魏乃章 夏侯尚伝
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注意

 

 

多々暗い物を書いてる宇和ですが。

その中でも特に暗いssです。

 

はっきりいえば・・ヒーロー死んでます。

その事を了承の上どうぞ・・。

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夏侯尚

 

魏王朝の宗族であり貴種、将軍として荊州方面で活躍。

曹操後期から魏軍で重責を担う。

 

貴種故に人がよく、孟達等姦雄とも評される人物からも信頼を得ている。

だが・・その用に人のよさに脆さが潜む。

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曹魏の本拠許都は春を迎える。

中華であるため、日本の春の象徴である「桜」は無いが・・それでも多くの木々が春を祝う様に美しく馨しく。

・・そして妖しく誘うように咲いていた。

 

 

その様に春に囲まれた許都の宮殿近くにある大きな屋敷で一人女性が盆を持ちながら庭に面する廊下を歩いている。

庭には屋敷の規模にふさわしい豪華な・・それでいて屋敷の主の慎み深い品を表している光景が広がっていた。

 

とはいえ、女性の視線は美しい庭に向かずにお盆の上に置かれている数品の料理に向けられている。

煮物の野菜は大きさがバラバラ、卵料理は若干焦げている等良い見栄えとは言えない料理である。

 

 

だが・・その不恰好な外見に反して、なぜか愛おしさを感じさせる料理である。

たぶん、そう感じるのはその料理を持つ女性が持つ雰囲気のせいであろう。

 

 

女性は親族である夏侯惇を思い浮かばせる腰まで伸びる美しい黒髪、同じく親族である夏侯淵の涼やかでありながら暖かさを含む瞳を持っており実に美しい。

それに加えて、その細かな挙動からは二人にはない温室で育った貴種独特の洗練された品が伺える。

 

そしてなによりも。

その表情が蒲公英のように晴れやかに暖かく、純粋に微笑んでいるためであろう。

・・そう、純粋すぎるほどに。

 

 

女性は目的地についたようで一つの部屋の前で止まり扉を開ける。

その部屋の中には一人の男がいた、その姿を見た女性はよりいっそう笑みを増す・・。

 

そして男に声をかける。

 

「お前が好きな物を用意したぞ」

男は、女性・・屋敷の主の忠実な家臣であり、最愛の人。

 

「わたし自ら作ってみたぞ一刀」

女性の名は『夏侯尚』・・その名のとおり曹家の一族である夏侯氏の出身の名門貴族である。

 

「ま、前も言ったが・・わ、私は家の者にばかりにいたからな下手かも知れぬ・・不味かったら気を使わずいってくれ」

 

「お前なら・・不味くても美味しいと偽ってくれるだろうが」

 

「それでは甘えて料理の腕が上達せぬ・・一刀やさしすぎるのは駄目なのだぞ」

 

「私は官を辞めたからな・・時間ばかりは余ってるのだ」

 

「今まで散々人任せだったからな・・これからは一人のオナゴとして料理や洗濯、裁縫を学ばねば」

 

「お、お前の為のオナゴとして」

 

「だから・・いいたいことがあればいってくれ一刀」

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同日・・曹操執務室

 

 

「そう、尚は現場復帰に承諾しなかったの」

 

「申し訳ございません」

 

「ご苦労だったわ・・下がっていいわよ」

 

「はっ・・失礼します」

 

「ねえ・・杜襲」

使者が出て行った後、横にいる温和そうな表情をした女性に曹操は話しかける。

 

「はい」

「昔、私が尚を将軍に抜擢しようとしたら・・あなたは止めようとしたわね」

 

「はい」

「確か『尚は人を益しない友人である』そういって・・」

 

「尚様は優しすぎます・・それは相手をそして自分を壊す脆さでもあります」

「壊す・・あなたのいった通りになったわね」

 

「でっ、尚の夫は今は」

「はっ・・実家に戻しました」

 

「・・そう」

「曹操様」

なにか注意するように杜襲は曹操の名を呼ぶ。

 

「分かってるわ・・尚の夫や義父は法では裁けない、裁けば王が法を曲げる事になる」

「はい・・」

 

「でも・・なんなのよ、この感情は!!」

「・・・」

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尚の夫は曹操の親族の息子であった。

しかし、その夫婦関係は仮初の物であり夫は尚に指一本触れる事ができなかった。

尚には唯一身を許した愛する人が先にいたからだ。

 

その者は生まれも育ちも分からない身分低きものであり。

名門貴族である尚とは当時の観念から正式な夫にはなれず、尚が政略結婚で夫を迎えた時には愛人という立場になった。

 

だが、その男は身分に反して先進的な知識・発想を持ち・・。

学者・皇族の隠し子、果ては天からつかわされた者と言う噂すら流れるほど名声を得。

曹操ら魏の重臣たちにも知遇を得ていた。

 

だが・・男の名声が上がるのに比例して。

身分低き者に妻を盗られたとして、夫さらにその義父は周囲に笑われる事となる。

その事を不快に思った義父は尚が戦場に出て留守の間に人をやって男を殺させた。

 

 

数ヵ月後、戦場からなにもしらず戻った尚が目にしたのは男の墓であった。

尚は悲嘆のあまり、男の死を認めず墓から掘りおこした。

 

それから尚はずっと話しかけている。

当然、男からの返事は無い。

だが・・尚は話しかけ続けるている。

 

彼女は「壊れた」・・そう周りの人は評した。

後世の人々も彼女を哀れみながらも、尚を「壊れた」と評するであろう。

そして・・確かに尚は壊れている。

 

だが・・尚は直せない。

なぜなら尚を唯一直せる人間がもういないから。

 

彼女はこのまま壊れ続けるだろう。

尚が生命が終える・・尚が完璧に壊れる日まで。

 

でも・・。

 

「一刀・・愛してるぞ」

男に寄り添う尚は本当に幸せそうだった。

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暗い!!

とにかく・・すみません。

 

育成とかの馬鹿ssでバランスとってくれると幸いです。

でも、実は宇和こーいう系の話嫌いじゃないです。

説明
夏侯尚を恋姫風に・・ssです。

多々暗い物を書いてる宇和ですが。
その中でも特に暗いssです。

はっきりいえば・・ヒーロー死んでます。
その事を了承の上どうぞ・・。
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コメント
か・・・悲しいよぅ・・・。(無双)
一刀さんいきなり死んでるのか(aoirann)
タグ
夏候尚  ヤンデル 壊れ 

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