真・恋姫†無双〜西涼を照らす光〜 第21話 |
〜その武を振るう目的は(後編)〜
華雄が休日の日に何をしているのか。 その疑問を解決する為に華雄の次の休みに尾行する事を星と霞に半ば強引に決められた。
〜華雄の休みの日〜
一刀「………さて、華雄の部屋が見える位置に隠れてる訳だが……」
詠「………」
一刀「なんで俺と詠しかいないの?」
こんな事をすると決めた原因である星と霞がいないのだ。 すると詠が溜め息を吐きながら…
詠「あの二人なら来ないわよ……椿様達が騎馬隊の調練を指南するみたいで見に行くとか言ってたわ」
確かにそんな事言ってた気がする。 菖蒲さんも参加してるから今日の俺の調練が無くなった訳だが。
一刀「乗り気の二人がいないんだったら今日中止でもいいんじゃないか?」
詠「まぁそうなんだけど、どうせあんた暇でしょ?」
一刀「まぁそうなんだけど……」
詠「シッ!! ……出てきたわよ」
そう言われ視線を戻すと調度華雄が部屋から出てきたところだ。 確かに言われた通りいつもの鎧姿ではなく、いわゆる庶人の服装をしており人目を気にしているようでキョロキョロしていた。 あの行動を見た人間が一番に思うとしたら………
一刀「怪しいな……」
詠「怪しいわね……」
挙動不審にも程がある。 ここが現代なら間違いなく職務質問されるな……いや、ここでも十中八九捕まるレベルだ。
詠「じゃあ私は行くから、後はよろしくね」
一刀「………え!? ちょっと待って、詠も行くんじゃないのか!?」
詠「私は仕事があるから無理よ。 まぁ無理にやれとは言わないし、もし調べるならわかった事を教えて」
そう言って詠はさっさと行ってしまう。
一刀「……なんだろう、このやるせない気持ち…」
結局は自分も気になっていたので華雄を追いかける事にした。 街を出た華雄は先程の挙動不審さは無くなっていた。 だけど俺みたいな一般人につけられて気付いていないのを見ると表には出していないが余裕はなさそうだ。
一刀「しかし華雄はわざわざ身分を隠してまでどこに行こうっていうんだ?」
この前の予想は冗談にしても否定は出来ない。 まぁ相手に知られたくないと言うのは間違いないだろうけど……。 見た感じ華雄は目的地にまっすぐ行こうとはせずに街を見て回りながら時折買い物をしているようだ。
一刀「どんだけ買い物するんだ華雄は……」
本、洋服、食べ物……とにかく様々な物を買っている。 おそらくこれから会う人にでもあげるのだろう。 これはいよいよ相手が気になるところだ。
?「…………」
この時自分は華雄の方に気を取られすぎて自分自身も誰かに見られているのに気付く事は出来なかった。
一刀「…………」
目の前に広がる光景に俺は言葉が出なかった。
女の子「ありがとう、華雄様!!」
男の子「ありがとう!!」
華雄が子供達に囲まれて先程買った物をあげている。
老人「華雄様…いつもいつもありがとうございます……」
華雄「気にするな、私が好きでやっている事だ。 それと様はやめてくれ……私はここに来る時ただの華雄として来ているのだ」
女の子「華雄様って言われるの嫌なの?」
華雄「嫌な訳じゃないが出来れば違う呼び名がいいな……まぁ好きに呼んでくれていいぞ」
そう言われ女の子は少し考え、恥ずかしそうに…
女の子「じゃあ…かか様って呼んでいい?」
華雄「か、かか様!?」
女の子「だめ?」
華雄「いや、駄目ではないが……毎日来れる訳じゃないしだな、私なんかが母代わりに……」
予想外の呼び名だったのか慌てて言い訳をするが女の子が泣きそうな顔になっているのを見て観念したらしく。
華雄「〜〜〜〜〜……よし!! いいぞ、かか様でも何でも好きに呼んで!!」
女の子「ほんと!? ありがとうかか様!!」
そう言いながら華雄に抱きつく女の子。 周りの子供達も流れに乗って華雄の事をかか様と呼ぶ。
?「……………えいっ!!」
不意に一刀は後ろから聞こえた声に驚き、後ろを向くとそのまま頭に衝撃が走る。
一刀「いてっ!!」
頭の痛みを手で抑えながら見ると男の子が木の棒を持って立っていた。
男の子「やい!! 華雄姉ちゃんの事街から付いてきてたろ!! 誰だお前!!」
どうやら華雄を付けていたのをここの子供に見られていたみたいだった。 なんと言い訳しようか考えていると……
華雄「そこに誰かいるのか? ………一刀?」
一刀「あっ…」
なんとも呆気なく華雄に見付かってしまうのであった。
華雄「…………」
一刀「…………」
何とか華雄に誤解を解いてもらい、その場を後にした俺達は話がしたいと人のいない開けた所に腰を下ろす。
華雄「あそこはな……戦で親を失った子供達を面倒を見ている所なんだ……」
一刀「孤児院みたいなもんか……」
華雄「あぁ……あそこを偶然通りかかった時に見つけてな、金の使い道なんか無かったし援助していく内に子供達と遊ぶ様になって、休みの日になると足を運んでいるんだ……初めはほんの気紛れの偽善だったかもしれないが、今日初めて子供達に『かか様』と言われた時は涙が出そうなほど嬉しかったよ」
華雄の独白の様な語りに俺は思った事がある。
一刀「それは子供達が華雄の事を母と呼ぶほど大事なのと同じくらい華雄が自分の子供と思うくらい大事って事じゃない? 偽善で始まったかも知れないけどその気持ちが嘘じゃないって事ぐらいわかるよ、華雄が『かか様』って呼ばれた時本当に嬉しそうな笑顔だったよ」
そう言われて恥ずかしくなったのか、華雄は顔を真っ赤にしながらそっぽを向く。 しばらくして何かを決意した様な顔になりこちらを向く。
華雄「一刀……私は今決めた事があるんだが聞いてくれるか?」
一刀「うん……俺でよければ…」
華雄「聞いてくれるだけで十分だ……私は今まで己の武を己の為だけに振るって来た…だが、これからは自分の為ではなくあの子達の為に、これ以上あの子達の様な境遇の子を出さない為にこの武を振るうと誓う!! 道のりは険しいだろうがやってみせる!!」
俺の前で手を合わせながら自分の誓いを口にする華雄。 その姿は太陽の様に暖かな笑みと決意が混じった様な顔をしていた。
一刀「華雄の誓い、確かに聞いたよ。 俺も微力だけどその誓いを破らせない様に手伝うよ」
華雄「ありがとう……私の新たな門出に立ち会ったくれたお前に真名を預けたいのだが受け取ってくれないだろうか?」
自己紹介の時には教えてくれなかった華雄の『真名』。 俺なんかが受け取っていいものかと少し思ったがこれも華雄の決意なのだろうと思った。
一刀「うん、受け取るよ」
華雄「私の真名は『日向(ひなた)』と言う。 出来れば二人の時だけに呼んで欲しい」
華雄の真名は今の華雄に相応しい太陽の様な名だった。
〜おまけ〜
日向「そういえば、なぜ一刀は私の後なんかつけていたんだ?」
一刀「あぁ…詠に相談されたんだよ最近日向の様子がおかしいって…」
日向「そうか……」
一刀「すぐには無理かもしれないけど、月達にも今日の誓いを話すといいよ。 きっと手伝ってくれるはずだから」
日向「そうだな……いつか必ず……」
どうも茶々零です。
第21話いかがだったでしょうか?
今回は華雄拠点の後編のみでした。
前から書きたい場面だった為 加筆、修正をやっていく内にかなり遅くなってしまいました。
ちょっと原作とは雰囲気が違うかもですがこれがウチの華雄ですw
それに伴い真名イベントも発動!!
日向さんです。この真名も今回の話と同様前から決まっていたものです。
でも振り返ってみると西涼勢よりもフラグが建っている気がwww
前回も言いましたがツイッター始めたので気になる方はプロフからどぞ。
でわまた第22話でお会いしましょう。
説明 | ||
21話でございます。 拠点は今回で取り合えず終わりです。 | ||
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砂のお城様:気に入ってもらえて嬉しいですb(茶々零) | ||
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