真・恋姫†無双?歌姫の導き〜 |
後漢末期、朝廷の腐敗により、政治は乱れ、災害異変より人心は揺れ、先の見えない世に、民は苦しみ、疲弊していた。
そんな中、三人の女性が歌で平和を取り戻そうと動いた者がいた。
張角、張宝、張梁
三国志という物語を誕生させることなった英雄達である。
―――これは、その英雄達の活躍を少しだけ教える物語である
第一話
『張角』
私達が知る『黄巾の乱』とは。
中国、後漢(ごかん)末の農民反乱。
後漢代後半、豪族の大土地所有の進展につれて、多数の農民が土地を失って没落する。また外戚(がいせき)、宦官(かんがん)、党人官僚三つどもえの政争によって中央政府の機能は低下し、洪水や干魃(かんばつ)や流行病がしきりに発生してしまう。
鉅鹿(きょろく)(河北省南部)の人張角(ちょうかく)は、黄帝(こうてい)信仰や道家(どうか)学説を含む初期道教の一派である太平道(たいへいどう)を創始して、大賢良師(たいけんりょうし)と自称した。教義による呪術(じゅじゅつ)と信徒本人の懺悔(ざんげ)、反省によって病気が治るという太平道の教えは、黄河下流域の多数の貧困と病気に苦しむ農民たちをその教団に組織することに成功した。
たまたま後漢霊帝(れいてい)代の184年は、60年を1周期とする干支(かんし)の最初の年、すなわち甲子の年にあたっている。「蒼天(そうてん)すでに死せり。黄天まさに立つべし。歳は甲子に在(あ)り。天下大吉」というスローガンを掲げた張角は、この年2月、目印として互いに黄色い頭巾を着用した30余万の信徒を率いて反乱を起こした。
後漢政府が党人官僚への弾圧を中止して黄巾討伐に全力をあげたこと、張角が陣中において病死したことなどにより、反乱の主流は年内に平定されたが、その余党は10年以上にわたって各地に蜂起(ほうき)しては離合集散した。
武力を伴った中央における政治抗争と、行政官や将軍たちの地方割拠と絡み合いながら、黄巾の余党の活動は後漢帝国の統一政府としての実質に重大な打撃を与える。
……これが『私』達が知る『黄巾の乱』。
しかし、これから語られる物語は少し違う。
別に驚くことはない。『そういう世界』もあると認識すればいいし、『似たような世界』は無限にあるのだからね。
すべての始まりは、旅芸人から始まった。
その頃の彼女達はとても貧乏でその日を生き抜くのがやっとな生活を送っていた。
歌を歌っても誰も振り向きもしない、芸をしても見るだけで金銭をくれない。たとえくれたとしてもそれはその日の生活費ですぐに消えてしまう。まさに地獄の日々。
「あ――も――! どうして誰も私達の歌聞いてくれないのよ!」
青いポニーテイルして三姉妹の中で一番胸が小さい張宝は、愚痴を述べた。
「……仕方がないわよ。こんな世の中だもの、私達の歌を聞く余裕やお金を払う暇がないのよ」
ショートカットでクールな眼鏡っ子、姉妹の中で一番しっかりしている張梁は、今のご時勢の厳しさを指摘した。
「そんなの関係ないわよ! 歌が素晴らしかったら不景気なんか関係なく、お金なんか払ってくれるわよ!」
「………そうね」
張宝は気づいていないようだが、その意味は『自分達の歌が下手』という繋がりにもなる。
だけど心優しい張梁は、あえて何も突っ込まず聞き流してあげた。
「………体、売ったほうがいいのかな」
「地和姉さん!?」
張宝の言葉は彼女達にとって重く、そして最悪の選択。とはいえ今の世では、生活を少しでも楽にするために身を売って家計を助けることなどありふれていた。
「冗談よ。そんな事絶対したくないもん」
「………」
冗談……果たしてそれはどこまでが冗談なのだろうか。張梁の顔に暗雲が立ち込める。
「そういえば天姉さんは?」
「少し夜風に当たってくるって……」
「え……大丈夫なの? 天姉さんってホラ……」
少し抜けてるといいたげな張宝だが、張梁の顔はあまり心配した様子ではなかった。
「問題ないわよ。ああ、見えて天姉さん、そういうの私よりも強いから」
「………え―――?」
「あの〜私と一緒に一晩どうですか?」
夜の街。その一角で、一人の旅娘が、一人の男に声をかける。男は彼女と同じような年齢に見え、白服を着ており、しかも服はピカピカと光っていた。
声をかけた理由は、見たことない服装や貧乏そうには見えない顔立ちが金に不自由そうには見えないと思えたからだ。
「………」
声をかけられた男は一瞬意外そうな顔をしたが、手近にあった安宿へと誘う彼女に黙ってついてきた。
「先にお風呂に入ってきてください」
部屋に入るなり、彼女は言った。言われるまま、彼は財布や上着を部屋に置き、風呂へ入っていく。
「………ごめんなさい」
彼女は一言侘びを言うと、大胆にも男の財布を奪った。
しかし……。
「駄目だよ。そんなことしちゃ」
「っ!?」
てっきりお風呂に入りにいったばかり思っていた男が、いつの間にか背後に立っていた。つまりは、騙すつもりで騙された。
「っ!」
悟った彼女は、逃げようと一つしかない出口へ突進する。
「無駄だよ」
男の目が光り、彼女はそのままベットへ叩きつけられてしまう。
「きゃっ!?」
体が動かない。男の力は強く、ガッシリと肩を掴まれて顔を覗き込まれた。厳しい眼差しが彼女の瞳を貫く。
「いい目をしているね……とても綺麗だ」
いきなり言われ、少女は戸惑った。なおも男は言う。
「今日、君や他の仲間達が歌を歌っているところを見たよ。とても素晴らしくすぐに好きになちゃったよ。………でも、この様子だと生活には困っているみたいだね」
男の顔に浮かんだ笑みを嘲笑と捉え、彼女は唇をかみ締めて目を閉じた。
「………もう、覚悟はできています」
声が震えていた。
「………」
男は掴む手を緩めた。
「俺はそんなつもりないよ。女の子が泣きながら寝る姿なんて見たくもない」
「………」
「君の名前は?」
わずかに彼女は間を空けた。なぜだかこの男に名を明かせばすべての望みが叶うと思えてた。確証などない。でも、この男とは何度も出会っていて、助けられていた気がしたからだ。
「私は張角……です。真名は天和」
彼女が名を言うと、男は笑顔を見せた。
「俺は北郷。真名は………一刀でいいや」
第二話へ続く
説明 | ||
ストーリー 後漢末年、漢朝廷の腐敗は頂点に達し、生活に困窮した民の中からは、 ついに黄巾の乱が起こり、時代は乱世に呑み込まれてゆく。 これはその奮起を促した張三姉妹の物語。 |
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コメント | ||
新しい始まり方ですねwwwwww。 あ、ちなみに一刀の強さはどれくらいなのでしょうか? それと一刀はいつ頃この外史に来たのでしょうか?(劉邦柾棟) | ||
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