真・恋姫無双・外史〜三人の御使い〜 第一章 |
第一章
桃香たち三人は流星が落ちた場所を目指し走っていた。
愛紗や鈴々に比べ遥かに体力の劣る桃香は村から二里ほど進んだ所で息を切らしていた。
「桃香様はそこで休んでいてください。鈴々、桃香様を任せたぞ。」
「まかせるのだ♪」
陀茅を天に掲げ意気揚々と桃香の護衛を受ける。
「ごめんね・・・愛紗ちゃん、鈴々ちゃん」
愛紗は「かまいません」と義妹に義姉をまかせ一人掛けて行った。
―流星の落ちた平原―
そこには大きな穴が開きその中心には一人の少年が倒れていた。
その周辺には三人の男がいた。
彼らは一様に黄色の布を頭に巻いている。
「なぁアニキ、こいつ変な服きてやすね!」
「あぁとりあえず身包みでも剥いでおくか。高値になりそうだしな。」
アニキとよばれた長身の男は二人の部下に穴に降りるように命じた。
「これで今日はおいしいものたくさん食えるんだな」
その中でも一番太った男がよだれをたらしながら珍しい服を売って得られるお金で食べれるものを想像していた。
二人の男が穴に下りようとしたとき
「っ・・・なんだよ。人が寝てる時に・・・」
倒れていた少年が目をさました。
「あぁ?ここは・・・どこだ?」
少年が回りを見渡し先ほどの男たちを見つけにらみつけた。
ビクッ!
男たちはその鋭い目つきに体を震わせる。
「なんだテメェら・・・。」
まだはっきりしない頭で理解しようと思考をめぐらせるがその風景に覚えは無かった。
「て・・・てめえらびびってんじゃねぇ!」
「そういうアニキもびびってるんだな。」
常人なら引くほどの眼力を備えた少年は自分よりも二周りは年上であろう男たちを威嚇していた。
「おい、おっさん!ここはどこだ?」
ビクッ!
「ひぃ・・・こ・・・ここは幽州だ・・・。」
少年の眼力に耐え切れずうろたえながら答えるアニキと呼ばれた男。
「ゆ・・・う・・・しゅう・・・だと?」
その地名に聞き覚えはあった。
たしか三国志の時代にあった地名だ。
「てめぇ冗談いってんじゃねぇぞ?」
「冗談じゃねぇよ!ここは漢王朝の一地方で幽州だよ!」
涙目になりながらも少年に言い返すその度胸はすごいと思う。
「ちっ冗談じゃなさそうだな・・・」
まだ自分の置かれている状況が理解できず回りに殺気を漏らす。
その殺気を感知したのか
「そこでなにをしている!」
少年が穴から這い出たとき愛紗が叫んだ。
「ひぃ・・・お・・・俺たちはしらねぇよ!」
と乱入者が現れちょうどいいと捨て台詞を残し逃げていった。
「誰だ、てめぇ」
突如現れた愛紗に対し少年は敵意を示していた。
その殺気に愛紗はたじろいでいた。
少年から発せられる殺気のそれは後に三国最強クラスと呼ばれる関羽に冷や汗をかかせるレベルだった。
「おい!女ぁ!誰だって聞いてんだろ!」
愛紗をにらむ少年の目はまるで良く切れる刀のそれだった。
「わ、わが名は関羽!関羽だ!そなたの名前を教えてもらおう」
負けぢと少年に青龍偃月刀を向け名前を問う。
「俺は黒東凍耶だぁ!てめぇが関羽だと?笑わせんな!」
「なっ!貴様私を愚弄するつもりか!」
「てめぇがふざけた名を名乗るからだろうが!!」
少年には信じられるはずがなかった。彼の知る関羽とは千八百年も前の英傑でさらに髭を生やした男性だったのだ。
「私が関羽だ!我が武は天下無双!我が名を侮辱するのであれば貴様を斬る!」
愛紗は叫ぶと同時に地を蹴り少年に向け突貫した。
「フッ」
少年はほくそ笑み、腰に手を当てていた。
キンッ!
「なっ!」
愛紗には彼は腰に手を当てたところまでしか理解できていなかった。
関羽ほどの名将ですら見えない速度で抜刀していたのだ。
「おせぇ!そしてよえぇ!」
片手で刀を持ち青龍偃月刀とつばぜり合いをしながらもう一方の片手で腰の刀を抜いた。
愛紗に向けもう一方の刀を振るおうとしたとき
「愛紗!あぶないのだ!!」
小さな少女・・・鈴々が陀茅を振るい刀を止めていた。
「んだ?てめぇ!」
手に持つ刀に力を込め二人を弾き飛ばす。
「愛紗ちゃん、大丈夫!?」
「はい。どうにか大丈夫です。」
「ちっまた増えやがったか。」
桃香は愛紗の前に両手を広げ立ちふさがった。
「愛紗ちゃんに手は出させません!」
「ちっ、わぁったよ・・・刀おさめっからそんな泣きそうな顔すんな!」
桃香は目に涙を溜めていた。それでも義妹を守るため恐怖に立ち向かっていた。
その姿に怒りをとおりこして呆れてしまった。
「てめぇらは一体なんなんだ?ここは一体どこだよ!」
先ほどここは幽州だと黄色の布を頭に巻いた男に教えられ、で黒髪の少女―愛紗―に名前は関羽だと名のられたがまだ信じられずにいた。
「わ・・・私は劉備といいます。そしてこの二人は私の義妹で関羽と張飛。ここは幽州です。」
また、幽州か・・・しかも今度は劉備に張飛ときたもんだ。
「つぅことは本格的に三国志の世界っつぅわけか・・・。」
刀を腰の鞘に納め頭をかきながらため息をついた。
凍耶の殺気がなくなると劉備は腰を抜かしたのかその場にへたりこんだ。
「こ・・・こわかったよぉぉぉぉぉ」
そう泣きながら。
―第一章・了―
説明 | ||
三人の御使い 第一章の投稿です。 誤字・脱字などもあるかと思いますががんばって書きますので応援よろしくですb 今回は御使い様が一人登場しますよっと。 |
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コメント | ||
初期設定段階ですが、蜀と呉が中心になります(拳斗@アズマ) 三人の御使いが各々の長所を生かして三国志の時代を生き抜くのですね、でもこのままいくと蜀√・・・? 最初関羽が名乗るときは、「わ、我が名は関羽。関雲長だ!」と二つならべたほうがいいかもしれません。(ゆきな) |
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