褒めて欲しい?
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「お、今日はその服なんだな」

「文句でもあるの?」

「いや、そんなことはない。でも珍しいな。お前がその服を着るなんて」

「たまたま、これを着たくなっただけよ……」

 特に他意なんてないわ。

 たまたま……そう、たまたま何となく着てみただけで、別に先輩にこの姿を見て

欲しいなんて思ってなんかいないわ。

 またこの姿を見て、似合ってる。可愛いって言って欲しいなんて……

「ほー」

「な、なによその顔は」

「いや、なんでもないぞ」

「…………」

 何でもないはずないでしょ。ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべて。

 私があなたに褒めてほしくて仕方ない、とか思ってるんでしょ?

 そんなことあるわけがないでしょ。

 勘違いしないでほしいわね。

「ま、まぁ、とにかくあがれよ」

「……ええ、そうさせてもらうわ」

 こんな所で口論しても意味がないものね。

 

 いつものように先輩の部屋に行き、ベッドに座る。

 そして先輩はというと――

「なによ? さっきからジロジロと人のことを見て」

「いや、なんだその……」

 先輩の視線が忙しなく動く。

「何かあるのならハッキリと言ってちょうだい」

 あなたにそんな態度を取られると、こちらも変な感じになるじゃない。

 だから、いつも通りハッキリと物を言って欲しいわ。

「わ、分かったよ。言えばいいんだろ言えば」

「ええ、そうよ」

 先輩が今、何を考えているのかをハッキリと言ってちょうだい。

「怒るなよ……」

「あら、怒られるような事を言うつもりだったのかしら?」

「そ、そんなわけじゃねぇけど……」

 ほんと、歯切れが悪いわね。

 まさか本当に私が怒るような事を考えてたんじゃないでしょうね。

「言うぞ……?」

「早く言いなさい」

「お、おう。あのな――」

 

「あんま着なれてない服のせいか、さっきから黒猫のパンツがな――」

 

「な、なななな、な――――――っ!?」

 この男はさっきからチラチラと私の下着を覗いていたというの!?

 わ、私の下着を――っ!?

「お、おい、黒猫!?」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」

 は、恥ずかしすぎるわ。

 今すぐにでも死にたいくらい恥ずかしいわ。

「すまん黒猫! やっぱり言うべきじゃなかったな」

「〜〜〜〜〜〜っ」

 そ、そうね。言うべきじゃなかったのかもしれないわね。

 あ、でもそれだと先輩にずっと覗かれ続けるってことよね……う〜、結局ダメじゃない!

 ダメよダメ。あーもう! どうしてこの服を着てきたのかしら?

『似合ってるぞ黒猫』

 やっぱり、この言葉を聞きたかったから?

 そんなこと、私に限って――

 

「か、帰るわ」

「ちょ、おい黒猫!?」

 逃げ帰るように先輩の家から出て行く。

 あーあ、今日はもう散々だわ。

 私は普段通りに先輩の部屋で過ごしたかったのに……変な気まぐれを起こすからこんな事に。

 今度からはいつも通りの服で行きましょう。

 その方が先輩も私もいいはずだから……

 

 はぁ。結局先輩か『可愛い』って言ってもらえなかったわね。

 ――って、違う! 私はそんなこと期待してなんかいないわ。

 

 …………ほんとよ。

 

説明
何でこんなキャラになったんだろう?
黒猫はこんなキャラじゃないんだけどね……
不思議だなぁ(棒読み)
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コメント
黒猫が着ないような服・・気になる・・・とても気になるw(天使 響)
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俺の妹がこんなに可愛いわけがない 黒猫 高坂京介 

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