IS アメリカはヒーローとハンバーガーの国!二話 |
二話
落ち着く暇もないまま放課後になる。
いや、放課後すら人が詰め寄ってくる。いいかげんほっといて欲しいものだよ。
「よぉ、なんか大変だな?」
「ん?あぁ、何なんだろうね本当に。」
帰ろうにも廊下は生徒で埋まっている。身動き出来ないオレは仕方なくまだ自分の席にいた。そこに声をかけてきたのは織斑一夏。横にはシャルル・デュノア。こいつはなんか女の子って感じしかしない。
オレが言うのもアレだけどさ。
「オレたちの時より凄いよな?」
「うんそうだね。きっとテロリスト逮捕で活躍したからじゃない?」
この二人よりも凄いのか…なんか疲れる。
「そういえばユーノスってアメリカの代表候補生?テレビで見たあれが専用機なのか?」
「あぁ、そうだよ。それと奏でいいよ。」
「やっぱりかー。ならオレも一夏でいいぞ?」
「なら僕もシャルルでいいよ?」
「よろしく。一夏、シャルル。」
男三人しか居ないんだ。敵は作りたくないしなにより友達は欲しい。出だしは上々だ。
「それより部屋割りどうなるんだろう?」
「ん?シャルルどういうことだ?」
シャルルの疑問にはオレも思うところがあったが一夏は分かっていないようで……
「だって部屋は二人部屋割りでしょ?今男子は三人で一人余っちゃうじゃない?」
「あぁそっか!んーどうするんだろう?」
「それはオレも思ってたことだよ。まぁ、最悪部屋がなくてもサバイバル訓練は受けてるし野営はできるぞ!」
「や、野営って……」
あはは、と引き攣った笑顔で笑うシャルル。
しかし本当にどうしたものか?
野営はできると言ったはいいが本当にやると疲れるから出来ればそれは避けたいなぁ。
ガラッと音をたてて教室のドアが開いた。入ってきたのは山田先生で此方に向かってやって来た。
「ここに居たんですねー。ユーノス君の部屋が決まりましたよ!」
ふへ?決まったんですか?
と、思わず変な声が出てしまった。
場所は変わって今は寮の廊下を歩いている。一夏とシャルルとは途中で別れた。なんでも二人は同室とのことだ。
「さぁ、この部屋があなたの部屋ですよ。」
紹介された部屋は他のと全く変わらない。違いといえば部屋の番号くらいだ。
「ちなみに一組のラウラ・ボーデヴィッヒさんと相部屋になりますので。」
「え?相部屋ですか?」
いや、ボーデヴィッヒさんって女の子ですよ?男女が一緒の部屋で生活するのは世間的にどうなんですか?しかも思春期真っ只中なんですよ?
「それについては私から説明してやる。」
またしても背後を!?
本当に何時の間にいるんですか織斑先生?
「本来ならば織斑とユーノスが同室になるはずだったんだがな、お前の入学が遅れ予想外なことに転校生が男ということで丁度織斑と同室にした訳だ。」
あー、そういうことか。
いやでも女の子と相部屋の理由にはなって無いよね?うん。
「でもなんでオレは女の子と相部屋なんですか?」
「それはお前が1番安全だと判断したからだ。」
「はい?」
「デュノアを女子と相部屋にするとデュノアが襲われある恐れがある。織斑も女子と同じ部屋にするとナチュラルにハプニングが起こる気がしてな。それなら軍人のお前なら大丈夫だろうと思ってな。それに相部屋になる奴は性格にちょっと問題有りでな、まぁお前が気にするような関係にはならないだろうと言うことだ。」
性格に問題有りって……
なんだかまた厄介なことになりそうな気がする。
「だが悪い奴では無い、すまんが面倒を見てやってくれ。」
「はぁ、わかりました。」
まだ納得した訳じゃないけど無理を言っても仕方ない。相部屋のボーデヴィッヒさんはどんな人物なのかそれも気になる。
まずはコミュニケーションが大事だ。
ガチャ。
ドアを開け中に入る。
「えっと、相部屋になるユーノスです。」
返事は帰って来ない。出かけてるのか?
とりあえず荷物は置いておこう。ベットは二つ。手前の方のシーツや布団がずれているから奥の方をオレは使えばいいのかな?
ボフッ。
オレがベットに倒れこむとベットが音を鳴らす。
今日は色々あったなぁー。
主に追いかけられたり、質問攻めに会ったり本当に疲れた。明日もこんなのだと正直やってらんないよ。
ガチャっとドアが開く音がした。ボーデヴィッヒさんが帰って来たのかな?
「誰だ貴様!?」
「相部屋になった奏・ユーノスです。」
「聞いていないぞ?」
「え?織斑先生か山田先生から聞いてない?」
「なに?教官が?」
教官?誰だそれ?
「とりあえず宜しくねー。オレはこっちのベット使っていいのかな?」
「あぁ、好きにしろ。」
相部屋の話しは教官がどうこう言って自己完結したみたいだけど、追い出されたりしなくてよかったよ。
それよりお腹減ったー!
お昼食べてないから凄くお腹が減った!
「ボーデヴィッヒさん夜ご飯はもうたべた?」
あれ?無視ですか?
「ボーデヴィッヒさん?」
「……」
「ボーデヴィッヒさん?」
「……なんだ?」?
おぉ!ようやく返事してくれたよ。
もしかして織斑先生が言っていたのはこういう事か。コミュニケーション能力がねぇ……。
「夜ご飯食べた?」
「まだだ。」
「なら食堂行かない?というより、食堂まで案内して欲しいんだけど……?」
「ふん、私も貴様に聞きたいことがあるからな。ついて来い。」
階段を降りて食堂へと向かう。
なかなかにメニューは豊富なようだ。世界中の料理が一応あるようでこれは留学生の多いIS学園だからだろう。
ボーデヴィッヒさんは母国の料理だろうか?見たことないないものを頼んでいた。オレは無難にハンバーグにした。
空いている席を見つけ二人腰掛ける。
「お前は教官、いや織斑先生とはどういう関係だ?」
場合によってはコロスと言っている目だった。
「いや、関係もなにも今日会ったばかりの先生だけど?」
「嘘をつくな!大尉と言っていたではないか!?」
バンッ!とテーブルを叩き見るからに怒っている様子だ。
「ああ、それはねオレの部隊上司に雰囲気が似てたからついね。」
「ん?部隊?お前軍人か?」
「自己紹介で少尉って名乗っちゃったの聞いてなかった?」
「ああ全く聞いてなかった。」
悪びれた素振りは無しに堂々としてるとなんだか呆れてしまう。
「ならこれからよろしくって事で改めて自己紹介するよ。奏・ユーノス。奏って呼んでくれ。」
「私はドイツ軍のIS配備特殊部隊シュヴァルツェ・ハーゼ隊長、階級は少佐。ラウラ・ボーデヴィッヒだ。」
「……え?上官?」
「別に階級は気にしなくていい。奏、お前はあの“銀の暴風”なのだろう?」
なんだかちょっと恥ずかしいオレの通り名を言われた。だからってなぁ……。
でもここは学園だしまぁいいか。あぁ自己完結。
「そういうボーデヴィッヒさんだって有名な“黒ウサギ隊”の隊長じゃないか。」
ふんっと言って黙々と食べ始めた。
会話が無くなったのでオレも食べることにする。
「ラウラと呼べ。」
長いだろうとの事だった。
そう言ってまた料理を食べ始める。
ちょっと驚いた。つい数時間前はコミュニケーション能力が壊滅的だったのに今はファーストネームを呼ぶことを許されたのだ。
この一歩はかなりのものだろう。
今日はなにも悪いことばかりでもないようだ。
だが、名前を聞いてもしかしてと思ったけどあの有名な黒ウサギ隊の隊長だったことには驚きだった。
説明 | ||
今回はラウラがメインです。 原作よりも柔らかいかもしれない。 |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
1332 | 1281 | 3 |
タグ | ||
IS インフィニット・ストラトス ラウラ・ボーデヴィッヒ | ||
月宮さんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |