真・恋姫無双 堕ちた悲しき流星 第二話「邂逅契約」
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――――――――――――『戦域ノ離脱ヲ確認。自動修復プログラム内ニ新タナ項目ノ追加ヲ確認。ソフトウェアノ起動ヲ開始。』

 

遥か上空にて、真っ逆さまに墜落する『神武』と一刀。

 

現在一刀は意識を失っており、それに伴って一刀の脳内とリンクしている『神武』がオートコントロールしているが、なにやら調子がおかしいようだった。

 

――――――――――――『悪性プログラムノ侵攻ヲ確認。対ウィルスソフトヲ展開。・・・・・・失敗。プログラムノ上書き、及ビマスターノ記憶領域ニ存在スル情報ノ書

 

キ換エヲ認識。』

 

ガタガタと震えだす『神武』。あちこちから電流が流れ出し、バイザーには大量のコードが左から右へと流れてゆく。

 

――――――――――――『全プログラムノ強制終了ヲ選択。再起動ヲ7200秒後ニ設定。シャットダウン、開始。』

 

瞬間、装甲から光沢が失われ、同時に摩擦によって全身が紅く、白く輝き始める。

 

そして・・・・・・凄まじいスピードで地上へと激突した。

 

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幸運にも、墜落した場所には人影が見当たらず(大中小の男三人が居たのは居たが、堕ちてくる一刀を見て脱兎の如く逃げた)、大穴の大きさから見てその衝撃の強さを物語っ

 

ていた。

 

そこに賊を追っていたらしい部隊が馬で駆け寄ってきた。

 

先頭には三人の少女。

 

右の一人は黒髪を風に靡かせ、左はもう一人は反対に白く短い髪を揺らし、最後の真ん中の一人は金髪をクルクルにして左右に束ねていた。

 

「皆の物、止まれッ!!指示が出るまで騎乗にて待機せよ!!」

 

「「「ハッ!」」」

 

そう言って馬から飛び降りる三人。

 

そして、大穴に近づくとその一刀の姿に目を見開いた。

 

「か、華琳さま。これは一体・・・?」

 

「・・・・・・あの時に見たアレが、ここに落ちたのかしらね。」

 

「あの流星ですか?」

 

三人はここらに現れた賊を討伐するために出向いてきたのだが、その出発直前に、一刀が自分達の進路上に落ちたのを確認したのだった。

 

そこで、少女達三人は一刀が墜落した場所へと走り、こうしてやってきたのであった。

 

だがその本人達も少々困惑気味だった。

 

見知らぬ鎧、人の形をした何か。生まれて初めて見るそれは中々に恐ろしく目に映った。

 

しかし賊の可能性は見た目からして低いだろうと少女は判断する。

 

「・・・・・・とにかくここでじっとしていても仕方が無いわ。隊から数人抜いてこれを町に運ばせましょう。それ以外は予定通りに。いいわね?」

 

「「ハッ!」」

 

華琳と呼ばれた少女に命令されるまで面食らっていた二人だが、すぐに切り替えて反応した。

 

その後方からは太い縄を持った兵士達が近寄り、一刀の四肢に括りつけた後、引きずっていった。

 

一刀はまだ目覚めない。

 

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二時間後。

 

華琳達三人は町のある一角に出向いていた。

 

結局賊は見つからず、渋々引き返してきたのだ。

 

彼女達は運び込まれたと言われた場所に行くと、そこには無造作に置かれた一刀の姿があった。

 

「さて、拾ったはいいけれど、どうしたものかしら・・・?」

 

腰に手を当てて考える華琳。その隣に控えていた少女が口を開く。

 

「華琳さま!これ鎧の類とかだと思うんですけど、どうでしょうか?」

 

「・・・ふむ・・・そうね。」

 

近づきながら答える。

 

恐る恐る手に触れると、金属特有のヒンヤリとした感覚が帰ってきた。

 

まぁ鎧というのはあながち間違ってはいないが。

 

「春蘭の言うことも間違いじゃ無さそうね。秋蘭、春蘭、外すのを手伝いなさい。」

 

「御意。」

 

三人は『神武』の周りをぐるりと回ってどこか留め具のようなものは無いか調べたが、もちろんそのようなものがあるはずも無く。

 

「おかしいわね。留め具が無い鎧なんて聞いたことが無いわ。」

 

手を顎に当てて不思議がる華琳。それとは対照的にムガーッと憤っている春蘭と呼ばれた少女。

 

「だぁー!何なのだ一体これは!外すことが出来ぬではないか!!」

 

『神武』の装甲をガシゲシそ蹴るその姿を見て苦笑しながら、秋蘭は言う。

 

「姉者、見苦しいぞ。」

 

「五月蝿い!こうなったら意地でもこじ開けてやる!」

 

そう言うと、どこからとも無く出してきた大剣を振りかぶる春蘭。

 

その時だった。

 

――――――――――――『再起動開始。並ビニマスターノ意識覚醒ノ作業ヲ開始シマス。』

 

「「「!?」」」

 

突如響いた不思議な声に驚き、春蘭は飛び退いた。

 

華琳と秋蘭も『神武』を警戒するような目で見つめた。

 

――――――――――――『プログラム確認。マスター、オ目覚メニ。』

 

「・・・・・・了解。」

 

一刀はそれに答えると、次々と装甲が薄いコバルトブルーとホワイトに彩られていく。

 

――――――――――――『機体ノ稼動ヲ開始。システムオールグリーン。』

 

「了解。視認する者の情報を。」

 

するとバイザーから華琳の情報が提示された。

 

一通り流し見ると、一刀は目の前で警戒する少女達と初めて目を合わせた。

 

「右から夏候惇、曹操、夏候淵と断定。」

 

ガシュっという音を立ててバイザーが左右に収納され、展開されていた装甲や背部ユニットも最小限の大きさに折りたたまれ、それぞれ肩、手、腰、背中、足にコンパクト化

 

された。

 

呆気にとられる三人。

 

つい先程まで鎧だったものが今では綺麗さっぱりなくなって、中から男が現れたのだから無理もない。

 

一刀はそんな三人を無視して淡々と言う。

 

「現在進行中の任務を確認。『外史に入り、最初に視認したものを契約対象とし、その契約対象から与えられるのミッションを随時開始する。期限は契約対象からの申し出ま

 

で。』・・・・・・任務、了解。」

 

一刀はそう言い終えると、三人を見つめ押し黙った。

 

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「・・・・・・。」

 

「・・・・・・。」

 

ここはとある食事処。

 

とりあえず場所を移動することにした面々は、目の前の男が一体何者なのかを調べることにした。

 

あれ以来一刀は見つめこそすれ、口を開いていない。

 

曹操等三人も一刀が何か言わないか待っていたが、ひたすら押し黙る一刀に痺れを切らしたのか、曹操が口火を切った。

 

「・・・・・・貴方は一体何者?」

 

それに反応して一刀は答える。

 

「コード4130、名は北郷一刀。アーマー型汎用万能式兵器『神武』の登録マスターだ。」

 

「・・・・・・はい?」

 

聞いたことのない単語がズラズラと並べられ、理解が出来ない曹操。

 

「聞きそびれたのか?ならばもう一度言おう。コード4130、名は北郷一刀。アーマー型汎用万能式兵器『神武』の登録マスターだ。」

 

「こーど?あーま?じんむにますたー?秋蘭、意味がわかる?」

 

「いえ、私にも聞いたことがない言葉です。」

 

「・・・・・・。」

 

一刀は再び黙り込み、腕を組んだ。

 

どうやら聞きたいことがあれば質問しろということらしい。

 

その一刀の態度に顔を曇らせた曹操に変わり、夏候淵は続けて質問をすることにした。

 

「では北郷、お主の生国は?」

 

「極秘情報のため答えることは出来ない。」

 

「・・・・・・この国に来た理由は?」

 

「明確な理由などないが、あるとすれば任務としてきた。それだけだ。」

 

「・・・・・・・・・・・・ここまでどうやって来た?」

 

「記憶領域にデータが残されていないから、判らん。だが恐らくは『神武』の機能の一部を使用し、あの場にたどり着いたものと推測するが。」

 

「・・・・・・華琳さま。」

 

「埒があかないわね。春蘭。」

 

「はっ!拷問にでもかけましょうか?」

 

「・・・・・・。」

 

「どうなの?本当のことを言わなければ貴方を拷問することになるけれど?」

 

「俺は現実と情報を元に述べているだけだ。本当も何もない。」

 

「本当に埒があかないわね。」

 

はぁっと溜息をつく曹操。

 

一刀が横を向けば、そこには此方をにらみつける夏候惇の姿が。

 

どうやら一刀の態度が気に食わないらしい。

 

「・・・・・・何かあるのか?」

 

一刀が言うと、夏候惇は立ち上がりながら答えた。

 

「あぁあるとも。貴様、此方が下手にでていれば、のらりくらりとワケの判らんことばかり言いおって・・・!!」

 

「少なくとも今の貴様には下手に出ているという雰囲気が伝わってはこないが?」

 

「なんだと貴様ぁ!!」

 

「はぁ・・・春蘭。いい加減にしなさい。」

 

一刀に殴りかかろうとする夏候惇を手で制する曹操。

 

それに対して不満があるのか、でもと夏候惇が言いかけるが、その前に一刀が口を開く。

 

「その前に一つ。曹操、貴殿は一応俺との契約を結んでいることになっているが、それを承知しているか?」

 

「契約?あの時も言ってたけれど・・・」

 

「そう、契約だ。貴殿は知らないとは思うが、俺の任務に『最初に視認したものを契約対象にする』という条文があるのだ。それに従えば、俺は貴殿に対して協力するという

 

ことになる。」

 

だが、とそこで一旦区切る一刀。

 

「無論破棄してくれても構わない。貴殿が今この場で『契約を破棄する』と言いさえすればそこで契約終了だ。すぐさま俺はここから立ち去ろう。」

 

そして一刀は曹操を見た。

 

「言っておくが先程貴殿等が疑問に思ったことは、契約をここで承認しなければ答えることは出来ない。しかしもし承認すれば貴殿等の疑問に出来る限り答えていこう。」

 

そこで顔を見合わせる夏候姉妹。

 

見やるその先には曹操の逡巡する顔が。

 

「・・・・・・その契約を結んだ覚えはないけれど、だけど内容的には私の配下になるという意味合いでとってもいいのね?」

 

「配下というよりは協力者、と言ったほうが正しいがな。まぁあながち間違ってはいないだろう。」

 

「そう・・・」

 

そして曹操は暫く目を閉じた後、一刀の顔を見た。

 

「いいでしょう。その契約、承認しましょう。」

 

「か、華琳さま、よろしいのですかこのような怪しい輩を?」

 

「春蘭、この男は我等にはないものを持っている。そして、それは我等にとって今後有意義なものになることに違いないでしょう。そうでしょう一刀?」

 

「・・・・・・それは貴殿次第だ。」

 

「ふふ、結構。貴方は私達の知らない知識を持っているようだし、うまく使えば私の覇業の大きな助けにもなるでしょう。」

 

「・・・・・・了解。これより正式に契約したものと判断する。これからよろしく頼む。」

 

「えぇ、よろしくね。貴方の部屋を用意するわ。好きに使いなさい。」

 

「・・・・・・感謝する。」

 

その反応に曹操はフッと笑みを浮かべた。

 

「そうだわ。そういえば、一刀の真名をまだ聞いていなかったわね。教えてくれるかしら?」

 

その問いに一刀は瞑目しながら答える。

 

「俺に真名などない。」

 

「真名がない?」

 

夏候淵が反応する。

 

「そうだ。俺には貴殿等のように真名がない。その観念に当て嵌めようとするならば、一刀がそれに当たるのではないか?」

 

「・・・ッ!?」

 

「な、なんと・・・」

 

「むぅ・・・」

 

三者三様の様子に一刀はあぁと理解する。

 

「ここでは真名は大切なものとされていたのだったな。驚くのも無理はないか。」

 

「初対面の相手にいきなり真名を預けるとは、少々予想外だったからな・・・」

 

「気にするな、好きに呼べばいい。俺はそう言うことに関しては興味がないからな。」

 

「そう・・・・・。なら此方も貴方に真名を預けないと不公平でしょうね。」

 

「聞こえていたのか?俺は気にしないと言ったが。」

 

「貴方は気にしなくても私達は気にするのよ。・・・・・・私のことは華琳と呼んでいいわ。」

 

「・・・・・・了解した。」

 

「貴女達も預けなさい。いいわね?」

 

華琳が二人に目配せすると、夏候惇は渋々、夏候淵は仕方ないといった風に頷いた。

 

・・・・・・こうして、少女三人と一人の男の仕組まれた邂逅は終わった。

 

塗りつぶされた記憶と情報。それを一刀が気付くのはまだ先のことである。

 

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≪簡易プロフィール≫

 

名前:北郷一刀

 

年齢:23歳

 

性格:寡黙で無口

 

装備:アーマー型汎用万能式兵器『神武』

 

 

『神武』詳細データ

 

・現在搭載兵装一覧

大型レールガン<クレセント>x1※現在使用不可

 

小型エネルギー兵器<フェザーライト>x1

 

背部ユニット搭載小型ランチャーライフル<フェルゴーレ>x1

 

強化サーベル<トラバルト>x2

 

多目的アンカービームシールドx2

 

背部ユニット大型スラスターx1

 

背部ユニット小型スラスターx3

 

細部補助スラスターx4

 

熱伝導式アーマー装甲

 

高感度バイザーセンサー

 

 

・『神武』についての説明

一刀の駆る『神武』は、とある世界で作られた次世代型新兵器の試作機である。

『神武』はこの後に開発されていくアーマー型兵器全ての基本ベースの機体であり、それ故ありとあらゆる実験に備えるために開発初期に比べさまざまな改良が加えられた。

汎用性に富んでおり、また全ての状況において対応できるように装備や装甲などを換装できるようにもなっている。

現在の装備は初期装備である強化サーベルと多目的アンカービームシールド、そして小型エネルギー兵器に加えて追加装備の大型レールガンと背部ユニット搭載型の小型兵器

を装備しているため遠近共に火力は十分ある。また高機動型を元にしているため、スラスターの数、並びに出力が全体的に高く、機動性にも優れている。背部ユニットは着脱

 

可能である。カラーリングに関しては、機体自体が全体的に薄いコバルトブルーとホワイトになっており、背部ユニットもそれにあわせたカラーリングとなっている。

『神武』の名の由来は、日本初の天皇『神武』からとられていると言われている。

 

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南「機神と〜」

 

雪「雪蓮の〜」

 

南、雪「あとがきコ〜ナ〜」

 

南「第二話投下。いかがだっただろうか?」

 

雪「ねぇ私この作品と関わりないんだけど。出てもいいの?」

 

南「かまへんかまへん、いったれいったれ。やったもん勝ちやがな。」

 

雪「・・・・・・ふーん、あっそ。私達の話、ちゃんとやってんでしょうね?」

 

南「まぁ、ぼちぼちとはな。ただあまり進んでないのが現状だ。読者諸君は説明してないと思うからこの会話の意味がわかんねぇと思うが。」

 

雪「やってるならばよし。それで今回はぶるぁに何かされた一刀が墜落したとこからだったけど、どうやら記憶とか持ってた情報みたいのが全部おかしくなっちゃったみたい

 

ね?」

 

南「おぉ、この一言で今回の内容がほぼ語られてしまったぜ。」

 

雪「なんということでしょうーねー。」

 

南「すげぇテキトーな返事をありがとう。ま、簡単に言えばそうだな。一刀の記憶とか情報すべてが一回上書きされて、その上に更に偽の情報とかを足されたと認識してくれ

 

。」

 

雪「それでもって華琳達に拾われて・・・と。なんかエンディングの様子が目に浮かぶようだわ。」

 

南「おい、やめろ馬鹿。はやくもこの会話わ終了ですね。」

 

雪「それに今回のセリフとかほぼ原作といっsy」

 

南「アーアーキコエナイー。キコエナイッタラ、キコエナイー。」

 

雪「・・・・・・消されるわよ?」

 

南「大丈夫だ、問題ない。皆そんなことするような奴じゃないって、先生知ってるから。」

 

雪「その自信は一体どこから出てくるのやら・・・てかアンタ先生でもないくせに・・・。」

 

南「冗談はさておき。次回から続々と仲間加入&戦が勃発していくわけだが、果たして未来の装備で固めた一刀はその力を一体どうするのか?楽しみに待っていてくれ。」

 

雪「今回はこれぐらいね。それじゃあ皆、またね♪」

 

南「さらばだッ!!」

 

説明
第二話だ、諸君。

楽しんでいってくれたまえ。

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タグ
真・恋姫†無双

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