歯切れが悪いな」

 

「これ、読んでくれ」

 

 

そう言って、翠は右手に持っていた木簡を差し出した。

かなり大きい。

 

 

「何だ? 恋文か?」

 

「ぶっ!? ちっ、ちがっ!? ま、まだそんな物書いてないっ!!!」

 

 

一刀のからかいに、耳どころか首まで真っ赤にしてワタワタと慌てる。

何気に、書く気はある事を暴露している。

 

 

「冗談だったんだがなぁ・・・」

 

「た、性質の悪い冗談言うなぁ!!」

 

 

荒い息を吐きながら、両肩を上下させている。

そんな翠を見ながら、西涼軍の皆は笑いを押し殺していた。

 

一刀は、改めて木簡を解く。

そして、その中身を読んで行く。

書かれていたのは、西涼の辺りの有力な豪族の名前。

その下には、血で捺した親指の印が。

 

 

「これ、血判状じゃないか?」

 

「うん」

 

 

未だに顔の赤さを残す翠が頷いた。

そして最後の方まで読み、そこに書いてある一文を目にする。

そう。

 

 

【我等西涼の全ては『天の御遣い』に味方する】

 

 

という一文を。

一刀が顔を上げると、そこには翠が手を差し出していた。

 

 

「あたし達は皆、一刀の仲間だ。

何時か言った事だろ?

まだ変わっちゃいないよ。

西涼騎馬二万六千騎、全て自由に使ってくれ」

 

「そう言えばそうだったな。

ありがとう、ありがたく使わせて貰う」

 

 

がっしと差し出された手を握る。

その直後、二人の両後方から上がる大歓声。

今此処に、西涼は天の御遣いの味方となった。

 

 

 

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西涼が天の御遣いの味方となるほんの1週間程前。

―――西涼。

 

その長である碧の私室において、部屋の主とその息子と同時に執政の要である休は重苦しい雰囲気を出していた。

 

 

「何てこったい、酷い状況じゃないか」

 

「全くだ」

 

 

傷と病の治療の為に寝屋に身を横たえたまま、碧は頭を抱える。

休から、件の密書がここにまで回って来たのと、連合の旨が持ち込まれた事を話された所為だ。

 

『天の御遣い』については他の何処よりも良く見知っている自覚があると言うのに。

民に言われてしまえば、それは無意味。

討ちたくない相手であろうとも、挙兵しなくてはならない。

民あっての国、世なのだ。

 

 

「くそう、世知辛いねぇ」

 

「・・・・・・む、むぅ」

 

 

またしても落ち込んでしまう碧。

休も困った様に顔を顰めた。

 

 

「ん?」

 

 

しかし気付く。

己の胎を痛めて産んだ息子の事だ、他の者よりも良く分かる。

今休が浮かべている表情は、何かを隠しておきながら喋り出せない場合の物だと。

 

 

「休、何を隠しているんだい」

 

「・・・おや、やはりばれるか」

 

 

ケロッとした様に吐く。

ちょっと苛立ったので、手招きしてから頬を引っ張った。

 

 

「ひひゃいぞ(痛いぞ)」

 

「話しな、話すと確約するんなら離してやる」

 

「わはった(分かった)」

 

「善し」

 

 

手をパッと離す。

頬をスリスリして感触を確かめながら、休は口を開いた。

 

 

「実はな、一殿が『天の御遣い』という事は、既に西涼中にバレているんだ」

 

「・・・・・・は?」

 

 

休が言った事が信じられず、碧は耳を何度かほじってから再び言う様に促した。

 

 

「わんもあぷりぃず?」

 

「うむ、あれは今から一週程前。

母者が漢中で治療の為に張魯殿にかかり、此方へ帰還している最中の頃の話だ」

 

「ほうほう」

 

「何やら、西涼城下で一殿、いや『天の御遣い』を貶める様な話をしていた者がいてな。

それを聞いた姉者が、俺達の制止を振り切ってそいつを殴り倒してしまったのだ。

ついでに大声で「一刀がそんなことするもんか!! 馬鹿にするなぁー!!!」と叫んでなぁ。

その騒動が人伝に広まり、結果一殿が天の御遣いであると知れ渡ってしまったと言う訳だ」

 

 

何故か翠の台詞の部分は背筋が寒くなる程似た声色で、ついでに最後にやれやれと言った表情で肩を竦めた。

一方の碧は、身体に掛けていた毛布を掴んで肩を震わせていた。

 

 

「す、翠・・・・・・お前って奴は」

 

「姉者を責めてやらんでくれ。

多分、姉者がやらんかったら、鉄か俺がやっていた」

 

「ああもう、しょうがないか」

 

「そうだな、だからこんな物まである」

 

「ん、これは・・・!?」

 

 

休が腰の後ろ辺りから大量の木簡を取り出した。

何処から出した? とか突っ込んではいけないのである、絶対に。

 

 

「《西涼を素晴らしく発展させられた天の御遣い様を討っては、西涼武人の義に背く者と思われます。 旗本八旗一同は、天の御遣い様を御支持致します》だと?

こっちは、《西涼に降臨し、この地に恵みを与えられた天の御遣い様を裏切っては決してなりませぬ》か。

こっちも、こっちもだ、それでこれもか・・・・・・は、ははは」

 

「そう言う事だ、実に困った事になったなあ。

俺達がもしもあの噂を信じ、漢への忠を通せば俺達はたちまち西涼中の反感を買う。

良くて追放、悪くて一家郎党皆殺しではないか?」

 

「そうだな、ああそうだ。

全く、これじゃああたし等は【民の意思を汲む為に】噂を嘘と断じなきゃいけないじゃないか」

 

 

ニヤリと、碧と休の表情が一致する。

 

 

「休、軍議を開きな。

あたし等西涼は天の御遣いにつくよ!」

 

「了解だ、しかし母者は寝てろ。

そんな身体で戦場に出ようなどとは無理だ」

 

「むぐぅ・・・・・・何てこったい」

 

 

布団から出ようとした碧を押し留め、休は評定の間へと向かう。

この後、【天の御遣いにつく】とのお触れが出回り、西涼は歓喜の渦に包まれた。

 

 

 

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―――で、洛陽。

 

 

「―――という事があったのだ」

 

「そりゃまた・・・何と言うか」

 

「馬鹿でしょ、あんた」

 

「い、言うに事欠いて馬鹿って酷くないか!?」

 

 

西涼が味方になる切欠と経緯を休から聞き、呆れた様に詠が翠を酷評した。

翠は半泣きで訴えかけるものの、詠は聞く耳持たずだ。

何分、二万六千騎もの騎馬隊を今までの軍に配置するとなると、根本的な見直しが必要となる。

その上、もう連合は間近まで迫って来ていると言う間諜からの報告があった。

翠一人の愚痴に付き合う暇等、軍師には無い。

 

 

「まあまあ、落ち着け」

 

「うぅ〜」

 

 

一刀がドウドウと翠を嗜める。

翠は涙目のままだ。

 

 

「・・・この分では、水関での防衛戦には西涼の軍は使えませんね」

 

「ですよねー」

 

「味方になる時期が明らかに遅いのよ。

もっと早目にしてくれないと、逆に混乱を生むだけだってのに」

 

 

軍師三人の言葉に、休は肩を竦めた。

事実とは言え、今のは明らかに嫌味だ。

それでも甘んじて受け入れる。

 

 

「すまんが、此方の都合も加味して貰えるとありがたいのだ」

 

「・・・『天の御遣い』が一刀殿である事を最初から明らかにしていれば、こうは成らなかった筈では?」

 

「それも然り。

だが漢への忠義を立てるならば、二つの天は割れる形で存在してはならなかったのさ」

 

「確かに叛意を隠していると疑われますしね。

隠していようが、隠していなかろうが、どっちみち」

 

 

再度肩を竦め、失笑を漏らす休。

 

 

「ま、今回は隠されていた事が明らかになって、良い方向に事態が動いた事自体は、素直に感謝ね」

 

「ですねぇ、幾ら連合が烏合の衆と化しているとは言え、洛陽にいる兵だけでは約三万対約十五万。

戦術の常を解けば、籠城しても押し潰されるの確定、な数の差でしたからね。

本当に、西涼の二万六千はありがたいのですよ」

 

「多分此方側に西涼が加わった事は、連合に伝わってるけどな」

 

「まず間違いないかと。

そうなると、焦って攻めてくる可能性も。

現在水関に駐屯している張遼隊及び皇甫嵩隊五千のみでは心許無いですね。

将をもう二、三人送りましょう、兵とともに」

 

 

稟が言い、軍師勢の間でまた論が起こる。

一刀は少し考え込んでから、何かを決意した様に顔を上げた。

 

 

「・・・よし」

 

「却下よ」

 

「絶対に否です」

 

「少しは懲りて下さい」

 

「お前等!?」

 

 

一刀が何かを言いだそうとした瞬間に、三人が見事なカウンターで先を制した。

 

 

「あんたの事、少しは分かったつもりだからね?

どうせ、また自分が水関に行くとか言う気だったんでしょ」

 

「ぐっ」

 

「一刀殿、自重して下さい。

貴方は大将軍さえも配下として治める、此方の総大将なのですから」

 

「また大怪我でもされたら、総崩れになっちゃいますよ?」

 

 

翠が、風の《また》の発言の部分で眉をピクリと動かした。

 

 

「そう言う訳で、却下です。

では、水関に向かわせるのは、華雄殿と徐晃殿でよろしいでしょうか?」

 

「あ、ああ、問題ない」

 

「分かりました、では伝えて参ります」

 

 

一礼し、稟は部屋を辞した。

 

一方、翠の双眸には何かを決意した光が灯っていた。

 

 

 

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水関の向こう、連合の敷設。

その中で一際大きい天幕内部。

そこで、馬鹿馬鹿しさしか感じない高笑いが響いていた。

 

 

「おーほっほっほ!! ようこそいらっしゃいましたわね、皆さん!

私が、この連合の仕掛人にして、名族袁家の袁・本・初!!!で、ございますわ!!」

 

 

袁紹を上座に置いたまま、長机の左右にズラリと並んだ各諸侯の代表は呆れから溜息を吐いた。

最も、袁紹はそんな事にも全く気付かない。

自分の出した檄文で、こんなにも大勢の諸侯が集まったと言う事実のみを見て、気を良くしている為だ。

実際には檄文に書いてある通りに、義憤に駆られて来ている者は圧倒的に少ない。

唯、民の声を無視出来なかっただけだ。

 

 

「それでは、皆さんも程良く集まったようですし、この連合に置いて最も重要な事を決めねばならないでしょう」

 

 

ニコニコと笑顔のまま、袁紹はそんな事を言い始めた。

殆どは、また下らない事を言い始めるのだろう、と高を括っていた。

そしてそれは真実だ。

 

 

「そう、言わずとも分かっているでしょうが、それはこの連合の総大将ですわ!!」

 

 

ああやっぱり・・・と、諦めにも似た呆れが天幕中に蔓延した。

 

 

「やはり、これだけの諸侯が集まった連合ならば、それに相応しいのは広大な領地を持ち、それに見合った家柄をも両立させ・・・・・・」

 

 

要するに、自分が相応しいと言いたいのだ。

しかし周りからすれば、寧ろ袁紹が総大将になるのは好都合。

だが、ここで思わぬ事態が起こった。

 

 

「つまり、この内で当て嵌まるのは唯一人―――」

 

「袁術殿、と言う訳か」

 

「はぁっ!?」

 

 

口を挟んだのは、天幕の入り口に近い辺りにいた大蓮。

話の腰を折られた袁紹は、顎が外れたが如く、口をあんぐりと開けたまま固まっていた。

が、すぐに元通りに戻り、不満を言い出した。

 

 

「ひ、人の話を聞いていましたの!?」

 

「聞いておったさ、だからこそ袁術殿こそ相応しいのだろう」

 

「何故ですの!?」

 

「分かった、順を追って説明するわ・・・湊がな!」

 

「私に振りますか? 分かりました、では説明しましょう。

まず、袁紹殿の言った広大な領地。

確かに、袁紹殿の領地は多い、しかしながら袁術殿も相当です」

 

「ふ、ふふふふふ・・・しかし、私が治める領地の方が」

 

「先の黄巾の乱の失態で召し上げられていなければ、確かに袁紹殿の領地の方が多かったのですがね」

 

「あ゛?」

 

 

ここで遂に、袁紹の表情が完璧に固まった。

 

 

「その為今では袁術殿の領地は、袁紹殿の領地を上回っておる上、袁家の血筋から言っても袁術殿は本妻の御子。

更に言うならば、袁術殿は善政を敷き、民からの支持を得ております。

故に、民に仇成した仇敵を討つと言う題目の元集ったこの連合に置いて、最も総大将に相応しい」

 

 

成程と、諸侯の間に同意の呟きが回っていく。

当の袁術―美羽は、冷汗が止まらない様子だが。

 

 

「以上、領地、家柄、徳の全てに置き、孫呉は袁術殿を総大将に推す!」

 

 

最後だけ大蓮がどうだと言わんばかりの満足顔で締め括った。

それに続き、自分も同意だと言う挙手が上がっていく。

その流れの中袁紹は、恨みがましい目で美羽を睨んでいた。

 

 

「袁術殿、貴殿が総大将となる事を求められておりますが、どういたしますかな?」

 

「・・・う〜む」

 

 

美羽は、少し考え込む。

利は欠片も無い。

元より、加わる気はまるで無かったのだ。

だが、いやだからこそ。

 

 

「妾は、麗羽姉様を推す」

 

 

その一言で、麗羽は身を起こし。

諸侯の間に緊張が走った。

 

 

「して、それは何故でしょう?」

 

「この場で最も重要なのは、総大将ではなかろ?

妾達が一体何の為に集ったのかを考えれば、やる気がある者が総大将に据えられるのが最良では無いのか?」

 

 

はっきりと、自分は総大将をする気は無いと言い切る。

そしてもう一つ。

言葉の裏に隠れた意味に気付いた人間は少なかったが、美羽は暗にこうも行ったのだ。

「どうせ、この連合は敗北する」と。

その意に気付いた者達は、腹の底でニヤリと含み笑いを漏らした。

 

 

「おーほっほっほっほっほ!!!!!

流石は美羽さんですわー!!!」

 

 

一方、何も分かっちゃいない麗羽は高笑いをしながら復活した。

そのまま、反対する気が起こる者もいなかったので、自動的に麗羽が連合の総大将となった。

そして。

 

 

「では、先陣は孫堅さんに切って貰いましょう!

作戦は、『雄々しく勇ましく華麗に前進』ですわー!!

おーほっほっほっほっほ・・・・・・・・・・・・!!!!!」

 

 

そうして、連合最初の軍議は終わった。

 

 

 

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―――連合、袁術軍の陣。

 

 

「・・・・・・今になって思うと、妾もああなっていたやも知れぬのじゃな」

 

「美羽様はそうなる前に戻れた分、幸運でしたねぇ」

 

「うむ、御遣い様に感謝せねばな」

 

 

あの軍議から自陣に戻り、七乃と二人頷き合う。

それ程、あの麗羽は見るに堪えない者に映ったのだ。

 

 

「美羽様、孫堅殿が此方に来ました」

 

「む、孫堅が?」

 

「どういたしますか?」

 

「むぅ・・・通すのじゃ」

 

「はい、分かりました」

 

 

咲が大蓮を連れて来るまで、美羽は自分自身を思い直す。

驕っていた頃の自分と比べて、随分と変わったなと。

故に思う。

一刀が本当に噂通りの事を行っているのならば、自分が正さねば、と。

自分は一刀に変えて貰ったのだから、その恩を返さねば、と。

 

 

「御免、袁術殿失礼する」

 

「うむ、よく来たの」

 

 

咲と大蓮が入って来たのを見て、居住まいを正す。

 

 

「で、何用かの?」

 

「少し兵をお借りしたい。

此方の手持ちだけでは、少々心許無いのだ」

 

「良いぞ」

 

「その代わり・・・は?」

 

「だから、良いと言ったのじゃ」

 

 

あっさりと肯定の意を示した美羽に、大蓮は思わず間抜けな表情を漏らした。

それが、美羽の壺にハマった。

 

 

「ぷふふふふふ、何じゃその間抜け面は!」

 

「くく・・・・・・」

 

 

七乃も我慢し切れずに、笑いが零れていた。

少し苛つき、大蓮は南海覇王の鍔を少し鳴らす。

途端に、笑いが治まった。

流石に、命の危険とまであっては、笑いを堪えるしかない。

 

 

「しかし、何故そうも簡単に兵を貸すと?」

 

「無論、唯では無い。

その代わり、妾の代わりに咲を始めとする我が軍を、一時率いて貰いたいのじゃ」

 

 

流石に眉を顰める。

それではまるで、自分が袁術軍の軍の部分を指揮する将軍になったようではないか。

 

 

「別に、妾の配下になれと言うとる訳ではないぞ。

一時貸し出すだけじゃ、後にちゃんと返すと約束せい」

 

「ならば、その申し出受けよう」

 

 

あくまで対等の貸し借りである事に安堵し、大蓮は条件を飲んだ。

そして美羽は咲に指示し、軍の元へと行かせた。

残ったのは、美羽と七乃のみ。

 

 

「のう七乃、さっきからずっと黙っておるが、妾の判断は誤っておるか?」

 

「いいえ? 少なくとも私はそうは思いませんでした」

 

「そうか、兵も妾の様な戦下手よりも、孫堅のような戦上手に用いられた方が良いじゃろ」

 

 

七乃の同意にホッと安堵する。

一方の七乃は少し不安な部分があったので伝令を一人呼びつけ、二、三伝えてから咲の元へと走らせた。

 

 

「七乃ぉ、妾は少し眠とうなったのじゃ・・・」

 

「どうぞ、御眠り下さいませ。

七乃はずっとお傍に居ります」

 

「うむ、善き哉・・・・・・スー」

 

 

あっと言う間に眠ってしまう。

スヤスヤと愛らしい寝息を立てる美羽の頭を、七乃は自分の膝の上へと移動させる。

美羽はこの後、孫堅軍による水関攻撃が始まるまで、ずっと眠っていた。

 

 

 

-9ページ-

 

 

―――劉備陣。

 

桃香は、相も変わらず暗い表情のままだった。

平原の民から求められて挙兵したものの、やはりどんな理由であっても想い人である一刀を討つのに気が乗る訳が無かった。

 

朱里と雛里が何度も洛陽へと間諜を向けているのだが、その度に全員捕えられている所為で、洛陽の情報が全く分からない。

即ち、噂通りの悪政が敷かれているかどうかさえ分からないのだ。

桃香の心中は、不安と歯痒さで一杯になっていた。

涙が一滴、頬を伝った。

 

 

「・・・・・・桃香?」

 

「あ、ぱ、白蓮ちゃん!?」

 

 

何時の間にか此方に来ていた公孫?―白蓮の声で急速に現実に引き戻された。

 

 

「また、例の御遣いの事考えてたのか?」

 

「・・・うん」

 

 

白蓮の問いに、暗い表情のまま頷く。

非常に重苦しい雰囲気が漂った。

 

 

「信じてるんだろ?

だったら・・・」

 

「駄目なの、私一刀さんと戦いたくなんてない。

だから、いっそ負かしてくれれば、だなんて思っちゃうの。

此処に一緒に来てくれた人達は、皆私を信じて付いて来てくれたのに」

 

 

遂に、ボロボロと涙が零れる。

白蓮は、唯桃香を慰める事しか出来なかった。

 

 

「怖いの、もしかしたらもう二度と皆と一緒に笑えなくなっちゃうんじゃないかって。

それに自分勝手だけど、一刀さんの笑顔がもう私に向けられないと思うと、怖くてたまらないんだ」

 

 

めそめそと心情を吐露する。

華蘭の様に割り切れない性格の所為で、此処まで引き摺っている。

白蓮は、桃香を慰めながら、物陰の方へと視線をやった。

 

 

「・・・・・・桃香様」

 

「愛紗、お主が出て行っても、何も出来んだろう。

今は桃香様に泣かせてやった方が良いさ」

 

 

物陰には、今にも飛び出しそうになっていた愛紗と、それを諫める星がいた。

 

 

「あらら? これは、不味い所を見ちゃったかしら?」

 

「「!?」」

 

 

星と愛紗が同時に声のした方を向く。

そこにいたのは、雪蓮と冥琳だ。

 

 

「・・・何用だ?」

 

「共闘のお誘い」

 

 

警戒する様な愛紗の問いに、雪蓮はバツが悪そうに答えた。

 

 

「出来れば、諸葛亮か鳳統に会わせて貰いたい」

 

「うむ、分かった」

 

「星!」

 

「大声を出すな、今桃香様は正常な判断を下せぬ。

ならば、決定を下すのは軍師のあの二人さ」

 

「ぐぬっ・・・」

 

 

星の正論を聞き、言葉に詰まる。

雪蓮は、桃香の件を聞いた辺りから険しい表情をしていた。

 

 

「雪蓮、劉備に同情するのは良いが、余り入れ込み過ぎるなよ?」

 

「・・・分かってるわよ」

 

 

冥琳から小声で言われ、苦々しく思いながらも返す。

同じ男に惚れた身としては、桃香の想いは痛い程良く分かってしまう。

だからと言って、孫伯符である以上向こうに付く事も出来ない。

 

歯痒いのは彼女達だけでは無い。

この連合に集った者達の殆どは、一刀への敵意を持ち様が無い者なのだから。

寧ろ、見習いたいと思わせる様な明君だ。

 

士気が上がる筈も無かった。

 

軍師達の話し合いは、驚く程あっさりと決まった。

答えは、是。

呉軍と劉家軍の共闘は、至極簡単に成った。

 

 

 

-10ページ-

 

 

―――洛陽の夜。

 

一刀は一人、布団の上で報告書に目を通していた。

連合を見張っている者達からの定期連絡だ。

内容は、孫呉と袁術軍が到着したと言う物。

これで、恐らくは連合の元に集った者は全て。

歴史の知識通り、あの袁紹が連合の長となったならば、与し易いのだが。

そう思った辺りで、扉の向こうに良く知った気配がある事に気付いた。

 

苦笑しつつ布団から降り、扉を開ける。

 

 

「ひぁっ!?」

 

「翠、何やってんだ?」

 

 

手をノックの形にしたまま固まった翠がそこにいた。

たちまち顔が真っ赤に染まる。

それなりに付き合いは長いので、一刀は次に何が起こるのかを瞬時に察し、それを防ぐ為に即行動に移した。

 

 

「うわあ―んぅ!?」

 

「静かに、夜だぞ」

 

 

悲鳴を上げそうになった翠の唇を、自分の右人差し指で抑えたのである。

だが、その行為の所為か、翠は更に顔を真っ赤にして。

 

 

「―――キュウ」

 

「って、おいおい・・・」

 

 

その場で崩れ落ちて気絶した。

しょうがないと肩を竦め、一刀は翠を部屋へと運び入れて、布団に寝かした。

そして起きるまで待とうと思い、眠気に負けてそのまま寝てしまった。

 

 

 

――二刻程後。

 

一刀は身に違和感を覚え、目を覚ました。

まだ外は暗く、寒いのだが、自分の傍には確かな温もりがあった。

で、見てみれば。

 

 

「すぅ〜・・・」

 

 

翠が、一刀にひっつく様に眠っていた。

 

 

「翠・・・?」

 

「んぅ〜・・・一刀、どうして」

 

 

一刀の呆ける様な問いに、翠は寝言で答え、その直後に驚嘆ものの言葉が告げられる。

 

 

「どうして、あたしを抱かなかったんだ・・・」

 

「・・・はっ!?」

 

 

しかも、目の端からボロボロと零れる涙付き。

まさかと思い、同時にいや待てと思い直す。

何かの過ちではないかとさえ思うが。

 

 

「一刀・・・」

 

 

そう呟く度に、強く自分を抱き締めて来る翠を侮辱する様な考えに思えてしまった。

ある覚悟を決め、一刀は翠を起こす事にした。

 

 

「起きろ、翠」

 

「んぁ・・・むにゅ・・・・・・・・・・・!!?」

 

「静かに」

 

「んむっ」

 

 

また起き抜けに悲鳴を上げそうになった翠の唇に指を当てて発声を封じる。

 

 

「翠、聞きたい事があるんだ」

 

「・・・えっ?」

 

 

一刀の真剣な視線に内心怯えるが、真正面から受け止めた。

 

 

「翠は、俺の事をどう思ってるんだ?」

 

「え、えぇっ!? えぇっと、その、あの」

 

「真剣に、本当の事を聞きたい」

 

「うぁ・・・その、・・・・・・だ」

 

「ん?」

 

 

最後の辺りが掠れる様な呟きで、聞こえなかった。

近くまで寄って耳を近付ける。

少し、後悔する事になったが。

 

 

「す、好きだ! 大好きだ!!」

 

「ぬわっ!?」

 

 

耳元で、翠の大声が想いと共に爆発した。

 

 

 

-11ページ-

 

 

「あたしは一刀が好きだ!

こんな武骨者の粗忽者で、可愛げなんか欠片も無いあたしなんかじゃ、一刀には不釣り合いだろうけど、それでもあたしは一刀が大好きなんだ!!!」

 

 

泣きじゃくりながらではあったが、遂に翠の真実の想いがぶちまけられた。

一刀は耳を少し抑えていたが、大声と一緒に想いも受け取った実感があった。

だから。

 

 

「あ、あたしわぷっ!?」

 

「・・・ありがとな」

 

「―――☆□※@▽○∀っ!?」

 

 

翠をしっかりと抱き締めていた。

翠の方はと言えば、何故抱き締められたのかも分からず、それと同時の幸福感の濁流に浸かっていた。

 

 

「こんな俺を好いてくれてありがとう。

俺も、翠の事大好きだ」

 

「―――――ッッッ!!!」

 

 

翠は今が夢じゃないかと疑い始めた。

いや、もういっそ夢でもいいから身を任せようと決心した。

だがそこで、やんわりと翠の身体から身を離す。

堪らない物足りなさを感じる。

 

 

「ごめん、これ以上は、な。

我慢できそうにない」

 

 

翠の心に動揺が走った。

漸く心を通わせる事が出来たと言うのに、ここで引いてしまっては、かつての焼き直しだ。

それだけはさせるものかと、一歩踏み込む。

 

 

「じゃあ我慢しなきゃいい!」

 

 

今度は一刀が驚いた。

それと同時に申し訳ないとも思い、そして久々の劣情を催した。

 

 

「あ、あたしは、一刀になら抱かれても―ううん、抱かれたい!」

 

 

その一言が、切っ掛けだった。

一刀は即座に翠を引き寄せ、口を塞いだ。

自分の口で。

 

翠も目を見開いて驚きを顕わにするが、すぐにうっとりしたように身を任せる。

暫くは唯触れ合っているだけだった。

離れ、今度は熱烈に、猛烈に。

互いが互いを求め合う。

否、それは最早貪り合うと言った方が良かった。

 

二人の頬は紅潮し、既に互いしか見えていない。

息切れを起こすまで互いに貪って、漸く離れた。

 

 

「翠・・・・・・」

 

「んっ、いいよ、もっと・・・」

 

「こっからは、閨でな?」

 

「うん」

 

 

蕩けた評定のまま、素直に一刀の言葉に頷く翠。

雰囲気と相俟って、とても淫らに思える。

 

一刀は翠を抱き上げ、そのまま布団へと移動。

翠を横たえた。

 

 

「かず、と、あたし」

 

 

翠が身の内から湧き上がる何かに流され掛けながらも、不安気に口を開く。

何を言おうとしているのか即座に理解し、先を取る。

 

 

「大丈夫、俺も初めてだ」

 

「えへへ・・・お揃いだ」

 

「ああ、そうだな」

 

 

そうして、三度口付ける。

宵闇の中、二人の影が一つに重なった。

 

 

 

 

第二十六話:了

 

 

 

-12ページ-

 

 

後書きの様な物

 

東北が地震で大変な中、自分は通常運転です。

・・・本当ならば、もっと早く上げられたのですが、計画停電の為に遅れました次第です。

 

被災者の方々が一人でも多く救われる事を祈るばかりです。

 

コメ返し

 

 

・KU−様:はい、と言う訳で本編です。

 

・クロスEX様:YES,風は少し不足気味な所を過剰に鍛え、虚を突く戦術が得意です。

 

・nameneko様:いやー、そう言ってもらえると嬉しいです。 真・恋姫の嫁として、華琳は名を上げましたしね。

 

・mighty様:華蘭に満足していただけた様で何より何より、皆に味がある天遣伝を目指しています。

 

・2828様:Exactly.

 

・月野様:おおう、やっぱ凄い人気だ華蘭。

 

・O-kawa様:華蘭は外見とキャラは一致しません、好きな男にはとことん甘えます・・・シャウタいいですよね、現代のバイオライダーや〜

 

・征棟さま様:ふっふっふ、華琳は無視された恨みを忘れない! そして多分今度のIF現代編は水辺系のお話に・・・

 

・悠なるかな様:ですよねー、出来る事なら自分でデザインしたいのですが、絵心0ではどうしようも・・・どなたかに依頼できないもんでしょうか。

 

・砂のお城様:書いてる自分自身が無性に殴りたくなったのは秘密だ!

 

・はりまえ様:華織のヒント=1)どケチ 2)華琳達の親族。 本当に、自分も華蘭のキャラ図が欲しくなってきました。

 

・FALANDIA様:あー、そう言えばそうですよね。 しかしモゲては、モゲては〜〜〜モゲろや! はっ、本音が出てしまった。

 

・yosi様:現代の雪蓮がニートなのは、公式の筈です。 確か、OVAではそうなっていました。

 

・sugi様:大丈夫でした、よって次話を投稿できます。

 

・ue様:華蘭の可愛さは、自然と浮かんじゃいます。 もう自分の手を離れ始めている!?

 

 

では、これ位で。

次回は3月終わり頃を予定しています。

地震の悪影響が一刻も早く終わる事を願って!

 

 

説明
地震は怖いです、自分が住んでいる所も結構揺れました。

そんな中で投稿できる喜びを噛み締めながらの投稿です。

此処から先はR指定だ!(内容的な意味で)
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コメント
うおおお!(readman )
一刀が初めてだという事実にビックリ。連合をどうやって破るのかが楽しみです。(ハセヲ)
翠も好きだが華蘭も好きだから複雑かと思ったけどよく考えたら主人公が百花王だからまあいいか。 しかし麗羽ェ・・・。(O-kawa)
翠おめでと(/□≦、) ようやく一刀と・・・。 ってかあんなに種馬な行動してたけど一刀も初めてだったかww さぁもう少しで華蘭無双が♪もう4p分を使った華蘭の活躍、楽しみに待ってます♪(mighty)
最早連合は形だけ・・・というか現実が全く分かってない、恐らく黄巾の時罰せられた事すら忘れている(?)状態の者が総大将ではw こうなってくると以前書きましたが一箇所のチート、それに今回同伴してるであろう「猛毒」の策が一番の脅威となりそうなw(村主7)
間違えました。5ページです。(龍々)
翌朝の皆の反応が楽しみだw(KU−)
ご無事で何よりです そして翠良かったね 次回は遂に水関編でしょうか?楽しみに待ってます(悠なるかな)
5pという事を既に→という事は既に おぉっとついに翠がいったかw(2828)
2ページ 「離すと」>「話すと」 「という事を」>「という事が」です。(龍々)
美羽さまが成長なされた!!地震大丈夫でしたか?自分は両足を骨折しましたがまだ余震がなんとも言えないので気を付けて。(流狼人)
翠好きなのでこの展開は大歓迎。 ( ゚∀゚)o彡°翠( ゚∀゚)o彡°翠(yosi)
翠がようやく報われたか。他の人たちも報われるといいな。袁紹はどこまで行ってもバカだな(VVV計画の被験者)
まあ落ちたところがそこだからなんとなく予想はできた。さて一夜明けたらどんな混沌が待ち受けているのやら・・・・・。それにしてもライダーさん無事でよかった!!これで物資やら供給やらが滞りなく進めば文句ないんですけど(ヘリやら使えばどうにかなると思っているのは浅はかなのだろうか?))(黄昏☆ハリマエ)
ん、逸れに逸れてしまってヤキモキしたけど、ちゃんと翠に行き着きましたね。よかったよかった。(FALANDIA)
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真・恋姫†無双 オリキャラ 北郷一刀  

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