いっ奇なり モテ期 |
今朝、懐かしい夢を見た。
私が高校2年の夏だったと思う。バレーの合宿で顧問の先生の実家に行った時に
迷子の女の子を家に送って行ったことがあった。
別れ際、女の子は私に何かを聞いてきた気がする。
質問は忘れてしまったけれど、とても真剣な表情が印象に残っている。
「10年経ったらまたおいで、そしたらいいよ?」
私はどんな質問にそう答えたのだろう??
女の子の名前は確か…フウぴぴぴぴぴぴぴp!
目覚ましがなった。朝である。
会社に行く準備をする頃には、夢のことなどすっかり忘れてしまった。
夕方、今日はいつもより早い時間に退社。今夜は友人の結婚パーティーに参加する。
今回のパーティーは、友人たる新郎と、その若き伴侶の親しい人たちを招いたものになる。
受付で名前を言う。
受付には高校生位の女の子が居た。新婦のご家族だろう。
「七海 奏です」
「はい、・・・七海 奏、綺麗なお名前ですね・・・っ!」
顔を上げ、私の顔をみた少女はなぜか目をパチパチさせていた。
「えと…」
「おぉ〜〜奏!来たか!!」
どうしたものか、固まっていると、本日の主役、私の友人、新郎がやってきた。
「おめでとう」
「おう!ん?どうした?なんかあったのか?」
「ん?いや、なんでもない」
「そうか、それじゃ、中に行こうぜ、皆もう来てるぞ」
パーティーはとても楽しいものであった。新婦の知り合いはほとんど知らなかったけれど
大学時代に戻ったようであった。
私達は大学を卒業し、就職して、友人が結婚した。嬉しさ反面、独り身のわが身を思う。
いつか夢見たバラ色の生活、彼女。しかし残念ながら、高校以来彼女はいない
大学時代はとにかく山登りに夢中で、色恋沙汰は正直二の次にしていた。
あいつと自分の違いは何なのだろう、幸せそうな新郎の横顔を見ながら思う。
今年で社会人3年目、そろそろ仕事にも慣れてきたし、周囲は結婚の話もちらほらだ。
宴もたけなわになり、そろそろ二次会の会場に移動するかという時間帯になった。
残念ながら明日はどうしても外せない用事があるため、自分は帰らなければならない。
もう一度新郎新婦に挨拶に行く。
こんな奴だけれども宜しくお願いします。
「こんなやつとはなんだよ〜、はっはっは、焼くな焼くな。」
「そういえば奏、おまえはどうなの?」
幸せいっぱいの友人が聞いてくる。無言で首を振る。
「そうか、それは〜それは良かった!」
なにが良いものか、少しムッとするが、まあ今日ぐらい許してやるか。
「それじゃ、また、今夜は学生時代に戻った気分でした」
「俺もだよ。今度家に飲みに来いよ!な」
「おう!」
帰り道、ホームで電車を待つ。
そういえば、去り際、新郎新婦はやけに、笑顔で手を振っていたような
ま、二人とも酔っていたからな。
携帯電話を取り出す。メールは特に無し。
時刻表を見る。電車はあと2、3分か…
帰ったら明日の用意だな…と思っていると
「あの…」
後ろから私の名を呼ぶ声がした。誰だろう?
振り向くと少女と目が合った。高校生だと思う。可愛い。
見たことがあると思ったら、受付に居た子ではないか。
「あなた・・・七海 奏さん?」
「はい・・・そうですけど・・・?」
「高校生の頃、萩森の旅館で合宿していませんでしたか?」
「萩・・・あぁ、確かコーチの実家がそんな名前だった気がっ!!」
言い終わる前に身体に衝撃!
「〜〜〜〜っ!!見つけた!!」
「え・・・って〜〜うわっ!!」
少女は満面の笑顔で私の首に抱きついてきて言った。
「10年経ちました!私との約束覚えてますか??」
固まって動けなくい私に向かって彼女は続ける。
「私を彼女にして下さい」
説明 | ||
今年で社会人3年目、いつの間にか彼女居ない暦2桁に到達してしまった主人公、七海 奏(ななみ かなで)は、出席した友人の結婚パーティーで、10年前の約束と邂逅する。 昨日までの自分とはさよなら、いつの間にかドロドロの○角関係に発展してしまう、モテ期到来らぶコメ、ここにスタート! |
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