恋姫無双 〜決別と誓い〜 第四話
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「そうか・・・・。残念だ」

「・・・・あと私達を真名で呼ばなくなったのも、何かしら理由があるのだろう?」

 

 

 

 

「・・・・・ああ」

 

 

-----真名-----

それはこの世界にある風習で、文字道理その本人の性格や願いといったものがその真名に詰まっている。

そして真名は家族、又はそれに準ずる信頼の高い者しか呼ぶのが許されない名前でもある。

俺は呉に神の血を入れたいという雪蓮の願望から呉の皆に真名をもらっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、その皆から貰った真名を俺は捨てようとしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は周瑜にその理由を話すことにした。

 

「雪蓮が死んでから、皆に信頼される自分が怖くなったんだ・・・・」

 

「怖い?」

周瑜が怪訝な顔で聞き返す。

 

 

「ああ。あの当時はそれでいいと思っていた。その信頼に応えることが俺ができる唯一の仕事なんだって。

でもそんなのまやかしだった。

 

皆の優しさに逃げてただけだったんだ。

 

俺は雪蓮が死んでからそれを痛感したよ。

 

あとはそう考えると止まらなくなっていった。

 

どんどん自分が嫌になって・・・・。

 

何もできない自分が歯がゆくて、情けなくて、悔しくて・・・・・。

 

そして、そうやっていろいろと悩んだ末、決めたんだ。

 

自分が皆に信頼に足る人物になった時に、皆から真名を貰おうって・・・・」

 

周瑜は俺の言葉を聞いて後、また重苦しい口調で尋ねる。

 

「そうか・・・・。お前が真名を云わなくなった理由は理解した。

 

だがそれなら何故、軍師を辞める必要があるのだ?

 

それなら別に軍師でも先ほど言った、≪信用に足る人物≫になれると思うのだが・・・・?」

 

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「確かに周瑜が云う通りだと俺も思う。でも俺いつも思うんだ。

 

あの時俺が力を持っていたら、雪蓮は今までのように生きていたんじゃないかって」

 

 

「っ!!北郷それは・・・・」

 

周瑜は俺に咎めるような視線を投げかける。

当然だ。今更過去を振り返ったって雪蓮が生き返るわけがないからだ。

 

「周瑜が云いたいことは分かってる。

だからこそ俺は戦う事にしたよ。そして弱かった自分とこの戦乱を終わらせる。もう誰も死なせたくないから・・・・・」

 

 

 

「・・・・・分かった。最後に一つだけいいか?」

 

「何?」

 

 

「我々が対峙する敵もまた人だ。

 

当然敵の兵士もまた家族や恋人がいるだろう。

 

お前が兵を殺したら、その兵の身内の人々から一生恨み続まれ続けることになる。

 

それがたとえ世界の平和という崇高な理由であってもだ。

 

それでもお前は人を殺し続けることができるか?」

 

俺は彼女の目を真っ直ぐにみて、淀みのないはっきりとした口調で答えた。

「ああ。覚悟はある!!

それが俺にできる雪蓮への唯一の罪滅ぼしだから」

 

 

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「・・・そうか・・・・・・・」

周瑜はそう云ったきり口を閉ざしてしまったが、暫くすると俺を一瞥し、いつもの様に深いため息をついた。

 

 

 

「おまえがそこまでの覚悟なら私は止めない・・・・。

 

自分の納得のいくように行動してくれ。

 

軍での手配に関しては私に任せろ。祭殿に言っておく」

 

 

「悪いな、周瑜。恩に着る。」

俺はそう云って、一礼した。

 

 

「いや、気にしなくていい。

 

親友が覚悟を決めているのに、それを邪魔するのはあまりにも無粋というものだろう」

 

周瑜はそう云うと、墓に向き直り花を墓前に供えると跪いた。

 

 

「聞いたか?雪蓮。北郷はやっぱりお前が云っていた通り、枠に収まる奴じゃなかったらしい。

 

確かに私個人としては北郷が軍師を辞めるのは非常に残念だが、心配はしていない。

 

北郷は自分なりのやり方でお前への償いをしようとしている。

 

お前は本望ではないかもしれんが、どうか北郷を見守ってやってほしい・・・・」

 

周瑜はそう云うと立ち上がり、俺を見て

 

「ほら、北郷。雪蓮に報告するのだろう?」

と促す

 

「ああ・・・・・」

 

 

俺は周瑜と同様墓前に跪くと、いったん深呼吸をした後静かに口を開く。

「雪蓮。今日は大事な報告があるんだ。

 

ついさっき周瑜から聞いたと思うけど、俺は武官として戦うことにしたよ。

 

・・・雪蓮は俺に云ったよな?

 

《矛盾してるかもしれない。でも戦わないと何も守れないと思うから》

って。

 

正直云うと、俺自身この言葉の意味がよくわからなかったんだ。

 

でも俺は雪蓮が居なくなってから、この言葉の意味が良くわかった気がする。

 

俺に今必要なのは、大切な人を守るための力だと思うから・・・・・。

 

・・・・雪蓮。あの世で見ていてほしい。必ずお前の志を受け継いだ孫権を守って見せるか

ら・・・・・・!!」

 

 

俺はそう云うとゆっくりとした動作で立ち上がり、周瑜に城に帰ると云ってこの場を去った。

暫くして俺は何気なく、ふと後ろを振り返った。

周瑜がまだ墓前に立っている。

その後ろ姿はいつかの時に見た、あの儚くて弱々しい後ろ姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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北郷が去って行った後、私はまたかつての親友に話しかける。

「まったく・・・・・。

 

北郷はお前に似て不器用な奴だな・・・。

 

・・・・だが北郷は不器用なりに雪蓮の死を受け入れて前に進もうと足掻いている。

 

お前が羨ましい。

 

死んでもあれだけ男に愛されるなんてそうそうないぞ・・・・」

私は親友にいつもの様な皮肉を云って、一人で静かに笑った。

笑い終わった後私は親友に問いかける。

 

 

「・・・・・なぁ雪蓮。私は北郷の様に前に進めているだろうか?」

返事はなかった。当然だ。

彼女はもういないのだから。

それでも私は一人、話し続ける。

 

 

「私は北郷を先ほど咎めたが、あいつを咎める資格が私にはないのかもしれない。

 

なぜなら、いつもお前を思い出しては自分の無能さに歯痒さを感じていたのだから・・・」

 

 

「しかしな、雪蓮。

 

私は北郷をあの覚悟を聞いて、決心したよ。

 

もう後ろを振り返らずに、前を向いて生きていこうと」

 

 

 

 

「私にはまだやらなければならないことがある。

 

・・・・すまない雪蓮。暫くは辛抱してほしい。

 

何時かは分からんが必ずお前の下に行く。

 

それまでこの呉を、そして北郷と蓮華様を見守っていてほしい」

 

私がそう云い終わったと同時に、優しいそよ風が頬を撫でる。

雪蓮が私を励ましているかのようだ。

 

私はそよ風を一身に受けながら踵を返す。

その足取りはここ数日ぶりに軽く、しっかりとしたものだった。

 

 

 

 

 

 

 

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どうもコックです。

第四話はどうでした?

僕なりには上手くまとめた方だと思うのですが(汗)

 

 

 

さて一刀がいよいよこのssの題名どうり、弱い自分に決別して誓いを立てました。

一刀はこのあと祭さんによって戦いのイロハを教えてもらうことになります。

そのあたりも温かい目で見守ってくれたらなと思います。

 

 

普通、愛する人が目の前で死んでしまったら多分皆こういった行動をすると思いますけどね・・・・、原作の一刀はねぇ〜。

ちょっとへらへらしすぎだと思うのですが・・・・(汗)。

まぁ元々18禁のゲームだからなんでしょうけど。

 

 

 

 

さて次からはちょっと政治的な駆け引きが出てくると思います。

せっかく原作がゲームとはいえ戦国時代を書くわけですから、そこらへんもしっかりと書いていきたいなと思う次第です。

 

 

 

 

 

前を向いて生きると決意した冥琳さんが次回活躍しますよ。

彼女はどういった外交をするのか楽しみにしておいてください。

 

 

 

 

説明
続き書きます。
シリアスですがお許しください。


誤字脱字等の指摘宜しくお願いします。
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タグ
真・恋姫無双  北郷一刀 蓮華 冥琳 

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