真・恋姫†学園〜新たなる外史の青春演技!?〜現代講座とそれぞれの因縁 |
前日の慌ただしい夕方の後、風呂にも入らず全員は就寝。
部屋割で、誰が一刀と寝るかで色々と揉めた。
この相談に一刀は外された。
それぞれの勢力から一名が代表として一刀と寝ると言う事が最初に決まるや否や、それぞれの勢力で話し合う。蒼燕と美雄はもちろん抜きでだ。結果としては華琳と桃香と蓮華と言う三人の王に決まった訳だが、その方法がじゃんけんでしかも、結果がこれなのだ。
そのじゃんけんでも、一部の者は不参加という雰囲気を醸し出していたが、無理やり参加させられたり、説得させられたりと、様々の方法により渋々と言った感じで結局は全員が参加した。
例えば、魏では桂花が華琳に一刀と寝ることを反対したとき。
「なら、私に勝ってあなたが一刀と寝ればいいじゃない。そうすれば、私と一刀が寝ることにはならないわ」
その一言に、究極の選択を迫られた桂花。華琳様を負かすなど恐れ多いと言う気持ちと、華琳様をあの男と一緒にしてはならないと言う使命感。しかし、男性恐怖症なうえに一刀のことが気に入らない桂花にとっては同じ部屋にいることなど耐えがたい状況だ。
桂花の苦痛にも似た表情を華琳が微笑みながら見ていたところを見ると、これは彼女の策だと言うことに一刀は遠目から見ていて気付いた。
その相変わらずの趣味と、手腕に半ば感心していた。
結果としては、華琳の勝利に終わった訳だが、最後の最後まで桂花は思い悩んでいたようでじゃんけんを出す時にも、躊躇っていたような感じであった。
そうして、いざ寝るときになるがもちろんタダでは寝させて貰えず、一刀は三人を同時に相手にしてから寝る事になった。
そして、東に明るみが出始めたころと同時に一刀は、眼が覚める。
両脇には、三人の少女が無防備な格好で寝ている。体を上半身だけ布団から起こしその様子を見下ろた一刀は静かに微笑んだ。
ちなみに部屋に入るとそれなりに広い部屋で、二段ベットが二つと勉強用の机が四つ。このとこから、四人部屋であることは察しがついていた。
部屋に入るや否や、やはり真っ先に目につく二段ベットが珍しく、これは何かと質問をされた。普通に寝台だと答えた後に、なぜ二段なのかと言う事を聞かれた時には少し驚いた。だが、少し考えて間取りをあまり取らないようにするためだと説明するとすんなり納得してくれた。
この時に、一刀はこう言う当たり前のことをなぜ?と質問されるのかと胸中で思いながらこれから日常で目につく物について、出来る限り調べておこうと思った。そんな矢先、桃香がわざわざ敷いてある布団を二段ベットから下ろして再び床に敷いているのを見て、疑問に思い一刀が尋ねると。
「だって、こうしないと四人一緒に寝れないでしょ?」
そう言って、桃香は微笑んだ。
その後、華琳と蓮華が
「……まったく、こういう時だけ気がきくんだから」
「……桃香」
と二人して照れたように言った。
その時に一刀は言葉の意味を理解する事が出来なかった。
しかし、その時点で華琳と蓮華はとっくに理解したようで桃香の隣に布団を移し始める。
それから、三人が布団で横になり一刀を誘惑するような仕草をする。そこでようやく、一刀は言葉の意味を理解した。
「来て、ご主人様♪」
桃香が仰向けになって両手を一刀に挿し伸ばし、受け入れる体制になったところで夜の営みは始まりを告げたのだった。
昨日の事を思い出しながら、部屋を見渡す。そして、寝ている三人を起こさないよう静かに布団から抜け出ると静かな足取りで窓へと向かう。
すると、いくつかのビルが乱立しているのが見えた。
その事を確認すると、戻って来れたんだなと言う実感が朝日の温かさ共に徐々に感じ始めるが、春先だからか、朝日を浴びていても少し寒かった。
「ちょっと、寒いな」
そう一人呟くと近くに脱ぎ散らかしてあった上着とシャツを手に取り、着始める。
なるべく衣服の擦れの音も出ないように慎重に着る。
「ん〜……」
なんとも眠そうな声が、静かな部屋に響く。それに一刀はビクリと、肩を震わせた。
起こしたか?そう思い、振り向くが蓮華が寝返りをしただけのようで一先ず安堵する。泥棒な訳ではないが、気持ち良さそうに寝ている人を起こすのはやはり気が引けると言うものだ。
蓮華が寝返りを打つ事により掛け布団が少しずれてしまい、全体的に寒そうである。すぐさま、一刀は起こさないよう三人にちゃんと布団が掛かるように直す。
その後、ドアに手を掛け静かに引き廊下に出る。廊下に出て、三人がちゃんと寝てるのをドアと壁の間から確認しドアノブを捻ったまま閉じた後、彼は静かにドアノブを戻した。
向かう先は中庭の様なところ、この留学生用の寮と言う彼女達の住まいとなるところは全体的に凹の形になっているようだった。凹のヘコんでいる部分が中庭だとすると、その反対側が昇降口である。
廊下を渡り、二階から一階に続く階段を降り、中庭で続くであろう方向の廊下を渡り、中庭に辿り着く。
別に、これといった意味があって中庭に向かっている訳ではなかった。ただ、本当に帰って来たという実感をもっと感じられるかもと思い、外の空気を吸いに行ったのだったが、中庭に近づくにつれて何かの金属音が響く。
こういう音を聞いて思い出すのは誰かが誰かと鍛錬をしていると言う構図だ。世界を越えてもやはり武人は武人だと言う事だろうか、そう言う風に一刀は結論付けて中庭に到着する。
てっきり、愛紗とか凪あたりの真面目な子が鍛錬をしているかと思った一刀の予想は外れた。
「また、少し鈍ったんじゃありません?」
そう言いながら、右上から左下に大きく斬りつける動作で左腕の剣を振り下ろす蒼い髪の少女。官渡の戦いのとき、曹操こと華琳へ降伏しようとした際にこちらへ飛ばされてきた魏を代表するはずだった五将の一人。張?であり、真名を蒼燕と言う。
「別に、誰かを守るくらいには充分で、しょ!!」
その斬撃を紙一重で躱(かわ)し言い返す様に台詞の最後で気合を入れた槍を腹に向けて突き出す明るい赤い長髪の少女。しかし、蒼燕の右手に握られた剣が逆手へと素早く変わり槍の行く手を阻む。まるで、サトウカエデのような三つに分かれた刃の間に剣が入り込んでいる。
槍が止まったその瞬間を見逃さず、左手の剣で彼女の頸を横に一閃する。
が、その剣は空気を斬る。
理由は彼女が背中をのけ反らせて躱したからだ。なかなかに体が柔らかいようで腰の位置まで頭が下がっている。躱した直後に彼女は顔を上げて右手を残して槍の腹を蹴り上げた。
逆手に持っていた彼女の剣の鍔に槍の刃が引っ掛かり勢いよく上空へと弾かれる。その瞬間、蒼燕は素早くバックステップして距離を取りながらもう片方あった剣を彼女へと投げた。
「おっと!?」
驚きながらも、彼女は槍で軽く上へと剣を弾く。そのまま小さく回転して彼女の頭の少し上くらいまで行き、そこから停止したかと思うと重力に引かれて落ちる。
上に右手を伸ばして、剣を見る事なく柄を確実に掴んだその一連の動作は鮮やかであった。
先程飛ばした剣が彼女と蒼燕の距離の中間辺りに突き刺さると、再び会話を始める。
「今ので大体分かりました。やはり、貴方の腕は鈍ってます」
いきなりの辛辣な蒼燕の言葉だが、赤い髪の少女はにこやかにその言葉を受け止め尋ねる。
「それって、どのくらい?」
「自分と初めて会った時の全力を十とするなら、今は八です」
「まあ、大丈夫でしょ♪」
左手に持った槍で肩を軽く叩きながら彼女は笑みを浮かべる。
「美雄(メイション)の武の才から考えたらの話ですけどね。その気になれば、孫策様と張り合えるんじゃないんですか?」
美雄と言う真名を呼ばれた少女、彼女もまた呉では重要な将となる人物であった凌統である。
蒼燕の問いかけにう〜ん、と思案顔をしたあと、
「それは、やってみないと分かんないや。それに、鍛錬するもしないも僕の自由でしょ?」
そう言いながら、地面に刺さっている剣の方に向かう。
「確かに自由ですけど、実力はいつも最高でいた方が良いはずです」
「まあね」
そう言って、右手で剣を地面から抜き今度はそのまま蒼燕に向かって行く。
そして、美雄は彼女の前に立つと右手に握った二本の剣を彼女に渡す。
「全力は?」
蒼燕が美雄から剣を受け取り両手にしたところでそう問いかける。
「にはは……いいよ」
苦笑いで美雄は答える。
「遠慮は要りませんよ?」
「いいって、観客もいるし危ないかもしれないよ?」
どうやら、一刀の存在に気付かれていたらしい。
そして、彼を心配する事を口実に遠慮する。
「彼なら、大丈夫ですよ」
「確かにそうだけどさ……」
その言葉に一刀は疑問に思った。
だが、その疑問を問いかける間もなく彼女達の会話は続いていく。
「ところで、さっきいいって言いましたよね」
「……あ」
そう言ったところで、美雄はしまったと言う顔をした。
先程の「いい」を肯定的に捉えられてしまったのである。
勿論、それは蒼燕の言い様であり態(わざ)とである。
このままでは、第二ラウンドに突入されてしまうと察した美雄は槍を持ったまま身振り手振りで大袈裟に弁明する。
「姉さん……さっきの『いい』は、遠慮の意味であって。受けて立つの意味じゃないからね?」
「武人である手前、一度受けた勝負を断るのですか?」
そう言われた以上、武人としての誇りを出さない訳にはいかなかった。
痛いところを突かれたとばかりに、美雄は涙目になる。
「………姉さん狡い」
「以前言ったでしょう?断るならハッキリ言いなさいと」
「うぅ…姉さんのばかぁ」
その言葉を受けながらも蒼燕の表情はあまり変わらない。
むしろ変わったのは雰囲気の方。
蒼燕が両手に携えた剣を構える、と同時に殺気がにじみ出る。
一刀は、よく殺気に当てられ慣れているせいか、あんまり動じる事はなかった。例えそれが自分に向けられているモノでなくても、普通の人なら冷や汗を掻き、足が震えている事だろう。
対峙する美雄と言えば、物怖じしている雰囲気はなく、文句の一つも垂れそうな顔をしており口を尖らせては渋々と言った感じに槍を構える。
「すぅ〜〜〜…はぁ〜〜」
それが深呼吸なのか盛大な溜息なのかは分からないが、それを合図に美雄も切り替える。
相変わらず、武人の対峙しているその間の空間は殺気と闘気が入り混じって、渦を巻いているようである。
一刀は危ないかもしれないと言う、美雄の言葉を思い出して、もう少し離れる事にした。
一刀が適当な距離まで離れて、再び彼女達を見るとまだ、お互いに睨み合っているようだった。その間にも朝日は徐々に昇っていく。
朝日が充分に体に当たり全体を温め始めたころに、変化が訪れる。
美雄が構えを解き、体を弛緩させるように力を抜く。まるで、どこからでも攻めと来いと言わんばかりの行動に一刀は首を傾げた。
「兄様〜!」
目の前の事が気になり、思案に耽(ふけ)っている最中に唐突に後ろから声がする。
この声はと、一刀は予想できる人物の顔を思い浮かべながら振り向くと、その予想通りの人物が走って来た。
「兄様、おはようございます」
そう言って、挨拶をするのは典韋こと流琉。
一刀は振り向きざまににこやかに笑顔を向けて返事をする。
「ああ、おはよう。相変わらずの早起きだね、もうそろそろ皆も起きてくるころかな?」
そう言って、さり気なく頭を撫でる。
「そうですね。それで、きっとお腹を空かせて起きてくるでしょうから早めに食事の支度をしようと思ったのですが……」
擽(くすぐ)ったそうにしながら話を続けるが、流琉は困ったような表情を浮かべてはすぐに話が途切れた。
思ったのですが…そこから先、何を言おうとしたのか一刀は寝ぼけた頭で考えて、察する。
「あ〜、そっか。こっちの世界の厨房に見慣れないものがたくさんあるから、朝の支度が出来ないのか…」
一刀のその言葉は、的を射ていたようで流琉は静かに頷く。
「すみません。御手間をお掛けして」
シュンとした感じで彼女は謝罪する。
「いや、分からない事だらけなんだから謝る必要はないよ。それでもちゃんと作ろうとしてくれた流琉は偉いよ」
そう言って、より一層撫でてやるとなんだかむず痒そうに体をモジモジと動かし頬に朱がさしていく。
撫でていた手を離し、一刀は思いついたとばかりに未だ対峙している彼女達に向き直る。
「そうだ。彼女達にも手伝って貰った方がいいかな?」
名残惜しそうに一刀を見つめるが、流琉は言わず一刀の背中から顔を出す様にして彼の視線の先を追う。
「あれって、蒼燕さんたちですか?」
「あれ?もう、真名交換したんだ」
少し驚きながら自分の背中から顔を出す流琉に目を向ける。
「はい、まだ凌統さんとはしていませんけれど……お二人は鍛錬中みたいですけど、凌統さんはなんで構えを解いてるんです?」
さすがは、流琉も魏を代表する一角の武人だけあってすぐさま目についたようだ。
「うん。さっきそれについて考えてたんだけど、流琉は分かるか?」
「いえ。でも、隙がないって言うのは何となくですが分かります」
「構えを解きながらも隙がないか…」
そう一人、呟きながら一刀は再び対峙する二人に注目する。
こう言う時に、武に覚えのある者が解説してくれると何かと助かる。一刀自身、剣術を習っているのだから全く分からないと言う訳でもないが。
そんな事を考えていると、再び変化現れる。またしても動いたのは美雄。
彼女は先程の体を弛緩した状態から素早く動き、その場で槍を投げる構えを見せる。
蒼燕はそのまま少し力を入れたように構える。その瞬間、体を弓のように引き絞った美雄が矢のごとき速さで槍を投げる。
投げられた槍を見るや否や、蒼燕はそれを迎え撃つように走り出す。当然、彼女はそれが当たらない位置で走るが彼女の右側を槍が過ぎようとしたときに、何故か槍が空中へと飛ぶ。
おそらく、右手に持った剣で上へと弾いたのだろう。
槍が空中に飛ぶと同時に、彼女はその槍を取りに行くように自らも跳躍。
見事に槍を掴むと、お返しとばかりに空中で美雄に向けて槍を投げつけた。
一方の美雄は、蒼燕が跳躍する前にどこからともなく取り出したもう一本の槍を片手に持つと同時に走り出していた。
そして、槍が飛んでくるのを確認すると歩幅を少し短くし、速さを少し緩めた。だが、それは素人の目にはあまり分からないような変化だった。それを見ていた一刀でさえ、速さが変わったようには見えなかった。
本来なら、槍に当たると思われていた速さなのに彼女の目の前に突き刺さった。
地面に少し斜めに刺さった槍の石突を彼女は足場として活用し跳躍。
槍を頭の上で回転させながらそのまま、蒼燕の元へと跳んで行く。
「そーーーーれっ!!」
そう言いながら、回転させていた槍を振り下ろす。
「くっ!」
空中では流石に躱しようがなく、蒼燕は振り下ろされる槍を二本の剣で防御した。
重力と重なり下に力が掛かる事によって、結構な速さで落ちる。
「もう一つ、おまけだよ!」
そう言って、追い打ちを掛ける様に地面に落下する蒼燕に向けて槍を投げる。
容赦のない攻撃。
だが、蒼燕は無理やり体を捻り空中で回転し自分に飛んできた槍を弾く。
「姉さん、器用だね」
その様子を見た美雄は感心するように言って、落下する。
回転しながら、一足先に蒼燕は右手と大きく開いた両足を使って着地したあと、言い返す。
「よく言いますよ」
そう言いながら、すぐさま両足だけで立つとすばやく腰にある四つの鞘の中にある内、剣が収められていた残りの二本と左手に元々持っていた剣を指の間に挟む。
それはまるで左手に鉤爪を装備しているように見える。
「うわあ、まずい……」
美雄はその一言呟きながら落ちて行く。下には蒼燕が武器を構えて待っているし、今彼女の手には武器がない。
確かに彼女の言葉通りまずい状況だろう。
そう思っていたが矢先、またしても彼女の手に槍が握られている。
これで三本目、どっから出してくるんだと思いながらも戦闘には眼を離さない。
一方蒼燕は、美雄が落ちてくるのを待ちかまえている。いま、美雄が持っている槍を投げても躱されたり弾かれたりしたらそれで終わりだ。
だが、彼女の決断は早く三本目の槍を自分の真下に投げ、地面に真っ直ぐ突き立つ。そして、すぐさま四本目の槍がまるで手品のように出てくる。
「本当に、どんだけ槍あるんだよ」
さすがに思わず一刀は突っ込んでしまった。
だが彼女の身長ほどもある槍が四本も出てくれば、突っ込むなと言う方に無理がある。
「服の中に隠してるんじゃないんですか?」
そう言った流琉の真面目な解答に一刀は改めて気がついた。
「(そう言えば、みんな何処からともなく武器出してくるよな……華琳の武器も服のどこに隠すスペースがあるんだと突っ込みたいほど、手品見たいに出してくるし…)」
この件には、あまり深く考えないでおこう。
一刀はそう思った。
一方の美雄はというと先程の地面に刺さっていた槍の石突に石突をかち合わせる。合わせた槍は、ずれる事もなく一本の槍のようにして繋がる。そして、美雄は槍から両手を離さず、と言うか腕を伸ばし両手だけで浮いている。
まるで、大道芸だ。
一刀は正直にそう思った。
これにより、彼女は地面に着く事もなくまた剣の間合も外だ。しかし、その止まった瞬間を蒼燕が見逃すはずもなく追撃を掛ける。
美雄のほぼ真下から蒼燕の刃が突き出されてくる。
「容赦ないなあ、っと!」
最後の台詞に力を入れると両手に力を込めて再び宙に浮く。
そのまま五本目の槍を取り出すと、空中で大きく振るう。
「やあっ!!」
槍と剣では当然リーチの差がある訳で蒼燕の剣が間合に入る前に槍で払う。
そして、そのまま美雄は鳥の羽のように柔らかい感じで着地。
「もうそろそろ、終わりにしない?」
「同感です」
そう言ったところで蒼燕は構えなおし、美雄もう一本槍を出す。
これで六本目だが槍については、もう一刀は気にしない。
お互いに睨み合い、最後の攻撃とばかりに蒼燕が今度は攻勢に出る。
そこからは、激しい剣と槍の斬撃の応酬だった。
蒼燕が剣の間合で突こうとすれば、美雄は後退し槍を器用に使って剣の突きを大きく円を描くように誘導し、その方向を狂わせ、すかさずもう一方の槍で突こうとする。
しかし、蒼燕も許すはずがなく剣で弾き、袈裟斬りを繰り出そうとするが美雄の槍に阻まれる。
心身一体の攻防。
暫く打ち合っている内に、お互い武器が弾き飛ばされ槍一本と剣一本になりそれでも打ち続ける。
蒼燕が足払いをして、美雄はそのまま頭が下になったが片手でばく転をして持ち直す。
が、その時には自分の頭上に振り下ろされる剣。
「くうう!」
咄嗟(とっさ)に槍を横に頭の上に掲げて力を込めて防御の体勢。
思い切り振りおろされた剣は何故か防御をしていた槍に弾き飛ばされる。
だが、蒼燕は美雄の腹に潜り込むようにその身を滑り込ませた。
その瞬間、美雄はしまったと思った。防御で力むあまり、硬直したのを漬け込まれたのだ。
ドスっと言う、鈍い音がしそうな拳が美雄の腹に決まる。
「がはっ!?」
そのまま彼女は膝をつき、対する蒼燕は先程上に弾かれた剣に手を伸ばし柄を握ると彼女に切っ先を向ける。
「勝負ありですね」
そう、蒼燕は言うが美雄はそれどころではなさそうだ。
「げほっ……ごほ…姉さん割と本気で、殴っ、た」
途切れ途切れで言った美雄は本当に苦しそうである。
「ちょっと、様子を見に行こうか」
「はい!」
さすがに膝をついた美雄が心配になった一刀が、隣に居る流琉に提案する。
彼女が元気よく返事をしてくれたあと、割と足早に彼女達の元へと向かう。
「あー、大丈夫か?」
二人の元へたどり着いたと同時に出てきたのは、美雄を心配する一刀の言葉。
そんな、彼の言葉とは裏腹に美雄は大丈夫そうじゃなかった。
「あの、大丈夫ですか?」
流琉も一刀と同様の言葉を投げかける。
が、結構苦しそうに腹を抱えたまま、また途切れ途切れの言葉。
「全然、大丈夫、じゃ、ない」
「悪かったですよ。少し、気合を入れるつもりでやったのですけどね」
そう言いながら蒼燕は剣を鞘に戻したあと膝を付き、彼女を正面から抱きかかえるようにすると背中をさする。
「もう、ばかぁ…けほっ!」
最後に咳き込むと彼女は蒼燕の服を憎たらしそうに掴む。
服を掴んだ手に力が入るのを感じて蒼燕は再び許しを請う。
「姉の愛と言う事で許して下さい。自慢の妹なんですから、強くあって欲しいんですよ」
その言葉に美雄はズルイと思った。
そんなこと言われて、許さないと言えるはずがなかった。
が、このまま丸めこまれるのも美雄は面白くなかった。
「じゃあ…背負ってくれるよね?」
上目遣いに問いかける。
一刀はその仕草にドキリとしそうだったが堪える。
「背負うのはいいですけど、調子には乗らせませんよ」
背負うこと自体には了承してくれたが、その先の事を予想しているとばかりに釘を刺された。
「なにも、そんな風に釘を刺さなくても―――」
いいのに。と言う言葉を前に蒼燕が言い放つ。
「こう言う風に言っとかないと、貴方はすぐに調子に乗ってあれもお願い、これもお願いと言いますからね。保険ですよ」
その言葉に、何の反論もできず美雄は唸る。
これ以上なにか言おうものなら、ごねそうだった。
引き際を見たのか、背中をさすり終えたとばかりに反転し背中を美雄に向ける。
「ほら。背負って欲しいなら早く来なさい」
そう言って催促する。
諦めたように彼女は彼女の背中におぶさる。
「…誰が人の胸を掴めと言いましたか?」
「ん?掴むほどの胸もないじゃん♪」
「降ろしますよ」
「分かった、分かったから怒らないで」
「この程度で怒る訳ありません。袁紹軍にいた時はよく怒ってましたけど」
そのやり取りを聞いていた一刀と流琉は何故か可笑しくて、はにかむように笑ってしまった。
「仲が好いんですね」
流琉は笑った後、素直な感想を述べた。
張?と凌統が兄弟もとい姉妹の契りを交わしていたとなれば、歴史としてはさぞかし珍しい事だろう。
「あの世界にいたと確認出来るのが自分と美雄だけでしたからね。二人で協力せざるを得ないですし、仲も良くなるでしょう」
流琉の言葉に蒼燕は微笑みながらそう答えた。
確かに、一刀たちが来るまでは彼女達二人だけでこの世界で暮らしていたのだ。
その上、世界を越えているのだから知り合いがいる訳でもない。
多分、彼女達が来た時には俺たちの何倍も苦労した事だろう。
だが一刀は、そう考える前に彼女の微笑みが意外なものに見えた。
「そんな風に笑うんだ」
と、一刀が言葉に出したところでしまった、と思ったがもう遅い。
彼女は少し、ポカンとした顔をしたあとすぐに呆れたような顔を向ける。
「意外そうですね。てっきり、めったに笑わない堅物だと思いましたか?」
図星だ。
正直な話、思春の様な堅い感じと愛紗の融通のきかない感じを合わせた想像していた。
本人に言ったらどちらも斬られかねないが、それが二人の好いところだとも理解もしていた。
「兄様、失礼ですよ」
その言葉を真に受けて、流琉が咎める。
「ゴメン。不快にさせたかな?」
素直に謝る。
その言葉に、蒼燕は首を振りまたしても微笑む。
「いいえ。それで、意外な自分の微笑みはどうでしたか?」
そして、悪戯っぽく聞く。
一刀としては少々恥ずかしい質問だが、すんなりと答えは出た。
「正直な話。普段から余り笑わないような感じ見えたからかな?その反面、笑うと凄く可愛く見えたよ」
一刀は羞恥を含ませながらも蒼燕のように微笑みながら言う。
それを聞いた瞬間、クスクスと声を抑えて笑う仕草に大人っぽさを感じた。
「なるほど、皆さんが籠絡される訳です。久々に胸が高鳴りましたよ」
その言葉に『え?』とその場にいた全員が目を向ける。
前者は何か確信を得たような感じだったが、後者のことが本当かどうかは分からない。
その疑問に答える様に続ける。
「北郷さんと誰が寝るかで揉めてる時点で、予想はついてましたが」
「それってどう言うこと?」
分からないと言った風に、彼女の背中に乗っている美雄が彼女の肩に顎を置きながら尋ねる。
「つまりは、皆さん北郷さんに惚れていると言う事です。英雄色を好むと言いますが、五十人も貴方に惚れてるとはさすがに驚きです。それに昨夜は、お楽しみでもあったでしょうし」
美雄以外の二人は恥ずかしそうにしている。
もっとも、一刀の方には恥ずかしさの他になぜ分かった?と言う疑問が浮上していた。
それが顔に出ていたのか、蒼燕がぴしゃりと答える。
「なぜ分かったと言う感じですね。あれだけ貴方と寝ることで揉めたんですから、ただで寝させて貰える訳もないでしょう?」
面白いぐらいに蒼燕の予想は当たっていた。
それでも、美雄は話の意味がまだ分からないと言った感じに唇を尖らせる。
自分だけ話を置いてかれて面白くないのだろう。
「話の内容がよく分かんない……」
「貴方も恋をして見れば分かります」
「てことは、姉さん恋した事あるの?」
何気ないことを口にしただけであろうが、蒼燕にとっては重要な事であったようで、冷静で先程の会話からも見える察しの良い彼女からは珍しいであろう動揺の顔が浮かんだ。
それを確認した瞬間、美雄は悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「へぇ〜、姉さんが恋ねえ……」
弱みを得たとばかりに美雄はニヤニヤしている。
蒼燕は自分の馬鹿、と言いたげな顔をしたあと頭痛持ちのようにこめかみを押さえる。
おそらく、あの顔だと美雄はしばらく話のネタにするだろう。
そんな美雄の思惑を見通してか、蒼燕は話を切り替える。
「話すにしても後で、でお願いします。それよりやる事があるんじゃないんですか?」
忘れていたとばかりに、流琉は口を開く。
「そうでした!早くご飯の準備しないと!」
流琉の台詞に一刀も思い出したようだ。
「そうだった。早く準備しないと、鈴々や季衣が起きてきたら間に合わないぞ」
そう、鈴々や季衣と言った食欲の旺盛な子がここにはいるのだ。そんな状況になれば、流琉の料理スピードが速いと言えど流石に追いつかずてんてこ舞いになるだろう。
冷静に考えていると、一刀はもう一つ不安な事がある事に気付いた。
食糧の有無である。
そこは厨房で確認するとしても、なければ絶望的である。きっと腹が減ったやらなんやらと、文句が出るだろう。
頭の中で考えられるいくつもの状況を一刀は考えていると、それを遮断するように蒼燕が行動に出る。
「この世界の厨房については、その場所に着いてから説明します。とりあえず、自分の剣と彼女の槍を先に回収させて貰えますか?」
「あ。じゃあ、私が拾ってきます」
蒼燕が尋ねると、流琉はわれ先にと率先して言う。
そして、彼女がお願いする前に走って行ってしまった。
「せっかちですね」
「まあ、そりゃあこれから大変だろうからね。急ぎたいんだと思う」
蒼燕の言葉に苦笑しながら一刀は補足するように付け加える。
それに蒼燕は納得したような顔をすると、背中にいる少女に目を向ける。
「それはそうと、貴方も自分の武器くらい取りに言ったらどうです?形見じゃないんですか?」
「とか言って僕が取りに行ったら、歩けるなら背負う必要はないですね。って言うんでしょ」
「そこまで意地悪じゃありませんよ。そもそも氣で防御してたんですから、すでに歩けるでしょ」
「わ〜お、バレてる」
そう言うやりとりをしながらも、蒼燕は自分の剣を屈んで拾っては鞘に戻して行く。もう歩けるとは言え、蒼燕は降りろとは言わないらしい。
そして、その近くに立っている彼女の槍一本を回収する。それと同時に流琉が槍四本を持って帰ってくる。
「槍を六本も使うなんて、珍しいですね」
右手と左手それぞれ、二本ずつ持った流琉が美雄に槍を手渡すところで呟く。
そもそも、使うのはせいぜい二本だろうと一刀は思っていた。
「確かにね。でも、実は一つになったりするんだけど。……それはまた今度でいいや」
美雄の言葉に一刀と流琉は「へぇ〜」と感心していた。どう言うカラクリで一つになるんだろうか?と疑問に持つ事は当然だろう。
言った後は、彼女の袖の中に――――。
「って、待て!」
一刀は勢いよく突っ込んだ。
その突っ込みに美雄は目を点にしている。
「どうしたの?」
「いや、どうしたも何も……袖の中に美雄の身長ぐらいある槍が吸い込まれて行くように入っていくもんだから」
「それがどうしたの?」
その言葉を聞いた瞬間、一刀は「いや、いい」と言った。
さっきも深く考えないでおこうと、心に決めたばかりであった事を思い出したからだ。
一刀を逆に不思議な眼で見ていた美雄は、蒼燕の背中ですぐに槍をしまう作業に戻る。
結局、六本全部入った上に蒼燕と流琉はその奇妙な現象になに一つ突っ込まない。一刀は自分の感性がおかしいのかと思ったが、そこは自分を信じることにした。
武器をしまい終えた後、四人は厨房に向かった。
「で、こちらが蛇口です。捻ると水が出ますし、右に捻るたびに水の出る量が多くなります。ずっと捻ると何か引っ掛かる様にして止まります。この時に注意して欲しいのは、これが限界であってこれ以上無理に捻ると多分壊れますので注意して下さい」
「凄いですね。捻るだけで水や火が出るだなんて」
蒼燕の説明を受けながら流琉は感心するように頷きながら答える。
そして、蒼燕の背中にいた美雄は厨房に着いた瞬間に降りて、蒼燕と同様に分かるところを説明する。
何よりも説明を受けている時の流琉は、まるで新しい玩具を与えられた子供のように興奮した感じで目を輝かせていた。
それに、一刀は和んでしまい顔がにやついてしまう。
「一通り説明しましたね」
「そうだな、食糧も結構あるってことが分かったし」
蒼燕と一刀はそう言って、業務用冷蔵庫十台に目を向ける。
随分と食糧があった事に驚きつつも、一安心と言うところだろうか。
しかし、これらをすぐに消費してしまう面子がいると言う事に再び不安を覚える。一ヶ月これで十分かと聞かれたら、多分答えは否だろう。
「問題は消費量なんだよな……」
「あはは、季衣もそうだけど鈴々さんと恋さんも凄く食べますからね」
一刀の言葉に同意するように流琉は微笑む。
本当によく食べるその面子は料理人としては、さぞかし作り甲斐があるだろう。
「う〜ん、食糧については貂蝉さんに相談したら?何か力になってくれるかもしれないよ?」
背中を向けながら食器をチェックをしている美雄がそう言う。
頼りになるのはいいのだが、一刀は一抹の不安を拭い切れずにいる。主に貞操について。
最初は一刀自身が金銭から出そうかと思ったが、口座の残高がいくらなのか分からないのと、食費だけで残金も仕送りも消し飛ぶだろうと言う安易に予想出来る結果からだ。
黎明館で働こうかと言うことも考えたが、約五十人を賄うのに高校生の時給じゃどう考えても無理だった。
ならば、当てになる人物に相談するしかない。
仕方なく、一刀は貂蝉らに相談することに決めた。
その前に、
「腹減ったな」
食事が先だった。
それから、流琉と一刀、蒼燕と美雄の四人で朝食の準備を始める。
流琉が主に作る役で、他三人は下ごしらえと言う分担だった。この時に美雄と蒼燕の手際が良かったのに少し驚いた。
もしかしたら、この世界で暮らしている内に身に付いたものかもしれない。
そんな事を考えつつ、作業を進めているうちに続々と起床してくる。何人かは手伝ってくれたりもした。
その甲斐あってか、朝食は早く作り終わりそれなりにバラエティー豊かな朝食となった。朝食をする前に華琳と蓮華と桃香に捕まり、先に起きて置いて行った一刀に不満を各々が漏らす。
その事に詰問された一刀は苦笑いしながら、気持ちよく寝ているのを起こすのが気まずかったて旨を伝えると、呆れながら納得してくれた。
朝食を終えた後、蒼燕と美雄の二人は取りあえず女子寮に戻って荷物を取ってくるとのこと。おそらく泊まり込みで、教えるのだろう。質問や疑問を出来るだけ答えるにはそれが効率がいいと一刀は分かっていた。なにせ、日常的な物について聞かれる事が多いと思うからだ。
しばらくして、着替え用の鞄と思しき物を持参してきた彼女らが戻って来たあといよいよ教えて行くことになった。
全員纏めて教えて行くのかと思ったが、蒼燕がそれを咎める。
理由としては、全員に教えていたら疑問が全員からくることになる上に三人で一つ一つ質問に丁寧に答えていたら先にあまり進めないだろうと言うことだそうだ。
と言う事で、一勢力につき一人が付いてそれぞれで教えて行くことを推奨した。各軍師もそのほうが良いと言うお墨付き。
分担としては、魏と張三姉妹、袁紹一行が蒼燕。呉と袁術一行が美雄。そして蜀を一刀が受け持つことになったのだが、一刀は魏の組み合わせに疑問を持った。
「いいのか?華琳と麗羽を一緒にして」
仲がいいのか悪いのかよく分からない二人だが、何かとぶつかる事はあるだろう。
「競い合うように覚えてくれれば、それで無問題です。それに、彼女の性格が分かっている人がいた方が効率がいいでしょ?」
それは華琳と桂花を含めてと言う事だろう。
「私としては、御免被るわね」
蒼燕の言葉に負の感情が混ざったような息を吐く華琳。相手をするのが面倒くさいのだろう。
「全く、アレとまた一緒になるだなんて最悪よ」
華琳以上に辛辣な言葉を言う桂花は、袁紹軍に居たころを思い出して更に悪態を吐(つ)く。
その様子に苦笑いしかできない一刀は、そろそろ始めようとばかりに切り替えの台詞を言う。
「それじゃあ、始めようか」
「そうだね〜。時間もたくさんある訳じゃないし」
同意するように美雄が言ったあと、各々は担当通りの陣営を引率しに行った。
魏の場合―――。
「さて、それでは色々と教えて行きます」
とある一室、ラウンジとでも言えばいいのかそれなりに広い部屋に蒼燕以外の全員が座っている状態。
なのだが……。
「なんで、私(わたくし)が華琳さんなんかと一緒なんですの?」
「五月蠅いわよ。静かになさい」
不満があるとばかりに早速文句を言う麗羽を受け流す華琳。
「いきなりですか……」
「いつも通りですから、何も問題ないかと〜」
稟は呆れ、風はいつも通りおっとりした口調でそう言う。
「胸も肝っ玉も小さい小娘に指図されると、なんだか腹が立ちますわね」
そのとき春蘭が勢いよく机を叩き、立ち上がる。
「花顔柳腰(かがんりゅうよう)な華琳さまを侮辱するな!!やはり、貴様は一度切り捨てねばならんようだな」
「ウチとしては、春蘭がそう言う言葉を知っとった方に驚きやけどな」
春蘭がただならぬ雰囲気を醸し出す中、カラカラと霞は笑う。
ちなみに花顔柳腰とは、花のように美しい顔と、柳のように細くてしなやかな腰を持った美しい容姿の女性のことを指すたとえである。
「あ〜ら、暴力を恃(たの)みにするなんて大人げない方なんでしょう」
「減らず口を!」
そう言って、大剣を取り出し構える春蘭。そして、それに立ちはだかる影。
「おっと、姫に手を出す前にあたいと勝負しな」
同じく大剣を出し、構える猪々子。
一触即発の状況下で先に動いたのは、
「おい」
蒼燕だった。
少々、どすを利かせた言い方に思わずその場にいた全員が彼女を見る。
「もし、ここで事を構えるなら……二人とも窓から放り出す」
あまりの威圧感に思わず全員が息を呑む。
「文醜」
「は、はい!」
その威圧感のまま矛先を自分に向けられた上に、真名ではなく姓名で呼ばれたことに思わず声が上擦り、棒のように直立する。
「袁紹軍にいたときの貴方の汚点を、ここで清算しても構わないのですか?」
「え、遠慮します……」
「そうですか。なら、あんまり面倒を起こさないで下さい」
「はい……」
そう言ってとぼとぼ、と席に座る。見事な上下関係だと言わざるを得ない。
「見事なものね」
張梁こと人和が感心するように言う。
「袁紹軍の元君主がまともに人材を使おうとしないものですから、将を纏め上げる者も限られてきます。武官なら淳于瓊(じゅんうけい)殿を筆頭に、顔良と自分、文官なら田豊と沮授と言ったところですか。それはともかく、とりあえず春蘭さんも剣を引いて下さい。元君主の非礼なら自分が詫びます」
質問をされた訳でもないが自嘲するように彼女は答え、春蘭を宥める様に言ったあと、頭を下げる。
それに興を削がれたのか「うむ」と言い、剣をしまい着席する。
「ちょっと、蒼燕さん!先程から、なにを勝手な事を言っておりますの!!私が人材をまともに扱えてなかったですって!?」
間髪いれず、言い掛かりを付けてくる麗羽に対して勘弁してくれとばかりに蒼燕は額を抑える。
「実際そうでしょう。もし、貴方が人材を使いこなしていたら官渡の戦いも無様に負ける事はなかったでしょうよ」
華琳の言葉に蒼燕は額から手を離し、その通りだとばかりの視線を向ける。
対する麗羽はさらに憤慨する。
「きいぃーーーー!!宦官の孫娘どころか家臣にまで言われるなんて、袁本初の名が泣きますわ」
「既に泣くどころか泥にまみれてるわよ。これだから、頭が笊(ざる)なダ名家は嫌なのよ」
「あと家臣じゃなくて"元"家臣です。貴方が用済みにしたのを忘れないで欲しいですね」
桂花の言った事を否定するべくもなく、蒼燕は追い打ちを掛ける様に言いながら準備に取り掛かる。
斗詩はこの状況で孤立無援と言う言葉を思いついた。
日頃の行いの付けが回って来たのかなあと、胸中で呟きながら涙目になる。
「それとちょうどいいですから、最初に言っておきます。この世界での我々の立場はないと思って下さい」
何かを壁に張り付け、振り返ったあと蒼燕は言う。
しかし、いきなりそんなことを言われても大体の者はピンと来ていないと言った顔だ。
それもそうだろうと、自分に言い聞かせながら蒼燕は言い直す。
「失礼、言い方を変えましょう。自分たちが付いていた将軍や軍師、王と言った地位はこの世界ではありません。そう、今の自分たちの立場を言うなら平民ですね」
「ほう、我らが平民か」
淡白な秋蘭の答え方、それどころかほとんど全員があっさり納得している。
「随分すんなりと納得されるのですね」
「世界が違えば、私達の立場も変わってくるに決まっているでしょう?」
と悪戯な笑みを覇王が浮かべたことで蒼燕は納得した。この柔軟な思考、もとい適応力とでも言うべきものにはさすがに目を見張る。
やはり、彼女の事を聞いた時になるべく早く抜け出して旗下にでも加わるべきだったかと思ったが、それでもあの時自分はあの軍に残っただろうとも思った。
あの軍にいた彼の存在が大きかったからだろう。そう結論付ける。
「まあ、平民や言うてもいまいち実感はでけへんな」
「そこは、月日を重ねて感じてくれればいいです」
真桜の一言に補足を入れるように言う。
「では、まず地理的な所から入りましょう」
そう言って、先程壁に貼っていた世界地図を指で弾くように叩く。
ピシャと言う紙独特の音が鳴り響き、現代講座が始まる。
一方、呉では―――。
魏と同じくラウンジのような広い場所。
そこでは、いきなり妙に重々しい雰囲気が流れていた。始まりは部屋に入ってすぐだった。
「さてと、色々と教える前に僕としては聞きたい事があるんだけれどいいかな?」
そう言って、笑みは笑みなのだが敵を見る様な目を美雄がしていたことにより、雪蓮たちも真面目な顔になる。
十中八九こうなることに孫三姉妹と祭、冥琳と思春は予想していたようだ。
だが、穏と明命と亞莎の三人と他二人はその様子に疑問を持ちながらも見守っていた。
そして、現在に至る。
「美雄……思春が我が呉の陣営にいるのにはちゃんと訳があってだな―――」
「大丈夫ですよ蓮華様」
その雰囲気に耐えかねてか蓮華が、口を開く。
しかし、美雄の思わぬ一言に俯き加減な顔を上げた。
目に入ったのはまた彼女の笑顔。今度は、純粋に微笑んでいる。
「さっきから蓮華様の傍から片時も離れない上に、王の護衛についてる時点で彼女がどれだけ信用を得ているかは分かるよ」
「それじゃあ」
喜びにも近い感情で美雄に問うような眼差しを蓮華は向けた。
「雪蓮様や蓮華様、それに小蓮様が認めると言うのなら異存はないよ。ただね………」
「ただ……なんだ?」
美雄が俯き表情が少し見えなくなる。
それを覗き込むように一歩前に出ながら蓮華が彼女の台詞の続きを問う。
「僕は彼女を許さない」
「……!!」
鋭い視線と共に顔が上がった。
その言葉を聞いた瞬間に苦悶にも似た表情をして、声にならない驚きの声を上げる。
美雄の視線は思春……いや、甘寧を捉えていた。
「あの、冥琳さま……」
「言いたい事は分かっているつもりだ、亞莎。明命も同じだろう?穏も詳しくは知らなかったな」
冥琳が言いたい事は分かっているとばかりに口先を制すと、名前を言われた三人はコクリと静かに頷く。
ふぅ、と一息吐(つ)くとどこから話したものかと考える表情が読み取れた。
その表情を確認した雪蓮が彼女の横に立つと、任せてと目配せをする。
「まずはそうね。彼女が呉の将だったと言う事は、昨日言ったわね」
確認をとるような言い方に三人は「はい」と答え、もう一度頷く。
「でね、彼女の父親は私が母様から呉の意思を受け継いだ時に仕官してきたの」
「あ〜。それが凌操様なんですね〜」
思い出す様に言った穏に知らなかった二人はそちらに視線を向ける。
「穏様は知ってらしたんですか?」
と明命の問い。
「ちょっとだけですけどね〜♪祭様と雪蓮様が楽しそうにお話しされてる事から、武勇に優れた方だとは思うのですが。それ以上の事は分かりませんね〜」
「そう言えば、そんなことも話したの」
彼女が答えたあと、祭が肯定の言葉と共に懐かしげな顔をして少し微笑む。
それに釣られて、雪蓮も笑ったがすぐに真面目な顔に戻り、話を続ける。
「それじゃあ、続きね。彼の実力は、祭と互角だったわ。ただ、母様の時から仕えていた祭よりも若くして同じ立場に立ったのには、少し驚いちゃったけどね」
祭と実力が互角だった事に明命と亞莎は驚いたが、祭より若くして同じ地位に立っていてことには更に驚いた。
それだけの功績を凌操と言う人物は積み上げてきたのだろう。
「元はと言えば、袁術が劉表と言う者への進撃を我らが文台様に依頼したのが事の発端だったかもしれんな」
冥琳は美羽を一瞥しながらそう言う。
その時に自分の名が挙がった事に、思わずビクリと肩を震わせている袁術こと美羽が
「あ〜、そう言えばそんなこともあったかの…」
と、目を泳がせながら張勲こと七乃の背中に隠れる。
「そう言えば、美羽が母様に頼んだのよね。劉表を攻めろって……思い出したら腹が立ってきちゃった」
「ひぃっ!?」
今なら殺気が煙のように漏れ出しているのが見えそうなくらい、雪蓮は不快な顔をしていた。それに過敏に反応した美羽は更に七乃の背中に隠れる。
そして、時折ちらちらと雪蓮の様子を窺っている。
雪蓮が不快に思っている理由。
それは、劉表の配下である黄祖と言う人物が孫堅を殺害した。いや、正確にはその黄祖の配下である呂公が射殺したことにある。
それから、因縁とも言うべき戦いを幾度となく黄祖にぶつける事になったのだ。
「あのう雪蓮さん……落ち着いて下さいよ。私達、すっごく反省してるんですから」
美羽を庇うように七乃は弁明する。
「あ〜、雪蓮様。一応、この世界じゃどんな殺人もご法度だからね。いきなり牢獄に何年間もいたくないでしょ?」
付け加えるように言った美雄の一言で、雪蓮はようやく殺気を引いた。
「なんだ、つまんないの」
そんな事をぼやく。
「もう、姉様ってばいつもいつも血気盛んなんだから」
ぷう、と頬を膨らませた孫尚香こと小蓮が呆れたように言う。
そこから「さて」と切り替えるように再び美雄はニコニコとしながら、脱線した話を戻そうとする。
「それじゃあ、知らない人に教えてあげよっかな。甘寧はね、僕の父である凌操を殺したの」
『……え?』
その瞬間、呆気にとられた表情を三人が浮かべる。穏もさすがにはそこまでは聞いていなかったようだ。
そして、視線を思春に向ける。しかし、それは疑念ではなく信じられないと言った感じの視線である。
その視線を受けても、思春は動じない。
「クスクス、否定はしないんだ。それじゃあ……ついでだし白黒つける?」
「………貴様がそう望むのならば」
首を傾げて再び笑みを浮かべる。
その挑発的な笑みに思春は乗った。乗ったと言うよりは、どこかその事に負い目を感じているから受けたと言う風に見える。
お互いに殺気を出して、一触即発の状況へと変わる。が、即座に蓮華は二人の間に割って入った。
「二人ともやめなさい!」
「「…蓮華様」」
自分の主君の介入に二人は目を見開いて、殺気を収める。
「美雄、思春は確かに凌操殿を殺した。しかし、お前が消えてから思春がその穴を自ら埋めてくれたし、何より本当に孫呉に忠義を尽くしてくれた!だから頼む。お互いにいがみ合う……ましてや殺し合うなんて事は止めて…」
拳を握り震わせながら嘆願する。
同じ呉の仲間……家族、身内同士で殺し合うなんて事は誰も見たくないはずだ。
そんな蓮華の気持ちを第一に考える思春は、
「御意」
そう言って下がった。
一方下がらずに、真っ直ぐ眼を向ける美雄に蓮華は視線を移す。優しげな表情と共に。
「頼む、美雄。彼女を許してやってはくれまいか?」
台詞を吐いた。
しかし、
「う〜ん、ゴメンね蓮華様。無理」
意外な言葉に全員が目を見張る。
あっさりと言われた蓮華は激昂した。
「なぜだ!?」
理由を聞きたいとばかりに大声で叫ぶ。
対する美雄は、相変わらずニコニコとしたまま返答する。
「今までの彼女の功績に免じて、肉親の死を帳消しにしろって事でしょ?それに、"うん"と言えるほど僕は大人じゃないみたいだから」
「それは……」
自分の言った言葉は遠回しにそう言ったようなものだ。そこを突かれた蓮華は思わず口籠ってしまった。
「メイ!自重なさい」
諫めるように小蓮が彼女の名を呼ぶ。
それでも美雄は止まろうとする気配はない。それを見て、雪蓮は仕方ないと言った感じに冥琳と祭に目配せをしたあと、二人が頷くのを見て動く。任せると言う事だろう。
「二人ともやめなさい」
「…姉様」
妹二人は、姉の顔を見る。
厳しい視線の中に、任せてとばかりの視線があった事を見て、二人は任せることにした。
雪蓮は美雄の前に立ち塞がり、お互い真っ直ぐに見つめ合う。雪蓮は本気かどうかを確かめるため、美雄は本気であると言う事を示すために。
しかし、数秒見つめあったあと美雄は凄みのある笑みから柔らかいものへと変わっていった。それに釣られて、雪蓮も柔らかい表情になる。
その後に雪蓮が「ふぅ」と息を吐き、
「分かったわ」
そう言った。そのやり取りの真意が分からず冥琳と祭、思春以外の者は小首を傾げる。
「貴方が納得いくように、白黒つけなさい」
踵を返して言った事に蓮華はすぐさま問いただした。
「姉様!一体どう言うつもりです!!」
「どう言うつもりも何も、蓮華はあの二人の間に蟠(わだかま)りがあるままでいて欲しいの?」
彼女は髪を手で靡かせながら逆に問うた。
当然、蓮華としてはそんなつもりはないだろう。それにそんな風に聞かれて蓮華は言葉に詰まってしまう。
その隙をついて雪蓮は美雄に視線を向け、続ける。
「だからこそ、自分で納得いくように仇である甘寧と決着をつけなさい。ただし、殺すのは駄目よ。今では思春も呉の将であり、蓮華の良き相談相手なんだから」
最後の方を強調するように言った。
おそらく、蓮華を余り不安にさせないようにという配慮だろう。
そんな雪蓮の思惑を察してか美雄は眼で答える。
「皆早とちりだね〜。誰も武で白黒つけるとは言ってないのに」
半ば本気だったのは誰しも分かっていたが、彼女はおどけて見せた。それが、彼女なりの切り返し方なのだろう。
蓮華は結構真に受けていたようで、思わず怒った。
「もう!美雄、また私をからかったわね!?」
「んふふふ〜♪蓮華様が堅いだけだよ。前よりかは丸くなったかもしれないけどね」
そう言われて唸る蓮華に美雄は悪戯に微笑む。
そして思い出す様にあっ、と声を上げたかと思うと彼女は思春の方に向かっていく。
突然の行動に疑問を持ったが、誰も特に止めはしなかった。殺気がないから大丈夫だろうと雪蓮は踏んでいるが、念のため警戒はしておく。
彼女は腕が届く範囲まで思春に近づき止まり、右手を差し出す。
思春は美雄の手を少し見たあと、彼女の顔を見る。
「呉の一員である事は認めるよ。だけど、僕はまだ恨んでるしそのあたりの事は僕の納得いくようにする。だからそれまで真名を預けるのはやめておくよ。それでいいかな?」
彼女の言葉に雪蓮と冥琳と祭は少々驚き、小声で話をする。
「あら?割と冷静な対応ね」
「そうだな。以前はもっと、感情的だったと思うが」
「なあに、あ奴もこの世界にいて大人になったと言うことじゃろ」
祭の言うことに同意するようにそうかもね、と二人は言ったあとに手を差し出した美雄を見守る。
「…分かった。それまでよろしく頼む」
思春は美雄の手を取った。
その時に思春にしては珍しく眼と口を綻ばせる。対する美雄はさらにニコニコとする。
「恨んでるとは言え、険悪な雰囲気なのはあんまり好きじゃないから陽気に接するけど……大丈夫?」
「構わない。ただ、合わせろと言われれば少々困るが…」
「そこは気にする必要はないけど、構っては欲しいかな」
やり取りを見て、蓮華は一安心とばかりに息を吐く。
「それにしても、あの娘がいなくて良かったわね美羽」
いきなり話の矛先を美羽へと雪蓮が視線と共に向ける。
「ど、どう言うことかえ?」
内心未だに雪蓮にビクついている美羽は七乃の背中に隠れたまま、ちらりと顔を出して声を震わせて聞いた。
まだ雪蓮を虎か何かの猛獣だと思っているような感じである。
その様子に悪戯な笑みを浮かべながら続ける。
「だって、あの娘は私以上に容赦ないんだもん」
嫌な予感しかしなかったが、取りあえず七乃も雪蓮に恐る恐る聞く。
「えっと、それってどんな感じにですか?」
「そうねえ、祭。美雄が最初に討伐した賊の頭ってどうなったかしら?」
そう問われて、思い出す様に祭は少し唸ったあと答える。
「確か、四肢を切断したあとに虎穴に放り込んだそうじゃ」
「他には?」
「自らの美貌で店主を惑わせては窃盗を数え切れないほどしておった悪女を捕らえた時は、石の入った袋を足に括(くく)り付けてな長江に沈めておった」
話が進むたびに段々と美羽と七乃の二人の顔が青ざめて行く。
「ある者は足を抉られて、そこに熱湯を掛けられておったりもしたの……ワシの知りうる限りでは、そんな所じゃ」
「って言う感じね♪」
「なにが、て言う感じですか!?」
雪蓮の軽さと話の内容の重さのギャップに思わず七乃は突っ込んだ。
とんでもない話をさらりとしている祭も恐ろしいが、それを実行していた本人が傍にいると思うとなお恐ろしく感じられる事だろう。
実際に美羽も恐怖の対象が雪蓮から美雄へと変わりつつある。
明命と亞莎も驚きの連続で、目が点になっている。そんな中、穏は余裕がある感じで「恐いですね〜」と言いつつもあまり動じていない。
「えっと、えっと、今のお話は冗談じゃないですよね……」
真意のほどを確かめたかった明命は思わず聞いてしまった。そのあとの彼女の返答に聞かなければよかったと後悔した。
「ん〜?外道を冗談半分で殺るほど、冗談好きじゃないよ♪」
さっきから笑みがほとんどの彼女の表情が恐ろしいものにしか見えなくなった。
ここまで、きっぱり言われると苦笑いしか出来ない。
「もし、美羽さんから呉の地を取り戻す戦に彼女が参加していたら…」
好奇心からか単純に気になったからかはよくは分からないが、亞莎も余計な事を聞いてしまったと思った。
美雄の代わりに雪蓮がにこやかに答える。
「まあ多分、そこにいる二人は無残に死んでいたんじゃないかしら?」
「そうだね。ああ、具体的にどうなるか聞きたい?」
雪蓮の言葉にさらりと美雄は肯定した。
当然、二人は彼女から距離を取ろうと後退りした。そして、彼女の問いかけには大きく首を振った。
「何だつまんないの。ところでね、僕としても聞きたい事があるんだけど」
本当につまらなさそうに口を尖らせては、話を別の事に切り替えようとする。
七乃と美羽は聞かされなくてよかったと息を吐き、雪蓮は「なあに?」と言い彼女の質問に答える姿勢を取った。
「うん、みんなかず兄もとい一刀さんに惚れてるって聞いたけどホント?」
不意打ち。
まさか、いきなりそんなことを聞かれるとは思わなかったようで何人かは素っ頓狂な声を上げて頬を赤らめる。
「そうよ。特に蓮華はベタ惚れよ〜。おかげで幾分か柔らかくなったみたいだし。色んなところを揉みに揉まれて、もう一刀なしでは生きていけなくなったんじゃない?」
「ふえ〜。そうなんだ」
雪蓮はカラカラと笑う。事実を聞かされた美雄は感心するようにして、蓮華を見やった。
一方その蓮華はと言うと、二つの拳を膝あたりでワナワナと震わせている。
「ね、姉様〜〜〜〜!!」
と、叫んで拳を振り上げて雪蓮に突進。
照れ隠しである事は言うまでもない。対する雪蓮は素早く冥琳の背中に隠れて、助けを求める。
「や〜ん、蓮華が怒った。助けて冥琳」
「姉妹の戯れだろう?助けてはやらんぞ。蓮華様もいい加減慣れてはどうかと思うがな」
バッサリと切り捨てたあと、ふっと笑う。
冥琳の肩から雪蓮が顔を出して、怒る蓮華をにやけた感じで見る。そこで、何かを思い出す様な顔をして美雄に視線を向けた。
「ああ、そうだ。一刀に落とされないように美雄も気を付けなさいね」
「ふぇ?落とされるってなに?」
「それはもちろん、一刀に惚れないようにってことよ。別に惚れちゃってもいいけどね」
「恋とかよく分かんないんだけど……」
「大丈夫よ。一刀だから"初めて"でも優しくしてくれるって」
その初めてに色々含まれてはいたが、美雄はその裏にあるものに気付いておらず、きっと初めて恋をする人にも優しいと言う解釈しか浮かんでいなかった。
なので、取りあえず頷いておいた。
「じゃあ、僕も恋って言うのしてみようかな」
「え?ちょっと、美雄!?」
少し憧れのような眼差しと笑顔を蓮華に向けながらそう言った。突然の宣言に蓮華は慌てふためいた。
そして、恋の敵がまた増えてしまう予感しかその場にいる全員はしなかった。
蜀では――――。
これまたラウンジに全員がいる。
蜀の方は将が多いので、魏や呉と比べて見たらスペースに余裕はない。
「ぶえっくしゅ!!」
「ご主人様、風邪ですか?」
突然くしゃみを始めた一刀に対して愛紗が少し心配するような顔を向ける。
「いや、風邪じゃないよ。お馴染みの誰かが噂してるって言うやつかな」
「もしかしたら、恋の話かもしれないわよ?」
「あんた、まさかもう張?と凌統っていう子に手を出したんじゃないでしょうね?」
紫苑の言葉を聞いた後、詠が軽蔑の視線と共に刺々しいことを言ってくる。
「いやいや、まだ手を出してないから」
「"まだ"と仰いましたか主?」
「あっ……」
星に指摘されたがもう遅い。その瞬間にほとんどの者が溜息。
「全く、お館様も学習しませんなあ」
桔梗はカラカラと笑う。そんな事実を言われて、一刀は反論する術はなく、がっくりと項垂れる。
しかし、すぐに顔を上げた。
「えっと、なにについて話してたっけ?」
「強引に話を戻されましたね……」
朱里に指摘されて、冷や汗が少し出たが気にしない事にした。
「えっと…確か交通についてお話されていました」
人差し指を頭に置いて思い出しながら言う雛里に、そうだったとと言うことを一刀も思い出した。
「そうだったね、ありがとう雛里。それで、この世界の交通についてだけど――――――」
意外とスムーズに此方は進んでいた。お礼を言われて、雛里は少し照れていたのには多くの者が気付き、さらりとお礼を言う一刀を憎たらしく見ていた。
場所は打って変わりいつも通りの白い空間と、揺らめく景色を座って見る数人の者。
今回はいつもよりメンバーが少ないようである。
狭乃 狼(以降、狼で表記)「凌統と甘寧の因縁をここで持ってくるか……」
ほわちゃーなマリア(以降、マリア表記)「そうねえ。ところで、今回蒼(あおい)さんは?」
蒼とは、この外史の創造者であり彼らを呼んだ張本人である。しかし、どう言う訳かその本人はいない。
砂のお城「マリアさんがエス〇リボルグで護衛さんとプーすけさんごと、ピピルピ〜にしちゃったからこないんじゃないですか?」
そこら辺は、前回のサラダの絡みを参照にして欲しい。あのあと、サラダを襲っていた三人はほわちゃーなマリアにO☆HA☆NA☆SHIと言う名の肉体言語、もとい制裁を喰らったのだった。
狼「おまけに最後はレヴァン〇ィンで火竜一閃……」
牙『敵にはあまり回したくない部類だ』
狭乃 狼(はざまのろう)の左腕に装備された手甲、名前を『牙』と言う者が喋る。なんでも、自我があるらしく狭乃 狼とはよく言い争ったりもするが仲がいいらしい。
マリア「大丈夫よ。笛を三回鳴らせば飛んできてくれるんじゃない?」
狼「それじゃあ、マ〇マ大使だ」
狭乃 狼がそう苦笑いして突っ込むと新たな人物が突如として現れる。
関平「みなさん、こんにちへぅ( ゚∀゚)o彡°」
戦国「へぅ( ゚∀゚)o彡°」
『へぅ( ゚∀゚)o彡°』
傍から見ればなにこの集団と突っ込まれるだろうが、これが彼らの日常である。
戦国と関平が加わり、現在の人数は5人+一匹。
一匹と言うのは、現在ほわちゃーなマリアの膝の上で寝ている丸猫のうたまるのことである。
彼らが来た後にまたしても別の人の影。
ジョージ「ウホ( ゚盆゚)o彡°」
そう言って来たのはがたいの良いサングラスを掛けた男性。彼に向かって再び関平と戦国とやった挨拶を交わす。これで、大方初期メンバーが集まったと言うところだろう。
一人を除いてだが……。
砂のお城「それにしても、蒼さん来ませんね。いつもならここで、待ってるはずなんですが」
ジョージ「それぞれ、都合があるんだろ?あんまり気にしても仕方ない」
サングラスを親指で上げて、砂のお城に視線を向けて話す。
関平「そう言えば、ジョージさんのPC復活したみたいですね」
ジョージ「ああ、これで好きに執筆出来る」
先程、挨拶をした時から少々ご機嫌だった彼。関平が的を射ていたのか、指摘されて更に嬉しそうに微笑む。
その時に、うたまるは欠伸をしながら起きた。
うたまる「ひぁ〜。また誰か来たみたいにゃ」
そう呟いたうたまるに各々周りを見渡すが、誰もいない。
すると、突然白い空から誰かが落ちてきた。体操選手のように両手をY字に上げて見事に着地。
そして、いきなりポージングする。
森羅「俺……参上!!」
まるで仮面ラ〇ダー電王である。
戦国「森羅か」
さして、珍しい訳でもないようでクールに流した。その後にもう一つ何かが落ちてくる。それは森羅の頭上にあり、物凄いスピードである。
落ちてくるのを全員は視線で追い、
森羅「ぐほあ!?」
彼の頭にぶつかった一瞬、目を閉じた。そのまま彼は、屈みながら頭を押さえる。
しかし、数秒後には立ち上がり、何事もなかったように頭にぶつかった物を拾いに行く。
森羅「あ〜、死ぬかと思った」
別に想像空間…元より、ここにいる全員は虚像であり実像である様なもの、特に彼らの現実世界にいる本体に何かが起きない限り死ぬこともないだろと、思っていたが、あえてその突っ込みはしなかった。
それよりも気になっているのは、彼の手に持っている物。
ジョージ「なんかキャリーバッグっぽいが、どこか旅行にでも行くのか?」
そう、ジョージの言った通り森羅が持っているのはまさしくキャリーバッグだった。
一体どこに旅立とうの言うのだろうかと疑問に思っていた。
森羅「ああ、これですか?よくぞ聞いてくれました。蒼さんの外史に旅立つ準備ですよ」
と言って、努めて明るい表情と声で自分の嬉しさを表す様に大きく身振り手振りをする。そう言えば、そんな話もしていたなと全員思いだした。
森羅「それで、蒼さんにいつ出発するのか聞きたかったんですが……本人は?」
狼「見ての通り、あいにくだが不在だよ」
そう言って、手をひらひらと振る。その際に少し動作が大きかったためか彼の金縁の眼鏡が少しずれて、彼はそれを正す。
森羅「そうですか。あれ?甘露さんは」
一瞬残念そうな顔をしたが、別の事に気付きそちらに意識を向ける。
マリア「なんでも入院中だそうよ。ラウンジにも最近来てないみたいだし、最終ログインも一週間以上前になってるしね」
関平「多分、病院のネット環境がアレなんで来れないだけかもしれませんよ」
気まずい話になる前に関平がフォローするように答える。その時だった。
スターダスト「へぅ〜( ゚∀゚)o彡°」
暢気な感じでジャージを着た青年が乱入してきた。
それに、彼らはいつものあいさつで答える。
スターダスト「あれ?蒼さん、不在?」
彼もその事に気付いたようで、一同が肯定するように頷く。
砂のお城「そう言えば、甘露さんはともかく他に来てない人って誰でしたっけ?」
ジョージ「へたれ雷電にサラダ、護衛とプーすけ6……あと蒼だな」
戦国「蒼さんは、ほとんど毎日ラウンジに来てるからもうすぐ来るだろうとは、思うんだけどな」
うたまる「あとの四人は、最近ラウンジに来てないにゃ。TINAMIには来ているらしいけどにゃ」
来てはいるが、ラウンジを見れないほどに忙しいのだろうか。
各々一瞬、そんな風に思った。誰かがいると、誰かがいないとでは感じ方が違う。
誰かが居たあとにいなくなると、どうしても寂しく感じるものだ。
砂のお城「はあ〜、それにしても……最近、恋姫のおパンツさまを拝んでないな〜」
ボーン!!!
いきなり何を言うかと思った瞬間、砂のお城が突如爆発した。髪の毛はお約束のアフロで、服も若干焦げた。
森羅「…何があっても不思議じゃない」
狼「いや、これはないから」
突っ込むしかない台詞に、狼が平手でずびしっと突っ込む。
ガコン!と何かを取り落とした音の方を見ると、そこに蒼が居た。
ちなみに、落とした物はAT-4、つまりはロケランである。
蒼「来て早々に、オープン・ザ・スケーベな事言ってるんですか」
『(オープン・ザ・スケーベってなに…)」
一同、そう思いながら冷めた視線。
当然、こほんと咳払いをして何もなかったように蒼は振る舞った。
そんな中、スターダストが一歩前に出る。
スターダスト「蒼、俺とも約束忘れてないよな?」
蒼「ええ、もちろん」
無駄にシリアスな雰囲気。
二人が息を吸う。
両者「デュエル!!」
そう叫んだ瞬間に二人の腕にデュエ〇ディスクが装着される。
戦国「ちょっと、待て」
二人は戦国の方に視線を向けた。
蒼「どうしました?」
戦国「森羅さんが聞きたい事があるらしいから、そっちを先にしてくれ」
蒼「ああ、はいはい。いつ行くかと言う事ですね」
すっかり忘れていたような感じである。取りあえず、スターダストに待って貰い森羅に近づく。
森羅「で、いつ行くんですか!?」
期待に満ちた目で詰め寄る森羅。
迫り過ぎて、逆に怖い。
蒼「慌てないでくださいよ。入学式に乗じて行ってもらいますからそれまで待機です」
森羅「なるほど」
蒼「入学式の前日に卑弥呼と貂蝉に遭って貰いますけどね」
森羅「え?マジデスカ……」
蒼「だって、一応校長と教頭はあの二人ですから」
森羅「うわーい」
聞きたくない事を聞かされてしまって、台詞が棒読みになる。
だが、これも仕方ないかと思いすぐに割り切った。
一方の蒼は伝える事は伝えたとばかりに手を振って、踵を返す。
そして、再びスターダストと対峙する。
蒼「ふふふ、見よこの圧倒的なAGO力を」
スターダスト「なに!?凡骨だと」
蒼「いいえ、マシンナーズ・ギアですけど」
スターダスト「おい!?」
見事に引っかけられたようで、笑いながら突っ込む。
またカオスな展開になったなあと思いながらも、それを見守る。
ジョージ「結局、四人こなかったな……」
関平「まあ、そんな日もありますって、それに蒼さん自身全員書くのきついんだと思いますよ?」
マリア「若干、メタな気もするのだけれど。いいのかしら……」
再び、デュ〇ル中の二人を見る。
蒼「な!?流星の弓ーシールだと、これがベン・ケイワンキルデッキ……」
スターダスト「ふふふ、フォートレスをいくら展開しようと無駄だ。行け、ダイレクトアタック!」
蒼「ぐあああああああ!!」
ピピピピピ!ッピ!
蒼LP0により終了。
今日も正史の人間たちは平和な感じで一日を過ごした。
〜あとがき劇場〜
美雄「はぁ〜い、凌統で〜す」
蒼燕「張?です」
美雄「二人合わせて」
蒼燕「そんな事は、台詞に書いてません」
美雄「ノリ悪い」
蒼燕「言ってなさい」
描写が何だと言うんだふふふふ、あはははははは!!!!
蒼燕「早速、作者が壊れましたね」
美雄「執筆に40時間ぐらい掛かってたもんね〜。最後はなんか投げやりな感じだし…」
蒼燕「さて、さっさと用件を済ました方が彼のためです」
美雄「そだね…。僕らの設定って言っちゃあ身も蓋もないけど、性格とかの紹介ね。まずは僕からでいいのかな?」
蒼燕「どうぞ」
姓:凌 名:統 字:公績 真名:美雄(メイション)
一人称:僕
身長:華琳と同じくらい
髪型:ロングのストレートで色は明るい赤色
瞳:琥珀色
胸:明命と同じくらい
武器:雪竜胆…ちなみに六本でワンセット
性格:明るく純粋。仁義に厚い。金銭を軽視しているため、金遣いは荒い。
特徴:純粋に怒れるからか、外道に対してはバーサーカーモードの雪蓮よりも鬼畜。
どれぐらい鬼畜かって言うと、笑いながら骨とか折っちゃうくらい。
恋愛ごとには疎い。
現在の実力は思春より若干上。
全盛期は雪蓮と同等。
黄祖討伐に参戦したときに凌操が殺され史実通り家督を継いだ時が15である。
それから数週間後に甘寧が孫権の元を訪れて、冥琳と雪蓮の推薦により旧臣同様に迎えられた後に飛ばされたと言う設定。
一刀の世界に飛ばされて一年経っているため年齢は16である。
また、15で家督を継いだことから武の才能と将の才能はかなりあると見ている。天然Sでもある。
蒼燕「次は自分ですね」
姓:張 名:? 字:儁乂 真名:蒼燕
一人称:自分
身長:白蓮と同じくらい
髪型:ショートのストレートで色は蒼色
瞳:サファイアの様な青
胸:小蓮以上で蒲公英未満
武器:一天四海……剣が四本と日本刀の様な刀が一本
性格:冷静沈着。真面目。
特徴:真面目ではあるが、多少融通は効く。恋愛経験はありらしい。美雄と一年過ごして義姉妹の間柄にまで発展。
思春と同じく無愛想な顔をしているが、思春よりかは表情豊かである。
袁紹軍では、麗羽に代わり斗詩と共に将を纏めていた。が、猪々子と麗羽の行動によく苛(いら)ついては部屋に籠り政務をしていたため、知勇兼備の将となる。
全体的な能力は華琳より一つ下だが、武力は春蘭や雪蓮より上で指揮の腕は五虎将のレベル。
ちなみに感情的になると土佐弁的な方言が出るらしい。
また、麗羽のおかげもあって多少の事では動じないようになったので、冷静な性格は多分そこで当てはまったと見える。
標準的にはSらしいが、Mでもいけるとの噂もある(猪々子・斗詩より)
蒼燕「……少し、失礼します」
美雄「あ〜、特徴での最後の一文か……バカだね〜」
やれやれと呆れてる場合じゃないですよ。
美雄「およ?復活したんだ」
ええ、早いところ自分なりの表現方法を確立しないと危ないと言うことを悟りながらね……。
蒼燕「ああ、二人に説教する前に作者に聞きたい事が」
なんです?
蒼燕「美雄は16でいいんですか?」
女性は16で結婚できるんですから問題ないでしょう?
蒼燕「そう言う問題じゃないでしょう」
嘘ですよ。ちゃんと考えてます。
蒼燕「そうですか。なら、いいんですけど」
美雄「ねえ、何の話?」
蒼燕「こう純粋だとなんか、北郷さんを近づけたくなくなりますね」
まあ、彼の魅力は無限大ですから。
美雄「もう、何の話ってば!!」
蒼燕「大人の話ですよ」
または、穢れた者の話でもある――――ガス!!
蒼燕「余計な事を言わない」
おぉ……鞘で頭を割る気か…。
蒼燕「そう言う訳で、二人にギザギザの板の上に正座させて説教してきます」
美雄「むぅ、はぐらかして。まあ、行ってらっしゃい」
蒼燕「はい♪」
いい笑顔で行ったなあ。
それにしても、自動更新がなければもっと早く投稿で来てたろうに……。
美雄「確か、上書き保存してなくて三分の一ほど文章が飛んだんだっけ?」
まあ、こまめにやっておけばよかったと言うことだね。
戦闘描写も入れてみたが……まあそこらへんの感想はコメントにお願いします。
予定としては美雄と蒼燕の回想話の二回を入れて、入学式です。
美雄「それじゃあ、またね〜♪」
蒼燕「お二人とも、特徴の最後の一行について少々お話が」
二人「ごめんなさ〜〜い!!!」
終劇
説明 | ||
とりあえず、キュゥべえを消滅させに行ってくる。 一刀「作品の説明をしろよ…」 今回、戦闘描写もとい鍛錬の様子を書きました。なんかおかしかったりするかもしれないけど、大目に見てください。 TINAMIクリエイターズの絡みには、台詞を言ってる人の名前を付けて欲しいと、スターダストさんに依頼されたので一応つけて見た。 そいつを見てくれ……どう思う? とまあ、冗談で最後あたりは投げやりな感じになってます。 |
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コメント | ||
ジョージさん>では、とある高級ラーメン店にあると言う焦がし味噌ラーメンを注文します。(青二 葵) あ、言い忘れていました;クリエイターさん達に名前を付けてくださったおかげで分かり易かったですw(スターダスト) スターダストさん>ありがとうございます。デュエルの描写もkwsk書きたかったんですけどね……。呉に関してはあの後、ちゃんと説明に入りましたのでご安心を。(青二 葵) 乾坤一擲さん>餌食と言うか、エサと言うか……気にしたらダメですww(青二 葵) おおデュエルしてるwよっしゃー勝ったwwありがとうございましたw 戦闘描写けっこう良い出来でした!読んでいて想像しやすかったです。 魏はそれなりに現代の説明してたけど,呉の方は全然現代の説明してないw蜀は・・短!? さて金銭面の問題はどうするのだろう一刀たちは?次回も期待!!(スターダスト) ー)餌食・・・ww(乾坤一擲) ジュゥ……ガッ、ガシュッ、ガッ、ヒュッ――――ジュウゥ……(機嫌が良いのか、景気良く中華鍋を振るっている。今なら何でも要望に応えてくれそうだ)(峠崎丈二) 関平さん>思わずググっちゃいましたよ。まあ、その通りなんですがwwww(青二 葵) ほわちゃーなマリアさん>砂のお城さん、逃げてえええええ!!(青二 葵) 戦国さん>実際、好き放題やってますからねえ。無理もないかと。まあ、私がそうさせてるんですけどwww(青二 葵) 狭乃 狼さん>頼れるお兄さんなんですから、頑張って下さいなwww(青二 葵) とりあえず、一刀はもげろと呪いを掛けて・・・と。砂のお城様、恋姫のパンツが何ですか?(良い笑顔で)(ほわちゃーなマリア) なぜだろう・・・本編よりもクリエーターたちのほうがカオス密度が濃いようなww(戦国) ・・・なんか最近思うんだけど、オイラってどこでもツッコミ役に使われてる気がする・・・ま、いいんだけどね♪ とりあえず、一刀モゲロと言いつつ次回期待w(狭乃 狼) |
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