2人〜リン&レン〜U
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#U

 

 

キーンコーンカーンコーン…

 

「おい、リン。どうしたんだよ?」

「え?何が?」

朝のホームルームが終わり、レンは隣の席のリンに話しかけた。

「何が?じゃねーよ。リン、今朝からなんか変だぞ。」

そう。今日のリンは、いつもより元気がない。

その理由は夜中に見た〈夢〉だ。レンがリンを置いていなくなってしまった夢…。

その夢を見てから、リンはずっと心配でよく食べるはずの朝ごはんも今日はろくに食べていないのだ。

「そんなことないよ。いつも通りだよ。ね?」

リンは、レンに夢の事を悟られないように無理やり笑顔を作って見せた。

「今日の夢でなにかあったのか?」

ビクッ・・・

でもその笑顔は、レンには通用しなかったようだ。

今まで何かあったら使ってきた得意の作り笑いが、レンに見破られてリンは動揺した。

「その様子じゃ、図星だな。」

そんなリンの様子を見て、レンは続けた。

「なにがあったんだよ。」

「な…なにもないよ。はは…いやだなぁ、レン。いつも通りなのに変なの…。」

リンは一生懸命ぎこちない作り笑いを続ける。

でもレンにはやはり通用しなかった。

「変なのは、リンの方だろ。何があったのか、俺に教えるくらいしろよ。」

レンがリンに近づこうとした時だった・・・

「何もないって言ってるでしょ!!レンには関係ないんだからほっといてよ!!!!!」

教室は、リンの声で静まり返った。

ハッ・・・!

リンは我に返ったのか、とっさにレンを見た。

「そうだよな。リンと俺は本当の姉弟じゃないもんな。わるかったな、変な世話焼いて…。」

レンは俯いていたが、すぐに顔を上げて笑いながらそう言った。

それを見たリンは

「違うの!そうじゃなくて…ッ!」

「あー…俺、ちょっと体調悪ィから1時間目休むわ。それじゃ…。」

リンの弁解もむなしく、レンはそそくさと教室を去っていった。

今のリンには、教室を去っていくレンの背中を眺めながら、呆然と立ち尽くすことしか出来なかった。

 

 

「関係ない…か…。」

教室を後にしたレンは、リンの言葉を思い出していた。

「あれ?レン??」

そんなレンに1人の男子生徒が声をかけた。

「どうしたんだ?リンは一緒じゃないようだし…なにより、中等部はもう授業始まる時間だろ?」

「あ…カイ兄。」

レンに声をかけたのは、高等部生徒のカイトだった。

カイトは、リン・レン・ミクの住んでいる家のお隣さんで、リンとレンが困った時はいつでも相談に乗ってくれる、いわば優しいお兄さんのような存在だ。

「リンと喧嘩でもしたんだろ??」

カイトは、レンのおでこをつつきながら言った。

「そんなもん…かな。」

カイトはレンのおでこをつつくのを止め、図書室に行こうと誘った。

「え?でもあそこ今は本の整理をするから立ち入り禁止なんじゃ…。まさか、また忍び込むの!?カイト兄さんは悪いことをよくする人だな。」

レンは持ち前のよく動く口で、揚げ足を取るようにカイトに言ったが、カイトはまったく気にしていないようだ。

そればかりか

「いいんだよ。立ち入り禁止中で誰もいないから話すのには持って来いだし。てか、授業サボってる奴には言われたくねーな。」

と、逆に笑いながらレンの痛いところを付いて見せた。

「うっ…。」

さすがの年の割りに…いや、そういう歳なのかは知らないが、普通の大人よりは口が達者なレンも、カイトには負けるようだ。

「まぁ、そういうことだから図書室に行くか。」

2人は、先生にばれないよう、周りを警戒しながら鍵が開いていた窓から図書室に入った。

 

(・・・なぁ、リン。俺はリンの事を何も分かってなかったのか…?)

説明
遅くなりましたが、「2人〜リン&レン〜T」の続編です。
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