悲恋姫無双〜風のむくまま雲は流れて〜重なる世界でお花見を9 |
始まりの予測に反して膝を並べる両陣営
果たして誰がこの現状を予想しえただろうか
「てゆうかどんだけ飲んでるのよあんた達は」
自身の膝を枕に寝息を立てる月に毛布を掛けながら
詠は目の前の光景に唖然としていた
詠の視線の先
どこから調達したのかやたらとでかい杯になみなみと酒を注ぐ二人は辺りに並ぶ空の徳利を無言で指し
「まったくもう」
もはやその数は数えられない程に立ち並び二人の周りを結界のように行くてを遮る
「…片付けは自分達でやんなさいよ」
付き合ってらんないわと重箱に残っていた乾物を頬張る
昼から始まった宴も日は疾うに沈み入れ替わりに登った月の灯りに照らされて景色はまた一変していた
昼のそれとは違う闇の中で月明かりに輝く桜はそれはまた見事に美しく
「これを待っていた」
嘘つきなさいよ
あんた達顔真っ赤じゃないの
「酒が尽きぬのでな」
幽に5回も酒を買いに走らせたのはあんた達でしょうが
一々に心の中でツッコミを入れてしまう
「お邪魔しますね〜」
不意にかかる声に見上げれば朧を抱いた七乃
6度目の買い足しから戻って来た彼女はこっくりこっくりと舟を漕ぐ朧を月と同じく詠の膝元の毛布にくるむ
普段であれば絶対に一影から離れない彼女だが終わりの見えない二人の供宴と押し寄せる眠気には適わず詠の膝に両手を添えこれまたすやすやと寝息を立て始めた
「…幽は」
二人を起こさないようにと小声で問うと七乃は苦笑混じりに手前の桜の木を指さし彼女の視線を促す
その先
酒が回る中5回も買い足しに走らされた彼女は桜の木の根元で麗羽と肩を並べて夢の世界へと旅立っていた
普段滅多にお目にかかれない彼女の寝顔に詠の頬が綻ぶ
「ありゃ風邪引くこと間違いないわね」
「桜の木は虫だらけですからねぇ…目が覚めたときには」
ぷぅと笑いを堪える二人
とはいえあまりにもそれは可哀想だ
目尻に浮かぶ露を払いながら尚もカチンと杯を鳴らす二人に振り向くと
「それなくなったら最後だからね」
視線の先の二人は彼女の非難混じりの撤収宣言にもどこ吹く風で
「…だそうだ」
「しょうがないな」
しょうがないのはあんた達でしょうが!
説明 | ||
というわけで次回ラスト Night氏お付き合い感謝でした |
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コメント | ||
サラダ様、まあ二日酔いは避けられないでしょうw(ねこじゃらし) 『彼ら』が顔を真っ赤にするほどの量だと!? 一体どれだけ飲んだんだw(R.sarada) |
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