Little Brave〜ちいさな勇気とおおきな絆〜 |
Prologue
「・・・っがぁ」
歪に曲がった左手で、血だらけな右胸を押さえて蹲る自分。
辺りに散乱するは『何匹分』かの肉と、血痕。
両親の居ない隙を狙って送られた刺客全てをどうにか殲滅させることが出来たけれど、その引き換えに私は瀕死の重傷を負わされた。
暗くなる視界。どうにか足へ力を入れようともがくが、そんな物は無駄な足掻きだとでも言うように、どんどん意識が遠退いていく。
「・・・っ!? 恭介、みんな、誰か倒れてるよ!!」
どこか別の世界から発せられているかのような叫び声を耳にしながら、私の意識は深い闇へ引きずりこまれていった。
「・・・ここ、は?」
目を開けば、視界いっぱいに広がるくすんだ白。ここが一体どこなのか確認しようと体を起こしかけた瞬間、
「ぐぁぅ!」
右胸に、強烈な痛みが走った。
「おい、あんまり無理すんなよ」
思わず上半身を丸めて痛みに耐えようとする自分へ掛けられる、落ち着いた声。なんとか治まった激痛に安堵しながら、私は声の発生源へと首を向ける。
そこにいたのは、爽やかに笑う少年と心配そうな表情でこちらを見る……少年?
更にその少年(仮)の後ろへ隠れつつ様子を伺う少女と、頭に大きなたんこぶなど作っている二人の少年。
特に片方は、何故か服が泥だらけだ。
「大丈夫?」
そう話し掛けてくるのは、心配そうな表情の少年(仮)。改めて見れば、何だか女の子に見えてきたなぁ。
「あんま大丈夫じゃないけど、助けてくれてありがと。救急車とか呼んでくれたのって、君達でしょ?」
なんて思考を追い払い、恐らく倒れていた自分を運んでくれたであろう彼らへお礼を言う。すると少年(仮)は恥ずかしそうにはにかんだ後、小さく首を縦へと振ってきた。
「さて、ここからが本題だ」」
その様子を微笑ましそうな感じで見つめていたリーダー格っぽい少年は、そう言ってこちらへ振り向いてきて、
「リトルバスターズに入らないか?」
満面の笑みを浮かべ、そんな言葉を紡いできた。
「リトル、バスターズ・・・?」
聞きなれない単語に、それが何なのか疑問の声を上げる自分。これを聞いたリーダー的少年はニヤリと笑い、今の台詞が意味することを話してくる。
「あぁ。この街に潜んでる悪を倒す正義の味方、それが俺達リトルバスターズだ」
だが続けられた言葉に、私は多大な幻滅を抱いてしまった。
彼らのような表の住人、しかも子供が考えるような悪とは生命の危険など欠片も伴わないもの。故に様々な輩から命を狙われている自分としては、彼らのいうリトルバスターズなどあまりに幼稚な存在なのだ。
こちらの醸し出していた雰囲気が、自分達と余りに違うことを本能が察したのだろう。少年(仮)や彼の背後に隠れている少女は、軽く怯えの表情を見せていた。
そんな彼らの様子を更なる苦笑を以って眺めつつ、リーダー的少年は変わらぬ笑みで手を差し出してきて。
「まぁお前が俺達と違うっていうのは、そんなのあんな出会い方をしたら誰だって知ってるさ。俺はただ、お前と一緒に遊んだり騒いだりしたいだけなんだからな」
そうして告げられたのは、生まれて初めて言われた台詞だった。
・・・遊ぶ? 彼ら、と?
「ちなみに拒否権は殆どないぞ? そんな顔見せられたら、何が何でも仲間に入れてやるんだからな」
楽しそうに笑いながら言ってくる彼。それを聞いた瞬間、自分の頬を熱いものが流れていく。
――いいの、だろうか。自分も他のみんなと同じように遊んだり笑ったりしても、いいのだろうか。
「俺達はみんなお前を仲間にすることに賛成だったぜ。だから、後はお前次第だ」
今度はリーダー的少年だけでなく、他のみんなが差し出してくれた手。その温かな表情と心に私は、知らず彼らの手を掴んでいた。
『ようこそ、リトルバスターズへ!』
声を揃えて言ってくれた歓迎の言葉を、私は生涯忘れることはないだろう。
これが私こと井上柚梨奈(ゆりな)と、彼らリトルバスターズとの出会いだった。
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需要があるかどうかは分からないですけれど、リトルバスターズのオリキャラ長編SSです。 ちなみに女主人公なので、ハーレムが大好きといった方は・・・ドンマイということで一つ宜しくお願いします。 |
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井上柚梨奈 Little Brave〜ちいさな勇気とおおきな絆〜 女オリキャラ リトルバスターズ | ||
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