真・恋姫†無双?群雄割拠〜
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 呂布が徐州を手に入れる。

 その情報はすぐさま各諸侯の耳に届く。もちろん江東を手中にした孫策も例外ではない。

 しかし。

「それがどうかしたの?」

 孫策は江東を荒らしている賊を殺しながら黄蓋に尋ねた。

「策殿。徐州は以前から袁術が欲しがっていた国。それが呂布に奪われたというのは一大事なんですぞ。もしかすると袁術は呂布を倒すために我々を……」

「それはないわね」

 キッパリと否定を断言する孫策だが、手は賊の首を斬る。

「だって、私達もう袁術と赤の他人なのよ? だいたい袁術の元に入れたのも玉璽があったからこそ」

 その玉璽も今は袁術の所有物。

 例え、帰還命令が出たところで知らぬ存ぜぬで終わり。

「むしろあの袁術の性格だと呂布を仲間にするわよ、きっと」

 言葉と同時に、手に掴んでいた賊の首を斬ると赤い噴射が孫策と黄蓋の顔に飛び散った。

「ふふ……やっぱり、人を殺すのって最高ね」

 孫策は笑いながら人を殺す。もちろん護衛の黄蓋も同じように殺す。

 賊は逃げ出す。

 でも、孫策は追いかけて殺す。

 殺された賊の中にはまだ子供顔の人間もいるが関係なく殺す。

 殺す。

 また、殺す。

 またまだ、殺す。

「あはははは―――っ! ねぇ、もっと私を楽しませてよ。もっと殺させてよ―――っ!」

 情けなどない。彼らはこの江東を荒らした賊で、自分を殺そうとした人間。

 だから殺す。

 二度と逆らわないように。二度と追い討ちなどかけられないように。

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―――それが。

 

どの世界でも当たり前の世界。

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第四話

 

『闇の欠片』

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 徐州の国境付近にて、三軍が天幕を張っていた。

 左は劉備軍、右は袁術軍、そして中心部に呂布軍。

 その中心部で、左右の総代表が呂布からの招待状が届いた。内容は簡潔に”一緒にご飯を食べよう”と。ついでに断れば敵だと書き付けて。

 ちなみに、そう書かれても徐州を攻めに来た袁術軍には拒否することができるのだが、部下の北郷が何の備えもなしで呂布と戦うのは得策ではないと助言してくるので、とりあえず招待を受けることに。一方の劉備は文句など言える訳もなく、応じて来る。

「っ!」

「……っ!」

 互いの大将が出会うと同時に場は一触即発した。

 だが。

 そんな空気をさらに大きな殺気が大将達を包み込む。

 正体はわかる。外見は一見可愛い女の子に見えるが、それは外見のみだけで実力は知らぬ者などいない鬼神、呂布奉先。

「………」

 呂布は無言のまま、陳宮に愛刀の方天画戟を渡した。

「了解ですぞ――っ!」

 陳宮は何も言わない呂布に、これからすることがわかっているかのように俊敏に動く。

「さて、劉備殿に紀霊殿。一つウチの大将と賭けをしてみないか?」

 今度は呂布の後ろから張遼が二人に話を持ち出した。

「賭けですか?」

 劉備はキョトンとした顔をした。

「そうや、ウチの大将は優し人でな。こう見えて戦が大嫌いなんや。そこで今から人間が『絶対』に無理だという距離から弓で方天画戟を当てられるか賭けをしようや」

「にゃ? 何を―――むぐ――っ!!!」

 劉備の護衛としている張飛が張遼の言葉に異を唱えようとした途端、劉備に口を塞ぐ。

 それも当然、呂布のやっていることは張飛達にとっては真逆な行動をしていた。しかし、それを言った所で、ややこしくなのるがわかっている劉備ため、張飛の口を塞いだのだ。

「………」

 一方の当人は、何も言わず弓を兵士から受け取り方天画戟が置かれている方へ目を向ける。

「……外れたら戦争。当たったら和睦」

 賭けの条件を言う呂布。

「……私はそれでかまいません」

 すぐに劉備は条件を飲んだ。

「……わかった」

 紀霊もしばらく考えた後、呂布の条件を飲んだ。

 そして。

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「な、なんじゃとー!?」

「えぇぇ〜!?」

 袁術も張薫も驚きの声をあげる。

 そりゃそうだろう、わざわざ劉備を倒すために戦争に行ったら何もせずに帰ってきたのだから。驚きの声もでる。

「ばかものぉっ! 一刀も何をやっておるのじゃ! せっかく妾が手柄を立てる機会を与えてご褒美まで用意してやったにっ!」

 袁術は怒り、目に涙まで浮かべていた。

「もう離婚ですよねこれ――」

 それに張薫が合いの手を入れる。

「うむっ! 見損なったぞ北郷。もう貴様とは口も聞きたくない。さっさと出て行くのじゃっ!」

「そうだ。出て行け――!」

「……御意」

 北郷は何も言わず玉座から出て行った。

「それにしても、呂布さんも罪に置けませんね。遠い所から方天画戟に当てたら帰れなんて……。しかも当ててるし」

「ところで七乃ぉ。そんなにすごいことなのか方天画戟に当てることなんて?」

 疑問な顔で張薫に尋ねる袁術。

「全然です♪」

 率直に張薫は答えた。

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「ありがとう恋。劉備を助けてくれて」

 徐州にある呂布の寝室にて、北郷は呂布にお礼を言った。

「……ううん。一刀が劉備を助けてほしいって言うから助けただけ」

 実は今回の一見はすべて徐州で人質になっている北郷の差し金。

 その理由は、劉備が好きだから。

 だから呂布に頼んだ。今もっとも劉備を助けられる人間であり、劉備を裏切った人間に。

「……約束通り。これで一刀は恋のお婿さん」

 呂布は頬を赤くしながら北郷に抱きつく。

「……ああ。今日から俺の妻は恋だよ」

 北郷も抱きつく呂布の体を強く抱いた。

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 一方で、互いの情報収集で事の顛末を傍観していた曹操は冷笑していた。

「呂布は噂通りお人よしのようね。人質としている北郷のお願いを聞いて劉備を助けるなんて」

 軍師賈駆が曹操から手渡された報告書を読む。

「……結果的に、劉備を助けたことで徐州の守りは堅くなっているが……こんなものすぐに崩せるわね」

「……あら? それは何かしら、詠」

 その質問に賈駆は笑みを浮かべて言った。

「……裏切り。信頼なる者達に裏切られる。それがもっとも呂布に与える策」

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戦争止まらない

 

なくらない

 

さらに増加する

 

それは人の感情を得た代償なのか?

 

 

 

第五話に続く……

説明
前回のお話
呂布は劉備を裏切り、徐州の太守となる。その出来事はすぐに各諸侯に伝わった。
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