ダイブドライブin恋姫 |
小さい頃の話だが、玩具の無線が高感度のトランシーバーのように一瞬だけ化けるときがあった。
偶発的に電波の波長が合ったり、大きな電波に引きずり込まれる形で、音を傍受してしまっただけなのだが、そんなことを知らないあの頃は「お化け無線」だと、音夢とさくらと三人で青い顔をしたものだ。
たいていいつもは起こりえないことだから、オカルトに結びつきがちだが、蓋を開けてみればそんな他愛も無い理由だったという事柄は、コレは実は結構ある話。
何も無線だけに関したことではない。
霊現象だとか、空を浮遊している円盤だとか。
人の夢を見せられる魔法だとか。
ときどき、夢の中に強く入り込んでしまうことがある。
いや強く入り込む、というよりまんま『介入』してしまう。
魔法の桜木の性質上ありえないことだとは自分でも承知しているが、不慮のバグなんてものはどんな物事にも付き纏う。
意識だけではなく、身体ごと引っ張られてしまう形で、夢の世界へおちていくのだ。
たぶん多くの人が似たような夢を見たり、一個人でも強く願ったりすると、あの忌まわしき植物もどきの魔法物質が反応するような仕掛けなのだと納得している。
その大きな力を相殺するために、内部からも強大な力が働き、そこに居合わせただけの無力な出来損ないの魔法使いが余波を受けるわけだ。
という一連の流れを誰に来たわけでもないので、違う可能性だって捨てきれない。
原因はわからないが、結果だけを知っている。そんな状態。
なにも今に始まったことではない……が。
「勘弁してくれよ」
頭を抱えて座り込みたくなる。
だだっ広いだけが取り得ですと、いわんばかりに広がる砂の大地。
雲を刺すような山々が遠望できるその場所で、目を覚ました。
状況把握、約5秒。
現実目を覚ましてはいないが覚醒しているという、見方からすればとてもかったるい現象に巻き込まれていることを理解。
したは、いいけど。
「これはやりすぎだろ」
夢の中になんて、魅力的ある響きに聞こえるのは無責任な第三者だけだ。
支離滅裂な夢を見させられ、あまつさえその中に放り込まれることもあるなんて、かったるくてやってられない。
例えば狂った童話の中で、脚本に無い役を与えられたり。
例えばファンタジーの世界で、超展開渦巻くシナリオをエンディングまで見届けなければならなかったり。
例えば、主要人物が性転換した伝奇モノの中に落ちてしまったり。
「えっと、大丈夫、かな?」
「もうちょっと待って。あと8秒」
奇異なものを見つめる瞳は、真っ直ぐな興味と胡散臭さを湛えていた。
俺もそんな瞳を君たちに返したい。
桃色、黒、赤。信号機にならないファンタジックな髪の色をした彼女たちの名前は、左から劉備、関羽、張飛というらしい。
その段階で寝直したい衝動に駆られた。
なんか聞き覚えがある。ものすごく聞き覚えがある。
桃の樹の下で杯を交わしていそうな名前だ。
だがおかしいかな、俺の知っている人物はなかなかに硬派で逞しい男性なはずで、そんなヒラヒラした服でも、ましてや同い年くらいの女の子でもなかったはずだ。
三国志の英雄を美少女するなんて、久しぶりにカッ飛んだ設定だ。
誰だよこんな夢を見たやつは。アイアンクローは決定だな。
心の底で現実不可能な誓いを立てた。
「……よし」
まぁ、いつまでも逃避していても始まらない。
少なくとも意識がこちらにある間は、どうあがこうと向こう側に帰れないのだ。
経験から基づく結論は、いつだって無情な現実を突きつける。ここが現実であるかなんて議論は脇に置いといて。
引っ張られたということは、何らかの決着を見せられるということなのだろうし。
顔を上げると、髪の色同様に蒼だの琥珀だのと、時代的にも人種的にもありえない色をした瞳とぶつかった。
初っ端から主要人物に邂逅するなんて見え透いたお膳立てまでされているんだ。
いい加減吹っ切れよう。
「あー。とりあえず、この世界について教えてくれない?」
……せめて金属バットぐらい支給して欲しいものだな。
説明 | ||
要約→サイトで暴虐の限りを振るうアイツが恋姫の世界へ落ちた! ……ん? デジャブ? 流れ星が落ちてポーカーやらされることもあるわけだし、色々なバグがあると思うんだ。初音島の桜の樹は。 ばあちゃんもとんだ不良品を植えたもんだ(by出来損ないの魔法使い) エイプリルフールだし続かないよ? ……ん? これもデジャブ? そろそろこのネタで恋姫のタグつけるのが申し訳なくなってきた |
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