真・恋姫 呉伝 −為了愛的人們−第十一話
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― 孫策Side ―

 

 

 

 

開いた口が塞がらないってこの事を言うのね・・・・・。

長い時間待たされてやっと面会するために玉座の前に通されるとその目に映ったのはあの男!!

一瞬わけがわかんなかったわよ!

袁術と張勲に挟まれ頬を掻きながら困った顔をしている。

 

 

「か、かかかか「まて雪蓮」・・・め、冥琳?」

 

 

冥琳から止められる。

なんで止めるのよ?と視線をむけると冥琳は半笑いで溜息をついている。

そして此処は任せろと目で合図をしながら視線を一刀に戻した。

 

 

「お前はなんでここにいるんだ?郷、説明してもらおうか?」

 

 

きょう?誰よそれ・・・・・・あ、確か何か言ってた記憶が・・・・・・。

あ、そうだったわ、ばれちゃ拙いから偽名がどうとか。

危ない危ない・・・・また冥琳に説教くらうところだったってわけか・・・・・。

って言うか何よあれ!

なんで張勲は腕組んでるわけ?

袁術は袁術で一刀と手を繋いじゃってるし!!

なに?孫家の婿の癖に早速他の女に手を出したってわけ?

いや、私は婿なんて認めてないんだけどさ!!

それでもなんかむかむかするわね・・・・・。

 

 

「なんじゃ郷、孫策たちと知り合いなのかや?」

 

「え〜と「袁術殿、その男は私達の護衛です」・・・そうなんです」

 

「なんじゃと!?むむむ、それは困ったのじゃ・・・・」

 

「郷、お前はどうしてそこにいるのだ?」

 

「いや、街中をぶらぶらしてたら時に蜂蜜を奢って・・・・その後なぜか此処に・・・・」

 

「なるほど・・・・・。袁術殿、その男はあくまで護衛ですので下がらせてもよろしいでしょうか?」

 

 

冥琳うまい。

ほら、一刀!さっさと下がりなさいよ!!

目に言葉をこめて一刀をにらみつける。

目が合った瞬間一瞬体を硬張らせた一刀は・・・・。

 

 

「と言う事なので、俺は下がります・・・・・」

 

 

よし!うまくい・・・・・・

 

 

「だめじゃ、郷は此処におってよいのじゃ。蜂蜜の恩もあるしの、ほれ七乃、何か用があったのじゃろ?」

 

 

・・・・・ってなかった。

キィーー!!

何なのよいったい!

一刀はわた、じゃなかった孫家の婿なのになんで袁術に気に入られてるわけ?

袁術め、覚えてなさいよ!!

 

 

 

 

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― 一刀Side ―

 

 

やっぱりこうなったか・・・・・。

ごめん雪蓮、冥琳!!

この二人から抜け出すのは無理そうだ・・・・。

 

 

「しかし袁術殿・・・・」

 

「わらわがよいといったらよいのじゃ!」

 

 

う、うわぁ・・・・雪蓮からものすごい重圧が・・・・・。

その視線から怒りが伝わってくる。

いや、その怒り方マジでやばいって!!

冥琳に止めてほしくて視線を向けると『諦めろ』的な視線を向けられる・・・・・。

あぁ、後が怖いよ・・・・・・。

すると隣で俺から腕を解いた張勲が一歩前に出た。

 

 

「はいは〜い、美羽様がそう言っておられますので〜。それでは今回孫策さんに来てもらった事なんですが〜

最近巷で噂になっている黄色い布を頭に巻いた賊の集団がこちらに向かっているとのことなので退治してもらおうかと思いまして〜」

 

 

黄色い布・・・・そう聞いて頭に浮かんだ言葉。

 

『黄巾党』

 

時期的におかしい気もする。

だけど美蓮さんが襄陽を攻めたのは黄巾の乱の後だったはず。

だけどそれは既に起こっている。

時系列がずれた?

その可能性もあるが此処は俺の知っている三国志の時代とは少し違うものなわけだし・・・・。

視線を戻してみると雪蓮と冥琳の顔は既にその事について考え始めているようだった。

 

 

「黄色い布の賊・・・・・か。規模はどれくらいなの?」

 

「そうですね〜、確実ではないみたいですが一万五千ほどの集団と五千ほどの集団の二つあるみたいですねぇ〜。

私達は五千の方を叩きますから一万五千の方をおねがいしま〜す」

 

「「「っな!?」」」

 

「・・・・・・今の孫家じゃ無理よ。どうかき集めても五千の兵が集まれば良い方よ、本体らしき一万五千を袁術ちゃん達が行けばいいじゃない」

 

「そんなこと言われましても〜、寿春の守りもありますし〜」

 

「ふむ、では袁術殿、各地に散っている孫家の家臣を集めてもよろしいか?」

 

 

なんて無茶を言うんだ袁術達は・・・・・いや、袁術の顔を見る限り良くわかっていないっぽいな・・・・。

ふと、あることに気づき周囲を見回してみる・・・・・。

・・・・・・そう言う事か。

目の前で話す張勲に視線を向けると腰の辺り回した腕の手のひらに何か書かれていることに気づく。

は?・・・・・・・・・・・いやはや、そう来たか。

この張勲って人はなんて事をするんだ・・・・・・。

無意識に笑いがこぼれてしまう。

よし、その策にのかってみようじゃないか。

 

 

「え〜、駄目ですよぅ。そちらで何とかしてくださ〜い」

 

「しかし!!「あ、そうそう美羽様、郷さんに褒美を渡すんじゃなかったんですか?」・・・・ック」

 

「ぅ、ふぇ?なんじゃ、七乃もう終わったのか?」

 

「は〜ぃ、終わりましたから郷さんに上げるご褒美を考えてくださいよ〜」

 

「む、そうじゃの〜。・・・・これ、郷!何かほしいものはあるかの?」

 

「ほしい物・・・・か。何でも良いのか?」

 

「何でも良いのじゃ!ほれ、何が欲しいか言うてみるのじゃ!」

 

 

悩む振りをしながらそう問いかけると此方を向いていた張勲がパチっとウインクをする。

それに瞬きで答え。

 

 

「わかった。それじゃ・・・・・・先ほど周瑜殿が言っていた各地に散った孫家の旧臣達・・・・それと兵を建業に呼び寄せる事を許して欲しい」

 

 

とたんに、周囲からどよめきが溢れかえる。

その中に混ざって雪蓮と冥琳の驚きの声も聞こえた。

これで許してもらえる・・・・・・・・といいなぁ・・・・・。

 

 

「なんじゃ、そんなことで良いのか?よいぞ、郷の好きにするといいのじゃ!」

 

「「「「しかし袁術様!!」」」」

 

「ピィ!?」

 

「あらぁ?美羽様が良いと言ってるんですよ〜?誰も反対したりしませんよねぇ〜?」

 

 

張勲は笑顔で周囲にいた袁家の武官文官らしき者たちを黙らせる。

かと思いきやにんまりとした笑顔で袁術に向き直り・・・・。

 

 

「ッヨ!美羽様!!孫策さん達が怖いの知らずにあっさり力をつけるの許しちゃうなんて〜、

流石袁家の袁術公路!!そこにしびれるあこがれるぅ〜♪」

 

 

一瞬ギョっとした。

・・・・・が、これは先ほど釘を刺された楽しみの一つってわけなんだろうな〜。

 

 

「う、うはははは!そうじゃろ?そうじゃろ?わらわは袁家の嫡子なのじゃ、もっと褒めてたも〜〜〜〜〜!!」

 

 

目の前で始まった張勲の袁術弄りを横目に雪蓮と冥琳たちに視線を戻してみる。

雪蓮は口をあんぐりとあけ驚いた表情でこっちを見ている。

冥琳も驚いてた顔をしてこっちを見ていたが俺の視線に気づきッキっと表情を引き締める。

ハハ・・・・・冥琳の驚いた顔なんてかなり貴重な気がする・・・・・。

すると一通り弄り終えた張勲が立ち上がり俺と雪蓮達に・・・。

 

 

「と言う訳ですので、賊の方よろしくお願いしま〜す。それじゃ、解散にしましょうか」

 

「ふむ、やっと終わったのじゃ。これ、郷も帰るのかの?」

 

「ん?あぁ、孫策殿達の護衛だからね。それじゃ袁術殿、失礼します」

 

 

正式な礼かどうかはわからないが見よう見まねで胸の前で手のひらと拳をあわせる。

あ〜、この後雪蓮達に怒られるんだろうなぁ・・・・・・。

そんなことを考えながら、皆が出て行った後を追って外へと続く扉へ足を進めようとすると不意に服の袖が引っ張られたのでそちらを向くと

袁術が袖をつかんでいた。

 

 

「郷、ま、また来てくれるかの?」

 

「だそうです〜郷さん、そう言う事なのでまた来て下さいねぇ〜」

 

 

と、袁術と張勲から告げられる。

今回の事で張勲には借りを作った事になるわけだし、この大陸では受けた恩は確りと返すのが当たり前の時代。

そんなことは時代なんて関係ないわけだけど、何より俺自身が嫌だから。

 

 

「わかった袁術殿。また来るよ」

 

「み、美羽でいいのじゃ!そなたには特別に許すのじゃ!!」

 

「美羽様が真名を授けたなら私も授けないといけないですねぇ〜、私は七乃で〜す」

 

「ありがとう美羽、七乃。それじゃ俺の真名も・・・・ごめん、耳を貸して」

 

 

耳を寄せる二人に自身の真名とも言える名前を・・・・『一刀』と呟く。

そして付け加えて人前では呼ばないで欲しいと。

 

 

「わかったのじゃ!ありがとうなのじゃ。か、じゃない・・・・郷またくるがよいぞ」

 

「郷さん、今日はありがとうございました〜。あ、郷さん肩に何か塵が・・・・・」

 

 

そう言い掛けて近づいてきた七乃さんの一言に驚きを隠せなかった。

 

『また来て下さいね、天の御使い様』

 

いつから気づいてた?

って言うか俺そんなそぶりしたっけ?

驚いて顔を見ると七乃はニヤリと笑みを浮かべていた。

お、恐ろしい人から真名を教えてもらったもんだ・・・・。

 

 

 

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あとがきっぽいもの

 

 

原作から逸れはじめましたよ獅子丸です。

いや、さすがに一日で4話投稿は疲れました。

休みの日に何やってんだか・・・・・。

さて、この辺から原作の筋とはズレ始めます。

原作通りに行くかどうかかなり悩んだんですがあえて原作とは違った道に行ってみようかと。

黄巾と来て反董卓と来て赤壁へという筋だけは変えません。

この先の美羽達はどうなるのか!?

孫策達はどうなるのか!?

楽しみにしていてもらえると嬉しいです。

ってなわけで次の話も書きますので今回はこの辺で・・・・・。

 

それでは毎度の一言。

 

次回も

生温い目でお読みいただければ幸いです。

 

 

 

説明
第十一話

さすがに連続投稿は骨が折れる・・・・・。
だけど、脳内に溜まったものを消化してしまわないと・・・・・。


というわけで、
十一話も生温い目でお読みいただければ幸いです。
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コメント
七乃は優秀なんだけど…いろいろと残念(ロックオン)
良いなあ。(readman )
1p 袁紹殿→袁術殿でしょ?(緑葉)
まぁ、原作でも七乃は普通に優秀だったからな。単に美羽で楽しんでいただけ。(根黒宅)
孫家の重鎮の護衛が一人、という点、またその護衛と二人の態度から察したのでしょうか。あと張勲はあえて、というかわざと孫家に力を戻そうとしているような。・・下準備?鞍替えの。(華狼)
七乃は結構観察力鋭いっすからねぇ〜。一刀よ幼女に手を出すからこんな事になるんだ。(アロンアルファ)
何か雪蓮が原作の蓮華っぽくなっている…可愛いけど(悠なるかな)
さっすが某割烹着の悪魔並みの策士っぷり(黄昏☆ハリマエ)
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