真・恋姫?無双 三国獣耳騒動顛末記 蜀編4
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「一刀、どこに行ったの!?出てらっしゃい!」

 

 城の一角を華琳は愛用の大鎌を手に、姿を消した一刀を探していた。

 

「…どこに隠れたのかしら、まったく…。まぁいいわ…今夜にでも…」

 

 閨でね…、と華琳は猛獣も尻尾を巻いて逃げそうな恐ろしい笑みを浮かべ、その場を離れていった。

 その近く。

 

「やっと、行ったか…?」

 

 草葉の陰に隠れている一刀の姿があった。

 

「華琳の奴…いつも通りってちょっとホントのこと思っただけなのに、さすがと言うべきか、なんてカンの良い。危うく死ぬところだった…」

 

 少し前、一刀は獣耳を生やした面々の様子を見に行っていた。

 桔梗、詠の順で部屋を回り、次に桃香の部屋にいる犬になった愛紗の様子を見に行った。

 しかし、訪れた桃香の部屋で一刀は愛紗に手を出そうとしていた華琳を発見してしまい、結局、桃香が目を覚ましたことで華琳は愛紗に手を出し損ねてしまった。

 愛紗は相当怖かったのか、終始桃香にべったりになってしまい華琳も桃香にやりすぎた、と申し訳なさそうに反省の弁を述べた。

 しかし、一刀は華琳の行動を毎度のことじゃ…?と心の中で思った。その時、華琳は何か感づいたのか一刀に何を考えたのか問い詰め、一刀は自分の身の危機を感じ逃走、結果この事態になった。

 

「とりあえず…休憩、しよう…。…疲れた…」

 

 一刀はとりあえず息を落ち着かせようとその場に腰を下ろすとそのまま寝転ぶ。

 

「みんなどうしてるかな〜…ってそう言えば星はどうなったんだろう?」

 

 愛紗達と同じく猫化してしまった星も本来は誰かに見てもらうはずだった。

 しかし自由気ままな星のことらしく、じっとしているのが嫌だったのかすぐに逃げてしまったのだ。

 一時は翆と音々音が追い掛けていたが翆曰く凪、沙和、真桜の三人の手を借りたということらしい。きっと今頃警備隊を使って星を追い掛けていることだろう。

 一刀は少し考えて、

 

「…とりあえず休もう」

 

 あの三人ならとりあえず大丈夫だろうと思い、一刀は目をつむった。

 日当たりも良好で風も気持ち良い、一刀はゆっくり夢の中に入っていった。

 と、その時。

 

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「うにゃーーーん♪」

「ぶッ!!!!?」

 

 突然、一刀の顔に痛みが走った。

 

「顔がーーーーーッ!!!!!!?」

 

 急なことに一刀は夢から引きずり出される。

 一刀は真っ赤になった顔を押さえ、肩膝をつきながら体を起こした。

 

「い、いきなりなんだ!?」

 

 一刀は目線を前にあげると、見知った後姿があった。

 

「…ってあの後ろ姿、まさか星!?」

 

 確かに目線の先には青い髪の女性、星の姿が見えた。

 一刀は急いでその後を追おうと体を起こす、が。

 

「あんなに急いで…な「星様ー!!待ってええ―――!?」ぐえ!!!?」

 ゴッ!!

 

 さらに誰かが一刀の背後から飛び込んできた。

 勢い余ってか、飛び込んできた誰かは一刀を押し倒してしまう。

 

「っつ〜…ん?何か下に…」

 

 その誰かが、ゆっくりと体を起こした。

 多少の自由を得た一刀は押し倒された体をもぞもぞと動かしうつ伏せになった体を横に向けた。

 

「…な、凪?」

「…へ?」

 

 一刀の目の前には、一刀の警備隊の部下である凪がいた。

 

「たったった隊長!!?っどどどっどどうしてここに!!!?///」

「いや、ちょっと休憩してたら星に顔踏まれて…そして今度は凪が飛び込んできた」

「ッ!?///も、申し訳ありません!…ってきゃあッ!?」

 

 凪は一刀から離れようとしたが再び倒れこんでしまった。

 

「って隊長…?」

「なに?」

 

 凪は一刀の胸の中から上目遣いで一刀の顔を覗き込む。

 一刀は良い笑顔で答える。

 

「その…手を離していただけないでしょうか…///」

 

 そう、一刀は凪の腰に手をまわして凪を抱きしめていた。

 ぎゅっと力を入れて抱きしめているせいか、凪は動こうにも動けない。

 

 

「イヤ」

 

 一刀はとてもいい笑顔で首を振った。

 

 

 

「た、隊長!?今はそんなことよりも星様を追いかけないと…!ってきゃん!///」

「だってこうしないともったいないかな〜って。せっかく凪が自分から飛び込んで来てくれたんだし♪」

 

 一刀はそう言うと凪の体を抱きしめながら体を動かす。

 

「ちょっ…!?隊長!いい加減に…!ってどこに顔を当てているんですか!///」

 

一刀は顔を凪の胸の中に埋めるようにしていた。

 

「あ〜癒される〜…。さっきまで生死の境にいたからなぁ…」

「もう…隊長…///」

 

 とうとう凪も一刀に押されてそっと一刀の頭に手を…

 

「おーい。なーぎー?何してん…」

「凪ちゃ〜…ん」

 

 と、そんな時、凪の同僚、真桜と沙和の二人が。

 

「…」

「…」

「…」

「…」

「凪…」

「…な、なんだ、真桜」

「昼間っから隊長襲って…凪も大胆になって〜///」

「ほんと〜凪ちゃんったら〜///」

 

 二人がニヤニヤと、とても良い笑顔で二人を眺める。

 

「違うぞ!むしろ私が襲われてるんだ!(ギュッ)ひゃわ!?…って隊長!真桜達がいる前で…いい加減に…!///」

「え〜。いいじゃん〜もう少し…って凪?その振りあげた手は何!?や、ヤメ…」

 

 結果。

 

 一刀の後頭部は少し、地面にめり込むことになった。

 

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「隊長!いいですか、今は星様を追い掛けると言う任務の最中です!真面目にしていただかないとですね…!」

「はい…すみませんでした」

 

 結局、一刀は鼻の頭を真っ赤にして凪の説教をうけることになった。

 最後は完全に折れていたが。

 と、説教をする凪に、

 

「まーまー凪。隊長も反省しとることやしもうええちゃう?それに…凪もまんざらでもなかったんやろ〜?」

 

 真桜がニヤニヤと笑いながら凪の肩を抱いて話しかけてきた。

 

「なッ!そんなことは…!」

「なぁいってことないやろ〜?凪のことやったらイヤならすぐに振りほどくなりしとるやろ?なぁ〜どうやったんか?おねーさんに話してみ〜?」

「う…///」

 

 先ほど一刀を思いっきり殴ったが単に恥ずかしかったからだろう。

 それを示すように凪は耳まで真っ赤にしてしまっている。

 真桜は凪のそんな反応を見て笑顔で、

 

「まぁそれは置いといて」

「置いとくのか!?」

 

 話を進めることにした。

 

「さっさと星様追うで。今のあん人、何やらかすかわからんからな〜」

「真桜、何かあったのか?」

 

 一刀は立ちあがると真桜に問いかけた。

 真桜は若干苦笑いを浮かべ、

 

「それが…」

「うん」

「…街にあるメンマあつかっとる店を襲撃した」

「…へ?」

 

 一刀は思わずポカンと口を開けた。

 

「…本当?」

 

 聞き返した一刀に凪は答える。

 

「私達も最初はまさかとは思いましたが事実です。…しかも私達が先回りしても見事に襲ってはメンマを持ち去って行くんです」

「ホント〜。最初はビックリしたの〜」

「まぁ幸い姿ははっきりと見られとらんみたいやで。…どうもすばしっこくて店のモンには見えんかったみたいや」

「…店主たちは「嵐が来た…」とか「た、祟りが起きたんだぁ!」って言って顔面蒼白になってましたが…」

「街の人たちも突然の突風みたいに思ってるみたい〜」

 

 一刀は三人の話を聞いて頭を抱えた。

 

「まさかこんなことになるなんて…」

「まー気持ちはわからんでもないで」

「元気だすの〜」

「隊長!こうしているうちに被害が広がるかもしれません!急いで追いましょう!」

「ああ。行こう!」

 

 こうして一刀は三人と合流し星を追った。

 が。

 

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「た、大変だぁーーー!華琳様の酒蔵が何者かに荒らされたーーー!!」

「お、おい!あそこで酒瓶咥えてるの趙雲将軍じゃないか!?」

「ほ、ホントだ―!!?」

「…隊長」

「…………あれ…華琳が開けるなって言ってた酒蔵だ…」

「「「…えッ」」」

 

「ちょっと!これはどういうことなの!なんで書簡がこんなに散乱してるのよ!」

「荀ケさま!?も、申し訳ありません!突然風が吹いたと思ったら…」

「ああもう…!早く片付けなさい!」

「「ハ、ハイ!」」

「さっき、星あの中に入って行ったね」

「入りましたね。窓から逃げたようですが」

「…」

「…はぁ」

 

 と、星は捕まらずそれどころか、

 

 

「だ、だれじゃー!!儂と策殿秘蔵の酒を割ったやつはぁーーーーー!!!!」

「干しておいた私の替えのふんどしがーーーー!!!?」

「ああああーーーーー!?お猫様のために用意しておいた干し魚がーーーー!!!!?」

「あああーーー!おやつのゴマ団子がーーーー!!!?」

「誰だーーー!?僕の肉まんを食べたのはーーー!?」

「あああーーーーー!等身大着せ替え華琳様人形がーーーー!!!?」

「あああーーー!?わ、わらわのはちみつがぁーーーー!?」

「あわわーーーー!?私と朱里ちゃんのとっておきの秘蔵本がビリビリにーーー!?」

 

「…なぁ凪」

「…はい?」

「星のせい…だよな」

「…」

「ちょ!何で黙るの!?」

「思っていません。結果的に隊長が桂花様や華琳様に春蘭様、祭様、明命、亜沙達にお仕置きをされるなんて思っていません!」

「絶対思ってるでしょーーー!?」

 

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「で…だ」

 

 一刀は凪達三人の前に立った。

 

「……………どうしよう?」

 

 泣きそうな顔で。

 

「そんな泣かれても…」

「と、とりあえず落ち着くの〜」

「た、隊長…」

 

 結局。

 星を捕まえることができず、被害は各国の屋敷内にまで及ぶことになった。

 行く先々で星の姿を発見したもののすぐに逃走、また発見すれば時すでに遅し、といったいたちごっこの繰り返しとなってしまった。

 しかも大部分の人間に星の仕業と知られてしまったため(武将の面々は犯人が分かったようである)一刀達に文句が来るのも時間の問題になってしまった。

 

「このままじゃ俺、華琳達に殺されかねない…いや、春蘭は殺しに来る!絶対!なぁどうしよう!?」

「そんな泣かんといてなぁ!そんな泣かれると…(変な気分になる///)」

「そーなの!そんな泣かれると…(もっといじめたくなるの〜///)」

「そうですよ!泣かないでください!…(隊長の泣き顔、可愛い…///)」

「…なに?三人共…顔が赤いよ?」

「いやいや!なんもあらへんよ!なぁ!?」

「そ、そうなの〜!」

「な、なんでもありません!それはともかく、真桜!何か良い策はないか!?」

「い、いきなりウチに振るんかい!?」

 

 一刀の泣き顔に邪な物を感じる三人だった。

 

 

 

 凪に突然話を振られた真桜はとりあえず何かないか、考えだした。

 

「良い策ねぇ…あ!そうやそうや!いーこと思いついた!」

「真桜ちゃん、何か良いこと思いついたの!?」

「あの人、猫になってもメンマに目がなかったやろ?だったらそれを餌におびき寄せるんや!ついでに酒もつけて…」

 

 真桜の考えに一刀達は顔を明るくした。

 

「な、なるほど!単純だけど良いかも…!」

 

 その一方、一人うんうんと頷いている一刀から離れて真桜は凪と沙和を呼んだ。

 

「…凪、沙和。耳」

「な―に?真桜ちゃん?」

「…なんだ?」

 

 真桜は一刀に気付かれないように二人の耳もとでごにょごにょと小声で話す。

 

「それは良い考えだと思うの〜!」

「い、いいのか!?そんなことして…」

「ええも悪いもこれが一番やって!絶対引っ掛かる!」

「どうしたんだ3人とも?」

 

 自分から離れて話を進めていたことに気付いた一刀は3人に声をかけた。

 凪は困ったような顔をし、真桜、沙和はニヤニヤしながら一刀の方を振り向く。

 

「どうしたんだ、3人共…?」

「た、隊長…!申し訳ありません!」

「隊長!覚悟ッなの〜!」

「隊長!おとなしくしいや!」

「てッ、えええぇぇえええ〜〜〜〜!!!!?」

 

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「お前ら!俺をどうしたいんだ!?」

「どうも何もなぁ〜♪」

「ねぇ〜♪」

「うぅ…申し訳ありません、隊長…」

「凪まで…!」

 

 なにがどうなっているのか。

 一刀は3人に取り押さえられ縄で動けないように縛られている。どうやらこれに沙和が持ってきたメンマと酒を置き星を捕まえようとの考えらしい。

 

「ちなみに酒には華佗せんせー特製の眠り薬入りや!」

「これで捕まえられるの〜!」

「隊長、ホント申し訳ありません!」

「そう思うならほどいてくれてもいいんじゃない!?」

 

 結局、一刀は仕方なくこの策に協力することにした。

 凪達は近くの茂みに隠れ星が姿を表わすのを待った。

 それからしばらくして星は姿を現した。

 

(来たで…!)

(打ち合わせ通りに)

(おー!)

 

 姿を見せた星はまわりの様子を窺うようにゆっくりと近づいてきた。

 

「うにゃ〜♪」

「よ、よう。星」

 

 一刀の姿を見て星は足早に一刀にすり寄って来た。

 頭に耳の生えているせいか、帽子を片方の耳に引っ掛かるようにしてかぶっている星が一刀の顔を鼻でクンクンと匂いを嗅いでくる。

 

「ふにぁ〜ん」

「ははは…」

 

 そんな仕草を見せる星に一刀は苦笑いを浮かべた。

 と、星は側に置いてあるメンマと酒の入ったさらに気付く。

 星は先ず、メンマに目を移すとさっそく顔を近づけ食べ始める。

 

「…本当にメンマを食べるんだ」

 

 猫なのになぁ、と一刀は心の中で思う。

 そして星はメンマをぺろりと食べ終えるとその横に置いてある酒に目を移した。

 

「…」

 

 一刀はじっと星の姿を見つめる。

 星は酒のにおいを嗅ぐと一口舐めた。

 

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(やったか!?)

 

 と思った瞬間、星は舐めるのを止めると一刀の方をじぃっと見てくる。

 その目にはいつもの意地悪そうな、何もかも見通したような笑顔が浮かんでいる。

 一刀その表情にはっとした。

 

「しまった!気付かれた!」

 

 その声に凪、沙和、真桜の3人がいっせいに飛び出してくる。

 

「くっ!さすが星様!」

「てか何で猫になってて気付くねん!?」

「真桜ちゃん!いいから取り押さえるの!」

 

 3人はじっとしている星に飛びかかる、が。

 

「なッ!?」

「何やて!?」

「き、消えちゃった!?」

 

 星は一瞬にして消えてしまった。

 その姿はどこにもなかった。

 そればかりか、

 

「へ…」

「な…」

「きゃ…」

「え?」

 

「「「きゃああああああああああああーーーーーーーーー!!!!!!!!///////」」」

 

 3人の服がズタズタのボロボロになっていた。

 3人ともズボンは用のないものになり果て、沙和に真桜は元々大胆な胸元だったのがさらに大胆になり凪は胸当てがゴトッと鈍い音をたてて落ち、胸が見えそうになっている。

 3人は必死に露わになった胸や太ももを隠そうとする。

 

「た、隊長!見ないでください!////」

「こ、こっち向くなぁ!反対向かんかい!///」

「きゃーーー!!!さ、沙和のお気に入りがーーーー!!!///」

「わ、悪い!///」

 

 と一刀が凪達の方とは反対を向いた時だった。

 一刀の体が突然動いた。

 

「へ?っていたたたたた!!!?」

 

 星が一刀の首元を咥えて連れ去ろうとしていた。

 四つん這いの星が運ぶせいか、一刀は思いっきり引きずられてしまっている。

 凪達もそれに気付くが、

 

「ああー!隊長がー!!?」

「って星様!いつのまに!?待ってください!」

「って凪!?前!見える、見えるから!」

「へっ…?ってきゃあああああーーーー!!!!///」

 

 と、ずたぼろの服の下から見える体をを隠すのに精いっぱいで星を追うことは出来なかった。

 

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「星!ストップ!止まれ!止まってください!」

「うにゃ?」

 

 そのままずるずる引きずられ城の隅の茂みのあたりでようやく星は止まった。

 一刀の服は引きずられてあちこちボロボロになっている。

 

「いてて…待ったく、服に穴があいてら…」

 

 引きずられたせいか、穴まで開いていた。良く見ると右手にも血が付いていた。

 ちなみに縄は引きずられて千切れてしまっていた。

 

「うにゃ…」

 

 一刀が怪我をしていることに気付いたのか、星はその手を優しく舐める。

 そんな仕草に一刀はやれやれといった感じで星の頭を左手で撫でた。

 

「一応星のせいなんだからな…まったく」

「にゃ〜ん♪」

 

 星は気持ちよさそうに声をあげた。一刀は普段見ない姿をおかしく思う。

 と、星は感極まったのか、

 

「うにゃ!」

「ってうわ!?」

 

 一刀を押し倒すように飛びかかって来た。

 

「うにゃ〜♪」

「って星!やめろ、舐めるな!く、くすぐったいから!」

 

 と、星はじゃれつき、一刀の顔を舐めまわしだした。

 一刀は仕方ない、と観念したのか反抗せずに星の遊びに付き合うことにした。

 

 が、しかし。

 

「…」

「…?星、どうした?」

 

 突然星が動きを止めた。

 その様子を怪しんだ一刀は星の顔を覗き込む。

 

「う…」

「う?」

「う、うにゃぁ…///」

「…へ?」

 

 星の顔は明らかに真っ赤だった。息も荒い。

 数々の体験をしてきた一刀は何か感づいた。

 それも何かヤバい方向で。

 

「もしかして…」

 

 息を荒くした星がジリジリと迫ってくる。

 

「興奮…してるのか…?」

「うにゃぁ…///」

 

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 あたりなのか、星は太ももをもじもじとしている。

 

「まさかさっきの酒…真桜の奴なんかヤバい物を!?」

 

 と、実はその通りだったりするのだが確認する間もなく、

 

 ドサッ!

 

 星は一刀の肩を掴んで動きを封じにきた。

 

「これはヤバい…!星、落ち着けって!」

「うにゃ…?///」

 

 と言っても星は行動を止めない。一刀の首筋に舌をつけ一舐めしてきた。

 ゾクッとした感触に一刀は声をあげそうになるもなんとか抑えた。

 星は爪を立て一刀の服を縦に引き裂いた。

 下のシャツまで引き裂かれ一刀の上半身が露わになる。

 星は一刀の胸板に舌を下ろす。

 

「星…!やめろ…!こんなところ華琳に見られたら…!」

「…ペロペロ…」

 

 星はやめる気はなく、そのまま舌を這わせてきた。

 が、その時だった。

 

 ドスッ!!!!!

 

「どわぁあああ!!!!!?」

「うにゃ!?」

 

 鈍く光る何かが一刀と星のすぐそばに振ってきた。

 

「こ、これ…」

「にゃあ?」

 

「華琳の…絶…」

 

 そう。

 茂みの向こうから絶望がやって来た。

 

 

 

「あら?お楽しみのところごめんなさい」

 

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「げぇ!曹操!?」

「げぇ!曹操!?じゃないわよ!!!何をこんな真昼間にやってるのかしら…しかも?私達が?騒動の鎮静化に?忙しく動いている時に?…この種馬は!!!!!」

 

 華琳は茂みの向こうから現れると突き刺さった絶を引き抜き、また一刀に向ける。

 と、さらに。

 

「ご、ご主人様…」

「星はずるいのだ!お兄ちゃんと遊んでるなんて!」

「最低…」

「さすがはお館様だな。昼間からお盛んなことで」

「こ、このエロエロ魔神!」

「恋殿がこんな事態に…!一回死んでくるです!」

「隊長…」

「あー…」

「ホントさいってーなの…」

 

 桃香、鈴々、詠、桔梗、翆、音々音、凪、真桜、沙和達の姿があった。

 なお、凪、真桜、沙和は服の上から大きな布をかぶっていた。

 桔梗を除いた面々は酷く冷たい目で一刀に視線を向ける。

 

「いや、襲ってないからね!襲われてるの俺ですからね!?てか真桜!お前あの酒になに仕込んだ!?」

「いや、何も仕込んどらへんよ?」

「嘘つけ!(トントン)星!今は忙しいからまた後で(ガブッ×3)いったぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!?」

「あら?いい忘れてたけど」

 

 華琳が一言、一刀に告げた。

 

「愛紗も焔耶も蒲公英も月、恋みんな来ているわよ♪」

「がるるるるるる!!!!」

「ううううぅぅぅ!!!!」

「ふしゃーーーーー!!!!」

「「…じーーーーーーーーーーーーーーーーッ」」

「な、なんてことをッ!!!って痛い!!愛紗痛いからああああああ!!!」

 

 星と一緒にいたことを見られてか、3人はひどくご立腹の様子だった。

 と、愛紗と焔耶、蒲公英に襲われる一刀を見て桔梗は。

 

「よし、星は抑えたぞ。ではお館様、もう一刻ほど立ちましたらまた来ますぞ」

 

 と言って集まった面々は冷たい視線と共にぞろぞろと帰って行った。ちなみに月と恋は連れられて行った。

 

「え…?ちょ…ちょっと!この三人も連れてって…って痛――――――!!!!?」

「がるるるるるる!!!!!」

「わうううううう!!!!!!」

「ふしゃーーーーーーー!!!!!」

 

 

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 一刻後、様子を見に来た桔梗が目にしたのは。

 

「…」

 

 「助けて」と地面に書いたまま事切れた一刀の姿だった。

 

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 その後、一刀は三日三晩絶対安静の後復活した。

 誰もが口をそろえて「早ッ!?」といったらしい。

 ちなみに星が出した被害は国庫からまかなうことになった。

 なお、被害にあった武将の面々だが、何人かは一刀本人に文句を言おうとしたものの面会謝絶状態で何もできずに終わった。

 

「で、結局美以達の酒のせいだったわけだ」

「はい。南蛮に詳しい呂凱さんに聞いたんですが…どうもそのお酒は南蛮にしか咲かない花をつけこんで作るお酒らしくて…南蛮のもの以外が飲めば動物のようになるとのことでした。書物には仙人の飲むお酒として出てきますが考えますにこのお酒ではないかと…」

 

 一刀は執務室で朱里の報告を聞いていた。ちょうど蜀から呂凱という人物が朱里のもとを訪れていたために詳しい話を聞くことができた。

 

「なるほどね。でその酒は…」

「はい…」

 

 一刀と朱里はため息を吐く。

 

「どこに行ったのか分からないわけで…」

「はい…」

 

 あの後、すぐにその酒を回収するために探したが、何故か忽然と姿を消してしまい城中を探し回る羽目になってしまった。

 結局見つからずに現在に至っている。

 

「どこに行ったのやら…何事もなければいいんだけど」

「そうですねぇ…(とんとん)あ、はい。今開けますね?」

 

 客の来訪か、朱里が戸を開けた。

 

「ご、ご主人様…書類をお持ちしましたわん…」

「…ぷっくく…」

「…だ、ダメですよ。ご主人様ッ…!」

「なんですか!その目わん!?」

 

 犬耳で犬?口調の愛紗が入って来た。

 一刀と朱里は笑うのをこらえるのに必死になっていた。

 そう、結局動物のような行動はとらなくなったがまだなにか抜け切れてないらしい。

 ちなみに他の面々は…

 

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「きゃーーー!!!焔耶ちゃんかわいいーーーー!!!♪」

「確かに女らしいではないか?たまにはこんな格好させるのも面白いですな。桃香様」

「あ、ありがとうございますわん…///」

「蒲公英ちゃんもかわいいーーーー!!!!♪」

「えへへッ♪桃香様ありがとうにゃん!♪」

「…ついていけない」

「おにぇさまもほら!いっしょにきがえるにゃん!」

「って止めろ!って桃香様!?やめッ!」

 

 焔耶、蒲公英ついでに翆は桃香、桔梗の着せ替え人形になっていた。(少し前まで愛紗もここにいた)

 

「恋殿〜!起きてください〜!」

「すぅすぅ…」

 

 恋はいつも通りセキト達と昼寝をしていたりと大して変わってなかったりする。むしろ昼寝の時間が増えていた。

 

「にゃあ?にゃにゃにゃあ〜?」

「にゃ!にゃあにゃあにゃ…」

「にゃあにゃあ…」

「にゃあ!にゃあにゃあ…にゃあおう!」

「にゃ!」

「にゃ!」

「ふう、久しぶりに良いことをしたにゃ…」

 

 星は猫との会話スキルに磨きがかかっていた。

 

「…」

「月〜…もう出てきたらどう?」

「(フルフル)」

「はぁ…」

 

 月は恥ずかしさのあまり、布団の中に引きこもってしまった。

 

「まぁいいわ、私も今の月に無理させる気はないから」

「詠ちゃん…ごめんね…?(涙目+上目使い×犬耳)」

「ッ…!///だから無理させられないのよ…!」

「…?」

 

 月は顔を真っ赤にして鼻を押さえる詠を見て困ったように首をかしげた。

 

-14ページ-

 

 

 やっと更新できました…。長らくお待たせしまして申し訳ありません!

 先ずは今回、震災に遭われた方々にご冥福をお祈りします。私も地震の影響化にはいましたが被害はありませんでした。大学の研究室の本が倒れたりや校舎に若干のヒビが入ったりした程度でした。後、引越し等に影響が出たくらいでしょうか。

 さて、獣耳蜀編ですが一応終了でございます。本当にお待たせしました。

 前回お知らせしたように地震や引越しの関係で中々先に進まず…今後も更新は遅くなる可能性は大いにありますのでご了承ください。出来るだけ更新できるようにがんばります。

 で、今回の話ですがまだ続きます!魏、呉のどちらかになりますが今はまだ明かしません。思ったよりも長くなりそうですが頑張ってみます。

 では最後まで読んでいただきありがとうございました!震災で暗くなってしまった気分を明るく出来たなら幸いです。それでは失礼します!

 

説明
蜀編終了です!星がやっと登場できた…
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コメント
ZYMAさん>ありがとうございます!一刀は大体の話で可哀そうな目に会ってる気が…(同人円文)
楽しく読ましていただきました。今回ばかりは一刀カワイソス(ZYMA)
よーぜふさん>次は極楽に!まぁ一刀君にとって天国かはさておき…(同人円文)
アロンアルファさん>コメありがとうございます!次は極楽にして見せましょう!(同人円文)
jackryさん>私は最強の方程式を見つけてしまったのか…!?(同人円文)
うたまるさん>思春と音々音がですか…ちょっとおもしろそうですね(笑)(同人円文)
月野さん>コメありがとうございます!蜀編で、ですか。わかりました。考えてみます!(同人円文)
きのすけさん>コメありがとうございます!続きはいつになるかは定かではありませんができれば近いうちに…(同人円文)
ふむ、やはり天国ですか・・・(よーぜふ)
此処は天国や〜!(アロンアルファ)
思春と音々音が猫耳になって一刀に甘える姿が見たかったの……元に戻ってからの騒動が凄い事になりそうですけどね(w(うたまる)
耳は消えなかったのか。続き待ってます(きの)
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