一刀はしばらく沈黙した後、右手の素手で銀閃の先の部分を強く握り、そして手からは出血してい

るにも係わらず、そのまま握った状態で銀閃の先を自分の心臓の位置に持っていき、覚悟を決めた

かのように

「翠・・今から俺が話すことについて嘘偽りはない、これを聞いて、俺が生かしてはならない人間

だと思うのなら、そのまま銀閃で俺の心の臓を刺しても構わない、俺は翠に殺されても後悔もしな

いし、恨みも言わない、ただ紫苑と璃々の命だけ取らないでくれ」

と言うと翠が警戒を緩めない態度で

「ああ・・紫苑と璃々の命までは取らないよ、・・話してくれ」

と言うと、一刀は以前別の外史で紫苑と璃々と出会った時ことから、この世界まで降りてきた時ま

でのこと、そして別の外史で翠と出会っていたことや一刀と紫苑が若返ったため、璃々との関係を

改ざんしたこと、そして璃々が一刀と紫苑の関係を承知で愛していることを全て話をした・・。

そして全ての話を聞いて翠は一刀に

「は・は・は、そんな話、誰が信じろって言うんだよ！」

「・・信じるか信じないか翠、翠の判断次第だよ・・、ただ１つだけ言っておく。俺は璃々を抱い

たことについて後悔はしない、１人の男として寧ろ嬉しいくらいだよ。そして紫苑も承知の上だ、

だから翠が俺の命だけでなく紫苑や璃々の命まで取るというのであれば、俺は翠を敵に回しても戦

うつもりだ・・」

と言い切ると、翠は涙を流しながら

「何なんだよ・・それ・・」

「せっかく私が、生まれて初めて男に興味を持って、好きかもしれないと思っていたのによ・・」

と言いながら、持っていた銀閃を地面に落とし、そしてその場で泣き崩れた・・。

そして一刀は心中

（「今の俺に翠を慰める資格はない・・」）

そして

「翠、ごめん・・」

と言って陣幕を出た。

そして一刀は、その足で璃々がいる陣幕に行くと、璃々の様子を見にきていた紫苑もいた。

紫苑と璃々

「おはようございます、ご主人様」

「おはよう〜ご主人様」

と言うと、一刀の様子がおかしいと気付いた紫苑と璃々が一刀を見ると右手が怪我をしていたので

「「ご主人様、手が・・」」

「ああ、すまんが紫苑、治療して貰ってもいいか」

と言うと紫苑は治療をしていると、紫苑と璃々が

「どうしたのですか、こんな怪我をされて」

「そうそう、どこかで転んだの〜」

と心配そうに言うと、一刀が２人に

「すまん、実は・・」

と言って、先程翠の陣幕であった出来事について全て説明した。

紫苑が全てを聞き終えると、一刀と璃々の関係を持ったことについては微笑んでいたが、

今後について真剣な顔つきになって一刀に

「ご主人様、これからどうされますか」

と聞くと、一刀は紫苑に頭を下げて

「本当にすまん紫苑、正直言って、俺は近いうちにここから出ようと思っている。翠は俺の事が好

きかもしれないと言っていたが、この状況になってしまったら、居るに居られないだろう、それに

翠の悲しい顔を見たくはないし、これ以上翠を苦しめるのも俺の本意ではない、だから翠の心の傷

をこれ以上広げないためにも、ここを出た方がいいと思う」

と言うと璃々は泣きそうな顔になりながら

「ごめんね・・、ご主人様、私の不用意な一言がこのようなことになるとは・・」

と謝ると一刀は

「気にするな、璃々、俺もまさかこのようなことになるとは思っていなかったけど、言っただろ

う、どんなことになろうとも紫苑と璃々を守るって」

それを聞いて紫苑は

「残念だけど・・仕方がないですね、でも何かいい方法があるか考えてはみますけど・・」

「ああ、いい方法があればいいけど・・」

そして璃々も寂しそうな顔で

「うん、仕方ないよね、私も翠お姉ちゃんの辛い顔を見たくないし、お姉ちゃんも好きなご主人様

を奪い取った私の顔なんて、きっと見たくないはずだよ」

と言い、話し合いの結果、武威に戻ったあとに涼州から離れる方針で一致した。

家族会議の後、陣を引き払い、武威に戻ったが、その間行軍中、翠は元気がなく、翠と一刀らの会

話もなく、更に紫苑も道中、一刀とほとんど会話を交わさず、何かを考えている様子であった、城

に戻ると翠は、碧への報告については体調不良を理由に渚に任せ、自室に籠ってしまい、そして一

刀と璃々の方は、翠との摩擦を避けるため、戦の報告については紫苑に任せることにした。