真・恋姫 呉伝 −為了愛的人們−第十話 |
― 一刀Side ―
孫家の将となって数日が過ぎた。
将となった物の早速戦、と言う筈も無く・・・・・・・。
あの後周瑜さんと二人で話す機会があった。
その時に色々と話す機会もあったから話してみた。
その答えは意外なものだった。
『戦に出ろとは言わない。美蓮殿から話は聞いている』
そう聞いたとき、恥ずかしいやら申し訳ないやらで・・・・・・・。
だけど、俺は力になると決めたんだ。
そりゃ人の命を奪うのは怖い。
だけどこの世界はそうしなければ守れないこともあるんだと気づいている。
覚悟を決めたはずなのに怖いと思い覚悟が揺らぐのは俺自身が弱いせいなんだろう・・・・・・。
「強くなりたいな・・・・・・・・」
そんな事を呟いている俺が今何をしているかと言うと・・・・・。
「か、一刀!そんなにとろとろ歩いてないで早くしなさい!!あ"〜もう!!何で私があんなガキンチョの為に出向かなくちゃいけないわけ?」
「そう言うな雪蓮・・・・・。今の我等は客将なのだから諦めろ」
そう、雪蓮と周瑜さんの護衛と言う名目で現時点の主である袁術の納める地『寿春』に来ているわけです。
「周瑜さん「冥琳で言いといった筈だが?」・・・・冥琳、ガキンチョって?」
「あぁ、そうだったな、袁術公路・・・一応われらの主と言うわけだが・・・・・まんま子供でな・・・・・」
「へ、へぇ〜」
顔を顰めつつ嫌そうにそういう冥琳。
あ、真名に関してはこの間「雪蓮が真名を許したのだ、私も許さないわけにはいか無いだろう」なんて言って教えてくれたんだけど
なんと言うか真名で呼ぶのが恐れ多い・・・・・気がして。
まぁ、それは置いといて。
まんま子供って言ってたけど字があるっていうことは成人してるんだよな?
なのに子供?
ん〜考えても仕方ないか・・・・・。
そんなこんなで城門に付いたんだけど護衛の方は外で待ってろと言われてしまう。
「すまんな北郷。そう言う事らしい・・・・・・」
「いいんじゃない?一刀が、い、居ても居なくても問題ないわけだし。その辺で勝手にぶらぶらしてればいいじゃない。
勝手に居なくなったりしたら許さないけどね」
「・・・・・了解。その辺ぶらぶらしてるよ」
雪蓮の言葉に冥琳は苦笑を浮かべつつも俺の目を見て頷き門の奥へと入っていった。
えーと、街の様子を探って来い・・・・ってことかな?
まぁ、見学するつもりだし言ってくるか。
そんなこんなで街中を見て回っている。
なんていうか建業よりも活気が無い気がする。
その割りに商人がやたら多い・・・・・・。
その癖売っているものは微妙に値が張るものだったり貴金属品とか装飾品。
その中でやたら目立つ店があるのに気づく。
そこだけ民がごった返しているみたいだった。
覗いてみると売っているものは民の口に入るものや生活用品ばかり、しかも安い。
なるほど、この店は一般市民向けの物ばかりを売っているのか・・・・。
そりゃ、他の店は民に手が出ないものばかりを売っているわけだからこの店が繁盛するのは当たり前か。
どんな人がやっているのか興味が出て客が減った隙に声をかけてみる。
「あの〜」
「・・・・・なにか探してるのかしら?」
「いや、ちょっと聞きたいことがあってさ」
「聞きたいこと?見たところ武官の方のようですが・・・・・なんでしょう?」
俺の今の服装はフランチェスカの制服ではない。
天の御使いだと寿春の民にばれると色々ややこしいことになるかもしれないと言うことで着替えている。
いつの間にか美蓮さんと詔さんが用意していたらしく嬉々として着せられてしまった。
白地に薄い赤で刺繍されている男用チャイナ服、この国では長袍と言うらしい。
これで鉄扇か何か持ってればもろに中国拳法の達人・・・・というような格好で自分の武器を背中に担いでいる。
「まぁ、武官かどうかは置いといて・・・・この店は繁盛してるみたいだけどどうして他の店は売れそうに無いのに高価なものを置いてるのかな?」
「・・・・・・・変わった武官さんですね。てっきり、うちの店に賄賂でもせびりに来たかと思ったのですが」
「賄賂?・・・・・いや、ただ単に気になっただけでね」
賄賂。
この寿春ではそれが当たり前なのか?
とすればやっぱり見た目通り活気が無いのはそれが関係しているのかもしれないなぁ。
「・・・・・・武官さんはこの地の方ではないようですね」
「ん?わかるの?まぁ、隠すことも無い・・・・か。実は別の街から用事があって此処に来ていてさ、暇ができたから町を散策していたんだよ。
んで、街の商店の様子が余りにも異様だったから普通に民向けに店をしていた此処が目に留まったんだよ」
「用事・・・・・・・・・・なるほど、そう言う事ですか。まぁ、武官さんは悪い方ではなさそうなのでお教えしましょう。
この街を収める袁術・・・・・様の為ですよ。
地方から袁術様に面会しに来る豪族を相手に商売しているのですよ・・・・その方が儲けが大きいですからね。
と言っても、袁術様は装飾品や貴金属品には余り興味が無いのですが・・・・・声を大きくしてはいえませんので少々お耳を・・・・・」
そう言って店員さんは俺に耳打ちをしてくる。
店員さんの顔が自分の顔の真横に来るとフワリと甘い匂いが漂ってきて無意識に体に力がこもってしまった。
店員さんの服装に比べてこの香の匂いは明らかにおかしい。
香なんて良くわからないけどいかにも高そうな香りだったから。
そんな考えも耳元で聞こえてくる声に負けてかき消されてしまう。
「袁術様に・・・・と言いましたが実際のところはその下に付く文官武官に・・・・・と言う訳です」
そう告げると店員さんは、すっと離れていく。
なるほど、そう言う事か。
さっき雪蓮が言っていたガキンチョ、そして店員さんから聞いた下に付く文官武官。
袁術なる人物にあったことは無いがよほどの愚鈍か本当に子供なのか・・・・・。
それでこの街の有様なら納得できる。
この街が特殊なのか、孫家が治める建業が特殊なのか・・・・・。
「武官さん、この街だけじゃありませんよ。他にもこのような地は沢山あります・・・・・・・」
考えを読まれたかと思った。
顔にでも出てたかな?
そう思って口にしようとすると・・・・・・。
「ほら、武官さん噂をすれば。あそこで蜂蜜を覗いているのが袁術様ですよ」
「・・・・・・・・?ぇぇえ!?あ、あれが?」
「はい、あれがです。すいません、お客様が来たようなので失礼しますね」
「あ、態々ありがとう。邪魔をして申し訳ありませんでした」
「いえいえ、でわ・・・・・」
そう言って別の客の相手に向かう店員さん。
不思議な人だったなぁ・・・・・なんて思いつつ店を出て向かいの店で蜂蜜を真剣に見つめている袁術らしき人物に声をかけてみる。
「おじさん、蜂蜜を二瓶もらえるかな?」
「へい!どれにしやしょう?」
「お嬢さん、どの蜂蜜がおいしいかわかるか?」
「ピィ!?な、何じゃ急に!?」
「いや、どの蜂蜜がおいしいか知ってるかなって思ってさ?」
「ほほぅ、わらわに聞くとはお主、いい目を持っておるの〜。そうじゃの、これ店主、江夏の蜂蜜はあるかや?」
「へ、へい!此方になりますです!」
「それじゃ、それを包んでもらうといいのじゃ」
袁術は満面の笑みで俺にそう告げる。
なんだかヨソウガイデース・・・・・。
「んじゃ、それで。これ御代ね・・・・・ありがとう。それじゃ、お嬢さん帰ろうか?」
「い、いや、わらわは・・・・は、蜂蜜がほしくてじゃな!?」
「はい、これあげる。・・・・・そろそろ戻らないと怒られるだろうしね」
そう言って買った蜂蜜を一瓶小さな手に置く。
袁術は驚いた顔をしたが蜂蜜の誘惑に負けたらしい。
「お、お主!いい心がけしておるようじゃの!・・・・う、うまいのじゃぁ〜」
そう言いながら蜂蜜を一生懸命指ですくって舐めている袁術を店の外に出し、城の方へと足を進めるよう誘導する。
袁術がここに居るって事は雪蓮達は待ちぼうけ食らってるんじゃないか?
もしそうならさっきよりも機嫌が悪くなってそうだなぁ・・・・・。
そう思いながら袁術の方を見る。
幸せそうに蜂蜜を舐めている様を見ると如何見ても子供としか思えない。
店員のおっちゃんに対しても別に見下しているわけでもなさそうだったし民を蔑ろにしている風にも見えなかった。
となると、さっきの店員さんが言った通りなのか?
そうなるとこの袁術は傀儡なのかも知れない。
まぁ、この寿春の事を知らない俺が幾ら考えても一緒か・・・・・。
「あぁー!!居ました!!美羽様こんなところに居たんですね!!」
「お、七乃ぉ〜そなたはどこに行っておったのじゃ!!わらわはずいぶん探したのじゃ!!」
「あ〜ん、もう、美羽様ったらぁ〜ご自分が先にどこかに行っちゃったんじゃないですかぁ〜」
「なんじゃと!?気づいたら七乃が居らんかったのじゃぞ!?わらわのせいじゃないのじゃ!七乃のせいなのじゃ!!」
「あぁん、美羽様ったら〜。もう、その自分が逸れたのも気づかないで私のせいにして怒るなんて、
美羽様ったら・・・・っよ!!誰もが驚くほどの自己中心的で世間知らずの袁家の嫡子!!」
「そ、そうじゃろ?そうじゃろ?もっと褒めてたも!!」
あれ・・・・・俺の耳おかしくなったのかな?
全然褒めて無かったよな・・・・・今の。
耳を穿ってもう一度良く聞く。
うん!褒めてない!!
何なんだこの袁術は・・・・・。
やっぱり馬鹿なのかな?
もう一人の罵言をはく人は袁術の部下のようだし。
「あら?美羽様、此方の怪しい人は誰ですか?」
「ん?おぉ!忘れておったのじゃ!!こいつはの・・・・・・・お主、誰なのじゃ?」
・・・・・・・。
なんか疲れてきた・・・・・。
「あ、あぁ、自己紹介がまだだったね俺の名は・・・・・」
しまった!!
此処ではむやみに名を名乗っちゃだめだったんだ・・・。
しかたない・・・・・。
「姓は北、名は郷。字はない。郷とでも呼んでくれればいいよ」
「郷じゃ七乃!」
「もう、美羽様ったら今聞いたばかりの癖にさも知ってたかのように振舞うなんて、にくいね〜この知ったかぶり〜」
「うはは、そうじゃろ?もっと褒めてたも!!」
うぅ、頭が痛くなってきた・・・・・。
三国志の登場人物がほぼ女の人になってるのにはもう驚かないけどさ・・・・・。
「あら?何で頭を抱えてるのかわかりませんが、どこぞの馬の骨か知りませんけど名を教えてもらったのに名を返さないのは礼儀に反しますし私も名乗りますね〜。
姓は張、名は勲、字はないで〜す」
「七乃が名乗ったならわらわも名乗らなきゃじゃの!姓は袁、名は術、字は公路じゃ!名門袁家の血筋なのじゃ敬うが良いのじゃ!!」
「は、はい。よろしく・・・・・」
なんと言うか強烈なキャラだな二人とも・・・・・。
それにしても雪蓮達はどうなったんだ?
「そんな事より!美羽様、孫策さん達を待たせてるんですから早く戻りましょう!」
「なんじゃ?孫策なんて待たせておいても問題ないのじゃ。そんなことよりこの蜂蜜を舐める方が大事なのじゃ〜」
「美羽様?その蜂蜜如何したんですか?」
「郷がくれたのじゃ。わらわが見立ててやったからの」
「も〜、美羽様ったら〜、見知らぬ男から餌付けされて下手したらどこかに連れて行かれて売られるか慰み者にされるかも知れないのに
そんな事も考えずにひょこひょこ付いて行くなんて・・・「待った、もうそれは良いから早く戻りなよ!」・・・・・」
うわ、なんでそんなに睨むんだよ!?
ものすごいジト目でこっちを睨む張勲。
すっと近づいてきて視線を合わせながらこう言った。
『私の唯一の心の安らぎを邪魔しないでください』
とてもドスの聞いた声で・・・・・・。
素直にハイと答えてしまった自分が悲しい・・・・・。
すまん雪蓮、冥琳。
俺の力及ばず・・・・・・もう少し待っててください。
そう考えて凹んでいる俺をよそに二人はキャッキャと騒いでいたがやっと落ち着いたらしく城に戻るそうだ。
やっとか、と溜息をついたところで急に手を握ってきた袁術が声をかけてくる。
「何をしておるのじゃ郷。お主も来るのじゃ!蜂蜜の礼をせねば袁家の名折れなのじゃからの」
「だそうです〜郷さん。さ、いきますよ〜」
そう言って俺の腕に自分の腕を絡ませた張勲はグイグイと体を引っ張って城へと歩み始める。
あれ?この状況ってちょっと不味いんじゃないか?
「いや、お礼なんていらないから!!」
「だめなのじゃ!」
「美羽様が駄目だといってるので駄目です」
有無を言わさず連行される俺。
あ〜、雪蓮達の怒った顔が目に浮かぶようだ・・・・。
どうなる俺!!
あとがきっぽいもの
やっとでました袁術張勲、獅子丸です。
やっとなのか?もうなのか?よくわかりませんが出ましたあの二人。
一刀と出会ったのは偶然かはたまた運命なのか・・・・・。
まぁ、原作とはかなり違う展開を考えていますのでお楽しみに(ぁ
コメントでも頂きましたが詔さんはあのままです!
巌さんも元気に動き回ってもらう予定です!
一刀には一切手出しさせません!
出してもらいたいけど人妻です!
NTR?方向には行きません!
そんな一刀になったら獅子丸も萎えますw
それでは毎度の一言
次回も
生温い目でお読みいただければ幸いです
説明 | ||
第十話。 休みの内にかけるだけ書きたい・・・・・。 この話から徐々に物語が加速して・・・・・・いけばいいな。 生温い目でお読みいただければ幸いです。 |
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コメント | ||
どうする?一刀!(ロックオン) ↓とりあえず犬、君は少し口を閉じようね? まぁなんとかなるでしょうよ、一刀君だし(悠なるかな) 獅子丸さん、大事なのはあなたが萎えるかどうかではない、俺「達」が興奮するかどうかなのだよ!!分かるかね君〜?W(ギミック・パペット ヒトヤ・ドッグ) 実は店員さんは黄巾党の一員、なわけないですね。 改めて考えると世界中に同様の事例がありますね。藤原家の摂関政治然り。あれはまだましですが。(華狼) |
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