カーニバル 3話目
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 ボクは、期待と不安を手に入れた。

そう、何気ない毎日を暮らしていたけれど

一通の手紙が2つのモノをもたらした。

 

 家族とは長い間、会っていない。

 

 しばらく、この古い家ともお別れだ。

城へ向かう準備を終えてドアを開く。

 

 道なりを歩いていけば駅へたどり着く。

歩いていくと時間はかかるけれども……

急ぐ旅でもない。

 

 林道に差し掛かった時

樹の影が大きく揺らいだ。風が吹いている

わけでもなく、樹は静かに立っているのに

影だけが大きく揺らいでいる。

少し先に眼をやると、宙に浮く女がいる。

 

 赤のドレス、とても綺麗な顔立ち。

ここだけみれば、どこかのお姫さまにみえる

ただ、とても冷徹な瞳がそれを否定した。

 

「どうやら、お前のようだねぇ」

 

 ボクは全く理解できていない。体が全く

動かない。ただ、ただ、眼だけが不可思議

な映像を届けてくる。

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 宙に浮く女が手のひらをこちらに向ける。

みるみる大きな赤い玉が出来上がる。

 

「今のうちに処分しておかないとねぇ」

 

 ボクは勝手な話についていけない。ただ

大きな力で、このまま宙に浮く女の言うとおり

になってしまうだろう。

 

 ものすごいスピードで赤い玉がこちらに

向かってきた。もはや、眼も恐怖で塞いでしまって

どうなったのかもわからない。

 

 死……

 

 い、いや、耳が音を伝えてくる。

 

「ハハっ、間に合ったネ」

 

 眼を開き入ってくる映像に、美しい人……女性

のエルフがボクの目の前で盾を使って赤い玉を受け

止めている。

 

「あ、あの……」ようやく口が動いてくれたが、

ボクはなんて言えばいいのか、わからなかった。

 

「キミがオーダー君だネ?」盾で防いでいるからか

少し力のはいった声でエルフが聞いてきた。

 

「はい」うなずきながら短く答える。

 

「詳しい説明は今できないけど、私の相棒に乗って

駅へ向かって欲しいんだ」

 

 すると!

 

 白い馬が颯爽とやってくるやいなや、ボクはその

背に跨った。そして「あ、あの、ありがとう」

 

 エルフはウインク一発で返答して

また緊迫の戦闘へもどる。

ボクは見惚れてしまい、林道を抜けていたことを

ようやく気付いた。

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 急に不安だけが襲ってきた。

一体さっきのは何だったのか……なぜ見習い騎士が

狙われたのか……あのエルフはなぜ守ってくれたのか?

 

「でも、美人だったなぁ」つい口に出してしまった。

 

 あのエルフさんにまた会えるかなと、ちょっと期待

して顔がにやける。

手綱から伝わったのか白馬が急にジャンプした。

ボクは必死で掴まって事なきを得る。

 

 しかし、この白馬は本当に賢い。乗りやすさも抜群

鐙に足をかけ、手綱を持っているだけで駅まで着いて

しまった。

 

(主人に手は出させないけど、また会いましょう)

 

 ボクはポカーンとした。

「まさか……ね」つぶやき白馬を見た。

 

 するとウインク一発こちらに返して風のように

去っていった。

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ファンタジー小説です。続きものです。
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