仮面ライダーディケイド×新・恋姫†無双 feat戦国乙女 新たなる外史への扉 第4話  対男決女
[全11ページ]
-1ページ-

 

 

ここ川中島ではある二つの勢力がぶつかりあっていた。

その勢力とは武田シンゲンと上杉ケンシンのものであった。

しかし兵達は後ろに留まり、激突は大将同士による一騎打ちであった。

立派な鬣の付いた兜をしているシンゲン。毘と書かれている鉢巻をしているケンシン。

そんな川中島の戦いをただ見ている陣営があった。

それはノブナガ達であり、ノブナガ達は橋の上で両者の戦いを見ていたのだ。

 

「朝からず〜っと戦ってるって言うのに、あの二人なんでこんなに元気なんですか〜?」

 

ヒデヨシがノブナガ達に尋ねる。

 

「甲斐の武田シンゲン、越後の上杉ケンシン。丸一日やっておられるというのに息一つ乱れておりませぬ」

「ふん」

「いくらなんでも元気すぎるよ」

「そうだな。俺でも半日が良いとこだな」

 

橋に背をもたれて眺める一刀。

 

「五百九十八戦、五百九十八引き分けってなんなの、この人達…」

「さあな」

-2ページ-

 

 

第4話  対男決女

 

 

勝負は夕方になっても付かず、ヒデヨシ達はのんきにおにぎりを食べていた。

 

「そもそもあの人達ってどうして戦ってるんですか?」

「発端は宴のちょっとした言い争いだったそうだ」

「言い争い?」

「大方、どっちが強いか白黒はっきりつけようぜって言ったとこだろ?」

 

まだ橋に背をもたれながらおにぎりを食べる一刀が答える。

 

「そうらしい」

「つまり売り言葉に買い言葉。そんなことでこんなになっちゃうんですか?」

「武士が戦うのに小賢しい理由などいるものか。そこに相手がいるから戦うだけよ。シンゲン、ケンシン、ともに天晴れ!」

 

ヒデヨシは思わず息を漏らす。

 

「戦国武将って単純なくせにめんどくさ〜」

「武将ってのはどこの世界でも時代でも同じだ」

 

一刀がそうぼやく。

-3ページ-

 

 

場面は変わって一刀が元いた外史の月の写真館。

 

「へっくし!」

 

翠が思わずくしゃみをする。

 

「どうしたの、お姉様」

 

従姉妹の蒲公英が翠に声をかける。

 

「いや、何か突然くしゃみがな〜」

「もう気をつけてよね」

 

詠が翠を叱る。

なぜなら今は食事中だから……。

 

「ひょっとして一刀さんが噂してるんじゃ〜」

「○×△□#☆∀!?」

 

翠は顔を真っ赤にしてご飯を食べる。

 

「あはは、お姉様、顔真っ赤〜」

「蒲公英ー!」

 

そんな言い争いがあった。

 

「でも一刀さん、今何してるんでしょうね」

 

一刀を心配する明命。

 

「まあ、あの一刀殿なら元気にやっておるだろ」

 

気楽に考える星。

-4ページ-

 

 

戻って外史の戦国時代。

 

「でもあの二人…」

「うん、なんじゃヒデヨシ」

「え、あ、もしかしたら勘違いかもしれませんけど」

「言ってみろ」

「あ、はい。ひょっとしたらあの二人本当は仲良いんじゃないのかな〜なんて…」

 

ノブナガが魚を口に入れようとしたが止める。

 

「ほぅ、何故そう思う? わけを申してみろ」

「だって二人とも楽しそうだから」

 

ヒデヨシが笑顔で答え、ノブナガはシンゲン達の顔を見る。

確かにどこか楽しそうな顔を二人はしていた。

 

「ふん、聞いたかミツヒデ。やはりこやつは面白い奴じゃ」

「はぁ〜……」

 

ミツヒデはヒデヨシの方を少し睨む。

 

(うん?)

 

ヒデヨシを睨んでいるミツヒデを一刀が見る。

 

(色んな意味でやばい事が起きそうだな、こりゃ)

 

そんな心配をしている一刀をよそにヒデヨシは…。

 

「折角だから写メとって皆に見せよっと」

 

ヒデヨシは携帯電話を取り出し、橋の端に近づく。

 

「あれ〜、動きが早くて上手く収まらないよ〜」

「そんなに乗り出すと危ないぞ〜」

 

写真を撮ろうとするヒデヨシを気遣う一刀。

しかしそんな一刀も写真を撮る態勢を取っていた。

 

「あれ? 一刀さん、カメラ持ってたんですか」

「ああ。俺、元いた世界じゃ写真屋にいるんでな。

だからこうしてカメラに収めてるんだ。しかもこれフィルム式」

 

一刀が持っているカメラは最初に管輅にディケイドライバーなどと一緒に渡されたピンク色の二眼レフのトイカメラである。

一刀はこのカメラを常に持っている。

 

「この前のヨシモトとのレクリエーションの奴も撮ってあるし、現像しておいたから帰ったら見せてやるぞ」

「現像とな?」

 

ノブナガが聞いてくる。

 

「カメラには撮ったものを絵にすることが出来るんだよ。まあ専用の道具は必要になるけどな。

この前適当に道具になりそうなものを調達して何とか現像したんだ。あんた達にも見せてやるよ」

 

ヒデヨシは一生懸命写真を撮ろうとすると……。

 

「くらえ! 炎竜軍配撃! でぇええええい!!」

 

シンゲンの軍配から炎の竜が現れる。

 

「はあああ! 雷光連撃槍! せいやあああああ!!」

 

ケンシンは槍を連続で突くようにし、その連撃の中から青い雷玉を放つ。

二つの技がぶつかり合い、爆発を起す。

 

「はにゃ!?」

 

その衝撃は少し遠くの橋にいるヒデヨシ達にも届くもの。

ヒデヨシは衝撃により思わず後ろに転んでしまう。

一刀は何とか耐えていた。

 

「危なかった〜」

「ほれ、言わん事ない」

 

ノブナガが気を使っていると…。

 

「あ! あたしの携帯〜〜〜!」

 

ヒデヨシは先ほどの衝撃で携帯電話を落としてしまっている。

それだけではない。携帯は衝撃の影響を受けているのだ。

 

「うわぁ〜壊れてる…」

 

様々な衝撃が重なって、ヒデヨシの携帯電話は壊れてしまったのだ。

 

「いいいゃああああああ〜」

 

ヒデヨシは携帯電話を振る。しかし当然直らない。

 

「だから近づくなと言ったであろう」

「私の携帯が〜」

 

ノブナガの言葉を聞いていないヒデヨシ。

 

「めんどくさい奴」

 

思わずぼやくミツヒデ。

 

「まあまあ」

 

とりあえず慰める一刀。

それから数分してヒデヨシは泣くようにその場で寝てしまう。

 

「起きろヒデヨシ」

「つゆだくに生クリームでお願いします〜」

 

ヒデヨシは寝言を言っていた。

 

「やれやれ、そんな寝言言ってる暇があったら、起きろ〜」

「起きろと言っておるのだ」

 

ようやくヒデヨシは起きる。

 

「我らは物見遊山のために川中島に来たのではないぞ」

「え? そうだったの?」

 

一刀が驚きの反応を見せる。

 

「貴様!」

「冗談だよ、冗談。つうか俺、絶対知ってるだろ」

「ったく……。我らの狙いはあくまでも二人が持つ甲冑」

「しかしどちらも負けぬ一徹者。譲ってくれと頼んで、はいそうですかと一筋縄でいく相手ではない」

「……確かに…」

「まあな…」

 

ミツヒデと一刀は思い出す。

それはそれぞれがシンゲンやケンシンの元に行って、甲冑を譲ってくれと頼みに行った時のことである。

どちらも断り、大事な家宝などと言って譲ろうとしなかったのだ。

 

「戦馬鹿共め。どうしたものか」

「お館様、ミツヒデに秘策がございます」

「ほぅ、申してみろ」

「はっ! まずは武田か上杉の片方に加担し、一方を倒します」

 

その言葉にヒデヨシは驚く。それはノブナガの顔が険しくなったからである。

一刀は思わず頬をかく。

 

(ダメだこりゃ。この後が目に見えてるぞ)

 

一刀はミツヒデがどうなるかすぐに見当が付いた。

 

「そうすれば倒した方からは戦利品として、味方した方にはその見返りとして共に真紅の甲冑を譲り受けることが出来るのではないかと……」

 

そんなミツヒデの言葉をよそに、ノブナガは振るえ、ヒデヨシはとても焦る。

 

(あ〜あ)

 

呆れてものも言えない一刀。

 

「既にそのしたくも整い……」

 

ミツヒデは書状を取り出す。

しかし……。

 

「このうつけが〜〜〜!」

「? うっ!」

 

ミツヒデの目の前には怒りの闘志を出すノブナガとそのノブナガに震えるヒデヨシと頭に手を押さえている一刀がいた。

 

「ミツヒデ、お前はこのわしを天下の笑い者にするつもりか!?」

「!」

 

ミツヒデは恐怖のあまり、後ろに下がって土下座する。

 

「お、お館様! 私はそのような……」

「たわけ! 武士がそのような姑息な真似が出来るか!」

「いえ、滅相もない」

「そのような謀でシンゲン、ケンシンの勝負に水を差す事は相成らん。二度と申すな、いいな!」

 

ノブナガは歩いていき、ミツヒデの側を通りすがる。

 

「ははっ!」

 

ミツヒデは土下座して、ノブナガの顔を見ていられなかった。

ヒデヨシもミツヒデの側に来る。

 

「あけりん……」

 

ミツヒデの心配をしながらもノブナガの後を追った。

最後に一刀がミツヒデの側に来る。

 

「いくらノブナガのためだからってやって良いことと悪いことがあるだろ。

それにあのノブナガの気性、お前が一番知ってたでだろうに……。

ま、今回はいくらなんでも自業自得だな。分かってて止めなかった俺も俺だけどな……」

 

一刀もノブナガ達に付いて行った。

-5ページ-

 

 

川中島近くで陣を張っているノブナガ達。

そこで晩御飯を食べようとするのだが、ヒデヨシは壊れた携帯電話を見てため息をつく。

 

「はぁ〜、写メもアドレスもみんな消えちゃった〜」

「まだ嘆いておるのか。

「いい加減にしろよ。嘆いたって終わったことはどうすることも出来ないんだぜ」

「武士ならすぱっと諦めたらどうだ?」

 

ご飯を食べながら諦める事を促すノブナガと一刀。

 

「出来ないよ! 今時の女子にとって携帯はどれだけ大事なのかお館には分からないんです!」

「そりゃ、分からん」

「俺だって男だから分からん。それに俺が最初に迷い込んだ時はいきなり電池切れで使えなくなってるしさ」

「むっきー!」

 

あまりに無関心な二人にヒデヨシは怒る。

 

「お館と一刀さんのいじわる!」

「何を怒っておる? まるで子供ではないか」

「どうせあたしは子供ですよ〜だ!」

 

ヒデヨシはそう言って陣を駆け出していった。

 

「おい!」

「ヒデヨシ! 飯はいいのか!?」

 

少しずれた事を言う一刀。

 

「いいですよ〜だ!」

 

ヒデヨシはそう言って出て行った。

 

「……」

「仕方ねえ」

 

一刀は急いでお膳にあった料理を全て食べる。

 

「ちょっと心配だから俺、行ってくるわ」

 

一刀も陣を出て行った。

-6ページ-

 

 

川中島近くの川ではミツヒデが一人泣いていた。

ミツヒデはノブナガのためと思って言った献策がノブナガを怒らせることになった事に泣いているのだ。

するとそこに……。

 

「どうなさいました? ミツヒデさん」

 

どこからともなく聞き覚えのある声がミツヒデに聞こえてくる。

ミツヒデは涙をぬぐって声をする方を向くとそこにいたのは徳川イエヤスであった。

 

「イエヤス殿? 何故ここに…」

「所用で近くを通りまして…。あら? お目目がうさぎさんのようですよ」

「摩っておかれよ。全てはこの身から出た錆」

「そうですね、そうかもしれませんね」

「なっ!? 何故知って……いや、わざわざ私をからかうために来られたのか?」

「まさか…。でもミツヒデさんはあまりにも正直すぎるんですもの」

「……正直?」

「ミツヒデさんはノブナガさんを喜ばせる事だけを願っておいでなのでしょ?」

「…………」

 

ミツヒデは黙り込む。

 

「だったら、そのようになさればよろしいではないですか」

「! お館様に喜んでいただく…」

 

その言葉を聞いてミツヒデに笑顔が戻る。

 

「感謝する! イエヤス殿!」

 

ミツヒデはそう言って何処かへと行った。

 

「……」

 

イエヤスはミツヒデの様子を見て笑うが……。

 

「何俺の仲間誑かしてんだ」

 

イエヤスの所から声がしてくる。

その声の主は一刀であった。

 

「あなたは…」

「通りすがりの仮面ライダーだ」

 

一刀は既にディケイドに変身しており、ライドブッカーをソードモードにしてイエヤスに突きつける。

 

「答えろ。お前、何が目的だ?」

「………」

「答えられないのか?」

 

ディケイドはライドブッカーを地面に向かって切る。

地面は少し切れる。

 

「お前もこうなりたくなかったら言え」

「脅しているつもりですか?」

「つもりじゃない。脅してるんだ」

「ノブナガさんの天下が見たい……ではダメですか?」

「ダメだ。お前の目はそれとは別のものを見ようとしている目だ。よく分かる」

 

一刀はかつては外史の三国世界で天下を狙う人間の目を何人も見てきた。

そのため天下を狙う者やその人物の天下を見てみたい者の目を知っている。

イエヤスの目はそのどちらにも当てはまらない目であると一刀は判断したのだ。

 

「そうですか……」

 

イエヤスがディケイドの足元を見ると突然、ディケイドの足元が小さな爆発を起す。

 

「!」

「それでは……」

 

イエヤスは何処かへと消えていった。

 

「くそ、逃がしたか。まあ、今はあいつだな」

 

ディケイドはミツヒデの後を追う。

-7ページ-

 

 

「ヒデヨシめ、飯も食わずにどこ行ったのだ? それに一刀の奴も戻ってこん」

 

ノブナガは中々戻ってこない二人の事を心配して探しに来ていた。

 

「うん?」

 

ノブナガが歩いていると地面にヒデヨシの携帯電話が落ちていた。

 

「これは……」

 

ノブナガが携帯電話のあった周りを見てみると一つの小屋を発見する。

ノブナガが小屋に入ってみるとそこには口を塞がれ、縄で縛られているヒデヨシがいた。

ノブナガは煙管に仕込んでいたで刃で縄を切る。

 

「飯も食わずえらく酔狂な格好をしておるの。それにしても一刀の奴は……」

「お館!」

 

ヒデヨシは慌てた様子でノブナガに詰め寄る。

 

「お願い! あけりんを止めてください!」

 

ヒデヨシはここであった事を一部始終語った。

それはヒデヨシが陣を飛び出してしばらく経った時の事であった。

たまたまこの小屋の近くを通りかかったらミツヒデと部下が四人ほど小屋に入るのを見て、なんだろうと思い話を聞いていたらミツヒデはとんでもない事をしようとしていた。

それは何とシンゲンを闇討ちし、それをケンシンの仕業にし、そこでシンゲンの味方をしてケンシンを討ち、両者が持つ甲冑を手に入れようとしていたのだ。

ミツヒデはその事をうっかりヒデヨシに話してしまい、ミツヒデはヒデヨシを監禁したのだ。

 

「………」

 

その間にもミツヒデは部下を連れて森を走る。

すると……。

 

「!」

 

ミツヒデは人の気配を察知する。

 

「何奴!」

 

ミツヒデ達は身構える。

 

「通りすがりの仮面ライダーだ」

 

ミツヒデ達の前に現れたのはディケイドに変身したままの一刀であった。

 

「一刀殿、一体何用で? 我らは今忙しい……」

「お前達を止めに来た」

「止めに? 一体何を…」

「シンゲンとケンシンのどちらかを闇討ちする気だろ?」

「!」

「ま、ここからの距離を考えるとシンゲンの方だろうけどな」

「貴様! 何故それを!」

「俺が言うと思うか?」

 

ディケイドはライドブッカーをガンモードにして、ミツヒデ達に向ける。

 

「我らとやろうというのか?」

「いや、ただの時間稼ぎだ……思ったより早いな」

 

ディケイドが向いた先には何とノブナガが来た。

 

「お館様!」

 

ミツヒデ達はノブナガのところに行き、跪く。

 

「シンゲン、ケンシンの戦いには手出し無用と命じたわしの言葉、何故背く?」

「そ、それは…」

「全てはヒデヨシから聞いた」

 

ノブナガの後ろにはヒデヨシと馬がおり、ミツヒデは思わず睨むように顔を背ける。

 

「覚悟せい。ただで済むとは思うでないぞ」

「……ははっ!」

「!」

 

ディケイドはライドブッカーからあらかじめ出していたカードをディケイドライバーに挿入する。

 

「アタックライド、ブラースト!」

 

ディケイドはライドブッカーからエネルギー弾を発射させ、自分達の横の方を撃つ!

 

「ちっ」

「えええええ!?」

「どうしたのだ?」

「いや、誰かいた気がしたから撃ったんだが、いなかったようだな」

「!」

 

ミツヒデは一刀の言葉を聞いて内心焦る。

 

「誰もいないならそれでいいか」

 

ディケイドは変身を解き、元の一刀に戻る。

しかし一刀は気付いていた。

 

(誰もいなかった…わけがない。さっきまでいたのはイエヤスだ)

 

一刀は直感で分かっていた。

 

(とっさの攻撃を避けるとは思わなかったな。こりゃ、ますますあいつらに調べてもらう必要があるな。場合によってはシロを問いただす必要も……)

 

一刀の攻撃を木の上に乗ることで避けていたイエヤスと従者。

 

「危なかったですね」

「……」

「私達も戻りましょう」

「……」

 

イエヤスと従者はその場を去っていった。

-8ページ-

 

 

翌日になり、再びシンゲンとケンシンの戦いが始まろうとしていた。

 

「今日こそ決着をつけようぞ!」

「おう、望むところよ!」

「待てぃ!」

 

二人の間にノブナガが乱入。

 

「ノブナガ殿!?」

 

その様子を一生懸命見ようとするミツヒデだが、眼鏡を没収されてよく見えなかった。

 

「あけりん、かわい〜」

 

笑いを懸命に抑えるヒデヨシ。

 

「ノブナガ殿何の真似だ」

「甲冑の事なら既に断ったはず」

「おお、そのことよ。どうだ貴様ら、その甲冑をかけてわしと勝負せぬか?」

 

ノブナガの突然の決闘の申し込み。

ノブナガが乱入した理由、それはシンゲンとケンシンの戦いが生ぬるいとし、そのぬるま湯を煮えたぎらせようと言うのだ。

 

「俺もやらせてもらうぜ」

 

そこに一刀が乱入してくる。

 

「お前はいつぞやの…」

「通りすがりの仮面ライダーだ」

 

一刀はディケイドライバーを展開させて、ディケイドのライダーカードを持つ。

 

「一刀、邪魔するでない」

「いや、邪魔させてもらうぜ。俺はこう見えても破壊者なんでな。

それに二対一じゃ、あまり面白くないだろ。だから二対二でやる。

俺はやめないからな」

「ふ、好きにしろ。巻き込まれても知らんぞ」

「それはこっちの台詞だ。変身!」

 

一刀はディケイドライバーにカードを入れる。

 

「カメンライド、ディケイド!」

 

ディケイドライバーを正位置に戻して一刀はディケイドに変身する。

 

「はぁあああああ!」

 

ノブナガは闘気を身に纏う。

ディケイドはいつもの調子で手をはたく。

シンゲンとケンシンは思わず手で覆いかぶさったのにディケイドは平然と立っていた。

それだけでも実力はある程度測れる。ディケイドの力はノブナガに匹敵するものだと…。

 

「まずはシンゲン、貴様からだ!」

「じゃあ俺はケンシンだな」

 

ノブナガとディケイドはそれぞれの剣を構える。

 

「ぬぅおおおおお!」

 

先に仕掛けたのはシンゲンである。

シンゲンは軍配の先端部分を槍のように扱い、ノブナガに対して連撃を放つ!

 

「ケンシンさんの技だ」

 

それを遠くで見るヒデヨシとミツヒデ。

 

「でぇえええい!」

 

ケンシンもそれに負けないようにディケイドに連撃を放つ!

 

「ふん!」

「うりゃあ!」

 

二人は連撃の嵐を剣で巧みに裁く。

そしてノブナガとディケイドはそれぞれシンゲンとケンシンに向かって、武器と武器をぶつけ合う!

 

「はあっ!」

「えゃ!」

「てりゃあ!」

「せぇい!」

 

四人は何度も武器と武器をぶつけ合う。

 

「ノブナガ、何ゆえ甲冑を求める!?」

「天下を取るためよ!」

「天下だと?」

「そんでもって俺はその手伝い中ってところだ」

「何のための天下か!」

「ならば逆に問う! シンゲン、ケンシン!

己らは、この戦乱の世に一方の武将として生を受けながら、何ゆえ天下を求めぬ?」

「何ゆえ…」

「天下を求めぬ…だと…」

「頂を求めず何のための武士よ」

「ま、確かにな…」

「……ほざけ、青二才どもに指図されるゆわれはないわ!」

「同じく!」

「炎竜軍配撃!」

「非情ノ大剣!」

「雷光連撃槍!」

「ファイナルアタックライド、ディディディディケイド!」

 

シンゲンの炎龍軍配撃、ノブナガの非情の大剣、ケンシンの雷光連撃槍、ディケイドのディメッションブラストがそれぞれぶつかり合う!

四つの技がぶつかり合い、爆発を起す。

爆発の煙が止むと勝ったのはノブナガ、ディケイドであった。

 

「「何!?」」

 

ノブナガとディケイドの技はシンゲン、ケンシンの技に打ち勝ち、まだ残っていた二人の技がシンゲンとケンシンを襲う!

 

「う……シンゲン!」

 

比較的軽い力ですんだケンシン。

ノブナガはゆっくりとシンゲンに近づく。

シンゲンは思わず笑みをこぼす。

 

「むっ」

「甲冑はくれてやる。だがただでくれてやるわけにはいかん。この武田シンゲン、負けを認めるのはやぶさかではない。

しかし、このままおめおめと恥をさらして生きているものか。甲冑が欲しければ、この首を刎ねよノブナガ。

それが甲冑をくれてやる条件だ」

「……承知した」

 

その言葉にヒデヨシは驚く。

 

「ちょっと待ってお館! お館!」

 

ヒデヨシの言葉を聞かず、ノブナガは大剣を上にやる。

シンゲンは観念したかのように腹を決めていたが……。

 

「待たれぃ!」

 

そこにケンシンが割ってはいる。

 

「ケンシン、何をする!?」

「どけケンシン、どかねば貴様の首も切り落とすぞ」

「……」

「構わぬ」

「ケンシン!?」

 

ケンシンは握って槍を投げ捨てる。

 

「この通りだ、ノブナガ殿。どうか拙者の命に免じて、シンゲン殿をお助け願いたい!」

「待て、ケンシン。わしの命乞いだと? 一体何のつもりじゃ?」

「知れたことを。拙者はお主が拙者以外の者に倒されるのが我慢ならぬ。

さあ、ノブナガ殿、拙者の首を持っていけ! ついでに甲冑もくれてやる!」

「ケンシン……お前……」

「なあ、ノブナガ」

 

そこに変身を解いた一刀がようやく会話に入ってくる。

 

「何だ?」

「もうこれって、二人とも……死んだようなもんじゃないか?」

「「なっ!?」」

 

一刀の言葉にシンゲンとケンシンは驚く。

ノブナガは突きつけていた剣を納める。

 

「お主面白いことを言うな。その考え、わしはあまり嫌いじゃないぞ。

それに……」

 

ノブナガはシンゲン、ケンシンの方を見る。

 

「貴様らの首など飾りにもならん」

 

ノブナガはそう言って去っていき、一刀も帰っていった。

-9ページ-

 

 

その日の夜、甲冑をもらったノブナガ達は安土に帰っていき、祝杯を挙げていた。

 

「あーーーーはっはっはっ!! これで半分揃うたわ!」

「流石はお館様、あの場でケンシン殿がシンゲン殿の助命に立つ事を見越しての振る舞い…その深きお考えにミツヒデ……心底恐れ入りました…」

「そ、そうなんだ。そんなことまで計算してたなんてお館すご〜い!」

「いや…」

「ケンシンの命乞いなど考えておらなんだぞ」

「「はっ!?」」

 

ヒデヨシとミツヒデは呆然とする。

 

「わしは本気でシンゲンの首を刎ねるつもりだった」

「ま、まことでございますか?」

「まあ、そうだろうと思ってぜ。そんなことしてたら俺は止めに入ってたけどな」

 

実は一刀はもしノブナガがあの時剣を下ろそうとしていた自分が割って入って止めようとしていたが、ケンシンの行動を見て、大丈夫だと判断し、変身を解除したのだ。

 

「はははははっ!」

 

ノブナガは笑う。

 

「ミツヒデ、わしが良いと言うまでその顔、洗ってはならぬぞ」

 

ノブナガはミツヒデの驚いている顔を見て笑い、変なことを命じた。

 

「えええええええ!?」

「ははははははは!!」

 

一刀も笑った。

-10ページ-

 

 

そして一刀は部屋に戻り電話した。

 

「とまあ昨日連絡入れなくて悪かったな」

『そういうことなら仕方ありません』

 

電話の相手は凪、他に真桜に沙和もいる。

 

『せやけど、そちらさんの大将、よう止めおったな」

「止めたのは俺じゃなくてケンシンだけどな。まあケンシンがダメなら俺も止めに入っているけどな。

とは言ってもあの二人の様子だとまた戦というより喧嘩は起こると思うけどな」

 

一刀が笑いながら話していると……。

 

『でもさ、そのイエヤスって子、何者なの?』

 

沙和がそんな事を言い出した。

 

「俺にもよく分からん。外史の管理者か、それともその管理者と関わりのある人物なのか……。

いずれにしろ、相手は正史でいう徳川家康だ。この外史まで正史と同じ道を歩ませる必要はない。

だから俺は色々警戒しておくさ。ところで東王父はまだ来ないのか?」

『そうですね。前に風が言っていたと思いますが、最近は来てないです』

「何してるんだろうか…」

『ひょっとしたら一刀が頼む前からそのイエヤスって子のこと調べとるんとちゃうの?』

「可能性はゼロとはいえんな。あの気まぐれは……」

『ところで一刀さん、お土産ってあるの?』

「沙和、いくらなんでもまだ土産の話は早いだろ」

『だって、だってー!』

「まだ土産はない。帰るときに適当に土産は作る。以上」

『あ、一刀さん』

「なんだ、凪」

『御武運を』

「ああ」

 

一刀は電話を切る。

 

「御武運を……か……」

 

一刀は仲間の言葉を聞いて、少しは気を引き締めることにした。

-11ページ-

 

 

おまけ

 

 

作者「第4話だが、疲れた」

一刀「書くことにか?」

作者「違う。確かに書くこと自体疲れる作業ではあるが、そんなには疲れん」

一刀「じゃあ何で疲れたんだ?」

作者「単純に今日俺が外をふらふらしまくって足がくたくたで疲れたんだ」

一刀「ただの独り言かよ」

作者「いいだろ。このおまけくらい」

一刀「最近はヴァイスシュヴァルツやってるって言ってたな」

作者「ああ。今日、ショップ大会に出てみた」

一刀「結果は?」

作者「ボロ負けだよ。まあ最初っから勝てるとは思ってなかったな。何人もの人と戦ってどうすれば勝てるようになるのかを見極めるためでもあったからな」

一刀「つまりは腕試しか」

作者「そういうこと。始めて3日の人間が簡単に勝てたら怖いよ。

それはそうと俺は『灼眼のシャナ』でデッキ作ってるんだよな」

一刀「お前、『シャナ』好きなのか」

作者「言ってなかったけど好きだぜ。高校ではまって以来だ。そんでも持ってシャナのカードを買っていてあることに気付いた」

一刀「どうした?」

作者「いや、あるシャナのカードがな…カオスのスリーブの絵のポーズとほとんど同じなんだよな」

一刀「なんじゃそりゃ」

作者「ほとんどというより『完全に一致しました』ってレベルだな。それに気づいた時には笑いがこみ上げてきたぜ」

一刀「まあ、何となく分かるが…」

作者「ああ、それとな。一応まだ戦国乙女の第5話はまだ見てないからまだこれの続きは書いていない。

それでは!」

説明
この話は作者が書いていた「仮面ライダーディケイド×新・恋姫†無双」の続編とされるものですが、舞台は「戦国乙女(アニメ版)」となっています。また話によっては主人公である一刀があまり出番がないことがあることをご了承下さい。
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
1783 1626 9
コメント
一刀かっけー!!続きゆっくり待ってます^^(tukasa)
タグ
真・恋姫†無双 仮面ライダーディケイド×新・恋姫†無双 一刀 仮面ライダー 真・恋姫無双 仮面ライダーディケイド 戦国乙女 

BLACKさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。

<<戻る
携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com