恋姫のなにか 28 |
お待たせいたしました。
詠は落ち着かない様子で、何度も何度も注文した紅茶を持ったり置いたりしていた。
かと思えば周りをキョロキョロと見回したりして、その様子に今まで仕方ないかと口を噤んでいた秋蘭が溜息混じりに声をかける。
「少し落ち着け・・・流石に挙動不審が過ぎるぞ・・・」
「すいません・・・」
「まぁ緊張するのもわかるが・・・」
「あのですね、私秋蘭先輩のお願いじゃなかったら確実にブッチしてますから」
「あー、感謝してるよ。ついでにもう少し落ち着いてくれ」
事の発端は数日前。横に座って本を片手にコーヒーを飲むクールビューティーにされたお願い事が原因だった。
エスカレーターの詠には関係の無い話だったが、世間は入学式。当然別の学園に通う人間も大勢出てくる。
秋蘭の後輩もその中の一人だったらしく、地元を離れて単身こちらの方の学校に通うことになったらしい。
当然今までの友達は一人も―――何の因果か一人だけしかいないらしく、漫画やゲームのマニアックなネタを話せる友人を欲しているらしく、それを聞いた秋蘭が詠に白羽の矢をぶっ刺したという訳である。
「それにしても遅いですね・・・」
「まぁ寝てるんだろ、男の子だしな」
詠の不安は沢山あったが、一つは今秋蘭が言った「男の子」という所である。
いくら尊敬していて、親しくもしている先輩の後輩だからといって、詠にとっては赤の他人に他ならない。
彼をよく知る秋蘭からいくら好意的な評価を聞かされても、回りの評価がそのまま自分の感想と=になるとは限らない。
同級生が「愛紗先輩と同室なんてうらやまし〜」とのたまう度に「じゃあ変われ、今すぐ自分と人生とっかえろ」と言いたくなる詠なら余計にその感情は強い。
第二に、今現在彼の置かれている状況が問題だった。
何でも入学早々たった一人の友人さんと共に喧嘩して停学喰らったらしく、もう詠の中では印象は最悪である。
(愛紗先輩に口聞いてやるだなんて言葉につられるんじゃなかった・・・)
詠はゲームも漫画も大好きである。若干腐っている事は重々承知しているが、迷惑かけなきゃいいじゃないか!とも思っている。
が、詠は寮住まいで、通っている学園の寮は誰かと相室だった。
横にいる秋蘭と相室なら大ラッキーだったのだが、何をどうしたのか恐ろしい事に、この先輩は一人部屋を勝ち取っている。ほんと、何をどうしたのか教えてほしい。
詠の同室は先輩の愛紗。この愛紗が詠にとって曲者だった。
ゲームしない、漫画読まない。メール?なにそれ?な愛紗と詠は水と油な関係だった。
幸いなのか不幸な事なのかはわからないが、愛紗は自分の価値観を人に押し付けるタイプではなかったので今の所持ち込んだ漫画や画材やらには目を瞑って貰っているが、諸手を挙げて歓迎しているとも言い難い。
何せ、迷惑にならぬようにと布団を引っかぶってイヤホンつけて携帯ゲームで夜に遊んでいると、次の日の朝に「今日からは自重してくれ」と言ってくるのだ。胃に穴が開いててもおかしくない。
基本的に愛紗の言う事は正しいので逆切れする訳にもいかず、しかし愛紗が卒業して寮を出るまでは非常に長い。
本気で『保険証あれば未成年でも一人で入院手続きできるかなぁ』と授業中に考え込むほど追い詰められている所に、両者所か寮住まいしている生徒全員が逆らえない秋蘭から助け舟を出すと言ってもらえたのだ。そりゃ乗るだろう。
「先輩、ホントに愛紗先輩に口聞いてくれるんですか?」
「あぁ、その件は任せておけ」
「なんか親に泣きつく子供みたいで気が引けますけど、ホントお願いします」
「お願いされよう。いくら無意識とはいえ、愛紗の態度は少し問題だ」
「ホント、頼みます」
「ん。 お、来たな」
秋蘭の言葉に視線を向けると、顔に絆創膏やら傷口やらを貼り付けた兄ちゃんがキョロキョロとしていた。
眼鏡で補強されているとはいえ詠の視力は大して良くはなく、顔をはっきりと確認出来た訳ではなかったが、何と言うか普通の人だった。とても、停学になるまで暴れるような類には見えない。
「ごめん迷ったお待たせー・・・・・・えーっと・・・?」
「詠だ。私の後輩で、お前が注文つけたタイプの人間だ」
「は、初めまして、詠です」
「注文?」
「ディープでマニアックにジョ○ョネタを挟みつつ会話が出来る友人が欲しいと言ってたろ」
「え? あー、良くそんなくだらねー事覚えてたな、忘れてたわ」
うわ、こいつ死んだ。と詠は思った。秋蘭の好意を無駄にする奴がまさか秋蘭の知人にいるとは思いもよらなかった。
「全く、そんな事だろうと思ったよ」「わりーわりー。えっと、詠ちゃんだっけ?」
「え? は、はい!詠です」
「秋蘭に付き合って貰って悪いね、あんま振り回さない様に言っとくから」
「あ、いえ・・・そんな事は・・・」
「おい、自己紹介ぐらいしておけ。それとも私にさせるか?」
あれ、普通に会話が続いてる。秋蘭の機嫌が悪くない。それどころかちょっと浮かれてる。
若干混乱した詠だったが、二人は詠に気をかけてくれてるらしく気が抜けない。
「あぁごめん。俺は一刀。コンゴトモヨロシク」
「オレサマオマエ、マルカジリ」
「うわ、乗ってきた。どうしよう秋蘭、詠ちゃんすげぇ良い子だ」
思わず乗ってしまったが、どうやら良かったらしい。ニコニコとしながら隣良い?と尋ねてくる一刀にどうぞと返すと、代わりに秋蘭が席を立った。
「何が良いんだ?」
「えーっと、コーヒーと食う物」
「了解だ。あまり詠を苛めるなよ」
「ざっけんなボケ」
「ふふっ、冗談だ」
すげぇ、秋蘭先輩に暴言吐いた。と詠は感動していたが、その所為で一時的とはいえ二人きりになった事に気づかなかった。
「ごめんね詠ちゃん、結構待ったっしょ?」
「いえいえ、そんな事は―――まぁ、ありますけど」
「ほんとごめんね、PSPの電池切れるまでってやってたら血の気引く時間でさ」
「何されてるんですか?」
「えーっと、アストロ○ーカってヤツなんだけど、知ってるかな?」
(どうしよう、この人凄く良い人だ)「教えてください、アレどうやってクリアするんですか?」
「シマイモ先生は偉大とだけ言っておく」
話の合う友人とでも出来なかった話が出来るなんて!とついさっきまで抱いていた不安はどこかに消え去った。
「えー・・・わかりました。でも、詰まったら教えて下さいね」
「あいあい。あ、ならメアド交換しとく?」
「あ、是非」
えーっと、とケータイ片手に試行錯誤している一刀。
「どうしたんですか?」
「いや、ケータイって慣れなくてさ・・・赤外線ってどうやんだっけ?」
「あ、やりますよ。ちょっといいですか?」
「・・・よろしく」
(やだ・・・かわいい・・・)
恥ずかしそうに口元を掻きながらケータイを差し出す一刀に思わずキュンと来た詠。どうしよう、ホントに良い人だ。
自分にもあった母性本能に驚きつつ、互いにアドレスの交換を終えると秋蘭が帰ってきた。
「何やっとるんだお前ら」
「メアドの交換。詠ちゃんってすげぇな」
「お前は説明書ぐらいキチンと読め・・・すまんな、詠。コイツ変に不器用でな」
「いえいえお安い御用です」
「んで、これからどーすんの?」
「ふむ、どうしようか」
「いや私に聞かれても・・・」
「一刀、お前は行きたい所ないのか?」「ゲーセン」
(もう絶対一刀さん良い人だ)「行きましょう、すぐにでも」
気の合う友人もやはり女の子。ガッツリゲーマーな詠は入り浸りたいゲーセンも、ちょっと遠慮してしまう。
もし厄介ごとに巻き込まれたら。と一人で入るにはちょっと勇気が必要で、一刀の提案は渡りに船だった。
「まぁ待て。ゲーセンは構わんが、折角金出して買ったんだからそれぐらいは食べてからでも構わんだろ」
「あ、そうですね」「あ、そういや金渡してねーや」
「折角だ、奢ってやろう」
「俺秋蘭大好き〜」
あむ。とサンドウィッチに齧り付く一刀。それを優しく見守りながら鼻血を拭う秋蘭。
あ、なるほど。秋蘭先輩一刀さんに惚れてんのか。と秋蘭の対応と現状を重ねて納得しながら、さてどうして立ち回ったものか。とちょっと冷めた紅茶を啜る詠だった。
この時、三人で唯一超人に分類される秋蘭は一刀の発言をリフレインする事に必死で、自分たちをじっと見つめる視線がある事に気がつかなかった。
一目惚れだった。何のためらいも無くその言葉を受け入れる事が出来た。
呼吸を忘れる程度に思考は止まり、愛紗の全神経は『彼』に注がれている。
右手の親指で口の端をちょいちょいと撫で、痛かったのか眉を潜めて指に付いた血を舌で舐めて拭う仕草を見せられて呼吸が荒くなった。
何処の誰で、何と言う名前か。そんな事はどうでも良かった。
蓮華とは都合が合わず、秋蘭は詠とお出かけ。丁度買い物もしたかったし、と一人で外出していた愛紗だったが、何となく気が向いて足を向けた駅前で『彼』を見つけた。
見た感じ、自分と同年代か一つ下な少々幼い顔立ち。しかし顔に結構な傷を作っている所を見るとやんちゃはするらしい。
(こ、声を掛けないと)
ぐちゃぐちゃになった頭で出せた策なんてその程度の物で、そもそも何と声を掛けたらいいかが抜けている。
しかし、このまま見送る訳にも行かない。もう一度出会える保障など何処にもないのだから。
(蓮華はどうやっている・・・思い出せ・・・)
天然悪女の同級生がどうやって異性と会話していたかを必死に思い出すが、どれだけ記憶を繰っても思い出せるのは顔が引きつる罵りの言葉だけだった。
そう言えば自分が聞くのは蓮華が相手を振る時だけだったなと納得していると、いつの間にか『彼』は眼前にいなかった。
え?!と凄く焦って辺りを見回せば、角を曲がる後姿を何とか確認出来たので慌てて後を追う。
(待て、これは犯罪じゃないのか自分!)
いくら問い詰めても、駆ける足は止まっちゃくれない。その程度で止まるなら最初から追いかけやしない。
付かず離れずの距離を保って後を付ける愛紗だったが、『彼』は此処に来るのは初めてなのか度々立ち止まってはあれ?と言いながらケータイを操って悩んでいる。
(チャンスだ!)
お困りですか?と声を掛ける。それだけで良い、何も難しい事はない。
幸い、自分は(全く不本意だが)告白をされた事もあるし、化粧なんて生まれてこの方したことはないが、それなりに見れた容姿をしている筈だ!と自分に自信を持たせて足を踏み出そうとしたその時である。
「ね、ね、彼女、一人?」
「・・・・・・私か?」
「そうそう♪ 俺この辺り初めてでさー、友好深めるがてら案内とかしてくんないかなー?」
お礼するからさ。とのたまう金髪のにーちゃんをシカトして『彼』に再び視線を定めると、もう歩き始めている所だった。これでは声を掛けられない。
「ね「くたばれ」
肩に回す心算だったのか、それとも強引に腕を引く心算だったのか。もうどちらでも構わない。
男を一回半くるっと回して頭から地面に落とす、そして同時に蹴り飛ばして壁際に寄せると自分は反対側に寄って身を隠す。
「?」
案の定、凄い音がしたので振り返った『彼』は首を傾げながらももう一度歩き出し、ホッと胸を撫で下ろした愛紗は生涯で初めて、手櫛で必死に密かに自慢な黒髪を溶かすともう一度早歩きで『彼』を追う事にした。
「久々に来たな」「一刀さんってゲーセンだと何やるんですか?」「三国志○戦一択」
道中も楽しく会話を交わし、三人はこの地域のゲームセンターに来ていた。
一階から七階までの高さを誇り、面積自体も結構な広さを誇るこのゲームセンターは休日らしく、同年代の若者達で結構賑わっていた。
詠に気づかれない程度に一刀と秋蘭は気を回し、詠も遠慮があったとはいえ楽しくお喋りできて結構仲は深まった。
「詠ちゃんは?どんなのやるの?」
「えーっと・・・恥ずかしいんですけど、大体弾幕やってます」
「うわ、マジで?すげぇな詠ちゃん」
「一刀、弾幕ってなんだ?」
「えーっと、R-T○PEとか蟲○とかじゃね?」
「蟲○はあってますけど、Rは違いますよ、アレは鬼畜です」
「ま、シューティングだよ」「です」
「Rというと、星が得意なヤツか? っと、すまん、知らん名を出したな」
いえいえ。と詠は気にしてないと伝えるが、あぁそう言えば今までちゃんと会話に混ぜて貰ってたな。と二人の気遣いに今更ながらに感心する。
「俺のやってるの時間長いから、詠ちゃんやりたいヤツから回ろうぜ」
「え・・・でも・・・」「軽く一時間は潰れるぞ?」
「ますます見たい」
(あーやっぱりゲーム好きな人っていいなぁ)
今まで一回もゲーセンに来た事が無い訳ではない。
が、同級生と来る事は全く無く、来る時は秋蘭と蓮華が嫌がる愛紗を引き摺って来るのが常なので、大体一面か二面でタイムアップとなって消化不良で終わるのが常だった。
「あの、ホントに長くなるんで一刀さんのトコからがいいと思うんですけど」
「わざわざ付き合って貰ってるんだしいいって。こんな機会でもないと上手い人のプレイ生で見る事ないし」
「すっごいプレッシャーなんですけど」
「そういや、何時も途中で切り上げだったしな。偶にはいいじゃないか」
秋蘭もそう助け舟を出してくれたので、詠は好意に甘えて何時もの筐体に向かった。
若干恥ずかしいが、がっつりプレイ出来るんだし、うん。と財布から千円札を取り出して両替すると、右手で綺麗に縦に整えて投入口付近に置くと一番上に積んだ硬貨をすっと入れる。
「こやつ、やりおる・・・」「ふつくしい・・・」
「恥ずかしいから黙ってください」
一刀と秋蘭は互いに茶化して、詠ももう!と怒っては見せるが三人はみんな笑顔だった。
ゲームが始まるや否や詠は華麗にレバーを操作して機体を操ると右手でトントンと軽くボタンを叩く。
ボタンを押す事で弾が出て、その弾が全て出現する敵に当たって得点がみるみる上がっていく。
「すげー、TAS見てるみてー」
「詠のプレイをじっくり見るのは初めてだが、やるな」
「練習すれば誰でも出来ます。恥ずかしいから茶化さない」
口を動かしながらも詠はサクサクとゲームを進め、一面目とはいえあっさりとボスを倒してしまう。
その後もプレイの最中に一刀と秋蘭は詠に聞こえる様に評価を下し、詠は一々それに反応しながらもミス無くゲームを進めていよいよ後半。
「えっぐ・・・」「これ製作者攻略させる気ないだろ」
「大体どのゲームもそんなもんです」
七面目に入った辺りで、ノーミスだった詠が初めてやられた。そこから二機一気にやられたが、何とか異常な難易度の七面を攻略して最終面に入り―――そのまま攻略してしまった。
「あーMAXいかなかったかー」
「いや、たった1クレで攻略した事自体が異常だと思う」
「お前凄いヤツだったんだな」
「いや、折角ギャラリーいたんで稼いでみただけですから」
「え、じゃあノーミスいけんの?」
「まぁ一応、やりこんでますし」
「師匠と呼ばせてください」「化け物の称号を送ろう」
「どっちもやめてください」
詠はカチャカチャとレバーとボタンを操作して、プレイヤー名を「EI」とつけるとその名前は一つ桁を飛ばして堂々の一位に刻まれた。
「一刀、どうしよう。後輩がバ○ドだった」
「諦めて侵食されちまえ」
「失礼な事言わないでください。えっと、お待たせしました」
「いやいや、良いモン見させてもらったわ」「眼福だった」
「えっと、お粗末様でした」
「あ、わりぃちょっと便所」
一刀はそう言うとえーっと。とキョロキョロしながらその場を離れた。
「やれやれ・・・デリカシーの無いヤツですまんな」
「いえいえ、変に意識されるより気が楽です」
「そう言ってもらえると有り難い・・・・・・」
「どうかしました?」
「いや、どうにも見られてる気がしてな・・・今は視線は感じないが」
そりゃあ。と言い掛けて詠は口を噤んだ。
自分が男なら間違いなく目が行きますなどと言われても嬉しいかどうかは人それぞれだろうし、セクハラになりえるし。
「あ、調子に乗って大分時間潰しちゃいましたね・・・」
「構わんさ、一刀もはしゃいで見てたしな」
「あ、そう言えばなんですけど、秋蘭先輩って一刀さんの事「詠、こんな言葉があるのを知っているか、好奇心お前をぶち殺す」初耳Death」
この件には触れない方がいい。詠は瞬時にそう判断した。
「いやすまん。だが、どうにも言葉にされるのは恥ずかしくてな・・・」
「いや普通に告白すればいいじゃないですか、一刀さんだって満更じゃないですよ絶対」
「そんな事は分かっている」
「いや、だったら・・・」
「お前が欲しい的な告白されてそのままベッドに押し倒されたいんだ私は」
「今まで注いだ尊敬を返せこの変態」
先輩だのなんだのという立場を超えて思わず突っ込んだ詠だったが、しまったと思う間も無くすぐさま秋蘭から反論が笑顔で飛んできた。
「おいおい私は変態じゃないぞ?ドMという名の淑女だ」
「それを世間一般じゃ変態と呼ぶんですよ」
やれやれ、世間は世知辛い。と茶目っ気たっぷりに肩を竦めて言う秋蘭を見て、今日は来て良かったと本当に心から思う詠だった。
四人揃うと決まって行く喫茶店。そこに『彼』は居た。何の因果か、其処には自分の知り合いが二人居た。
何故、どうしてだと疑問の声が鳴り響く中、気づけば今まで実家と連絡を取るぐらいにしか活用していなかったケータイをフル活用していた。
ぶっちゃけて言えば、写真を撮りまくってた。
カシャーカシャーとシャッターの合成音が只管に鳴り響き、気が付けば知り合いの片割れ、秋蘭が消えていた。
(あ、あれ・・・いつの間に・・・)
しかも残された片割れの一人であり、同室の後輩でもある詠は『彼』と何やらいい雰囲気だった。
自分のとも、見たことあるのとも違うが、恐らくはケータイであろう物体を詠は『彼』から受け取ると、なにやら操作していた。
恐らくは上手くいったのだろう、双方の顔に笑みが浮かび、詠ははにかんで持っていた物体を『彼』に渡す。
(あれは、なにを行ったんだ・・・)
てんで疎い愛紗は今二人が行った行為が何なのか分からない。が、恐らく二人の仲が進展したのだろうという事だけは痛いほどわかった。
だって、そうでなければいつまで経っても他人行儀な詠が自分から口が開く筈は無いのだ。
なんで、どうしてとぐるぐる疑問が頭を駆け巡り、気づけば――――本当にいつのまにか、偶に引っ張ってこられるゲーセンにいた。
普段秋蘭達と来る時は大体休憩スペースで時間が経つのを待っているか、気晴らし程度にプライズゲームを冷やかすのが常だったが、今は違う。
口の動きから察するに、後輩のゲームしている所を見ては『すげー』とはしゃいでいる『彼』と、そのの隣に立って、時折話しかける秋蘭。
時折詠も口を開いていたが、表情から察するにまたもや三人は良い雰囲気なのだろう。
そんな三人、というより、名も知らぬ『彼』を鼻息荒くガン見していた。
何十分見続けていたのかは分からないが、確実に普段の滞在時間を越えていた事は間違いない。
漸く詠のプレイが終わり、また何やら楽しそうに喋っている三人を何だか歯痒い気分で見守っていると―――不意に、『彼』だけがその場を離れた。
(あ、あれ?)
慌ててノープランにも係わらず『彼』の後を追おうとするが、秋蘭と詠の前を突っ切って追いかける訳にも行かない、という事ぐらいは何とか思い出せた。
不幸中の幸いとして、此処は何度か脚を運んだ場所であるからして、道筋自体は頭に入っているのだ。
(ど、どこに・・・いた!)
「あっれ・・・標識こっちだったよな・・・?」
あれー?と呟きながら首を傾げる『彼』は行き止まりに辿り着いてしまった事に進めなくなってから漸く気づいたようで、しゃーないと踵を返そうとして、愛紗と向き合った。
「あ、すんません」
「お、おおおおお」
「へ?」
「お、おおお困りですね?!」
何言ってるんだ私は!と全力で自分の頭を叩き倒した愛紗だったが、空耳で押し通すには些か声量が大きすぎた。
(絶対変な女だと思われた!)
「あー、えっと、お困り、です・・・」
「あ、あぁぁあはい!お困りでしゅ!」
「えーっと・・・」
今度は盛大に噛んでしまった。と口元を押さえて真っ赤になった顔を俯いて隠すと、困った様に呟く『彼』の声が耳に届いてきた。
「あの、舌噛んじゃいました・・・?」
「い、いえ平気です!」
「そ、そっすか・・・じゃあ、俺はこれで・・・」
そう言って脇を通り抜けようとする『彼』だったが、その腕を思わず掴んで引き止めてしまった愛紗。
あ。と思った時にはもう遅く、明らかに戸惑った彼の顔色。そりゃあそうだろう、立場が逆なら警察沙汰になっても可笑しくない。
「あの、美人局ならご遠慮願いたいんすけど・・・」
「ち、違います!あの、お困りのようだったので!」
「いや、大丈夫なんで・・・ホントに・・・」
「何か、お探しですか?!」
「いや俺の話聞いてますか・・・?」
「す、推察するにお手洗いですね?!」
「いや、うん・・・そうなんすけど・・・」
よし!なんかわからんが上手い具合に話が進んだ!と愛紗は内心ガッツポーズをとった。
冷静に考えれば思い切り不審者と間違われているのだが、そこは、まぁ・・・うん・・・
「い、行きましょう!」
「・・・・・・えーっと」
「遅かったな?」
「うん・・・ごめん・・・」
「初めてだと此処は迷っちゃいますよ。案内すればよかったですね、すいません」
「うん・・・ほんと、頼んどけば良かったわ・・・」
トイレから帰ってきた一刀の様子が目に見えておかしかった。
両手で何とか持った三つ分の缶ジュース。どう考えてもその内二つは詠と秋蘭の分であろうそれを持ったまま、難しい顔を崩さない。
何かありました。と思いっきり書いてあるその表情に秋蘭は訝しみ、詠は好奇心を募らせる。
(すんごい聞きたいけど・・・失礼よね)
が、どう贔屓目に見ても一刀に惚れこんでいる秋蘭がいるので、事の顛末は聞けるだろう。
「どうした?何かあったか?」
「いや、うん・・・すんげーアホみたいな話するけどさ・・・さっき便所探してたら、すっげぇ美人に声掛けられてさ」
「あれ、まさか一目惚れしちゃって心此処にあらずとかですか?」
「理解不能理解不能理解不能!!」「おちつけし○ちー」
「いや・・・そういうんじゃなくて・・・なんつーか・・・」
ん?とまさかの恋バナ&修羅場にwktkしていた詠だったが、よくよく考えれば一刀の顔は浮かない物だった。
今言い辛そうにしているのも、恥ずかしいとかじゃなくてどう説明すればいいのか分かってないみたいだし。
とりあえずはい。と一刀から缶紅茶を手渡され、断る間もなく手元に滑り込んだソレにお礼を言うとプルタブを空ける。
「秋蘭先輩、一回深呼吸しましょう」「コフーコフー」
「それで、どうしたんですか?」
「えーっと・・・いきなり声掛けられて、腕掴まれて便所まで連行されたんだ」
「パードゥン?」「は?」
「いやごめん、訳わからんよなこの説明・・・」
けど他に言いようが。と悩む一刀。しかし、一刀の言った言葉をそのまま鵜呑みにするならば、詠だって秋蘭だって、何と説明していいか分からない。
くぴくぴと詠は開けてしまった缶を飲み、秋蘭も気を取り直せたのか缶コーヒーをぐいっと一気に飲み干した。
「それヤバい人じゃないですか」
「何処にいるんだその不振人物は。今も近くにいるのか?」
「いやばっくれたい一心でさ、便所から出た後お礼だっつって缶コーヒー渡して一回別の階に逃げてこっち戻ってきたの」
「そうか、いや、無事で何よりだ・・・」
「恥ずかしいから人前で抱きしめるのやめてくんない?」
「えっと、どうします?そんな人いるなら、店員さんに言って警察とか」
「あー、俺ちょっちやらかしてさ、これ以上問題起こすの不味いんだわ」
「そういやそうだったな、ボッコボコにしてやろうと思ったんだが」
(あー、そりゃ一刀さんは自分が停学謹慎中だってボクが知ってるとは思わないわ)「それじゃ、退散って事にしましょうか?同じ場所にいて一刀さんにまた目、つけられても困りますし」
「被害者のこっちがコソコソ逃げ回るのは納得いかんが・・・まぁ仕方ないか、詠もいる事だしな」
「ほんと、絡まれたのが俺でよかったわ。ごめんね詠ちゃん、バタバタさせちゃって」
「いえいえ、ボクだけ遊んじゃって申し訳ないです」
「くっちゃべるなら歩きながらだ、すぐに出るぞ」
「ちょ、待ってくださいボクまだ全部飲んでないですって!」
と、いう訳で現在一刀達三人は秋蘭と詠の道案内の元、大きめのCDショップに向かって歩いている。
何故CDショップかといえば、一刀が欲しいゲームのサントラがあるとの事で、そのタイトルを聞いた詠の一刀に対する好感度がまた上がった事は言うまでも無い。
「しかし、詠は分からんでもないが一刀のは分からん。何故音楽を聴きながらあれだけ作業できるんだ?」
「秋蘭分かってねぇな、テンション上げて戦うんだよ俺達は」「魂燃やしてんですよ、私達はアレで」
「疎外感だ・・・」
「詠ちゃんってどっからBGMにハマったの?」
「ベタですけどロマ○ガ3からですね。一刀さんは?」
「俺は聖○3。SFCの本気をみたね」
「疎外感だ」
「えー意外。てっきりF○かと思ってました。ビッグ○リッヂとか」
「いや好きだよ?好きだけど、俺の中の■の三本柱は聖○3、ロマ○ガ3、ライブ○ライブって決まってんの。異論は認めない」
「まさか、まさかライ○アライブの名が聞けるとは・・・」
「そーがーいーかーんーだー!」
「はいはい、じゃあ秋蘭にも分かる話にしようねー」「秋蘭先輩かわいー」
「最近一刀が私に反抗的なので此処は頬っぺたを抓ってみようか!」
ちょっと調子に乗りすぎたかなーと詠は反省したが、じゃれて遊んでいる一刀は楽しそうだし、秋蘭も普段自分達には見せないお茶目な部分を出して甘えているし。案外良い仕事したんじゃないかなぁと自画自賛。
三者三様に気を使い、先ほどの事件には触れないようにしていたがどうやら上手く転んだらしい。
「っと、行き過ぎる所だったな」
「なーんかこの街ってデカい建物多いなぁ」
「まぁ都市部ですしね。一刀さんの所はどうなんですか?」
「んー、まぁそれなりに流行ってるけど、飲み屋とか繁華街とか多いからこんなに御洒落じゃない」
そう言って一刀は目の前の建物を指差す。秋蘭は特に何も思わない様だったが、そう言えばボクも初めてこの街に来た時は色々驚いたなぁ。と思わず昔を懐かしんでしまった詠。
デパートに色々施設が併用されるのは今では当たり前だが、田舎ではデパートはあくまでもデパートであり、何でもかんでもを揃えたいなら此処!という場所は中々ない。
婦人服、紳士服、食料品に家電製品、娯楽品にホビーに映画館。本当に何でもあります状態な地域最大級のショッピングセンターを前にして立ち止まっている三人は、言うまでも無く通行の邪魔だった。
「あ、棒立ちしてる場合じゃねーや。二人とも門限あるんだよね?」
「私は少々ならかまわんが、詠は不味いな」
「秋蘭先輩一人部屋ですもんね・・・」
思わず帰った後の事を想像して溜息を零してしまう詠だったが、いけないいけない。と頭を振って陰鬱な気分を取っ払う。
「あんま遅くなるのも悪いし、さっさと行こっか。すんげー邪魔そうだし俺達」
「だな」「ですね」
三人で周囲の人の冷たい視線に苦笑いすると、センターの中へ入っていく。
結局、一刀のお目当てのサントラは手に入らなかった。年齢層の違いであまりコアなゲームのサントラは置いてなかったのだ。
「無かったか、まぁしゃーないか」
「すいません、専門店に行ってれば良かったですね」
「なに、詠が謝る事じゃないさ」
「そうそう、今日はすんげー楽しかったし、いいもの見れたし」
「もうゲーセンのは忘れてください」
晩御飯をどうするか。と一刀が聞いたが、休日でも寮母が用意してくれるらしい。
門限の事もあるし、あんまギリギリだと不味いだろ、と少々早めに切り上げてセンターを出た三人だったが、一刀の送る。という発言は秋蘭に却下された。
「迷子になって私が出動する姿が目に浮かぶ」
見に覚えがありすぎる一刀としてはその言葉に黙る他無く、逆に一刀が送られて駅の中で電車を待っている最中だった。
「詠ちゃん今日はありがとね、めっちゃ楽しかったわ」
「いえいえ、ボクこそ楽しかったですし、助かりました」
「一刀、最後の最後で説教紛いの事は言いたくないが、しばらく大人しくしてるんだぞ?」
「わーってるよ」
「干吉にもよく言っておけよ」
「わかったようっせぇな」
「ならいいんだが。 あと、冷蔵庫を置物にするんじゃないぞ?」
「はいはい」
「掃除が面倒ならそれでかまわん、だがそれならそれでせめて週一で私を呼べ」
「あーもうわかったよ!詠ちゃんの前で恥ずかしいだろが」
「あ、二人の力関係は察してますんでお構いなく」
「詠ちゃんすげぇ」
「あ、電車間に合わなくなっちゃいますよ」
その言葉に一刀は電光掲示板を確認すると、やべぇと呟いてホームへ駆け出す。
「やれやれ、慌しいやつだ」
「ま、男の子っぽくていいじゃないですか」
「おや、喫茶店で挙動不審な行動を繰り返していたヤツの発言とは思えんな?」
「あはは・・・一刀さん良い人ですし」
「分かってくれて何よりだ。さて、帰るとするか」
「ですね、お腹空いちゃいました」
「ただいまもどりましたー・・・・・・」
帰り道は秋蘭と二人だったが、会話に困る所か切れる暇もなく、非常に楽しい休日が終わった。終わってしまった。
荷物と言うほどの買い物をした訳でもないが、まぁ女の子だからそれなりに荷物もあるし、何より楽な格好に戻りたい。じゃあどうする?当然部屋に戻る。
先ほどまでの明るい気持ちは何処へやら。また暫くは愛紗の顔色を伺う生活がはじまるお・・・と重たい気分になった詠を出迎えたのは、物凄い目つきで自分を睨んで来る愛紗だった。
愛紗としては睨んでいるつもりは全くないのだが、あ、そうですかすいません勘違いでした。と納得できる間柄でも無い。
「あ、あの・・・」
「おかえり」
「はい・・・」
「もう夕飯だ、早く着替えて食堂へ行くぞ」
何でこんなに機嫌悪いのーと詠は神様に問いただしてみたが、所詮は一般人の詠に神様と対話するスキルなんてあるわけもなく、おそるおそるといった具合に愛紗の前を横切って楽な部屋着に着替えた。
今日の御飯はなんだろなぁ!とヤケッパチにテンションを上げてみたが、そんな事にテンで気付かない愛紗は詠を絶望の淵に蹴り落とす一言を放った。
「食事が終わったら、少し話がある」
もっそもっそ、のんべんだらりと時間をかけて、これが最後の晩餐だと思っておかずと御飯を噛み締めて食べた詠は、死刑台に上がる囚人の気持ちで部屋への道のりを歩いていた。
(うわぁ開けたくないなぁこの扉)
何時も以上に重たく感じる部屋のドアノブをくいっと落とすと、溜息を必死に飲み込んでドアをぎいぃぃっと開く。
化物寮母が日々のメンテを欠かさないのでそんな音は鳴る筈もないのだが、詠の脳内では毎日高らかに鳴り響いているのだ。
「折り入って頼みがある」
「 」
土下座である。それはもう見事な土下座である。愛紗のツムジなんて生まれてはじめてみた。
「何卒ご教授頂きたい!」
「え、ちょ、ま、え?」
「何卒!!!」
「その体勢で大声出さないでください! あ、何でもないの、ホントなんでもないから!」
「どうか!!!!」
「黙れぇぇぇぇぇぇ!!!!」
なんだなんだと集まってきた同じ寮に住む仲間達を追い返すと、颯爽と部屋に入り込んでしっかりと鍵を掛ける。
たったそれだけの事なのに、詠はゼーハーゼーハーと肩で息を吐いていた。
「何?何なの?何なんですか?嫌がらせだったら性質悪すぎじゃないですか?」
「いや、そんな心算は」
「上級生に土下座させてる時点で外聞悪すぎんでしょうが!」
「すまぬ」
(絶対悪いと思ってない)「・・・それで、何なんですか。土下座も含めてきっちり説明してください」
「う、うむ・・・」
そう言って愛紗はチラリとテーブルに視線をやる。それにつられて詠もテーブルを見てみると、今日何度か見た銘柄の缶コーヒーがポツンと置いてあった。
(あっれ、愛紗先輩ってそんなの買った事あったっけ?)「どしたんですか、その缶コーヒー」
「う、うむ、頂き物だ。 それはさておき、だな・・・・・・その・・・・・・」
「えーっと・・・長くなりそうなのでお茶淹れます」
流石に水道にシンクまではついていないが、電子ポッドぐらいなら各々準備している。水は寮母が毎日入れ替えてくれるし、楽さ加減は一人暮らしと雲泥の差があるが。
ともかく、日本茶を二つ淹れてテーブルに置くと、自分のクッションをお尻に敷いて愛紗の正面に座る。
「すまん、ありがとう」
「いえいえ。それで、何があったんですか?」
「その、だな・・・お前、ゲームとか漫画とか、詳しかったな?」
「まぁ、それなりには・・・」
「お、教えて貰えんだろうか?」
「・・・・・・はぁ?」
「無論入り口だけで構わんのだ、あの人と喋れる切欠さえ掴めれば、後は自分でどうにかする」
「・・・えーっと、少し整理したいんですけど」
「何か分かり辛かっただろうか?」
「あの人って誰ですか?」
「そ、それ、は・・・」
人が茹で上がる瞬間を生まれて初めて詠は見た。それが鉄面皮・愛紗というのはラッキーな事なのか定かではないが。
同級生がアイドルの誰某カッコイーと黄色い声を上げたり、二次元に生きる友人が○○様はアタシの婿とか発言したりする表情とは違う、ピュアそのものな反応。
「・・・もしかして、男の人ですか?」
「わ、分かってるなら確認するな!」
「いやいや大事な事ですから、ねぇ?」ニヤニヤ
「そ、それで!どうなんだ?今まで散々否定してきた私が言うのもおこがましいと、分かってはいるが、お前ぐらいしか頼れる友人がいない」
「それは別に構わないんですけどぉー?ほらやっぱりなんていうかぁー?愛紗先輩が好きになっちゃった相手の事の方が気になるっていうかぁー?」ニヤニヤ
「す、好き・・・・・・」
座る時は正座するのが愛紗スタイルだが、正座したまま真っ赤に染まった顔を俯かせてもじもじする美女って萌える。その事を詠は再確認した。
「漫画もゲームも後でお勧めのを紹介しますから、先に全部暴露しちゃいましょうよ! それで、どんな人なんですか?」
「どんな? それはお前達の方が良く分かっているだろう」
「え? 私達って・・・私も会った事あるんですか?」
「それに、トイレを案内する道すがら少し喋っただけだし」
「・・・・・・パードゥン?今なんと?」
「だから、お前達今日ゲーセンに行ってただろ? その時迷ってらしたんで、案内したんだ」
(やだなにこわい)「・・・なんで、知ってるんですか?」
「何故と言われても・・・私も付いて行ったからだが?」
私が何か可笑しな事を言いましたか?とでも言いたげに眉を潜めて湯気の立つお茶を啜る愛紗だったが、突っ込むスペースがありすぎて何処から手をつけていいか分からない。
「・・・ボクの記憶じゃ、今日は秋蘭先輩と秋蘭先輩の後輩さんと、三人で遊んだってなってるんですけど」
「あぁ、私は物陰にいたからな。間違ってはいないと思うが」
(あ、ありのまま起こった事を話すぜ・・・ボクは先輩の初恋をからかおうと思って話を聞いたらストーカー行為を暴露されていた・・・)
「詠?」
「何処から、いたんですか?」
「通り道で見かけてそのまま。というか、あの人は秋蘭先輩の後輩なのか・・・不覚・・・」
「いやそんな事はどうでもいいんです」
「よ、良くはない!そうと分かれば秋蘭先輩に口を利いて貰わねば」
「チョイ待ち。その後輩さん、一刀さんっていうんですけど、ゲーセンで変な女に絡まれたって言ってたんですよ」
「なんだと?!」
「それで、缶コーヒー渡して逃げてきたらしいんですけど・・・その缶コーヒー、自分で買ったんですよね?頂き物っての、愛紗先輩の妄想ですよね?」
嘘だと言ってよ。詠は今ならポケットの○の戦争に出演出来るぐらい、その言葉に感情を込める事が出来た。
しかし現実は非常である。詠の目に映る愛紗は気まずそうに口ごもると俯いて顔を背けてしまった。
「・・・どんな風に絡んだんですか」
「か、から「黙れ、素直に全部暴露しろ」・・・普通に、声を掛けただけだ」
「一刀さんドン引きでしたけど」
「少しばかり、強引だった、かもしれない・・・気がする・・・」
「強引に腕掴まれてトイレまで連行されたって聞いたんですけど」
「あ、あれは・・・思わず腕が伸びて・・・」
「つまり、初対面の人間の腕掴んでトイレまで引っ張って行ったのは事実な訳ですね」
「・・・客観的に見ればそうかもしれん」
詠の気分は容疑者に犯行を自白させたベテラン刑事である。タバコの一つでも吸えれば様になったろうに。
「・・・秋蘭先輩、すんごい怒ってましたよ」
「・・・そうか」
「一刀さんがやんちゃして謹慎中で良かったですね、そうじゃなかったら鼻フックデストロイヤーの刑でした」
「非常に気になる情報ではあるが・・・今は口を噤んでおく」
さて、どうしたものかと詠は頭を悩ませる。
このまま秋蘭にチクりにいくのは簡単だし、愛紗も無様に悪あがきはしない、と思う。
しかし、全く理解も共感も出来ないが、愛紗なりに真剣だったのだろう。免罪符にはならないが、気持ちは汲んでやるべきかもしれない。
(そういや蓮華先輩が『愛紗みたいなのが恋すると一番厄介』って言ってたなー)
「とりあえず、秋蘭先輩の所に行ってくる・・・生きて帰れたら、漫画とゲームの件、頼んだぞ」
「ストップ。命は投げ捨てる物ではない」
「しかし・・・」
「幸いこの件はボクしか知らないですし、都合よく一刀さんの連絡先知ってますし、秋蘭先輩には悪いですけど、内々で処理しちゃいましょう」
「詠・・・」
「ただし、ちゃんと一刀さんには謝っておいてくださいよ、土下座以外で」
「無論だ」
「一刀さんそんな根に持つタイプには見えなかったですし、ちゃんと謝れば許してくれますって。愛紗先輩の事美人って言ってましたし」
「 」
甘いかなぁボク。と思いながらも、折角歩み寄れるチャンスが来たのだし、愛紗に助けられた事だって多いし。とケータイを操作して一刀にメールを打とうとすると、愛紗が吼えた。
「ふおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「もう夜なんだから静かにしてください」
「詠!感謝するぞ!ありがとう!」
「はいはい。あ、ちょ!メールできないから強く振らないでください!」
今まで見る事がなかった満面の笑みで手を取り強く上下にブンブンと振る愛紗を見て、これから上手くやっていけるかもなぁと詠は思った。
長く長く続く、詠の受難の日々が今日、幕を開ける。
「とりあえずコレ読んどいてください」
一刀にメールで苦しい説明をすると、「あいよー」と何とも軽い返事が返ってきた。その事を伝えると、愛紗はすんごく喜んだ。
数日後、伝を頼ってとりあえず愛紗に読ませるために仕入れたのがジョ○ョ全巻。
学校が半日で終わった事もあって、それを詠はをドンと積んだ。愛紗は目を白黒させている。
「ぜ、全部か・・・?」
「ボクが秋蘭先輩に呼ばれて一刀さんと会ったそもそもの切欠ですし。ちゃんとネタ覚えてくださいね」
「う、うむ・・・しかし・・・コレを全部か・・・何日かかるんだ・・・?」
「嫌ならやめていいですよ。無理強いしてる訳じゃないですし。 でもその場合、一刀さんと楽しく「な、なにをするだぁー!か。覚えたぞ」
速読交じりの速さで愛紗は漫画を次々と読破していく。
人参ぶら下げた馬ってこういう事をいうのか。と詠は納得しながら上手い具合に設置できた据え置き機の電源を入れてゲームを始める。
「相変わらずアト○スの悪魔はエロいなー」
「・・・ぐすっ」
「なんで泣いてるんですか」
「シィィィィィザァァァァァァァァ!!!!」
「あ、なるほど」
「詠、終わったぞ」
「じゃあそっちの刃○全巻読んでください。終わったら疵○が待ってますんで」
「終わったぞ」
「じゃーそっちの紙袋から・・・そっちじゃなくて右の赤いの、そうそう」
「銀・・・魂・・・?」
「一刀さんのオキニなんで気合入れて読んでください」
「私は一向に構わんっ!」
「邪魔するぞー」「お邪魔しまーす」
詠はレベル上げ、愛紗は大量の漫画読破という爛れた作業を行っている所に、秋蘭が蓮華を引き連れて入ってきた。
「あ、いらっしゃいませ」「こんにちわ」
「うむ、予定が無くなって暇になったもんでな」「あ、これ差し入れ、後で食べましょ」
「態々すいません」「テーブルは満員だ、置く事はできねぇぜ・・・」
「愛紗が狂った」「あ、愛紗・・・?」
「現在教育中です」「やだ・・・銀さん良い男・・・」
秋蘭と蓮華が漫画を読んでいる愛紗に面食らってる中、詠は飄々とゲームに戻る。
「愛紗どうしたの?漫画とか嫌いだったじゃない」
「詠、これ帯に絶賛アニメ放送中とあるが」
「秋蘭先輩持ってませんでしたっけ?」
「あるにはあるが実家だな」
「・・・すっごいするっと無視された」
「詠、手持ち無沙汰だ」
「じゃあ対戦しますか。何やります?」
「うーむ・・・蓮華、お前も混ざれ」
「あんまりゲームは得意じゃないんですけど・・・」
「銀さんかっけぇぇぇぇぇ!!!」
「「「黙れ」」」
「詠、終わったぞ」
「秋蘭がぁ!!!捕まえてぇぇ!!!」
「ちょ!手加減してくださいって言ったじゃないですか!」
「んー?きこえんなぁ?」
「秋蘭がぁ!!!画面端ぃぃっ!!!」
「詠!終わった!」
「無理無理無理だから!」
「バースト読んでえぇっ!!!まだ入るぅっ!!!」
「えーいー!おわったー!」
「秋蘭がぁっ!!!・・・つっ近づいてぇぇっ!!!秋蘭がぁ決めたぁぁーっ!!!」
「誰だ蓮華を神って言ったやつは!」
「誰も言ってないです!」
「もう勝手に読む」
「ところで秋蘭先輩、今日って何の用事だったんですか?」
「一刀のトコに行こうかと思ってたんだが、向こうに用事が出来てお釈迦になった」
秋蘭から出た『一刀』という単語に、蓮華と愛紗はピクリと反応する。
「一刀って誰ですか?」(愛紗先輩、絶対話に入っちゃだめですよ、知らないって事になってるんですから)
「私の幼馴染だ。最近こっちに越してきてな、詠は紹介した」(わ、わかっている)
「え、何で詠だけ・・・」
「お前はデートで、愛紗に興味はないだろ。妥当な人選というヤツだ」
「まぁそうかも知れませんけど・・・仲間外れみたいで面白くないです」
「可愛い後輩をお前みたいな魔性の女と合わせられるか」
「人聞きの悪い事言わないでください!」
秋蘭と蓮華が二人で話す中、詠と愛紗は緊張しながら話を振られるのを待っていた。
「詠、そういや一刀と連絡取ってるらしいな?」
「まぁ一応。まずかったですか?」
「いや、喜んでたから構わん」
「か、一刀というのは、男性ですか?」
詠は満点、愛紗は及第点な受け答えだった。
まぁ怪しむ要素が無いとあっては、流石の秋蘭も見落とさざるを得ない。
「そうだが」
「ねぇ詠、どんな人だったの?」
「のんびーりした優しそうな人でしたけど」
「蓮華、一刀に粉かけたらぶん殴るぞ」
「だから!私はそんなつもりないんです!」
話に混ざりたい。しかしこういう話題に首を突っ込まないのが愛紗である。
一刀自身ともう話がついているとはいえ、変に勘ぐられても困るので愛紗はウズウズしながら詠が口火を切ってくれるのを待つ。
「なら今度は皆で遊びます?一刀さん『出会いが欲しい』って言ってましたし」
「なん・・・だと・・・」
「わ、私は、構わン!」
「どうしたの愛紗・・・・・・ね、ねぇ、詠。ホントに優しそうな人なの・・・?」
「あれ、百戦錬磨の蓮華先輩らしくないですね」
「泣くわよ?ホントその内私泣くわよ?」
「おい詠、どういう事だ」
「秋蘭先輩がグズグズしてるのが悪いんです」
「・・・ちょっと部屋に戻る。すぐに帰ってくる」
そういうと返事を聞かずに秋蘭は部屋を飛び出した。
なんのこっちゃと思いはしたが、追いかける訳にもいかないし、と蓮華は詠に再度確認する。
「写真とかないの?」
「流石に無いですよ。秋蘭先輩なら持ってるかもですけど」
「そ、それで?何時にするんだ?」
「今聞いてみます。蓮華先輩どうします?」
「い、行くわよ。行く、けど・・・ねぇ詠、貴女怖くなかったの?」
「まぁ最初はそりゃ・・・でもホントに優しい感じのお兄ちゃんでした」
「確かに・・・」
「え? 愛紗も知ってるの? なんで?」
(ばっか!)(すまん)
コソコソ二人で話す詠と愛紗を見て、置いてけぼりにされた蓮華は頬をプクーッと膨らませると冷めた紅茶を飲む。
「いいわよいいわよ・・・そうやって三人で仲良くしてればいいじゃない・・・」
「あーすいません、別に蓮華先輩をのけ者にした訳じゃ・・・」
「すまん」
「ふん」
「あ、ケーキ食べましょ、ね?」
「皿を持ってこよう」
「ただいま」
秋蘭が何処からか帰還してきて、それと入れ違いになる形で愛紗が食堂まで皿とフォークをとりに行く。
出て行った時の真剣な面持ちではなく、何処と無くほっこりしているのは見間違いじゃないだろう。
「ん? どういう状況だ?」
「蓮華先輩慰め中です」「違うわよ!」
「よく分からんしどうでもいいな」
「秋蘭先輩さっきから酷くないですか?!」
「とりあえず一刀に話つけてきたが、蓮華は来るなよ」
「ちょっと!」
「あれあれ、秋蘭先輩嫉妬ですかぁ〜?」
ニヤニヤと煽ってきた詠にデコピンをぶちかますと、ケータイを出してぽちぽちと操作する。
「ほれ、コレが一刀だ。お前の好みじゃないだろ?」
「ホントに写真持ってるとは思わなかったです・・・」
「・・・・・・なんかぼーっとした顔ですね」
「寝起きだからなぁ。よし、お前は来ないでFAだな」
「だから!なんで今日は私に酷いんですか?!」
「蓮華先輩の好みってどんな感じなんですか? 愛紗先輩の話だと毎回違うタイプ男とっかえひっかえしてるみたいですけど」
「やだー蓮華ちゃんふっけつー(棒」
「泣くわ、本気で泣くからね」
「詠ー、すまんが開けてくれー」
両手でトレイを持った愛紗が外から声を掛けて、詠ははいはいと腰を上げて扉を開きに行く。
蓮華はというとマジ泣き一歩手前といった顔付でぐすっと鼻を鳴らす。
秋蘭は蓮華を心身共にフルボッコにした事に満足してポッドからお湯を出して新しい紅茶を淹れていた。
「美味しいですね、このケーキ」
「うむ・・・しかし、貂蝉さんのと比べると少しくど過ぎる気もするな」
「あの人だけは侮れん・・・・・・おい蓮華、いつまで凹んでる」
「どうせ私は魔性の女ですよーだ・・・」
随分わかりやすく拗ねてしまった蓮華は膝を抱えて背中を三人に向けている。
「蓮華、ケーキはいらんのか? なら私が貰うぞ」
「あ、ずっこいです愛紗先輩。後輩に譲るべきでしょ」
「ここは間を取って私が食べようか」
「優しい友人を持って私は幸せよ・・・」
「もーちょっとしたお茶目じゃないですかー」
「いいわよ、皆がそう言うなら、その一刀って人も落としてやろうじゃない!」
「ほぅ、命はいらんと見える」「殺す」
思わず素で呟いてしまった愛紗の口を慌てて塞ぐと、詠は秋蘭の気を逸らすために敢えて黙っていた話のタネを蒔く。
「えっと、一刀さんとは何時会うんですか?」
「週末だ。それよりさっき愛紗が一刀に反応した気がするんだが」
「気のせいですって」「そ、そうです気のせいです」
「詠、愛紗、私の目を見て言ってみろ」
「愛紗先輩は週末都合良いんですか?」
「あ、あぁ。問題無い筈だ。蓮華は?」
「こうなったら意地でもあってやるわ」
んー?と秋蘭は疑っているが、まあ後で体に聞けばいいかとこの場での追求をやめた。
「一刀さんってまだ謹慎中なんですよね?」
「そう言われて大人しくしているタイプなら私も苦労は無いんだがなぁ・・・」
「き、謹慎・・・?ちょっと、ホントに優しい人なのその人・・・」
「穏やかジャナイナ」
如何にも『私その話知ってます』と言いたげな愛紗の脛をゴツンと蹴って黙らせると、詠は言葉巧みに話の焦点をボカしにかかった。
「そう言えば私最初に一刀さんに会った時ビックリしちゃいましたよ、いきなり秋蘭先輩に暴言吐くんですもん」
「そうだったか? 何時も通りの会話内容だと記録してるが」
「記録・・・?」
「こっちの話だ」
「だって、この寮で秋蘭先輩に『ボケ』とか『くだらねー話』とか言う人間いないですもん」
「身内みたいなモンだからな、そりゃあ多少は気安く話すさ」
「ホントに秋蘭先輩にそんな事言ったの?」
「帰り際に秋蘭先輩が言い聞かせてたら『うっせぇ!』って怒ってました」
詠の言葉を聞き、蓮華は「ホントに大丈夫なのかしら・・・」と不安を募らせ、愛紗はうーむ。と眉を潜める。大方知らない話だとでも思っているのだろう。
「あーなるほど。こないだの私もこんな感じだったわけですね」
「コレを喫茶店でやられてみろ。注意したくもなる」
若気の至りってこういうことかーと納得しながら詠は蓮華の分のケーキを切り分けてパクッと食べると、新しく入れた紅茶をずずっと啜る。
それを今度は秋蘭が切り分け、ふむ。と納得して販売店の名前をメモする。
「気に入ったんですか?」
「私は基本的に好き嫌いは無い。一刀が甘党なんだ」
「え?そうなんですか?ブラックのコーヒー飲んでたと思うんですけど」
「昔一刀の機嫌が悪くなった時は良くプリン作ったもんだ。当時は格好つけたい年頃だったらしくてな、『別に好きじゃないけど』とか言いながらもニコニコしてプリン食べるんだ」
可愛かったなぁ・・・とトリップしだした秋蘭を横目でみて、今度から話逸らす時はこの手段を使おうと心に決めた詠。
キョロキョロと周囲を見回して、誰の意識も向いてない事を確認してから残ったケーキを美味しく頂いた。
(首尾はどうなっている)
(愛紗先輩に関しては『初めまして』で押し通して下さいってお願いしてます)
「何をコソコソ喋ってる?」「「いえ別に」」
「えーっと、まだ着いてないのかしら?」
この前秋蘭と詠が待っていた喫茶店に、蓮華と愛紗を+した四人で脚を運ぶ事になった週末の休日。
四人が四人ともオシャレしているのはまぁ乙女だからという事で納得はいくのだが、それにしたって蓮華の格好は気合が入りすぎていた。
他の三人はパンツ姿なのに一人だけスカート。
他の三人は落ち着いた、寒色の上着を羽織っているのに一人だけピンクのヒラヒラした上着。
三人は眉を描いたりグロス塗ったり程度なのに一人だけ薄くではあるが細々としたメイクまできっちり決めて、傍目から見れば完全に彼氏とデートだった。
「蓮華、お前出かける時はいつもそんなに気合いれてるのか?」
「は、はい・・・一応身嗜みには気を使ってますけど・・・」
「引っ掛けた男と遊びに行くときもか?」
「だから!」「異性のお友達と二人で遊びにいく時もですか?」
「そうだけど・・・何処かおかしいかしら?」
(((これが魔性の女の底力・・・)))
これは勘違いするのも仕方ない。蓮華と友人関係という事で、なんやかんやネタにしながらも最後は蓮華の味方をする三人だったが、もうしないと心に決めた。
「お前がそんなだから告白されまくるんだリア充」
「そんなってどういう事ですか!」
「蓮華先輩、その格好で二人でお出かけとか脈有りとしか思われません」
「そ、そんな事ないでしょ?普通の格好じゃない」
「・・・・・・すまん聞き逃した。笑う所は何処だったんだ?」
「・・・いーわよ、一刀くんとやらも落として手酷くフってやるわよ」
そう言うと一人でずんずんと店内に突き進む蓮華。
その後姿を見て、秋蘭達三人は今まで蓮華にフラれた男達に黙祷をささげた。
と、その時である。バイクのけたたましい音が辺りに響き、何だ何だと三人と、一人離れた蓮華が一斉に振り返ると明らかに暴走族やってます。な感じに改造された単車に二人乗りでまたがったカップルっぽいのがいた。
「此処であってますー?」
「あってますー」
「下手な関西弁やめなはれww」
「すんません。ありがとっした」
そういってヘルメットを脱いだ男は一刀で、ヘルメットを運転手の女に渡すとあ゛ーと言いながら背伸びする。
「ほなウチ行きますけど、姉御に宜しゅうゆーといてくださいな」
「はいはい。態々ありがとね、真桜さん」
「さんつけんといて下さいっていっつもゆーてますやろ・・・ほなまた」
そういうと女性はハンドルを握り、またけたたましい音を鳴りあげて単車はその場から消えた。
後には遠巻きに一刀を見る人々と、見られる一刀。
どうしたもんか。と頭を悩ませていると、見知った顔があったので小走りでその人たちに近寄る。
「待った?」
「いや、さっき着いたばかりだ」
「お久しぶりです」
「あ、詠ちゃん久しぶり。約束のモン持ってきたぜー」
「さっきのは真桜か、久々に見た気がするぞ」
「俺も久々に会ったわ。送って貰っちゃった」
「ま、中に入るか」
「あい。 えーっと、初めまして、ですよね?」
「は、はい!愛紗と申します!」
チラッと詠に目配せすると、ぐっと親指を立てていたので間違った対応ではなかったのだろう。
「初めまして、一刀です」
「お、お噂はかねがね!」
「あはは、忘れて下さい」
「忘れます!」
愛紗と一刀が微笑ましい会話を繰り広げている間に蓮華はトトトと戻ってきた。
「ねぇ詠、なんで愛紗あんなに全力なの?」「私の後輩がこんなに素直な訳が無い」
「私に聞かないでください。それより蓮華先輩も自己紹介しといた方がいいんじゃないですか?」
「そ、それはそうだけど・・・」
蓮華が秋蘭に目配せする。恐らくさっきの暴走族まがいの単車に跨ってきた事だろう。
「大丈夫だ。見てみろ、あののほほんとした顔を」
「で、でも・・・」
「そういえばさっきの方お知り合いですか?」
「まぁな。悪い人間じゃないからそう心配するな」
おい一刀。と秋蘭が声を掛け、呼ばれた一刀がなんじゃらほい?と秋蘭の方を向いて―――え。と声を出して固まった。
「あ、あの・・・何か?」
「いや・・・うん・・・気のせい、だと思う。ごめん」
似てる。とそう呟いて一刀はうーん。と蓮華を上から下まで嘗め回す様に見る。
当然そんな事をされて嬉しく思う訳は無く、蓮華は思わず身構える。
「あ、すんません。一刀です、よろしく」
「・・・蓮華です」
「とりあえず中に入るぞ」
「五人掛けって出来ましたっけ?」
「無理なら外に出ればいいだろ」
ほれ行くぞ。と秋蘭に促され、一刀は先に店内に入る。
詠はどうしたものかと蓮華を伺ってみると、はっきりと不機嫌な顔になっていた。
「どしたんですか?」
「どうしたじゃないわよ、人の事ジロジロと見て」
「何時もの事じゃないか、何を怒る事があるうらやまゲフンゲフン」
「そういう問題じゃないでしょ!」
まぁまぁと詠がなだめていると、人数分の飲み物を持って一刀と秋蘭が出てきた。
やはり店内でこの人数はきついようで、外で座る事になったのだが―――
「あ、詠ちゃん。はいこれ」
「わ、ありがとうございます。すいませんわざわざ」
「え、詠、なんだそれは?」
「何って、ゲームのサントラですけど」
「偶々俺持ってまして、詠ちゃん聞きたいっていうんで持ってきたんです。秋蘭にでも渡しとこうかと思ったけど」
詠と喋る一刀と、それに混ざろうと努力する愛紗。
「秋蘭先輩、一刀さん失礼だと思います」
「男の子なんだ、多めに見ろ」
「それでもです!大体、初対面の人に対して失礼です」
「普段からジロジロ見られてるだろうが、何をそんなに怒る必要があるんだ?」
「普段だっていい気はしてません!」
そして秋蘭に絡む蓮華という、微妙に気まずい構図になった。
「あーもうめんどくさいな。一刀も謝ってただろ」
「謝ればいいって問題じゃないんです」
「ならどうして欲しいんだお前は。言っておくが、お前から着いてくると言ったんだぞ」
「そ、それはそうです、けど」
互いに耳打ちをしている訳でもなく、蓮華は気が立っているのか少々声量が大きく、当然近くに座って喋っている一刀の耳にも届いた。
「おい蓮華! すいません、私の友人が・・・」
「いや、こればっかりはしゃーないっす」
「まぁ、確かにさっきの目つきはいただけないですね」
「そんなやばかった?」
「ちょっと怖かったです女としては。というか、何で一刀さん愛紗先輩に敬語なんですか?ボクの時は普通に喋ってましたよね?」
「え? だって年上でしょ?」
「・・・・・・あの、失礼ですが」
愛紗が一刀の歳を確認すると、一刀は愛紗と蓮華より年上だった。誰よりも驚いたのは二人を秋蘭と同い年だと思っていた一刀で、その次に詠が驚いた。
「いや、愛紗先輩も蓮華先輩も秋蘭先輩の事先輩って呼んでるんですから・・・」
「だって秋蘭だぜ?」
「・・・凄く納得出来ました」「詠に賛同します・・・」
「お前らなんか愉快な話してるな?気のせいか私が貶められた気がするぞ」
「・・・そんなに私は老けて見えますか、一刀先輩?」
蓮華がムスッとした口調で一刀に尋ねる。
ポジティブに考えれば『大人っぽい』という褒め言葉になるが、それが嬉しいかどうかは人それぞれだろう。
「いや、そういうんじゃなくて・・・ごめんなさい・・・」
「別に、普段から言われてるから気にしませんけど」
(うっわ蓮華先輩最悪の態度・・・)
(あーあーもー)
(一刀先輩かっこいいなぁ・・・)
四者四様、普段とは違う面を見せてはいるが、それを一刀に知る術はない。
一刀の認識では詠はマイペースのしっかりもので、愛紗はハキハキした礼儀正しい、ちょっとネジの外れた子。
そして蓮華は、多分この子とは今日限りで会わなくなるだろうなぁという認識になった。
「今日はどうする、またゲーセンにでもいくか?」
「おいおい、誘ったの秋蘭だろ」
「正直蓮華と愛紗の紹介だけしかプランが無いんだ」
「ボクは構いませんけど・・・」
「わ、私も、構いません」
「私は嫌よ」
蓮華の態度に秋蘭が眉をピクッと動かし、詠と愛紗は「あ、キレる」と予測してソッと目を逸らした。
が、そう思ったのは一刀も一緒で、一刀は秋蘭との付き合いも長かった。
自分が原因で仲違いされるのは勘弁と、取っ掛かりを作るために自分から歩み寄る事にした一刀。
長い付き合いの秋蘭にアイコンタクトを送ると、開きかけた口を閉じてグラスを握ってくれた。
「んじゃ、蓮華さんどっか行きたい場所ないの?」
「何で私に聞くんですか」
「ならゲーセンでいい?」
「い・や・よ」
「だったら蓮華さんに聞くしかないじゃん」
「・・・というか、何で年下の私にさんなんてつけるんですか」
「んじゃ蓮華ちゃん。愛紗ちゃんも、いいかな?」
「 」ブンブン!
「あ、通訳しますね、喜んで。との事です」
チラリと一刀が秋蘭の顔色を確認してみると、まだ怒ってはいたがとりあえずはこっちに任せてくれるらしい。
桃香・恋と二人の癇癪持ちの手綱を握ってきた一刀の本領発揮である。
「妥協案でも探す?服屋は?」
「・・・・・・保留」
「カラオケ」
「嫌」
「ボーリング?」
「何で疑問系なんですか」
「だって蓮華ちゃんの好みわかんねーんだもん。普段って何処行ってんの?」
問いかけは蓮華ではなく秋蘭に向けられたもので、秋蘭はんー?と記憶を掘り起こすが、答える前に蓮華が口を開いた。
詠と愛紗は固唾とドリンクを飲みながらソレを見守っている。
「そんなの、その時によって色々です」
「あ、でもスカートだったら運動系無しか。ビリヤードは?俺出来ないけど」
「だったら誘わないで下さい」
「えーっと・・・ダーツ、例によって出来ないけど」
「だから、出来ないなら誘わないで下さい」
(すげぇ、一刀さん機嫌の悪い蓮華と会話してる・・・)
(なんか手馴れてるなぁ)
(馬鹿姉を思い出すなぁこの光景)
んー難しい。と言いながら一刀はコーヒーに口を付け、目玉をキョロキョロと動かしてテーブルを見る。
が、そういや買ったの飲み物だけだったなと思い出して腰を上げると、蓮華が身構えるのに思わず苦笑した。
「何か食べるモン買ってくるけど、蓮華ちゃんなんかいる?」
「結構です!」
「ん。秋蘭は?」「ラスク」
「あいよー、詠ちゃんと愛紗ちゃんは?」
「お気遣いだけで・・・」「一刀さんのセンスで」
「詠ちゃんの注文の仕方うぜぇwww」
そう言って一刀は再度店内に入るが、一度振り返って秋蘭に目配せする。
秋蘭は首を縦に動かして答えると、一刀が店内に入ったのを見送ってから口を開いた。
「さて蓮華。それに詠と愛紗も服屋で構わんな?」
「・・・なんで、私に聞くんですか」
「私は何処でも構いませんが・・・」「お任せしまーす」
「それで、どうするんだ。 行きたい場所があるならさっさと言え」
「別に、何処でもいいです」
((うわー蓮華ちゃんめんどくさーい))
「そうか。 なら蓮華、一つ賭けでもしよう」
「・・・お金なら賭けませんよ」
「要らんよそんなもん。 一刀が気を利かせてお前にも何か買ってきたら、お前は素直にさっきまでの態度を謝罪しろ」
「いいですよ。 でも、買ってこなかったらどうするんですか」
「お前の気の済む様にしろ。 ついでにレイズしよう。私は『一刀がお前の好物を買ってくる』に一月のお茶代だ。無論、お前の賭ける物はそのままでいい」
詠はストローでずずーっと、愛紗は両手でカップを持ち同じくずずーっとお茶を啜りながら事の成り行きを見守る。
「・・・秋蘭先輩が教えてないって保障がないじゃないですか」
「なんだ、意外に小心者だな。初対面の人間にあんな態度を取り続けられる人間とは思えんぞ」
「乗ってやろうじゃないですか! ホントに好物買って来たら満面の笑みでハグでもキスでもぶちかましてやりますよ!」
「いやそれはノーサンキュー」
「デカい声で何言ってんだ?」
そう言って一刀が帰ってきた。器用にトレイ無しで両手に色々抱えて、秋蘭持ってと体をずいっと近づける。
「ラスクってコレでいいの?」
「ん、ありがとうな」
「おう。 んで、詠ちゃんはコレ食っとけ」
「わ、サンドウィッチじゃないですか、すいません」
「あいあい。愛紗ちゃんはテキトーに買ってきた。はい」
「・・・一生の宝物にして、子孫に受け継がせます」
「大げさな。 ・・・ん」
そう言って一刀は自分の前には何も置かず、蓮華の前にメープル味のクッキーが入った袋を置いた。
「・・・・・・なんで、コレなんですか」
「へ? あ、ごめん嫌いだった?」
「好き・・・です、けど」
「なら良かったよっと。んで、何処行くか決めた?」
「質問に答えて下さい。なんで、コレ買って来たんですか?」
「俺が食いたかった。一枚くんない?」
その言葉に秋蘭は噴出すと、すまんすまんと一刀に謝ってラスクを齧る。
その目は笑ったそのままで、面白そうに蓮華を見ている。
「・・・すいませんでした。態度、悪かったです」
「秋蘭先輩、一刀さんに教えてたんですか?」
「何をだ?」
ゲーセンでいいと蓮華は言ったのだが、一刀がそういやカード忘れたと言って結局前に来たショッピングセンターに来た五人。
一刀は部屋に置く座布団見たいと言い出し、蓮華がお詫びにと愛紗を連れて必死に選んでいる。
愛紗は一刀と並んで選びたい様子だったが、蓮華が有無を言わさずに腕を掴んだのだ。
「メープル味のクッキー。あそこ行くと絶対に蓮華先輩買いますもんね」
「良く見てるなお前。そんなの今初めて知ったぞ私は」
「え。じゃあノープランであんな賭けしたんですか?」
「勝算のないギャンブルはしない主義でな。一刀はな、ああいう事にかけては天才なんだよ。お前のサンドウィッチだってそうだ」
「まぁ・・・確かにあの時はお腹空いてましたけど・・・なら目配せはなんだったんですか?」
「あれは『埒が開かないから決めといてくれ』って事だな」
秋蘭は詠を連れて別の小物を選んでいる。秋蘭曰く『多分一週間ぐらいしたら必要だと感じ始める』そうだ。
「一刀さん凄いですね」
「女っ誑しの才能はあるな」
「ま、秋蘭先輩もそうですもんねー」
「口を縫い付ける用の針と糸を捜すか。色ぐらいは選ばせてやろう」
「すんませんした。調子乗ってました」
「ふむ、素直で結構。しかし次はないぞ」
肝に銘じておこう。と詠はこれ以上このネタで秋蘭をからかわない事を新たに誓った。
「しゅーらーん」
「お呼びの様だ」
「あ、じゃあ私はこの辺り見てます」
んー。と返事を返して秋蘭はその場から離れ、詠はさてさて。と一刀へのお礼の品を何にするか考える。
詠に態々『必要と感じる』と言っておいて自分で選ばない辺り、きっと愛紗の態度が変わった原因に薄々感づいているんだろう。
愛紗の態度がゲーセンの時と変わらない様ならお仕置きされたかもしれないが、あの余裕から察するに大して脅威に思ってないと見える。
「という事はボクは一刀さんに借りを作っちゃった訳で・・・・・・愛紗先輩かわいそー。ライバルすっごい強敵じゃん」
寛大な様で怖く、心が狭い様で鷹揚。全く大した先輩だーと詠は思いながら、人生で初めて家族以外への異性へ送るプレゼントを選ぶ為に頭を悩ませるのだった。
「呼ばれた気がしたが?」
「呼んだー。金貸して」
「おいおい・・・」
「さっきの喫茶店で全部使っちゃったい」
「アホ。なら今日は止めておくか?」
「んー・・・あんなに真剣に選んでくれてるの見るとさ」
そう言って一刀はどれぐらい柔らかいのかを手で押して量る蓮華と、あれやこれやと別の座布団を持ち込む愛紗の姿。
「貸すのは構わんが、返せる当てはあるのか?」
「バイト決まったから大丈夫。ちょっち待っててくれれば」
「初耳だが?確かお前のトコはバイト禁止だろ」
「黙ってりゃわかんないんじゃね?」
「相変わらず能天気なヤツだ。ほれ」
そう言って秋蘭は財布から諭吉さんを取り出すと一刀に渡す。
え、多すぎだろ。と一刀は慌てて返すが、秋蘭の目つきが鋭くなったのを見て言葉を飲み込んだ。
「お前、食費はどうした?」
「・・・・・・あるよ?」
「週に何日三食食べれる計算だ?」
「・・・・・・」
やれやれ。と秋蘭は顔に手を当てて溜息を零すと、ケータイをこれ見よがしに取り出した。
「流石に、霞さん達に報告させてもらう」
「え、ちょいまち。お願い、それだけは勘弁して」
「考えが無さ過ぎる。体調を崩して倒れたとして、誰も傍にいないのは問題だ」
「頼む!これ以上やらかしたら霞ねーさんと一緒に住むって事になってんだよ!」
「良くその条件を他のお姉さん達が飲んだな?」
「だって稟お姉ちゃんは論外で、凪ねぇと桃香姉さんは俺が持たないし、恋ねーちゃんに俺の監視とか務まらないって話になってさ」
「用意に浮かぶよ、その光景」
荷造り中に荷物に埋もれる稟、転校した学校を即効でシメる桃香、アップアップになってつっけんどんな態度を取り続けて霞を出動させる凪、そして一刀を学校に行かせないで一日中イチャイチャする恋。
霞もした想像を秋蘭も正しく行えた。
「な、お願い秋蘭・・・」
「むぅ・・・・・・」
両手を合わせて上目遣い。何故自分は一刀のアパートでこの話を切り出さなかったのかと本気で凹む秋蘭だった。
秋蘭の言葉通り、一刀は『こういう』事に関しては天才的なスキルを発揮する。
(分かっていても逆らえないのが、惚れたと弱みというヤツだろうな・・・)
「な?頼む」
「分かった、分かったからもうやめろ。今回だけは大目に見よう」
「・・・マジで?」
「その代わり、仕送りが届くまではこの金でキッチリと自炊しろ。次に部屋を訪ねた時にカップ麺とコンビニ弁当の山を発見したら、今度こそ問答無用で連絡を入れる」
「秋蘭マジ愛してる」
(あ、もうダメだ。襲おう)
もう此処が何処だとか知ったことかと両手を広げて唇奪おうと秋蘭が前進したときである。
「一刀先輩、コレとコレ、どっちがいいですか?」
「んー、色的に右」
「ほら見なさい愛紗。やっぱり私の方がセンスあるんじゃない」
「何が、何がいけなかったというのか・・・」
「いや別に悪いってんじゃないけど、ピンクはちょっと・・・」
「な、なら同じ色だったらどっちでしょうか?」
「えー・・・ちょい貸して。 なー秋蘭・・・また鼻血でたの?」
「あー平気だ」
愛紗と蓮華は泣かす。秋蘭はそう決意した。
その決意を目の色から感じ取った詠はクワバラクワバラとこっそり会計を済ませてラッピングもしてもらったプレゼントを後ろ手に隠すのだった。
反省。
ホントは半分ぐらいでUPしようと思ってたんですが、蓮華ハブってる事に気付いたので無理やり追加したらこんな量になったでござるの巻。
ニュースレターの方に書きましたが、PCが崩壊して書き溜めしてた話が全部消去されました。
UP出来そうだったのがこの「びふぉーあふたー愛紗編」と「秋蘭の一刀監禁編」だったんですが、ノリ的に書きやすかったので先にこっちを記憶からサルベージしました。疲れた。
当初は詠は先に一刀と出会っておらず、愛紗が一刀と偶然出会って一目惚れ。会話を弾ませる為に詠から教授を願うという話だったんですがどうしてこうなった。
あ、真桜さん出ました。一刀に敬語なのは霞ねーさんの所為です。
多分今後日の目を見ないであろう話としては
@桂花と一刀のらぶらぶショッピング 月様監視編
A華琳様と雪蓮の一刀イメチェン大作戦
B前述の秋蘭の嫉妬炸裂で一刀拉致監禁編
C祭せんせーと桔梗さんの一刀手篭め大作戦(ばんがいのいち の続き物)
D思春と一刀の夫婦生活。いわゆる思春あふたー
E華琳様アニメの宣伝ラジオ生放送中に半同棲してる発言しちゃって同業者の流琉涙目で進行(いわゆる一つの華琳逃げて!!)
F姉's+夏侯姉妹+思春の一刀のエロ本大捜索(過去話)
理由としては、記憶からサルベージするのがえげつない行為だったからです。ヘタレですんません。
一刀姉弟のうきうき☆温泉ツアー現地編と半挿し伝に関してはそんな事いってられませんので、もう一度頑張りたいと思います。
あと、コレ書いてて辻褄合わない事が増えた気がしますが、息子のえっちぃ本を机の上に置くお母さんの様な心の広さでスルーしてくだしあ。
恐らく次のUPは「びふぉーあふたー雪蓮編」か「華琳と冥琳のwktk一刀家訪問編」になるかと思います。きっと、たぶん、めいびー。
半挿し伝に関しては未定でございます。期待してらっしゃる方、もしいらっしゃいましたらすいません。頑張ります。
もし日の目を見ない話が読みたいとお思いの方いらっしゃいましたら番号でもコメントして頂けたら作者は単純ですんでイソイソと書くかもしれません。ひろーい心で待って頂けたらの話ですがががが。
最後になりましたが、関東、東北に御住まいでこれを御覧の方がいらっしゃいましたら、一時の気晴らしにでもなってくれたら幸いです。
エールを送る事とと募金ぐらいしか私には出来ません。なさけなや。
では、ここからはお礼返信です。長らく期間あけているにも係わらず、応援米。感想米ありがとうございます。涙出そうでした。
なにか 26
FALANDIA様 う わ ぁ は ず ぃ
ご指摘ありがとうございます。いつまで経ってもアホですいません。
jackry様 刺されればいいのに(*´・ω・)(・ω・`*)ネー
Kito様 焔耶さん出ましたー。なんか寝取りフラグがビンビンな気がします。どうしてこうなった。
320i様 祭せんせーマジ女神。異論は認めない。
アラトリ様 そんな種族滅べばいいのに(*´・ω・)(・ω・`*)ネー
poyy様 笑っていただけて感無量でございます。
悠なるかな様 違和感あるよ!ほら!あの、えーっと・・・アレ!アレだよ!
zero様 とりあえず穏校長は入院ですよね。
tyoromoko様 何故だ、華琳様の扱いを上げたのに、何故最後に?が付くんだ私のSSは・・・
kurei様 なんか華琳を出す度に「後戻りできねぇなぁ・・・」と思います。無論、良い事なんですけど。
O-kawa様 日本語、ムズカシイネ
武中様 書いてて泣きたくなる。だって男の子だもん・・・でも書くよ・・・恋姫好きだもん・・・
タンデム様 そ、そんなことないんじゃないかなぁ? ほら、意外に冥琳さんお茶目だって!
sai様 多分同棲初めて4,5年経った辺りで華琳に子供できるんですよ。それで一刀も腹決めるわけです。
happy envrem様 それを月と雪蓮に嬉し恥ずかしの報告して華琳逃げて!!ですね。把握。
asf様 悪いな、この華琳電波SS書き専用なんだ。
nameneko様 和気藹々とやるのは、いくつになってもいいもんですよね。
ポセン様 この状況ですら華琳と付き合ってないと信じてるのが一刀の恐ろしい所なんですよ。
達様 ありがとうございます、また頑張れます。
ちゃあ様 いやいやそんなそんな、照れますホントに。
Ocean様 華琳様出すと安定しすぎるのが困った所。ネタ的にもオチ的にも。
よーぜふ様 ここの冥琳は愛すべき馬鹿です。
2828様 姉'sのパターンとしては、霞ねーさんブチ切れの桃香姉さんはっちゃけて凪と乱闘、恋は一刀とちゅっちゅして、稟お姉ちゃんで教室崩壊です。ね?簡単でしょ?
mighty様 華琳様の書かれていない所の幸せっぷりが、少しでも伝わったらイジメやすくなります。いや、ホントに華琳様好きですよ?
リッチー様 秋蘭は賢いですから、きっちりと交渉の材料に使いますよ。うん。
付和雷同様 華琳様は死なぬ!!何度でも蘇るさ!!
なにか 27
jackry様 喜べばいいのか悲しめばいいのか・・・とりあえず喜んでおきます、うん。
Kito様 満場一致で稟お姉ちゃんがしょっぴかれ・・・無いのが姉'sのダメなところですね。
シン様 必ず書きます。お待ちください。
320i様 否定出来ない状況下でも他の女に唾つける。さすが一刀さんやでぇ・・・
月野様 ホンの思いつきから生まれた五人姉妹。凪ねぇをもっと可愛く壊してあげられたらいう事なかったんですが・・・
ロンギヌス様 きっと同級生だったらうきっちゃん辺りが良いトス上げてたんでしょうがね。
poyy様 まぁ、段階色々飛んでますよね、ほんと。
悠なるかな様 うん、分かってます。私だって首かしげながら書いたんですよ。
zero様 あれ、俺何時の間に妄想書き込んだっけ?
sai様 凪ねぇちゃんはきっと一刀と二人の姉弟関係だったら上手くいったと思うんです。
武中様 とうとう「なにか」の看板になってしまった華琳逃げて!! どうしてこうなった・・・
happy envrem様 一刀が絡まないと結構仲良しなんですけどねー。あれ、一刀要らない子・・・?
鷲2様 もう誰か良い人いるだろjkってな具合ですよきっと。
ポセン様 解せぬ。華琳に良い目を見させたのに。
ちゃあ様 (昔のを読み直して)霞ねーさん原典とあんま変わってない気が・・・あ、あぁそうか!隠れ属性の世話焼きが目に付いたんだ!
Ocean様 現段階の隠し目標の華琳と一刀はすでに夫婦な仲に気付くとは・・・やはり天才か・・・
よーぜふ様 好きな人のためなら頑張れる。そんな霞ねーさんは、乙女です。
2828様 今回無事だよ!やったね華琳!
KU−様 日本の夜明けも近いぜよ。そうなる事を願ってます。
mighty様 毎回秋蘭コールして頂いてますので、秋蘭メインで書いてたらデータが消えた。何を(ry
付和雷同様 一番良いのを頼む(キリッ!!
リッチー様 恋ねーちゃんはコスプレする時は下着付けない派です。だからなんだといわれればそれまでなんですけど。
毎回コメントくださる皆様。誤字指摘してくださる皆様。きまぐれにコメントしてくださる皆様。読んでみてくださる皆様。
ホントにありがとうございます。感謝しております。頑張れます。
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ようやくの更新です。待ってくださってた皆様、すいませんでした。 | ||
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6がめちゃくちゃ読みたいです(七夜) くらげ先生、1と2と6が見たいです。(tomato) 更新されていたことに気づいていなかった…。今更ですが@かEが見たい。(ちきゅさん) 7で、更新お疲れ様です、最近食指が動かないので更新が全然できない・・・・・(叢 剣) 7、おもしろそうなので(as) 1番に一票入れます(マスカット) 全部がいいなw更新お疲れ様です^^(tukasa) 楽しみに読ませてもらってます。1と6と7あたりの話が気になります♪(ジンマル) 今度は、何時更新かなぁ〜?? by桃香(萌香) お久し振りですが相変わらずの安定感 次回も楽しみに待ってますよー(asf) 震災後、ネット復旧してから初めて見たSSがくらげさんの復帰作とは感無量です。これからもがんばってください! それと宮城に住む、くらげさんファンのみんなぁ〜見たいのは1・3・6だよね〜 (やくもけい) やっと一話から追いつきました! 3・5・7が見たいです! 一つだけなら5で!(りゅうじ) そんな!D、E、Fをがんばってください!!(ヒロアキ) 更新ありがとウサギ。一瞬の真桜さんがやけに印象的。因みに@‐C所望しマウス(アンタレス) 待っていた甲斐があったと思える相変わらずのクオリティです。愛紗のファーストコンタクトは確かに性別逆なら即通報物ですねw蓮華は初期は良い感じの面倒くさいキャラだったのですねw最近のTINAMIの桂花の勢い的には1は是非みたいです!あと人数の多さ的に7も!(kurei) 更新お疲れ様です〜 自分は5と6がいいです(風籟) 拉致監禁…秋蘭からされると聞いて…ふふふ…下品なんですけどぼ(ry つまりは3!答えは3!3!(武中) 4一択で!(ゲイボルグ) 更新お疲れ様です。今回も楽しませていただきました。2.6.7に激しく興味がwww(藍那聖) wwwやっぱり一刀は種馬ですねwwwそしてヤンデレ筆頭は流石・・・と。そしてやっぱりこれだけは言いたい。華琳逃げて!(水上桜花) 更新お疲れ様です。やっぱりくらげさんの作品はクオリティ高いですねww詠ちゃんと秋蘭かわいかったですw1・5・7がものすごく見たいです。(sai) 2と7見てみたいですねぇ・・・。作品更新お待ちしておりました。カオス具合といい、原作では想像もつかないキャラ設定といい、読んでいて本当に楽しいです。ふっけつーと言う秋蘭が想像できない(笑(BellCross) 更新お疲れ様です。秋蘭、詠、一刀の掛け合いが素晴らしい!今作も楽しませて頂きました。闇へと消えた5.6.7に興味が尽きない!!(ちゃあ) 更新お疲れ様です!今回の主役格は詠ちゃんでしたか・・・・次回作はやっぱEですかね、華琳さんを応援する身でこれは、と思うんですがやっぱ言いたいんですよ・・『逃げて』って(付和雷同) すべて見てみたいですねww これ全部見たら華琳を助けるんだ・・・。(死亡フラグ)(無双) 6でっ!お願いします!(シズナ) 6。そして6.それから6でw 10p、おそらく『身』に覚えがありすぎる一刀、だと思いますがいかがでしょう。(FALANDIA) 乙です!E希望です!AとBも捨てがたいですが。(dai) Eが物凄く見てみたいです! くらげ先生!! AとFも読んでみたいが、自分のトラウマを掘り起こしちゃいそうで…… 今回は詠、愛紗、蓮華との邂逅ですかw 愛紗、初っ端から危ない感じにww 一刀の言葉に一々悶える秋蘭は相変わらず可愛いな〜(Ocean) 7を読みたいです。つまり愛紗は堅物だったが男(一刀)で変わり、蓮華は落とすと言いながら落とされたと。(イリヤ・エスナ) 1,4、5、7(森羅) 好奇心お前をぶち殺す・・・名言だ。3、5、7が特に見たいっす。(景) くらげさんの更新、首を長くしてお待ちしておりました!秋蘭可愛い、はぁはぁ。BとCが読みたいです!半挿しも好きです!お待ちしてます!(よしお) 6が見たいです!(信号) お待ちしてました!蓮華が最初あんなにツンツンしてるとは思わなかったです。それにしても安心の秋蘭ですねwww 全部見たいな〜 特に6!(happy envrem) 4以外を全部読みたいです。半挿し伝も期待して待っています。(シン) 4,5,7で是非(リチャード) 1,2,6,7をぜひ。(黄昏時の文鳥) 3、6、7、そしてGドキッ☆一刀と風ちゃんのお見合い騒動(姉’s,夏候姉妹,セレブ組大暴走)編でwww(zero) ご無事で何よりそして2,4希望〜。雪蓮にもびふぉーあふたーがあるとは、最初からあんな感じだと思ってた。(絢風 悠) これは読んでてテンション上がりますね。次回も期待っす(VVV計画の被験者) キャピーーーーー(//▽//)何この秋蘭?・・・・超絶可愛いんですけど(* ̄。 ̄*) もう自分の中でくらげさん=秋蘭を書かせたら日の本一 なぐらいです♪自分はもちろん3、7です♪ くらげさん、ワカッテマスヨネ?(mighty) 5 6読みたいです・・絶対見たい・・書いてくださいお願いします・・書かなければ・・ウフフ(七夜) まさか一刀が三国◯大戦やっていたとはw一度勝負してみたいな・・・無理かw始めの愛紗は詠に厳しかったんだな( ̄ー ̄)全く想像出来なかった( ´ ▽ ` )ノ 更新楽しみにしてます頑張って下さい!!(スーシャン) 1と5と6と7で!!その中でも特に1ですかね。 今回とっても面白かったです。2828さんも言ってますが、やっぱり蓮華見てたのは雪蓮に似てたからなんでしょうか? そしてやっぱり詠可愛い!(samidare) 流石愛紗見事な落ちっぷりwww 折角なので私は6を選ぶぜ華琳超逃げて〜。(ポセン) よっしゃ!これ読んで沈んだテンションが一気にみなぎってきました!2,5,6を読んでみたかったり。(tyoromoko) 流石はお師匠 人に出来ないキャラ崩壊をやってのける そこにしびれるあこがれる〜〜! 今回も素晴らしい作品でした 日の目を見ない?お師匠の書くこんなに面白そうな話を諦めろっていうんですか!?(悠なるかな) 1と2と7でお願いします^^(かもくん) 相変わらず、ウメェ、そしておもしれぇwww 2,4,5あたりは読んでみたいかもです(ロンギヌス) 最初から読ませていただきましたw 華琳様キャラいいなぁ・・・個人的には6が読みたいです。(azu) 4、5、6、7が読みたいです。いつも楽しみに待ってます。(山県阿波守景勝) 1だとなぜか風が大変な事になりそうな…(akieco) 1と2と6で!!久々に読んで始めから読み直したけど流石と言えるクオリティですw(リョウ) 蓮華見てたのは雪蓮に似てたから?(2828) 更新ご苦労様です、一刀が謹慎になった理由ってかかれてます?(護衛) Eで。過去話いいっすねー。それにしてもなんだかんだでもう28なんですね。初期から見てますけど、もうそんなだったのか。これからも楽しみにしてます。(dorie) 待ってました。今回も面白かったです。気になるのはEです。(アリス) 久しぶりに読んで懐かしかったwここは詠が一番安心していられる立場な気がする。日の目を見ない話の希望はC以外全部です。Eが一番苦笑しそうですけどねw(KU−) お待ちしてましたー!蓮華は最初は結構ツンツンだったんですねwそしてどんなにツンでも自分のペースを崩さない一刀さんマジ女誑しwww日の目を見ない話は全部に日の目を当てて欲しいけど、とりあえず@とEでお願いします(リッチー) 更新お疲れ様です!! 今回も楽しく読ませていただきました。日の目を見ない話の@とD見てみたいですねーちなみにくらげさんの詠ちゃんと華琳がかなりおきにいりです^^(ヴィヴィオ) お待ちしておりました、相変わらずのクオリティ、相変わらずの暴走っぷり、最高ですw えっ?日の目を見ない=皆様に配信、ということでおkですね?ww 25p24行目「用意に浮かぶよ、その光景」→「容易に浮かぶよ、その光景」(よーぜふ) |
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