真・恋姫†無双〜黒衣の剣士〜

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第一幕

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　拾肆　〜黒と白〜

黄巾党との第二戦が始まり既に２時間。

二戦目の先陣を勤める袁紹軍・袁術軍は、黄巾党を押していた。２万５千対５万。黄巾党の二倍にもなるその数で圧勝とはいいがたいものの連合側有利な戦いを繰り広げていた。

黄巾党の残りの数が１万を切ろうとしていた時、一人の男が現れた。

そして、５万いた袁家の兵たちが次々と数を減らしていった。

袁紹「ど、どういうことですの！？」

悲鳴を上げながら後退する兵たちをみて、袁紹さんが驚きを見せていた。

？？「弱いな・・・袁紹よ！」

袁紹さんの目の前にただ一人で５万の兵を壊滅に導きかけている男が姿を見せた。

その男は白い外套纏い、顔には仮面。手には信じられない武器を握り締めていた。

亮「袁紹さん、後退してください！」

僕は前線の騒ぎを聞きつけ、僕は腰につけている紫電と紅蓮に手をあてながら男と袁紹さんの間に立つ。

袁紹「文醜さん、顔良さん！一端引きますわよ！！」

袁紹さんが素直に引いてくれたのは驚いたが、そのほうが被害が少なくて済む。撤退する袁紹軍を見送った後、僕は男と向かいあう。

亮「貴方は一体？」

？？「わが名は北刀。漆黒の闇を切り裂く光なり！」

手に持っていた信じられない武器”日本刀”を構え、名乗りを上げた。

亮「僕の名は藤崎・・・藤崎亮だ！」

仮面の男は体を落としたかと思うと凄いスピードで僕の方へ跳んできた。

ガキィィィィィィィン！

とっさに紫電を居抜き、気の膜を刀身に張り男の刀を受け止める。

？？「よく受け止めた。褒めてやろう！」

亮「アレくらいであれば反応できない速度じゃない。」

キィィン！

紫電で男の刀をはじき返す。そしてその刹那、僅かな隙が出来た男に左手で紅蓮を抜刀し切りかかる。

ガキィィィィィィィン！

男は躊躇泣く腕でソレを防いだ。だが男の手からは血が一滴も流れず、激しい金属音が響いた。

亮「なに！？」

切れた服の間から見える銀色に光るそれはまさしく手甲だった。

？？「隙だらけだぞ！」

亮「グハッ！！」

驚いて隙を見せてしまった僕に男は蹴りを入れてきた。

亮（やばいな・・・後ろに岩が・・・）

さすがにこの状態で岩に直撃したらただじゃすまないな。

一瞬、覚悟を決めそうになった。

ぼふっ

あれ？岩に直撃・・・してない？

？？「大丈夫ですか！？ご主人様！！」

岩にぶつかりそうになったところを愛紗さんが間一髪受け止めてくれた。

亮「ありがと、愛紗さん」

愛紗「いえ、家臣として当然のことです！！（///）」

愛紗「しかし、ご主人様。あの仮面の者は・・・。」

亮「わからない。だが、彼は僕と同じ刀を持っている。やっかいな相手だ。」

愛紗さんに起こしてもらい、紫電と紅蓮を構えなおす。愛紗さんも青龍偃月刀構え、仮面の男と対じする。

？？「おやおや、二対一ではさすがに分が悪いな。ここは引かせてもらおうか。」

仮面の男が腕を高く振り上げ、振り下ろすとまばゆい光があたりを包んだ。

愛紗「な・・・なんだ！？」

亮「くっ、閃光弾か・・・」

目が見えない状態だが、男の気配が近くに迫るのを感じた途端、

？？「彼女たちを幸せにしてやってくれ。」

一言、仮面の男が僕の耳元で囁いたと思うと、その気配が消え去った。

亮「一体・・・なんだったんだ？」

仮面の男の姿はすでになく、辺りには黄巾党の賊たちと袁紹軍の兵士たちの死体だけが広がっていた。