真・恋姫†無双?虚像の外史☆三国志演義?(蜀編) |
ある人間が成都にあるとある茶店に入った。
彼は人気がない座席に腰掛けると、店のお勧めらしい茶を適当に注文する。
やってきた茶に口をつけと、目の前に白い服で、ピカピカした光を纏った男が座り込んできた。
彼は口元に邪悪な笑みを浮かべる。
「……意外だな。『その男』でここに来るとは予想もしていなかったよ」
そういつつも、笑みは喜びの顔だった。
最終話
『消滅』
「で、君は誰かな? いくら姿を似せようとも『彼』がここに来ることはないはずだよ」
「………」
男は答えない。
「舞台は俺の理想とする魏、呉、蜀の三分へと移った。まぁ……そこに至るまでに、曹操を操ったり馬騰を操ったりとか、時間短縮のために色々と無理しちゃったから赤壁の戦いは、少し時間がかかることになちゃったけどね……」
男は何も言わない。
彼は茶を口元に近づけ、その香りを嗅ぐ。
「俺は、『人形』に過ぎないけど『彼』を認めるつもりはないだよ。いくら『表』が認めようとね」
「………」
「いや……『表』に認められたこそ、『彼』の存在は認めるわけにはいかないのさ。だからさ、君が『彼』じゃなくても、言いたいことがあるから聞いてくれるかな?」
「………」
そこまで言うと、彼は茶を手にしたまま、一度だけ瞳を閉じた。
そして開き、告げる。
「……世の中のほとんどが、『貴様』を否定してるんだよぉ。だからさっさと消えてしまえ」
直後だった。
その場のある物すべてが消滅した。
劉備は寝室で寝込んでいた。
原因は幾度なく続いた戦争と、治安への改善などの行事。
「………う、うう」
魘される劉備に傍にいる諸葛亮は、劉備の手を握って願っていた。
「……………っ!」
その願いが届いたのか劉備は目を覚ました。
「劉備様っ! よかった、本当に……本当に……」
泣き弱諸葛亮。
「………」
何か言いたそうな劉備だか、声が出ないことに気づく。
諸葛亮は劉備の声を聞くために耳元まで近づいた。
「………そ、それは……」
聞いた言葉に戸惑いを見せる諸葛亮。
しかし、劉備はそんな諸葛亮に微笑みを見せると、再び眠りにつくのだった。
完
―――極めて近く、そして限りなく遠い物語。
子供達は大人達を呼んだ。
呼ばれた大人達も次々と呼び集め、あっという間に、その場所の周りには村人達の輪が作られた。
息を呑み、見つめる村人達の真ん中で、濡れた女性が倒れている。
「異国の女じゃ」
杖をついた村の長老が現れ、言った。
「この戦国の世に、こんな形で女が流れてくるなど不吉じゃ。きっとこの女は災いを起こすのじゃ」
村人達はどよめく。
好奇心の強い子供が一人、見たこともない服装を着た女性に、そっと近づく。
「気をつけよ!」
長老は声を上げた。
「もはや時は乱世。ここも戦場になってしまうのじゃろう。こやつはその時代の盾になってもろうかの」
「……うっ」
女は気付く。
「わ……私の名は……華雄」
そして再び気を失った。
時は戦国時代。
今、新たなる物語が始まる。
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