真・恋姫†無双 武と知の2人の御遣い伝 第34話
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この物語は真・恋姫†無双という外史に、

CRISIS CORE FINAL FANTASYZのジェネシス・ラプソードスが来たいう設定です。

作者である私、黒山羊が原作を何度もやりなおし、登場人物を原作通りにしたつもりです。

ですが、解釈が幾らでも可能であるように、登場人物が皆様のご期待にそえるかどうかはわかりません。

まあ、CCFF7が分からなくても楽しめるように書いたつもりです。

また、作者は関西人なので、気をつけているつもりですが、セリフが関西弁臭くなってしまうかもしれません。

あらかじめご了承ください。

読者の皆様が楽しめたら幸いです。

 

 

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視点:一刀

 

俺が曹操の元に行き、桃香達が荊州に向かって、もう10日が経とうとしている。

俺は平原に残してきた書庫の完成を仕事とする文官になった。

俺は元、普通の高校生。だから、高校の授業の内容と自分の習慣や体験談からなる俺の知識か、それを元に実験を繰り返して分かった事がこの書庫にある書簡の内容となってくる。

だから、大まかな実験内容と結果は把握しているので、この書庫の内容は80%覚えている。

自分でもこんなに記憶力があることには驚いたものだ。

まあ、ほとんど習慣が関係してくるのだが…、

 

俺の習慣?

 

俺の習慣は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Wikipediaだ!

 

分からないことがあれば、ケータイでWikipediaを見る。

それが俺の習慣であった。何でこの習慣が着いたかというと親父に分からない事を聞いたら、親父が『知るか!調べろ!』とキレられたので、気が付いたら習慣化していた。

だが、wikiで調べる内容は高校の授業で習うこととはかけ離れている為、俺の習慣は高校の成績にあまり反映されなかった。

それにwikiで調べて、英語のサイトだったら、読むのを諦めて、別のサイトで調べるってことをしていたので、余計に英語の定期テストの点数が良くなかった。

しかし、人生分からないものだ。こんな習慣が滅茶苦茶役に立つ時が来るとは思っていなかった。

 

俺は筆を置き、伸びをする。

 

「すげぇーな、Wikipedia。侮れん!」

 

「何よ。『いきぺ……』って?」

 

後ろから、女の子の声が聞こえる。

この声は荀ケだな。

簡単に説明すると猫耳軍師様。年は詠と同じぐらいで、性格は詠以上にキツイ。なぜなら、男嫌いだからだそうだ。

男なのに曹操に気に居られたため、俺の事がかなり嫌いらしい。

俺は後ろを見て、猫耳軍師様の質問に答えようとするのだが、

 

「こ、こっち見ないでよ!お下劣生物男甲!妊娠しちゃうでしょ!」

 

ほら、この通りだ。

なんだよ……視線で妊娠できる生物ってなんだよ?

男ってお前の頭の中では『男=お下劣生物』って公式が成立しているわけ?

それに、甲って何だよ…。性は北郷、名は一刀だって自己紹介したろ?

と、まあ、猫耳軍師様との会話はツッコミどころ満載だ。そして、最近のストレスの原因第1位である。第2位は睡眠時間が少ないことである。

そして、起きている時間の半分は荀ケと一緒に仕事をしなければならない。

胃が痛い。最近は胃薬を服用している。

暴飲暴食はしないように努力はしているが、ドカ食いしそうになるので、野菜ばっかり食ってる。

俺は机の方を向き喋ろうとするが……

 

「会話せずに説明してよ。これ以上アンタと会話していると妊娠するから!」

 

じゃあ、どう説明しろって言うんだ!

 

落ち着け。北郷一刀。クールになれ。

所詮たわごと。言葉や視線で妊娠しないんだから、クールになれ。

深呼吸しろ!ヒーヒーフーヒーヒーフー

なんか落ち着かんな…。

まあいい。

 

そして、考えろ。北郷一刀!

 

どうすれば、説明できる?

視線と言葉がアウト。

となると、ジェスチャーか?

ジェスチャーが通じるだろうか?これだけ無茶苦茶言う上に、男嫌いな奴だ。何やってんのと俺を馬鹿にする可能性が非常に高い。

よって、ジェスチャーは却下。

次に誰かに中継点を頼むか?今この書庫には俺達以外誰も居ない。

よって、中継点も不可能なので、却下。

筆談?面倒なので、却下!

うむ。どうする?

あ!独り言はどうだろう?先ほど、荀ケは会話が嫌だと言った。俺が喋る前に独り言!って言えば、何とかなるのでは?

方針決定!

 

「今から言うのは独り言だが、wikipediaってのは、俺の世界であるカラクリを持っていたら誰でも何時でも何処でも金なしで読む事の出来る百科事典みたいなもんだ。」

 

「便利なのね。天の世界は。

それより、アンタ!喋らないでよ!独り言とか言って目に見えない精液を口から撒き散らしているでしょ!

妊娠しちゃうじゃない!馬鹿なの!アンタ死ぬの?」

 

「そんなじゃ、普通妊娠しません!馬鹿なの!お前死ぬの?」

 

「男って生き物は普通じゃないの!馬鹿なの!アンタ死ぬの?」

 

「男は普通の生き物です!馬鹿なの!お前死ぬの?」

 

「……埒が明かないわ。」

 

「お前が突っかかって来るからだろ?」

 

「まあ、良いわ。時間は稼げたし、」

 

猫耳軍師様の声はすごく嬉しそうだった。

時間稼ぎ?

 

「何の時間稼いでいたんだ?」

 

「華琳様から伝言よ。

用事があるから、すぐに来なさいって。

すぐに来ないと罰を与えるそうよ。良かったわね、華琳様から罰を与えられるなんて光栄に思いなさいよ。」

 

「ちょ!おま!曹操こっち来ているの?それを早く言えよ!曹操はどこ?」

 

「玉座の間よ。」

 

くそ!

俺は椅子から立ち上がり、走って曹操の所へ向かった。

猫耳軍師様はニヤニヤと笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玉座の間には般若の顔をした曹操と3人の女の子が居た。

 

「遅い!一刀!

私が呼んだらすぐ来なさい!」

 

「ワリい。荀ケが俺に絡んで来て、その後に用事を言ってきたから、遅くなった。」

 

「桂花……##

罰は貴方に必要なようね。それもとびっきりのを………###

一刀!」

 

「はい!」

 

俺は曹操の怒った声で思わず敬礼してしまう。

 

「貴方には書庫の仕事以外にも警邏隊の隊長も任命するわ。」

 

「どうして、俺?」

 

「貴方のこの『じゃっぷ?でも分かる警邏効率向上論』って本なかなか面白かったからよ。

この本の内容、平原でやられているでしょ。

これを私の国の都で実践なさい。私は読んで覚えたけど、これは私がわざわざすることじゃない。

それに先日、警邏の隊長が死んだわ。かなりの高齢だったもの。

これを機に警邏について考え直そうと思って、この本を読んだわけよ。」

 

「了解した。だが、その本に書いたと思うが、俺一人では不可能だ。」

 

「ええ、分かっているわ。だから、この娘達を貴方の部下にします。凪!沙和!真桜!」

 

そういうと先ほどの3人の娘の2人が背筋をピンとする。

残り1人は元々姿勢が良い。

 

「やり方は任せるわ。この娘たちを好きに使いなさい。

許昌で、書庫の完成と同時に警邏の隊長もやってもらうから、頑張るように。行くわよ。」

 

それから、3人と自己紹介し合った。

3人共真名をくれた。

銀髪で後ろで三つ網にして纏めている娘が楽進で、真名は凪。

茶髪のネイルアートをしている娘が于禁で、真名は沙和。

紫髪の工具でジャラジャラ娘が李典で、真名は真桜。

 

そして、俺と3人の娘と数人の部下で書庫の中の書簡を運び出す。チラッと見えたのだが、超絶毒舌猫耳軍師様は土下座し、曹操に何か言われている。よほどキツイことなのか、顔面蒼白だ。

策士が策に溺れている。

一体、どんな罰を出したんだろう?

気になったが、好奇心は猫をも殺すと言われるほどだ。

止めておこう。

 

書庫の本は荷車に積み終わった。

俺は馬に乗る。馬に乗った曹操が俺の右に来た。

 

「一刀、桂花を前に乗せなさい。」

 

「え?」

 

「一刀、もう1度だけ言うわよ。桂花を前に乗せなさい。」

 

「いいけど。何で?」

 

「さっき、一刀が遅れてきたのは桂花のせいだったから、私の信念の一つ信賞必罰で、罰を与えることにしたのよ。」

 

「で、それが俺の前に乗るということ?」

 

「そうよ。」

 

「俺的には勘弁してもらいたいんだが…。罵倒を浴びたいっていう趣味は無いんだが……。」

 

「いいじゃない。後ろから桂花に好きな事していいのよ。」

 

「するわけねえだろ。女の子に嫌がる事したくないし。」

 

「それから、もう一つ桂花には罰を与えているわ。」

 

「マジかよ。それって俺も関係するの?」

 

「そうよ。」

 

「………ハァー。」

 

超絶毒舌猫耳軍師様のお出ましだ。

左手の親指を噛みながら現れる。ギリギリと五月蠅い。

眉間の皺がヤバイ。紙を挟めそうだ。

視線もヤバイ。目があったら悲鳴を上げられそうだ。

会話を成立させることもまず不可能だな、こりゃあ。

 

「ほら、一刀。さっさと、桂花に手を差し出しなさい。」

 

俺は上着を左腕に巻いて、華琳の居る右を見ながら、左手を差し出す。

 

「独り言!素手で触られるより、服の方がマシだろう。」

 

「………フン。」

 

猫耳軍師様は俺の左手を握る。

俺はひっぱり上げ、俺の前に乗せる。

 

「桂花。2つ目の罰は未だかしら?」

 

「………桂花。」

 

「それだけじゃわからないでしょ!

3つ目の罰も考えているのだけど、一刀と桂花に首輪をして2人を繋げるっていう罰が。」

 

「そ…それだけは…。」

 

「さっさとなさい!桂花!」

 

「知の御遣い様、私の真名は桂花です。今度から桂花とお呼び下さい。」

 

猫耳軍師様の態度はどう考えても、真名を預ける人の態度じゃない。

 

「………ハァー。」

 

俺は今日何回溜息を吐いたか分からない。

俺達は許昌に向けて、平原の都から出発した。

 

 

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視点:華琳

 

「ねぇ、一刀。この本は何?」

 

私は馬に乗りながら、左に居る一刀に聞く。

『LOVELESS―らぶれす― 序章』と言う題名の本。

私の知らない文字を含んだ本を一刀に見せる。

軽く読んだけど、どう考えても国政に直接関係ない読み物だった。

 

「ああ、これも1冊ずつ書庫に置いていたな。」

 

「これも貴方が書いたの?」

 

「いいや。これはジェネシスさんの世界の叙事詩を翻訳したものだ。」

 

「ぜねしす?ああ、武の御遣いね。」

 

「平原では流行っていた読み物だ。曹孟徳様にはどう映った?」

 

「そうね。及第点ってところかしら。」

 

「手厳しいな。『LOVELESS』は最後まで読んだのか?」

 

「いいえ。未だ序章の途中よ。さっき見つけたばかりなのよ。」

 

 

「そうか。俺は『LOVELESS』好きだから、最後まで読むことをお勧めするよ。

 

『深淵のなぞ それは女神の贈り物

 われらは求め 飛びたった

 

彷徨いつづける心の水面に

 かすかなさざなみを立てて』」

 

 

一刀は空を見上げながら、そう呟く。

声は小さかったが、決意を感じる声であった。

 

「もしかして、武の御遣いと貴方が分かれる時に言った言葉も『らぶれす』かしら?」

 

「そうだ。今言った言葉も『らぶれす』からだ。俺は今の節が一番好きだな。

あの人もよく言ってた…。」

 

「そ、暇を見つけて読んでみるわ。

それから、一刀。貴方1800年後の世界の人間って言ったわよね。」

 

「ああ、そう言った。」

 

「だったら、この先何が起こるのか知ってるのね。」

 

「どうだろう?

たしかに、桃園の誓い、黄巾党の乱、反董卓連合はあった。

でも、俺の知っている世界とは少し違って来ている。

俺の世界の知っている董卓は呂布に殺されたが、この世界の董卓は民の反乱で死んだ。

だから、俺の知識が全て正しいとは言えないな。」

 

「だったら、貴方の未来に関する知識はしまっておきなさい。話すのは厳禁よ。

私は貴方の知っている過去の曹孟徳ではないのだから。」

 

「分かった。」

 

「それから、一刀。武の御遣いの強さを手に入れる方法を教えなさい。」

 

「それは教えられない。」

 

「これは命令よ。一刀。

言わないとどうなるか分かるわよね。」

 

私は絶を抜き、一刀に向ける。

 

「それが命令でも俺はあの人の事を教えるわけにはいかない。

それに、その鎌で曹操を殺すことはできない。俺の頭の中には未だ書きだしていない知識があるからな。」

 

一刀は動揺せずに答える。

確かに一刀の言う通り。ここで今、一刀を殺しても何の得も無い。そればかりか損ばかりね。

私は絶をしまう。

 

「悪いな。一方通行かもしれないがあの人は俺とは正反対だけど、最も近い友人だと思っているから。

それに教えた所であの人の強さは再現できないし、再現しようとしない方が良い。

でも、それ以外で知っている事なら何でも答えてもやれる。」

 

「仕方ないわね。

一刀は私にこれから起こる事を言わない代わりに、私は一刀に元の仲間たちの事を聞かないわ。それでいいわね?

それに天の知識頼りで天下統一しても私は嬉しくないわ。」

 

「ありがとう。曹孟徳は理解があって真っ直ぐな人物だな。

魏の国の民も曹孟徳と言う人物を慕って人が集まるのだろうな。(ニコッ」

 

一刀は笑う。

だが、先ほどの笑い方とは違った。心から喜んでいる感じ。

一瞬ドキッとした。

 

「フ…フン!早く行くわよ!」

 

一刀の顔を直視出来ない私は馬を急がせる。

後ろでは一刀と桂花がギャーギャー言い合っている。

しかも、春蘭もそれに参加したようね。ギャーギャーボコバキという音が聞こえるわ。

 

「華琳様。宜しいのですか?」

 

私に話しかけてきたのは春蘭の妹の秋蘭。

 

「良いわよ。天の知識を頼りにしていては平和が来た時に私達はそれを維持できないわ。」

 

「そこまでお考えでしたか。私達臣下一同、華琳様の覇道を支えましょう。」

 

「頼んだわよ。」

 

「華琳様。一つよろしいでしょうか?」

 

「何?」

 

「あのままにしておくと、北郷が死んでしまいますが、如何いたしましょう?」

 

「放っておいていいのよ。春蘭も桂花も加減できるでしょ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

許昌に着いた。結構時間がかかったわね。

私は馬から降りて伸びをする。

 

「……曹操。」

 

後ろから呼ばれたので、振り返ると。

 

「きゃーーーー!!」

 

そこには杖をつき、顔が芋のようなボコボコの顔の男が居た。どう見ても妖だ。

絶で殺そうとするが、男は『うお!』と言い、咄嗟に避ける。素早い。

 

「ま、待ってくれ!俺だ。北郷一刀だ!」

 

「え?一刀?」

 

「ああ、夏候惇と桂花に殴られてこんな状態だが、一応曹操の知っている一刀だ。

助けてくれって言ってるのに、無視されるし…。」

 

しょうがないじゃない。

一刀の笑顔が頭に焼きついて見ていられなかったもの。

まあ、こんな不細工だったら、直視して大丈夫だわ。

でも、このままじゃ、一刀を手伝う文官の仕事に支障をきたすかもしれない。

 

「一刀、その顔それぐらいで治りそう?」

 

「明日には治るよ。」

 

「え?一刀、明日には治るって言った?」

 

「言った。」

 

「その顔明日には治るの?」

 

「うん。」

 

「ボコボコよ。」

 

「慣れてるから。」

 

「慣れてる?」

 

「愛紗…関羽によく殴られるから。」

 

臣下に殴られるのに慣れている君主って何なの?

貴方の元居た国大丈夫なの?

 

「どうせスケベな事でもして殴られたんでしょ?」

 

「…………桃香達とイチャイチャしてると殴られたり、仕事さぼったりして殴られたことの方が多い。」

 

「ってことは、スケベな事もしたのね。」

 

「………………………それ以上は黙秘します。」

 

「そう。私は貴方に元仲間との個人的な話は聞いてはならないって約束したわね。」

 

これじゃ聞けないじゃない。

関羽が髪のように下もしっとりツヤツヤなのか…。

ああ!気になる!

 

その後、一刀には顔を治させるために今日は休むように言い、凪、真桜、沙和、桂花に書簡を書庫に入れるように、春蘭と秋蘭には行軍の後始末を任せた。

 

「桂花、『LOVELESS ―らぶれす―』を私の部屋に後で持って来なさい。」

 

「北郷の言っていた武の御使いの読み物を読まれるのですか?」

 

「ええ、あの男があの時私の質問に答えなかったのか、私は知りたいわ。」

 

「北郷は知っているのではないのですか?」

 

「知っているでしょうけど、教えてくれないって。」

 

「これだから、男と言う生き物は…。」

 

「いいえ。桂花。一刀は間違っていないわ。

一刀はこう言ったわ。

【『思想』という言葉は真実と接し真実について思い想うからこそ、『思想』。

俺はあの人からあの人の過去を知ったから、あの人の思想を知っているつもりだ。実際は違うかもしれないがな。

そんな俺からあの人の考えだけを言った所で曹操にあの人の思想は伝わらない。

だから、曹操なりにあの人と向き合ってみてくれ。】」

 

「アイツは華琳様にそんな口答えを言ったのですか!」

 

桂花は驚いている。

 

「桂花、臣下は従うだけにあらず、主君を正すも臣下の努めよ。いいわね。」

 

「分かりました。

荀文若、華琳様が正しき覇道を歩むためにこの身を捧げます。

では後ほど、華琳様のお部屋に持って行きます。」

 

私は自室に戻って政務をする。

侍女が政務の合間に茶を入れてくれた。茶の時間を利用して私は休憩することにした。

 

 

 

 

 

 

頭に浮かぶの2人の男。

 

1人は私を闇のような冷たい目で見ている。

冷たい声で私を突き放す。

 

「………お前には分からない。」

 

1人は私を光のような暖かい目で見ている。

暖かい声で私に近づく。

 

「曹孟徳は理解があって真っ直ぐな人物だな。(ニコッ」

 

相反する二人。

 

武と知

紅と白

闇と光

冷と暖

 

でも、二人が同じ夢を見ている。

理想の果ては同じ物。

二人は離れているが、近いと一刀は言った。

 

そして、どちらも私にとって初めての種類の人間。

 

私の知っている人間とは私に敵意をむける人間か、私に畏怖する人間、尊敬する人間どれかだ。

2人はどれにも当てはまらない人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんなのよ。天の御遣いって……。」

 

 

桂花が私の部屋に来た。

要件は桂花に先ほど頼んだ本だった。

『LOVELESS −らぶれす―』。

私は早速最初読み始めた。

 

「『獣たちの戦いが世に 終わりをもたらす時

  冥き空より女神が舞い降りる

 

  光と闇の翼を広げ

  至福へと導く<贈り物>と共に』」

 

 

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視点:雛里

 

ここは荊州の隅。樊城。

北か東に行けば曹操さんの領地。南に行けば袁術さんの領地。

愛紗さんと鈴々ちゃん、星さんの活躍で兵が少なくても、

指揮がバラバラ、更には天の御遣いという言葉で降伏してくる軍が居たおかげで、樊城は数刻で落城。

 

その後、私と愛紗さん、月さん、詠さんが此処に残り、

桃香様、ジェネシスさん、鈴々ちゃん、朱里ちゃん、星さん、華雄さんは西の内乱地域の制圧へと向かった。

我が軍で軍神と言われている愛紗さんに此処に居てもらえれば、袁術さんは此処を攻めにくい筈。ジェネシスさんの天の御遣いと言う名は降伏させる材料として使えるのではないかと言う判断からです。

逆にジェネシスさんをこっちで、愛紗さんを向こうにした場合、ジェネシスさんは文官の仕事ができないので、戦の時は頼りになりますが、平時は昼寝、酒、読書以外にすることがありません。ですが、愛紗さんは少しは文官の仕事が出来るので、平時でも助かります。

ジェネシスさんと別れるのは寂しいですが、桃香様達もご主人様と別れて寂しい筈。私だけが駄々を捏ねる訳にはいきません。

 

私は愛紗さんと街を見て回っています。

警邏の問題点を探し、それを治す為です。

 

怖がりの私は街に行くのが怖いです。

でも、私達が行かないと警邏の効率が上がりません。

我慢しないと……だから、愛紗さんの服の裾を握りしめています。

 

 

 

 

 

「……ひ…雛里。そこを持たれると下着が見えてしまうから、せめて袖にしてくれないか?」

 

「あわわ!ご、ごめんなしゃい。」

 

愛紗さんは顔を赤くして、服を抑えています。

私は愛紗さんの袖を握ります。

 

「雛里、私の服を握りしめてどうした?」

 

「あわ……ご、ごめんなさい。でも、不安なのでこのままいさせてください。」

 

「それで、不安がおさまるなら構わないが、どうして不安なのか教えてくれないか?」

 

「街に出たりすると人攫いにあってしまうって不安になってしまいます。」

 

「星に何か吹き込まれたのか?」

 

「そ、それもありますが、三回も人攫いに合っているので…。」

 

「何!三回もか!?」

 

「ひゃい!」

 

愛紗さんの声に私は吃驚してしまいます。

 

「1回目は公孫?さんの所で客将をしていたご主人様達を訪ねて街に来た時に強盗にさらわれました。

2回目はご主人様と朱里ちゃんと一緒に黄巾党の人達にさらわれました。

3回目は月さんを助けに洛陽の街に行った時に宿屋で、張譲さんの一味の人にさらわれました。」

 

「黄巾党にさらわれた事は覚えているぞ。あの時が初めてでは無かったのだな。しかし、そんなに人攫いに合っているのか……。」

 

「はい。だから、怖くて…。

でも、ジェネシスさんが3回とも私を助けてくれました。」

 

「ジェネシス殿が?」

 

「はい。

1回目は朱里ちゃんを人質にした人の腕を折ってその後に私を人質にした人に無言の威嚇をして、その間に星さんに助けてもらいました。

2回目は黄巾党に私と朱里ちゃんが犯されそうになった時にジェネシスさんが黄巾党を倒してくれました。殺されそうにもなりましたが、ジェネシスさんの翼で私を助けてくれました。

3回目は洛陽に潜入している時に張譲さんに人質にされました。でも、ジェネシスさんは妖術で助けてくれました。

でも、そばにジェネシスさんが居ないから……。」

 

「……………。」

 

愛紗さんは無言で私の話を聞いています。

 

「愛紗さん?」

 

「すまない。気を悪くするかもしれないが良いか?」

 

愛紗さんは私を真剣な目で見てきます。

私は首を縦に振り、愛紗さんの話を聞こうとします。

 

コクコク

 

「私はジェネシス殿が嫌いだ。彼が妖だから。

私は昔、本を読むのが好きでな。色んな物語を読んだが、妖や妖術使いは平和を乱す存在だった。

妖が平和を望むはずが無い。だから、彼の行動には裏があるのではと何時も疑ってしまう…。

彼の過去を聞いて、彼に非が無いということも頭では分かっているのだが、私の中の固定概念が邪魔をする。彼の事を客観的に評価しようとしているのだが……。

すまない。雛里からすれば、大切な人なのかもしれないが、私は今はどうも……。」

 

「大丈夫です。ジェネシスさんは悪い人じゃないから、愛紗さんも分かってくれると思います。

でも、愛紗さん。ジェネシスさんの事好きになったら…」

 

「大丈夫だ!私はご主人様一筋だ!」

 

「よかった。」

 

一安心です。

 

 

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へぅ( ゚∀゚)o彡°黒山羊です。

 

最近、過去の作品を読んでいて、雛里のキャラが崩れて来ているなと思ったので、修正するつもりで怖がりな雛里を書いてみましたが、修正できているでしょうか?

キャラ崩壊を防ぐように書くって難しい。

過去の台詞の言い回しも修正するか。

 

しかし、フラグ一級建築士、北郷一刀。

早速、華琳様相手にフラグ建設とは…。手が早い。

今後どれだけ一刀がフラグを立てていくのか楽しみにしていて下さい。

 

 

では、今回も食べ物話。

今日、つけ麺を食いに行きました。学校から抜け出して徒歩20分かけて。

で、昼間っからビールを飲む。

美味いな。暑い日にキンキンに冷えたビール最高ww

食も進む。

 

そして、体重計に乗って後悔。

晩飯少なくして野菜onlyで調節。

 

 

『第1回同人恋姫祭り』に参加して頂ける作家さんが多いみたいで嬉しいです。

早く、作品を書かないと。

 

それでは最後にいつもの行きましょう。

御唱和下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

へぅ( ゚∀゚)o彡°

 

 

説明
へぅ( ゚∀゚)o彡°黒山羊です。

昼間っから飲むビールって良いっすね。
雪蓮や祭さん、桔梗さん、星が飲む理由も分かるというものですよ。
でも、毎日してたら破産してまうな。
学生の分際で昼飯1500円は高い。


『第1回同人恋姫祭り』に関してはこちらを参照してください。
http://www.tinami.com/view/217065

また、甘露さんがイラストの方でも告知イラストが近々投稿されるようです。

初めて『真・恋姫†無双 武と知の2人の御遣い伝』を読まれる方はこちらの第1話から読んだ方が話が分かると思います。

第1話
http://www.tinami.com/view/201495
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コメント
「readman」さん、近々拠点アンケートがあるので、良かったら読んでください。(聖槍雛里騎士団黒円卓・黒山羊)
一刀と凪の会話が楽しみです。(readman )
≫性露丸ティマイ鳥さん、愛紗は一刀が居るから可愛くなる。まったくもってその通りだと私も思います。だから、アニメには一刀が出てほしかった(T_T)(聖槍雛里騎士団黒円卓・黒山羊)
≫ノワールさん、一刀効果に期待していてください。そうか!sのセリフを言うのが一刀という手が有ったかww(聖槍雛里騎士団黒円卓・黒山羊)
≫ZEROさん、頭が固いのではなく、純粋でまっすぐなのだと思います。まあ、それが愛紗の良いとこでもあると私は思うのですよ。(聖槍雛里騎士団黒円卓・黒山羊)
≫村主さん、照れ隠しのベクトルが半端無いのでしょうね。愛紗の場合ww(聖槍雛里騎士団黒円卓・黒山羊)
≫2828さん、今から修正します。(聖槍雛里騎士団黒円卓・黒山羊)
≫ヒトヤ犬さん、固定概念ってなかなか治らないものです。だからこそ、人は知らないモノを恐れ、他人から与えられた思想に洗脳されてしまいます。だからこそ、民族間の争いも起こるし、差別が無くならないのです。(聖槍雛里騎士団黒円卓・黒山羊)
まぁ一刀とジェネシスは似てないからこそ、それぞれの思考を理解してるんだろうな。まぁ愛紗はこういう頑固な所が愛紗らしいと自分は思うな。そしてそれを一刀が種馬スマイルで徐々に愛紗の頑固さを直して行くからこそ、あのデレた時の可愛さがより可愛くなると自分は思ってるかな。(mighty)
とことん正反対な二人の御遣い、一刀効果でジェネシスの華琳への評価が変わる事に期待です…目指すはセフィロスorアンジールorザックス級?あの回は今でもザックスと同じ事言ったのが雛里ってのが本当に予想外過ぎでした(てっきり一刀か桃香かと) (ノワール)
へぅ! 関羽は頭の固さは相変わらずですねえ。(ZERO&ファルサ)
ここに限った話ではないですからね<妖術使い・妖の類を信用出来ない 「常人には無い力を使える→得体が知れなく胡散臭い→悪だ」な流れになるのも止む無しでw しかし4位目「一筋」と言いつつ骨へし折る・最凶な料理を食べさせようとする・・・ これも愛かw(村主7)
へぅ( ゚∀゚)o彡°4p活躍で兵の少なく→活躍で兵は少なく かな?愛紗ぶっちゃけたw(2828)
そりゃ妖怪を正義にして人間を悪く書く奴なんて居ないだろうな、自分達の都合のいいように歴史でもなんでも捏造するのが人間なんだから、わざわざ不利になること書かないだろうよ、関羽もそこに気づけば固定概念少しは軽くなるかね〜(ギミック・パペット ヒトヤ・ドッグ)
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