新訳・恋姫†無双 02 |
風のそよぎを感じながら、ジャリジャリと砂を踏みしめ、道を歩く。
時間で見れば午前0時くらいだろうか。
既に村は寝静まっていて、人が出てくる気配はない。
あれから。
あの娘たちに連れられて、村長のところへ行った。
俺以外にこの村に流れ着いた者はおらず、流れ着いた物はこの愛槍一本のみだったらしい。
俺ですら、たまたま木に引っ掛かっていただけだったと聞いた。
生きているわけがない。
俺たちが落ちたのは崖だ。あの崖がどこに繋がっているのかは知らない。知らないけど、あの高さだ。そうそう、助かるわけがない。
三国志くらい読んでおけばよかったな。
溜息をつき、右手に持っている槍に触れる。
俺の10歳の誕生日にもらった槍。
重さは普通の槍と同じくらいで、当然、もらった当初はまともに扱えなかった。
持ち手は漆黒。刃の部分は初めから、僅かに赤黒かった。
名もなき刀匠が打った無銘の槍。
「まさか、お前が命を刈り取ってるのか?」
そんな言葉が口から洩れ、瞬間、自分の言葉に嘲笑する。
「アホらし……」
「……さて、と。地形の把握は済んだし、体の調子もわかった。
………………けど。
俺を泊めてくれる家ってどこだよ…………………………」
風も槍も、俺の質問に答えようとはしなかった――――。
チュンチュン。
鳥のさえずりが聞こえて……。
「……てください! 起きてください!」
誰かの声が聞こえて……?
「おおう! 木の下で寝てた……」
夜分遅くに人様の家に訪ねていくわけにも行かず……まぁ、野宿するしかなかったのだ。
「君は……楽進……ちゃん……だっけ?」
「そうです! そんなことより!! どうしてこんなところで寝てるんですか!」
「いや、泊めてもらう場所が分からなくてね」
「村長さんの家です! 昨日言ったでしょう!」
そうだっけ?
そういえば、生存者が俺以外いない、って聞かされた辺りから、何も聞いてなかったな。
たぶんその時に言われたんだろう。
「ごめん。聞いてなかった」
素直に謝っておこう。
「あ、いえ。次からは気を付けてくださいね」
「そうするよ」
たぶん次は無いと思うけど。
できれば今日中に出発したいところだし。
帰還は早いほうがいい。
「じゃ〜〜な〜〜〜。今度会ったら真名の交換でもしようや〜」
「元気でね〜なの〜〜」
「叔弼殿! また手合わせしてくださいね!」
三人娘に見送られながら、歩く。
三人と戯れていたら、少し遅くなってしまった。
三人の姿が見えなくなったところで、
「はぁ」
思わず溜息が零れた。
理由は様々あるけど。
一番大きな理由は、どっちに行けば帰れるか分からないコトだろう。
道に迷った……というよりは、場所に迷った。という言葉が的確か。
この小さな村に置いてある地図は、大陸の極一部しか載っておらず、どの方向に進めばいいかがわからない。
まぁ、おそらくは、南に進めばいいのだろうケド。
悩んでいてもしょうがない。
行動あるのみだ。
ただただ、南へと歩を進めよう。
そして。
一周と半分。季節がめぐった。
時代が時代だけに、やはり、路銀を稼ぎながらの旅は時間かかる。
……なんて。言っても。
この場所が、明らかに南すぎる事実に変わりは無いのだけど。
暑い。
暑い。
暑すぎる。
ここはどこ? ジャングルさ。
ヤバイ。思考がオカシクナッテキタ。
たぶん、ここは南蛮。
バナナの木とかが有りそうな場所だ。
マジでヤバイ。
腹減ったし。
さっきから幻覚も見えるし。
具体的には、猫のコスプレをした、幼女たちとか。
○○○だにゃ〜、とか聞こえる。
「止まるのにゃ!」
「怪しい奴なのにゃ!!」
「動くにゃ!!」
おいおい。
遂に話しかけて来たぞ?
既に、病気にかかっていたか……。いつのまに感染したのだろう?
こんな僻地で死にたくねーな。
つーか、まだ死にたくねぇ。
「聞いてないのにゃ!!」
「ブッ刺すのにゃ!」
「猛獲様の所に連れて行くにゃ!!」
囲まれた。
なになになに!?
「早く歩くにゃ!」
「歩くにゃ!」
「歩くにゃ!」
「一食のご恩は絶対に忘れません!」
結局。
三匹(ミケ、トラ、シャムというらしい)に引っ立てられた先で出会ったのは、南蛮王、猛獲。真名を美以。
「ここには無い、調理法方を教えてやるから、食事をくれ」と言ったら、簡単に釣れた。
それでいいのか大王。
まぁ、この世界の人間は基本的に、「ぬるい」しね。
戦争があるのに、甘くて。盗賊がいるのに、優しい。
いいところでもあるけど、「ヤらせ」感が漂うのは奇妙な感じだ。
「また来るのにゃ、蓮音!! 次は材料ももってくるにゃ!!」
たぶん二度と、こんな僻地にはこないけどね。
暑いし。今度こそ、病気になっちまう。
これからどうしよう?
とりあえず、北に進もうか?
〜あとがき〜
二話目……です。はい。
どうやって書いたらうまく伝わるのか……わかりません(爆
難しいですよね。
自分の文章力では短い物を繋げるのが精いっぱいで……すみません。
中途半端な切り方ですが、これからもお願いします。
説明 | ||
調子に乗って二話も書いてしまいました。 至らない点も多々あるかと思いますが、生温かく見守ってやってください。 |
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