真・恋姫無双・外史〜三人の御使い〜 第二章
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第二章

 

その後、桃香は半泣きになりながらも凍耶にこの国の事、国の未来を憂いての自分たちの願い。そして噂の天の御使いの事を話していた。

 

凍耶は決して頭は悪くはなかったのだが理解に、というよりも納得がいくのに時間がかかっていた。

 

「じゃぁあんたらが劉備・関羽・張飛でいいんだな。んでここは幽州。さらには漢王朝では民が飢え苦しんでいてそれを助けたい・・・と」

 

頭を整理するため今まで聴いた話を簡潔にまとめ桃香たちに同意を求める。

 

目に涙を浮かべながら首を立てにふる。

 

「半泣きになりながらびびるな。俺は寝起きで機嫌悪かったんだ。恐がらせたのは謝るよ。」

 

「は・・・はい。えっとそしてあなたが噂どおりの天の御使い様だとしたら私たちに力を貸してくれませんか?」

 

天の御使いねぇ、と良くもまぁそんな信憑性の薄そうな噂を信じるものだとあきれ返る。

 

だが、ここに自分がいること自体が噂の真実味を高めているのだった。

 

「そういや、自己紹介がまだだったな。俺は黒東凍耶(こくとう とうや)。ここからだと海を渡ったところにある日本て国から来た。つか気付いたらここにいた。」

 

「日本・・・ですか?」

 

「聞いた事の無い名前の国ですね。」

 

と愛紗は顎に手を当て考えるしぐさを見せる。

 

「まぁ時代が違うみたいだからな。この時代から約千八百年後の世界だ。」

 

「「「千八百年!?」」」

 

今度は桃香たちが驚く番だった。

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凍耶からの話を聞いた桃香は彼がこの時代の人間ではない事を知った。

 

行き場の無い彼に桃香は自分たちの邑に来ないかと誘ってみた。彼は自分が生き残るため渋々桃香の申し出を受け入れるのだった。

 

 

―楼桑村―

 

桃香の家で食事を終えた後、今後について話し合っていた。

 

「では、凍耶殿より得た情報を整理しましょう。」

 

愛紗は筆を用意し机に文字を書こうとしていた。それを見た凍耶は

 

「まてよ。いいものがある。」

 

と着ていた制服の胸ポケットからメモ帳とボールペンを取り出した。

 

「なんですか?それは」

 

「これはメモとボールペンっていってな。まぁ実際見せたほうがはやいか。」

 

メモ帳にボールペンで凍耶と漢字で書いて見せた。

 

「ほぅ、これは」

 

「すごーい。墨も使わないで字が書けるなんて!!」

 

「吃驚仰天なのだ!」

 

一様にボールペンの性能に驚く三人。

 

「つーことで、これに書けよ。」

 

「よろしいのですか?このような希少な・・・」

 

「かまいやしねぇよ」

 

凍耶からメモ帳とボールペンを受け取り漢字ばかりで文字を書いていく。

 

(ほんとに中国なんだな・・・はぁ・・・)

 

改めてここが日本ではないと実感させられる。

 

凍耶が桃香たちに話した情報は次のものだった。

 

@これから先、黄布党という族を張角という術者がまとめ反乱を起こすこと

 

Aいずれ漢は三つの国にわかれるということ

 

B自分の住んでいた日本のこと

 

以上の三つであった。

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「おそらく占いにあった黄天というのは黄布党というものどものことでしょうか」

 

「そうだろうな・・・。」

 

「あと、この国が三つに分かれるって言うのは・・・。」

 

天下三分の計。後に諸葛孔明が劉備に示した未来。

 

三国志の本格的な舞台になる蜀・魏・呉。

 

その中でも目の前にいる劉備はおそらく蜀の王となるだろう。

 

「いずれわかる。今はまだ知るときじゃねぇ。」

 

「わかりました。おそらくまだ私たちが詳しく知っちゃいけないんですね。」

 

「フッ物分りの良い女はきらいじゃねぇ」

 

顔を真っ赤にし俯く桃香。

 

「では凍耶殿。これからわれわれがどうするべきかあなたのご意見をお聞かせ願いますか?」

 

俯いてまともに話せそうも無い義姉の変わりに愛紗が凍耶にたずねる。

 

「これから俺たちはある人物に対し仕官しにいかなきゃなんねぇ・・・つっても俺もあんま先のことは言わねぇ。今回だけだ。」

 

不安な顔をしながらも頷く三人。

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凍耶が告げた士官先は、公孫賛軍。

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!仕官先って白蓮ちゃんのところなんですか!?」

 

「知り合いなのですか?桃香様?」

 

「知り合いもなにもお友達だよ〜。そっか〜白蓮ちゃんのところか〜」

 

「あぁ、まぁ劉備と公孫賛が知り合いだっつぅのはさすがに知らなかったが・・・」

 

桃香は幼い頃、公孫賛こと、白蓮と同じ私塾に通っていた。

 

その私塾の先生は盧植という人物の元、共に勉学にはげんでいた。

 

しかし桃香は両親の死をきっかけに楼桑村に戻ったらしい。

 

「そうと決まれば出発なのだ〜♪」

 

と、今まで黙っていたが我慢の限界となったのか鈴々が片腕を上げ元気よく叫びだした。

 

「あっちょっとまって。」

 

桃香が鈴々に待ったをかけた。そして凍耶は桃香の案により歴史的な出来事に対面することになった。

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―鈴々の家の裏の桃園―

 

「ここで誓いを立てよ♪」

 

桃香が満面の笑みで三人を連れてきた。

 

そして杯に酒をそそぎ、天に掲げた。

 

我ら四人、姓は違えども兄弟姉妹の契りを結びしからは、心を同じくして助け合い、困窮する者たちを救わん。

 

上は国家に報い、下は民を安んずることを誓う。

 

同年、同月、同日に生まれることを得ずとも、願わくば同年、同月、同日に死せん事を

 

かんぱ〜い!

 

まだ若く現代日本ではあまり酒を飲む事の無かった凍耶だったがこの時は素直に酒を飲んだという。

 

「凍耶さん、私の真名は桃香です。あなたに真名を預けます。」

 

「ん?真名ってなんだ?」

 

「真名は家族や親しい友人、愛する者しか呼ぶ事を許されぬ神聖な名前なのです。そして私の真名は愛紗。」

 

「鈴々は鈴々なのだ〜♪」

 

そして凍耶は三人の長兄となった。

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凍耶たち四人は公孫賛の元へ来ていた。

 

「桃香、久しぶりだな!」

 

「白蓮ちゃ〜ん♪」

 

久々の再会に歓喜し抱き合う二人。

 

「元気だったか?」

 

「白蓮ちゃんこそ元気だったの?」

 

お互いの健康状態を確認した後、愛紗の咳払いにより謁見の空気に戻った。

 

「で、えっと桃香たちは私の元に仕官しにきたのか?」

 

「そうだ。俺たちは公孫賛、君の元で共に戦いたいと思い仕官しにきた。」

 

冷静な状態での凍耶は割と言葉遣いは丁寧でいつもとはまた違う印象を持たせていた。

 

「ふむ。いいだろう。だが条件がある。」

 

「条件・・・って?」

 

「うむ。条件なのだが」

 

公孫賛が俺たちに提示した条件。

 

それは桃香以外の者の実力を見せろと言うものだった。

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―連兵場―

 

愛紗と鈴々はそれぞれ五十の兵を相手にし完勝。そして凍耶の出番が回ってきた。

 

「おい、俺は何人とやればいい?」

 

「そうだな・・・十人くらいでいいか?」

 

「それは俺が愛紗や鈴々よりも劣っている・・・とでも言いたいのか?」

 

公孫賛を睨み付ける。

 

「三百ほど用意しろ。」

 

「三百!?お前ふざけt」

 

「ふざけてねぇ。はやく用意しろや!」

 

公孫賛は凍耶の眼力に怯えビクッっと震えた。

 

そして凍耶の目の前には三百もの兵が用意された。

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「さぁてかかってこいよぉぉぉぉ!!」

 

三百の兵のうち五十が一気に飛び掛ってきた。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ」

 

「ひゃっは〜〜〜お前ら〜なめてんのKAAAAAAAAAAAAA!?」

 

凍耶が叫ぶとそれだけで飛び掛ってきた兵たちが吹っ飛んだ。

 

高台からみていた桃香や愛紗たちは唖然としていた。

 

「おいおい・・・もしかして今のでびびっちゃったのかな〜〜??」

 

残りの二百五十の兵は先ほど吹っ飛ばされた兵のほうをみて怯え竦んでいた。

 

「かかってこい・・・よなぁぁぁ!かかってこねぇならこっちからいくぜぇぇぇぇ!!」

 

地を蹴り二刀を抜き兵を次々に切り裂いていく。

 

その姿はまるで鬼神のそれだった。

 

それを見ていた白蓮は恐怖を感じざるえなかった。

 

そして大きな音を立て銅鑼がならされた。

 

終了の合図である。

 

「チッものたりねぇ・・・」

 

消化不良ながらも合図に従い謁見の間に戻った。

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正式に公孫賛軍に加わることになった凍耶たちに白蓮が客将を紹介すると言い出した。

 

白蓮が侍女に声を掛け、しばらくして白い服を着た一人の少女が現れた。

 

「我が名は超雲。字は子龍だ。」

 

超雲。あれが超子龍か・・・。

 

そしてもう一人遅れて謁見の間に姿を現した。

 

栗色の髪に青色の外套を纏い腰に一振りの【刀】をさしていた。

 

「えっと、私は北郷柚刃と申します。」

 

凍耶はその少女の姿を見て驚愕するのだった。

説明
第二章です。
主人公が動かしていくうちにおかしな人に・・・

ちなみに某ベクトルさんとは同一人物ではありませんのでご了承ください。
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コメント
誓いのシーンに関羽の台詞が無いW(ギミック・パペット ヒトヤ・ドッグ)
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