今日は四月馬鹿な訳ですが……
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それは、流星が紡ぎ出す物語。

 

 

見上げるは『王たる者達』。

 

 

『外史』

 

 

本来の歴史とは異なる、有り得た可能性の具現態。

 

 

『三国志』を母とした、巨大な阿弥陀籤の末端。

 

 

何が真。

 

 

何が偽。

 

 

決めるのは貴方次第。

 

 

そしてこれから垣間見せるのは、紡ぎ出された夢幻の一つ。

 

 

さぁ、紐解いてみよ。

 

 

これもまた『外史』の一つなり。

 

 

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―――――歪んでるんだろうね、俺は。

 

 

 

「貴方……喋れないの?」

 

彼はゆっくりと頷き、何やら板きれのようなものに書き込んでこちらに見せた。

 

『昔 喉 負傷 会話 不可能』

 

記されていたのは単語の羅列だが、その意図は充分に読み取れた。

 

 

 

―――――何度も恨んだよ。神様も、世界も、運命も。

 

 

 

『俺 音楽 君等 剣 弓』

 

「……秋蘭、どういう意味だ?」

 

「我々にとっての剣や弓が、こやつにとっての音楽、という事だろう」

 

「……そうか、それがお前の『誇れるもの』か」

 

 

 

―――――理解は出来ても、納得出来ない、したくない。そんな毎日だった。

 

 

 

「どうして、どうして弁解しないのよっ!?少しは怒って見せなさいよっ!!」

 

どれだけ怒鳴っても、コイツは口を閉じたままだった。

 

コイツを貶めようと始めた事なのに、このまま事が進めば私の思惑通りになるのに、

 

何故か私は、何一つ反意を見せず受け入れようとするコイツに、腹が立っていた。

 

 

 

―――――天才なんかじゃないさ。凡才だから、努力するしかないんだ。

 

 

 

「兄ちゃんは、父ちゃんと母ちゃんに会いたくないの?」

 

『…………母親 死去 父親 牢獄』

 

「「えっ?」」

 

数瞬の躊躇の後に書き込まれた、あまりに予想外の返答に言葉を失いながらも、次々に書き込まれていく文章を、二人は目で追っていた。

 

 

 

―――――大事なもの、全部失くすとさ……色んな事が、本当にどうでもよくなっちゃうんだよな。

 

 

 

「た、たいちょ?普段からさぼりまくっとるウチが言うんも何なんやけど、こんなんで警邏になるん?」

 

「この先は治安が良くありません。いくら我々三人がついているとはいえ、誰も引き連れずにいては不用心です」

 

「ちょっと怖いのぉ……」

 

パン、と拍手一つ。これは『肯定』という意味だ。

 

 

 

―――――だったら、俺は絶対に消えてやったりしない。誰にも忘れられてやったりしない。

 

 

 

「心の傷ってな、自分で治った思ても、そうやない事が多いんやって」

 

深く蒼い夜空を見上げながら、再び仰ぐ一杯。

 

月光の下、明らかに紅潮した肌は嫌に艶を帯びていて、

 

「…………そろそろ、教えてくれへん?昔、何があったんかを」

 

 

 

―――――自分で自分を幸せにする事も出来ない奴に、他人を幸せにする事なんて出来ると思う?

 

 

 

「どうして、笑っていられるのですか?夢を奪われて、居場所も失くして、なのにどうしておに〜さんは前に進めるのですか?」

 

「風……?」

 

それは当然の疑問だった。話に嘘が無ければ、彼は人間の大きな原動力たる希望、その悉くを失くしている事になる。

 

そして、今まで目の当たりにした事の無い友人の表情に稟は微かな畏怖を覚えならがらも、更に書き込まれていく文章から目を逸らせずにいた。

 

 

 

―――――言葉で伝えられるものには、どうしても限界がある。それを埋め合わせる為に芸術や音楽があると、俺は思うんだよ。

 

 

 

「大丈夫、君の分まで私が歌ってあげる!!」

 

「アンタの書く曲歌うとさ、何て言うか……盛り上がるのよ。アタシ達も、ふぁんの皆も」

 

「自分が楽しみたいからこその、人を楽しませる仕事、ですか……ふふっ、改めて考えると不思議ですね、この仕事って」

 

 

 

―――――『絶対に叶わない』そうだと解ってても諦められない。だから『夢』なんじゃないか。

 

 

 

彼には、優れた武は無かった。

 

彼には、秀でた智も無かった。

 

それでも、彼には誇れるものがあって、

 

それでも、彼は日々を懸命に生きていた。

 

その手に携えるのは、古びた弦楽器。

 

首筋には、痛々しく残る一文字傷。

 

振り返れば、得たものよりも失くしたばかりの道程。

 

決して、幸せとは言えなかった。

 

何もかもが嫌になって、

 

何もかもが偽物に見えて、

 

何もかもが信じられなくて、

 

それでも、彼は笑う事にした。

 

だって、

 

 

 

―――――悲しい顔してる奴に、人を笑わせる事なんて出来ないだろ?

 

 

 

壱:≪真・恋姫無双 魏√二次創作 〜沈黙の御遣い〜≫

 

 

 

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―――――俺はもう二度と、白鞘は抜かんと決めた。

 

 

 

「重いなぁ……こんなに重いのに、ご主人様はいつも背負ってたんだ」

 

「私では、貴方の支えにはなれませんか……?」

 

「なんだか、ほんとのおとーさんみたいなのだ」

 

「主が皆の拠り所ならば、主の拠り所は何処にあるのですか?」

 

 

 

―――――優姫。俺の、たった一人の家族だ。

 

 

 

「はわわ、あ、頭撫でないでくださいぃ……」

 

「優姫ちゃん、ひ、雛里お姉ちゃん、ですよ?」

 

「母親は……優姫ちゃんのお母さんは今、何処に?」

 

「償わせてよ……これは、僕が招いた結果なんだから」

 

 

 

―――――どんなに高尚な言葉を振り翳そうと、人殺しは人殺しだ。

 

 

 

「ご主人様、強い。なのに、どうして弱いって言うの?」

 

「お前が、打ち砕いてくれたのですよ……ねねの誇りを」

 

「こんな私を、お前は必要としてくれるのか……?」

 

 

 

―――――俺に、幸せになる資格は、ない。

 

 

 

「非常に認めたくありませんけど、絶対に認めたくありませんけど…………私の負けですわ」

 

「アニキだったら、話しちまってもいいかな。姫が認めた、アニキなら」

 

「嬉しいんです。こうやって、誰かと一緒にお料理するの……ずっと、夢でしたから」

 

 

 

―――――有難う……お前の御蔭で、俺は人斬りを苦しめる。

 

 

 

「何て言ったらいいのか解んないけどさ……ご主人様はさ、もっと誰かを頼るべきだと思うんだよ」

 

「そりゃあ、ご主人様からすれば子供かもしれないけどさ、蒲公英だって本気なんだよ?」

 

「御館!!私を、私を思い切り叩きのめしてくれ!!」

 

「あの広い背中が、時々酷く小さく見えるのよ。……男って、どうしてこうなのかしらね?」

 

「御館様が初めてですぞ?こんな老体を、女子扱いするのは……」

 

 

 

―――――……あぁ、そうか。

 

 

 

「ぱぱ?父様の事を、天ではそう呼ぶのかにゃ?」

 

「ととしゃま〜」「ちち〜」「とう様〜」

 

「まかせて、ごしゅじんさま!!りりがゆきちゃんの、おねえちゃんになってあげる!!」

 

 

 

―――――……そういう、事か。

 

 

 

彼が嘗て、犯した罪。

 

彼が嘗て、受けた傷。

 

嘗ての生き様背中に刻み、

 

嘗ての誇り白鞘に封じ、

 

それでも尚、彼はそれを手放さなかった。

 

どれほど無様だとしても、

 

彼は決して背を向けない。

 

どれほど辛苦だとしても、

 

彼は決して諦めない。

 

守るべき者の為。

 

守るべき場所の為。

 

それは、

 

 

 

―――――……俺は、幸せになりたいのか。

 

 

 

弐:≪真・恋姫無双 蜀√二次創作 〜白鞘の御遣い〜≫

 

 

 

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白昼の空に一筋の流星。

 

私は追い掛けました。

 

『天の御遣い』の噂を信じて。

 

そして森の中、そこにいた一人の男性は、

 

 

 

川の真ん中に、頭から垂直に突き刺さっていました。

 

 

 

『いいぜ、気に入った。今日から君が、俺の飼い主だ』

 

『姓は犬養、そう呼んでくれ。名前はまだ教えない。君等で言う、真名みたいなもんだからさ』

 

『おぅふ!!もっと、もっと蹴って!!』

 

『変態じゃない、ド変態だ!!』

 

『死ねって言えば、喜んで死ぬよ?それが犬ってもんだからね』

 

 

 

とまぁ、普段からこんな物凄い言動で、誤解されやすい人ではあるんですけど―――――

 

 

 

『……あのさぁ、飼い犬が主以外の人間に尻尾振るとでも思う?』

 

『俺を跪かせたいならさぁ、俺に認めさせてみなよ。あの子以上に俺を満足させられるってさぁ』

 

『俺は被虐なんてぶっ壊れた趣向してるからさまだましだけどさぁ……人の器って、自分で思ってるよりずっと小せぇぞ?』

 

『飼い犬が動く理由なんて、一つだけだろ?……主の為だよ』

 

『……絶対的な正義が、この世にあるとでも思ってる?』

 

『あのさぁ『自分がしくじったらこの軍は終わる』とか調子乗っちゃってない?』

 

『話せば解り合える、ねぇ……だったらさ、今ここで、俺を納得させてみなよ』

 

 

 

こんな風に、結構人が変わってしまうような時がありまして、何処か不思議な人なんです。

 

 

 

今はまだこれくらいしか見せられませんけど、いつかこの人の事、皆さんにもっと話せたらって思います。

 

 

 

なので、もうちょっとだけ、待っててくれませんか?お願いします。

 

 

 

という事で、

 

 

 

参:≪真・恋姫無双 董√二次創作 〜被虐の御遣い(仮)〜≫

 

 

 

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『はい、今日は何の日でしょう?』なんてオチではありません。

 

 

 

正式な告知です。いい機会なので使わせてもらいました。

 

 

 

『盲目』は例のあのシーンで一段落させ、第二部的な部分を製作しつつこのどれかを投稿する事を本決定としました。

 

 

 

で、出来ればお教えして戴けませんかね?

 

 

 

どれ、読みたいです?

 

 

 

 

説明
取りあえず、読んでみてください。
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7896 6621 18
コメント
沈黙(紫炎)
白鞘で(^^)(幸宗)
「白鞘」をお願いします。(etyu)
どうやら『沈黙』が多いようですね。流石魏√、大人気だww 次点『被虐(仮)』、最後に『白鞘』ってところでしょうか?いずれ各話の第1話を投稿し、その際に支援数などで決めようかと思っております。まぁ、楽しみにしていただけたらなぁ、と。(峠崎丈二)
沈黙の御遣いでお願いします。(無双)
壱:≪真・恋姫無双 魏√二次創作 〜沈黙の御遣い〜≫が見たいです(きの)
挙げられた3作品どれも面白そうで・・・悩みましたが〜白鞘の御遣い〜を  ジョージさんの書かれる切り口での蜀√が見てみたいのが理由でw(村主7)
紫苑、桔梗との絡みがどうしても見たいので『白鞘の御遣い』を。(ペンギン)
沈黙は「虚々」という似たSSがあるので被ります、被虐でお願いします、皆が言いたいことを言ってくれそうだ(ギミック・パペット ヒトヤ・ドッグ)
壱:『真・恋姫無双 魏√二次創作 〜沈黙の御遣い〜』を超希望します。  その次があるなら 参:『真・恋姫無双 董√二次創作 〜被虐の御遣い (仮) 〜』 弐:『真・恋姫無双 蜀√二次創作 〜白鞘の御遣い〜』 の順でお願いします。(劉邦柾棟)
被虐で!(甘露)
沈黙と被虐のどちらにも0.5票で!(紗詞)
沈黙の御遣い希望!!!(akatuki)
沈黙の御遣いで御願します(VVV計画の被験者)
本音は全部読みたい・・・えっと〜沈黙の御使い〜でお願いします。(azu)
〜沈黙の御遣い〜が読みたいです(虚無僧)
真・恋姫無双 魏√二次創作 〜沈黙の御遣い〜でお願いします。張三姉妹とのやりとりが楽しみです。(シグシグ)
〜沈黙の御遣い〜をぜひお願いします(黒い稲妻)
〜被虐の御遣い〜でお願いします!!!(森羅)
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