真・恋姫無双 〜降りし御遣い伝〜 第17話 |
第17話 競争と姉妹の想い
参加者は全体の3分の1に減った。
桂花が厳しくしすぎたためと、竹簡に書かれている文字を読むことが出来ない兵士もいたからだ。
ならば機転を利かせて周りの者に聞けばよいと思うのだが、勝負事で周りが見えていないのが多かったのだろう。その場で未だにウロウロしている者から、適当に持ってきて桂花に怒号を浴びせられて意気消沈している者もいる。
桂花って怖い・・・。
改めて思った。
春蘭は秋蘭に聞いたようだ。
素晴らしきかな姉妹愛!
凪と真桜と沙和は仲良く一緒にクリアしている。
ここまでまるっきり登場していない季衣と流琉は季衣が流琉の足を引っ張りながらもクリアすると言う大健闘を見せている。
3つ目の障害として肉まん50個早食いが待っていた。
先に到着していた秋蘭と春蘭は早くも20個目に辿り着いているが、あとから追いついてきた凪たちも凄い勢いで肉まんを次々に減らしていく。
しかし、何といってもここで強いのは季衣だろう。
季衣のためにあった障害と言っても可笑しくないだろう。
季衣最後であったにもかかわらず誰よりも早く肉まんを食べて見せて先に進んでいった。
その後に、春蘭、秋蘭、凪、純、真桜、兵士の皆さん、沙和、流琉の順で続いていった。
一刀「なぁ、華琳」
華琳「なにかしら?」
一刀「賞品は何にするんだ?」
華琳「願いを1つ叶えるということにするわよ」
一刀「そうか・・・」
華琳「あなたはそれでいいのかしら?」
一刀「おれは構わないよ。これでみんなが楽しんでくれながらも鍛えられるならな」
華琳「そう。それにしてもこれは面白い鍛練ね。これからもたまにやっていこうかしらね」
一刀「そう言ってもらえると、こっちとしても考えた甲斐があったってもんだからな」
華琳「そう・・・」
華琳は思った。
優勝賞品として願いを1つ叶える。
その願いで一刀がここにいられるようにしてくれ。と、誰かが言ってくれることを。
願わくば春蘭か凪が優勝でもしてくれたらいいのだが・・・。
それでも、言ったとしても一刀が頷くとは思えなかった。
一刀がなぜそこまで拒むのかは分からなかったが、華琳は勧誘をやめなければいつか振り向いてくれると思って、諦めるつもりはなかった。優秀な人材は誰でも欲しい。自分の覇道を盤石なものにするために。始めは一刀の武があれば覇道は成ると思い、欲しかった。
しかし、今はどうだろうか?今の私は覇王曹孟徳としてではなく、1人の女として一刀を見ていることが多い。そこまでに私はこの1人の男に狂わされている。
今まで男に興味は無かった。周りにいるのは全て私よりも下の人間。
建前と威光だけを気にする小さな人間ばかり。
誰も国を、大陸を省みようとしない。誰も民の為に戦おうとしない。誰も本当の私を見ようとしない。誰もが男は優位に立っていると勘違いをしている。男尊女卑。私はこの言葉が嫌いだ。女が男に劣っているとは到底思えない。むしろ男卑女尊だろう。
ある時私の前に1人の男が現れた。
その男は見た目には弱そうであった。
しかし蓋を開けてみれば春蘭を武で圧倒し、知識もある。
それに何と言っても優しい。女を蔑まない。この男は男尊女尊の考えを持っている。この男の笑顔は周りの誰をも惚れさせ、幸せにする。
男なんて全員汚らわしい生き物だ!
桂花の言うことは最もだ。しかし、この男は全くの別だ。この男は、今までの私の男に対する価値観を根底から塗り替えた。
初めて・・・男を愛したいと、欲しいと思った。
それでも、私は覇王曹孟徳である。
1人の男にうつつを抜かしていては覇道は成らない。
だからこの想いは隠し通そう。
そう決めた。
4つ目の障害、邪魔有り一本つり橋で兵士全員脱落。
沙和も妨害用のボールに当たり落ちて脱落。
春蘭は飛んでくるボールを避けることなく全て叩き落としながら進んでいく。
ストレスでも溜まっているのだろうか・・・。
他の将は華麗に避けていく。
沙和、南〜無〜。
5つ目の障害物は建物を作り、中は迷路のようになっている。
ただの迷路ではなく、忍者屋敷さながらに仕掛けが多数用意されている。なので最下位だった人が一気に1位に上がることも出来るのだ。
これは結構な自信作だ!
しかし、そんなおれの考えた自信作もある1人の予想通りの動きで霧散した。
そう、期待を裏切らない春蘭の短気によって引き起こされた破壊によってだ。
せっかく作った障害が壊されていく姿を工作兵たちはみんなこの世の絶望を見たような顔をしながら見ている。
可哀そうに・・・。
そして一気にここへと走ってくる将たち。
全員まだ余力を残しているのか全速力で走ってくる。
とにかくこれだけは言いたい。
春蘭が壊したからだ!!
優勝は秋蘭だった。
秋蘭は最後に余裕の笑みを浮かべながらゴールテープを切った。
その様子は青春漫画の一場面のようだった。
秋蘭の優勝者インタビューの際には、負けた将が全員項垂れていた。
中には某ボクサーのように白くなっていた破壊王がいた。
華琳「良く頑張ったわ秋蘭。それで、何が欲しいのかしら?」
秋蘭「私は一刀を所望します」
その言葉におれを含めた全員が老ポカーンとしている。
全員「「「「「え〜〜〜〜〜〜〜!?」」」」」
おれはてっきり魏に降ってもらいたい。と、言われるかと思っていたのでかなり驚いている。
華琳「い、いいわ。それでは賞品は一刀ということで。ただし、今日1日だけよ?」
秋蘭「元からそのつもりです」
華琳「ならいいわ。一刀もそれでいいわね?」
一刀「あぁ。まだ何がなんだか良く分かっていないが、それでいいよ」
秋蘭「そうか。・・・姉者、いつまでそこで白くなっている?」
春蘭「・・・秋蘭」
秋蘭「これから支度があるからちょっと手伝ってくれ。じゃあな一刀。あとで部屋にでも伺おう」
一刀「分かった」
秋蘭は白くなっていた春蘭を連れて戻っていった。
こうして第1回?魏国内文武両道障害物競争は春蘭の破壊が強い印象を残して秋蘭の優勝で幕を閉じた。
コンコンッ
一刀「開いてるよ」
秋蘭「失礼する」
一刀「待ってたよ。それでこれから何をするんだ?」
秋蘭「その前に・・・姉者、ちゃんと一刀に見てもらえ!」
春蘭「あっ、ちょっと秋蘭!まだ心の準備が・・・」
秋蘭に引っ張られて春蘭がそこに現れた。
しかし、いつものチャイナドレスではなく、メイド服で立っていた。
一刀「春蘭、その服は?」
春蘭「秋蘭が無理やり・・・」
秋蘭「なに、姉者がいつまでもぐずぐずしているからな。そろそろ見ていられなかったのだ」
一刀「?」
秋蘭「ほら、姉者、しっかり自分の気持ちを一刀に伝えるんだ。大丈夫だ、一刀は受け止めてくれる」
春蘭「うぅ〜・・・。し、師匠」
一刀「話が見えないけど・・・どうしたの春蘭?」
春蘭「じ、実は私はし、しししし師匠のことが・・・」
一刀「おれのことが?」
春蘭「前から好きでした!!」
一刀「・・・はっ?」
秋蘭「一刀、姉者も私もお前のことが前から気になっていたのだ。こんな気持ちになるのは初めてのことだ。もちろん、華琳様以外でなのだがな」
一刀「そうだったのか・・・」
春蘭「師匠・・・その・・・返事を」
一刀「おれも好きだぞ(ニコッ)」
春蘭「し・・・」
一刀「し?」
春蘭「ししょ〜〜〜〜〜う!!!!!」
一刀「うわぁ!?」
春蘭に押されてしまい、春蘭がおれを押し倒すというかたちになっていた。
そこに秋蘭もやってきて、共におれの唇を奪いにかかる。
春蘭「師匠・・・うん、ちゅ・・・ちゅぷ・・・」
秋蘭「一刀、私は本気だからな?」
一刀「おれもだ、秋蘭・・・ん」
秋蘭「ちゅちゅぷう・・・ちゅぷ・・うちゅ・・・ぷはぁ」
そしておれと夏侯姉妹はとても熱い夜を過ごし、陽が昇るまで頑張った。
それを廊下で聞いていた者が1人。
そしてその者はいつの間にかその場から消えていた。
あとがき
頑張って書きました。
最後まで読んでもらい、ありがとうございます。
今のところ呉の雪蓮、夏侯姉妹は攻略しました。
今のうちにこんなに攻略してもいいのか?
なんて思ってもいますが、まぁ、ハッピーエンドが好きな作者ですから幸せなほうがいいんです。
次回はまだ魏です。
まぁ、次回で魏は終わると思います。
そして今まで謎だった武器名もそろそろ付けたいと思っています。
それではまた次回でお会いしましょう。
説明 | ||
前回変なところで終わらせてすみませんでした。 今回は前回の続きです。 これからも頑張りますので応援よろしくお願いします。 ちなみに反董卓連合はまだ先です。 なので時系列だとか無視でお願いします。 |
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コメント | ||
最後のあれ・・・・案外桂花だったりして(真庭蝙蝠) …相変わらず春蘭はブレないなぁ。この、企画者泣かせの、大番狂わせの破壊者めが(褒め言葉)!!…しかしまぁ、優勝は妹に掻っ攫われたが、美しい姉妹愛によって良い思いをしたな、春蘭。(クラスター・ジャドウ) 本当に全部壊して完走したorzしかし最後に試合に負けて勝負に勝ったww(アロンアルファ) やっぱり最後に覗いていたのは華琳・凪・純の三人のうちの誰かなんだろうなwww。(劉邦柾棟) 最後に覗いていたのは俺さ、フヒーヒW(ギミック・パペット ヒトヤ・ドッグ) 迷路は破壊行動禁止にしないとなぁw(shirou) 今後の障害物競争は壊したら給料から天引きということで(黄昏☆ハリマエ) よかったな。春蘭秋蘭はサイコーだな(VVV計画の被験者) |
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