真・恋姫†無双 ?とある風力使いの物語?
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  〜プロローグ〜

 

 

 

人口の大多数が学生で構成されているここ学園都市。

 

完全下校時刻をとうに過ぎた現在。

本来なら周りに人通りなどあるわけも無いのだが・・・その場所だけは不自然に大人数がただ一人に敵対していた。

 

しかしそれも束の間のこと。

気づけば大多数はそのただ一人に圧倒されている。

 

 

それもこれといって珍しい事ではない。ここは、学園都市なのだから。

 

 

 

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最後の一人が地面に倒れたのを見届けはぁ、とため息を吐いた。

 

辺り一面に展開していたを先程の強風も、今は頬を撫でるただのそよ風に変化している。

 

 

「…んで、何だったんだコレ?」

 

パンパン、と意味も無く手の平を両手で払う仕草を見せる青年、篠原修司は特に何の感慨も持たず、しかしかすかな疑問を口にした。

 

 

彼のすぐ傍の地面には重武装のなされた物々しい人間が束になって倒れている。

いきなり襲い掛かって来たので問答無用で叩きのめしたわけだが、今更になって彼らのいでたちに眉を潜める。

 

一瞬だけ警備員(アンチスキル)かと思ったが、彼らは主に教師で構成された学園都市きっての治安部隊である。意味も無く学生である自分に襲い掛かってくるはずが無い。

また夜中という事もあり判断が付けづらいが、よくよく見れば服装もだいぶ異なっており、アンチスキル特有のシンボルマークも特に見当たらない。

 

 

「マジ誰だよこいつら…外部の人間?いや、こんな大人数で入ってこれ・・・るわけねーか。魔術師…にしてはまだ服装まともだよな、ないわ」

 

魔術師の感性を一から否定するこの発言はきっと聞かれたら多くの人間を敵に回すだろう。

特にTシャツに片方の裾を根元までぶった切ったジーンズの人とかね。

 

特に神裂とかね。

 

まぁ本人の前では言わないけどな。

 

後が怖いし。

 

しかし修司がこれまで出会った魔術師が皆一様にそうだったのだ。

彼がそんなレッテルを貼るのも無理はない。

というか文句は言わせない。

 

 

 

 

 

修司はカバンに入れっぱなしのケータイをおもむろに取り出した。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

何かしらアンチスキルに連絡を入れるべきなのだが、完全下校時刻をとうに過ぎた現在、ここにいた自分まで咎められると思うとどうしてもケータイを持つ手にためらいが生まれてしまう。

 

例え匿名で通報したとしてもアンチスキルなら個人のケータイ程度すぐに特定してしまうのは目に見えているからだ。

 

事情聴取は面倒な上に、こんな時間に外出していると武装無能力集団(スキルアウト) に間違われる可能性もあるので出来れば避けたい所だった。

 

このまま襲撃者を放置してこの場から逃げる事を少し考えるも、チラ、と視線を向けた先にはこちらをじっと見つめる監視カメラ。

一台どころか周りを見回すだけで3台は確認できるあたり、さすが科学の町といえる。

 

「・・・逃げるのも無理、と」

 

観念するしかねぇかーとぼやいて開いたままのケータイに番号を入力する。

アンチスキル相手に何か言い逃れできる方便は・・・無いな。

 

学区外の友人曰く「不幸だー」とでも叫んでやろうか、と無意味な思考を巡らせながらも、数コールで繋がった電話の相手に意識を集中させた。

 

「――ああはい、第14学区の・・・ええ、そこです。いや、急に襲い掛かってきて・・・・・・嘘じゃないですって。はい、いや悪いとは思ってますけど・・・っ!?」

 

倒した敵以外は自分しかいなかったはずのこの場に急に人が現れた。

警戒を怠っていた事を自らの心の中で叱責し、驚きや戸惑いといった感情全てを押さえこむ。

 

 

「・・・すみません。なんか取り込んできたんで、とりあえず何人かこっち送ってくれます?はい、出来ればマッハで」

 

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「――うん、さすが【大気制圧(エアリアルマスター)】と言ったところかな。下っ端の暗部じゃ束になっても敵わないか」

 

律儀にもアンチスキルとの通話を中断させる事もなく佇んでいた少年がようやく口にした第一声がこれだ。

 

 

「その恥ずかしい二つ名止めてくんない?その場のノリで友達が付けた悪ふざけみたいなもんだしさ。呼ぶなら普通に一般的な【風力使い(エアロシューター)】にしといてくれ」

 

「いやはや、これほどまでの力ならレベル5に最も近い男というのもあながち嘘ではないかもしれないね」

 

「話聞けよ。ってか誰だよそんな話広めたの、聞いた事ねーよ。」

 

こういう人の話を聞かないタイプの人間はいつの間にか会話の主導権を握ってくるから質が悪い。話半分で聞かないと痛い目にあう。

 

 

修司はこんな軽口ばかりの会話の中でも思考する事だけは止めなかった。

この男が聞き捨てならない言葉を言ったのにも原因がある。

 

 

暗部。

 

存在すら知らない人間が大多数であろう。それぐらい学園都市の根深いところにいる存在だ。修司自身その存在を知ったのはちょっとした偶然といっても良い。

 

そんな奴らが俺に接触してくる理由がわからない。

 

 

 

「・・・学園の闇とも言うべき存在が俺に何の用?意味も無く殺しに来るわけもないだろうに」

 

「別に殺そうとしたわけじゃないよ?ちょっと弱らせて時間稼ごうとしただけ。それに用っていうか、僕はただ命令されただけだから何とも言い難いんだけど・・・君という存在は、今はプランの邪魔になるんだってさ。だから退場願おうってわけ」

 

「ふーん?それは死ねって意味じゃねーの?」

 

「さっき僕の能力見たばかりでしょ?あれは殺すのには向いてないと思うな」

 

 

こいつの言葉を信用するなら、だ。

殺すつもりもなくプランとやらの妨げにならないよう篠原修司という存在をどこかへ追いやりたいという事になる。

 

「お前の空間移動でどっかに連れて行こうって?俺の知り合いの空間移動能力者は一度に80メートルくらいしか移動できないらしいけど、お前はそれ以上だったりすんの?それともお前の能力はは空間移動でも何でもない別物で、それを使って俺をぶっ飛ばして身柄を拘束、とか?」

 

どちらにせよ笑えない。

 

 

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「僕の能力はちょっと特殊でね。能力に名前すらつ付いてない。様子見とか言われてるけど、何年放置する気なんだろうね。今僕の存在はこの都市にあるようでない不安定な状態。存在を明確に知っているのは統括理事長くらいかな?」

 

「何言って――」

 

「第6位って言えば分かる??まぁ時間稼ぎもうまく行ったみたいだし、もう良いや。君とのおしゃべり、結構楽しかったよ」

 

 

油断したつもりはない。

 

「バイバイ」

 

でもそんなのは何の意味もなさなくて。

 

 

 

あまりにも緊張感のない挨拶。

 

 

 

それが真っ白になった視界で、最後に聞こえた言葉だった。

 

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【あとがき】

 

初めまして。

 

今回恋姫無双SSを書くのは初となります。

 

ゲーム未プレイなのに何してんだ自分。

 

 

 

そういう影響もあってか、原作どおりに進むというのは無理かと。

 

どちらかといえば完全に演義よりのストーリーになりそうです。

 

まぁ初志貫徹なんて自分には無理ですから、前言を簡単に翻す可能性もあるんですがね・・・はは。

 

そんなssですが、よろしくお願いします。

 

 

 

 

 

説明
学園都市レベル4の風力使い、【大気制圧(エアリアルマスター)】の篠原修司。「プランの邪魔になる」という理由で何故か第6位の能力によって無理やり異世界に送られる。

外部かと思いきや三国志。三国志かと思いきや武将はみんな女の子。

え、何コレ?……え、何コレ。

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恋姫†無双 真・恋姫†無双 とある魔術の禁書目録 風力使い 大気制圧 

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