『偽・悲恋姫†異聞録』35
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「うちはアイツをぶち殺すっ!!」

 

 真桜の怒声をよそに、方天画戟に付いた鮮血を振り落とし、左手首を捻って鉤爪を回収する。

「よう、三馬鹿娘

 お前らの友情ごっこを黙って見てるのはそろそろ飽きたんだが

 三つ編みの命をとるのは、見逃してやる。だから黙って武器捨てな」

 ぽんぽんと真紅の方天画戟で肩を軽く叩きながら、目を眇めて真桜をみやる。

 

 デカ乳は、三つ編みよりは弱いが、あの獲物は厄介だな。

 

 重心の置き方と構えからして、戦い方は割と正統な槍使い・・・

 

 問題は、獲物が重過ぎて受けにくい上に、あの回転で・・・武器を合わせにくい所か

 

 その分、重すぎて動きは単純、初動を見逃すこともない、か

 

 眼鏡の方は、柔軟さを生かした速さと技で押して来る戦い方だろう。

 

 アタシと一番似ている戦い方だな、ただ・・・

 

 動き方が将というより女臭い・・・その分、攻撃は他の二人と比べて軽い。

 

 冷静に相手の戦闘スタイルを分析していく

 これは一影だけでなく

 華雄に徹底的に・・・それこそ立てなくなるほどぶちのめされながら、言われ続け体に刻み込まれたこと。

 

 『百戦して百勝たねばならないのなら、相手の戦い方を見抜け。

  そして、自分の戦い方に引きずり込め

  お前は我が友の・・・あの『魔王』の片腕を名乗るには、弱すぎる』

 

 立てなくなった幽に華雄は『常に』そういい続けてきた。

 『魔王の片腕』を名乗るには『弱すぎる』と。

 そう・・・華雄から一本取った日にでさえ・・・

 『その程度で、一影の名を背負えるつもりか』と。

 

「デカ乳。

 三つ編み同様、お前はアタシを舐めすぎだ

 お前一人でアタシに傷一つだってつけられると、本気で思ってるのか。

 後ろの眼鏡と二人掛りだって、そんなこたぁ無理だね・・・

 

 

 

 『魔王の片腕』舐めんなよスベタ共・・・くびり殺すぞ」

 

 

 

 幽の言葉は挑発ではなかった・・・

 

 感情のままに軽々しくそんなことを言う真桜への憎悪

 

 此方の実力を見抜けない相手への嫌悪

 

 誇りを傷つけられた怒り

 

 そして・・・『魔王』一影の名を汚す相手の態度への憤怒

 

 漏れ出す負の感情の渦の中心にいながら、幽の目は魔的な笑みを浮かべ、冷静に三人を推し量る。

説明
絶影さんの心意気に答えねば
ほんの少しでも、読まれた方が心沸き立つことがあれば
正しく僥倖というものです。
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コメント
>ねこじゃらしさん コメントに感謝を。『魔王の軍』最初の一人であり、『魔王の片腕』である幽・・・行動を自由にさせておくのは、危険と思ってもらえたなら、うれしい限り。(Night)
彼女を止めない限りは魔王の軍は崩せませんな(ねこじゃらし)
>弌式さん コメントに感謝を。そして返答に対しても重ねて感謝を。 『魔王の片腕』モードに入っているときの幽はえらく口が悪く、相手を小馬鹿にした物言いをしますが、それすらもが必死に勝ちに行く手段で、カッコイイと思えたもらえたのでしたら嬉しい限りです。(Night)
>機皇神ヒトヤ犬∞キュービックさん 簡単にいえば女性に対する悪口ですね。(Night)
>サラダさん コメントに感謝を。 単純に、幽は主にも、その周りにも、要求されているものが『努力』でも『等身大の成果』でも無く、『自身の実力よりも滅茶苦茶に高い要求を完遂すること』故に、形振り構わずなところが三羽烏の素直なところをいやらしく突いているのではないかなと(Night)
↓ ポルトガル・スペイン語で醜女のことですね。 そして幽はカッコイイw(弌式)
「スベタ」ってなに?(ギミック・パペット ヒトヤ・ドッグ)
『将の器』ですね。三羽烏は三羽いてこそであって、一羽でも欠けてしまっては十分な力は発揮できない。しかして常に『片腕』であることを求められた幽はどんな状況でも持てる力の全てを発揮し続ける。……うん、何か格好良いこと言おうとしたけど華麗に失敗した気がしますね。(R.sarada)
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