恋姫†無双〜御使いを支える巨人〜1
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「…………ん、ん〜?」

 

目覚めると、そこは荒野だった。

 

辺りを見回しても、石ころ以外は何も無かった。

いや、遠くに森らしい物も見えるし茂みもあるから、完全に荒野という訳でもなさそうだ。

 

「カザフスタン辺りに似てなくもないが、あんな樹木が生えてるとは思えんしな。

 と言うか、俺って海の上にいたと思うんだが」

 

おかしい、また仲間に悪戯でもされたのかと思ったが、すぐに考えを改めた。

 

(あいつらは、俺の家族は、もう……)

 

ここで俺は周りに落ちている物に気が付いた。

 

「こいつは、おれの物ばかりだ」

 

長年の使用で年季の入ったカバン、唯一弾ける楽器であるアコースティックギター、

師から受け賜った大太刀、いつも着ている上着、等等……

 

とりあえず、カバンに詰め込める物を詰め、上着を羽織り腰に太刀を差した。

 

「本当に何処なんだろう」

 

俺はボソッと呟き、天を仰いだ。

その時、突然後ろから声をかけられた。

 

「よぉ、デカイ兄ちゃん。良いモン持ってるじゃねぇか」

 

声のする方を振り向くと、昔ながらの山賊の様な格好をした3人組が居た。

 

頭に黄色い布を巻き、それぞれチビ・デブ・髭が特徴だ。

 

「ん、俺の事か?」

 

「お前以外、誰もいないだろうがよ」

 

チビの男がそう言うと、3人組はニヤニヤと下品な笑いを浮かべながら近づいてきた。

 

(手に持ってるのは、曲刀か?あまり見ない形だが。)

 

「とりあえず、着てる服と荷物を寄越せば命は取らないでやるよ」

 

髭面の男は曲刀を突きつけてきた。

 

「ア、アニキの言う事を聞くんだなぁ」

 

デブの男が、髭面の男を指差しながら言う。

 

真ん中の奴がリーダー格っぽいな。

 

(……なるほどコイツ等、強盗か。)

 

「随分と舐めた格好してるし、ふざけて強盗しようってのか?

 どれだけ近代化しても、馬鹿は馬鹿のままってか。

 銃でも持ってりゃ、多少は勝機があったろうに」

 

「何を訳の分からねぇ事を言ってやがる!!

 荷物を渡すか、命を渡すかさっさと選べ!!」

 

髭が激昂した。流石に罵倒された事ぐらいは分かるのか。

しかし、実力の違いも分からんみたいだしなぁ。

 

(いきなり刃を向ける様な行儀のなってない奴には、おしおきだな。)

 

「答えは決まった。……ぶっ飛ばす」

 

そう言って、俺は髭の曲刀を蹴り上げ鳩尾に正拳を減り込ませた。

 

虚を突かれ防御もままならなかった髭が呻いていると、チビが斬りかかってきた。

 

「テメェ兄貴を!!」

 

上段からの斬撃をいなし、顔面に膝を叩き込んだ。

 

(こりゃ、鼻を完全に潰したな。)

 

「よ、よくも仲間を〜!!」

 

一番の巨体が地を揺らしながら走ってくる。俺は腕を掴み、一本背負いで投げた。

 

(あ〜あ、地面が抉れてら。どんだけ重いねん。)

 

「なんでぇ、大した事ねぇな」

 

髭は此方を一瞥すると「チビ・デク!!ずらかるぜ!!」と叫び、髭は仲間を起こし逃げ出した。

チビは鼻血を流しながら、デブは腰を押さえながら、一緒に逃げて行った。

 

「覚えてろぉ〜!!」、と捨て台詞も忘れずに。

 

「もう忘れたわい……って、しまった!!」

 

あんなのでも良いから、ここが何処か聞いとくべきだった。

 

(まぁいいか、聞ける奴がいないわけじゃないし。)

 

 

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「いい加減、出てきてくんない?」

 

俺は茂みに向かって声をかけた。

 

「ほぅ、よく気づきましたなぁ」

 

そう言って茂みから、白い服を着た若い女性が出てきた。

 

「あんだけ視線を感じれば、嫌でも気づくよ」

 

「ふふふ、そうですか。なかなかの腕前をお持ちですな」

 

目の前の女性は、手で口元を隠すように微笑み目を細めた。

 

「それなりに鍛えてるからね。ところで聞きたいんだが、ここどこ?」

 

「ここ……?ここは幽州ですが」

 

何か聞き覚えがあるなぁ。確か昔の中国の地名だったか。

 

…………昔の中国?

 

「もう一つ聞いてもよろしいか?」

 

「何なりと」

 

俺は頭を押さえながら、質問した。

 

「ここは何と言う国なんだ?」

 

「?奇妙な事を仰る、ここは漢ですぞ」

 

漢っていうと三国志の辺りか?

 

……タイムスリップか、タイムスリップなのか!?

 

どうやって帰るんだ!?そもそもどうやって来た!?

 

ああ〜と頭を抱えていると、女性が心配そうに声をかけてきた。

 

「もしや、身体の具合でも悪いのですかな?」

 

「いや、健康そのものだよ。ちょっと、事態についていけてないだけで」

 

女性は不思議そうな顔をした。

 

「事態とは?」

 

「気が付いたら、ここにいた。もう何が何だか……」

 

ふむ、と女性は思案顔になり何かを考えていた。

 

5分ぐらい過ぎただろうか、女性はこう切り出した。

 

「もし行く宛が無いのなら、やっかいになっている主の元に来てみないか?」

 

「は?」

 

主の元って、この人は何処かに遣えているのか。

 

「今、やっかいになっている主は大層お人よしでな。影が薄いだ普通だと言われているが、幽州を

 治める太守でもある。我が主の元に来れば情報も集まりやすいと思うのだ。それに人手不足でなぁ」

 

「申し出はありがたいが、こんな何処の馬の骨とも分からん奴を、そんな偉い人に合わせていいのか?」

 

「構わんだろう、特に何かするようには見えんしな。それにさっき賊を退治していたじゃないか。

 あの武を見込んで連れて行こうと誘ったのだ」

 

この人、かなりの武を持ってるからなぁ。一目見た時から分かっていたけど。

 

「そこまで言ってくれるなら、是非とも頼む」

 

「ああ、任されよう。私の姓は趙、名は雲、字は子龍だ。よろしく頼む」

 

今、何て言った。趙雲だって?

 

「……俺の名前は、陸豪 仁義だ。こちらこそ、よろしく頼む」

 

動揺を抑えつつ何とか名前が言えた。

 

(もしかして、ただのタイムスリップじゃないのか?)

 

「姓が陸で名が豪、字が仁義か?」

 

「いや、字ってのは無いから、姓が陸豪で名が仁義だな。その主って人の所で詳しく話させてもらうよ。

 俺自身も、情報を整理しないと話せないし」

 

何かを言おうとした女性、趙雲を制止して、とりあえず城に向かって歩き出した。

 

 

何処の誰かも分からない俺を助けてくれるんだ。今は厚意に甘えよう。

 

この後、城に着き想像を絶する事に驚愕する。

 

 

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今まで、色々やってきたがここまでの事態は初めてだ。

 

 

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後書き

 

初めまして、今回から始めてみました。

 

ちょくちょく書いていきますので、よろしくお願いします。

説明
初めまして、色々思いついたので投稿してみようかと。
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コメント
≫天覧の傍観者さん 閲覧ありがとうございます。次の話も投稿するのでお楽しみ頂ければ幸いです。(SUU)
うp乙です。ホェー。趙雲が出てきたということはもしや魏√?とかなんとか考えられますが、それは今後の御愉しみとして次回作の御投稿をお待ちしております。(天覧の傍観者)
≫ヒトヤ犬さん いえ、オリキャラです。(SUU)
主人公なにかのキャラ?(ギミック・パペット ヒトヤ・ドッグ)
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