カーニバル 4話目 |
樹齢、何百年もある、大きな存在を、ちまっとした少女が見上げる。
「慌てなくていいよ」と、やさしい木漏れ日。
マスクで隠れた口元が動く。すると樹の周りに小さな花が何輪も咲く。
切り株に腰掛けて、古めかしいベースを弾く。
とても落ち着いた音の色。風の音、鳥の唄で、小さな音楽会。
楽しい時間も過ぎ、オリンズは駅へと向かう。
無人駅、周りには汽車を待つ人が数人いるだけ、何人もかけられる
木のベンチに腰掛ける、日差しがまぶしい。
遠くで汽車の音、言いたいことを誰にも気を使わず言っている
そんな荒々しい音。
だんだんとこちらへ近づいてきて、汽車も言いたいことを言い尽くして
しまったかのように駅へ止まる。
ドアが開き、汽車に乗る。
突然、心が曇り恐怖が襲う。オリンズは気づいた、魔法だ。
フラフラしながら奥のドアの前へ歩く。
窓に映る風景、左から右へ流れる。
だんだんと音が消え、ふと遠く、はるかかなたの想いが心に影を
落とす。
頭が垂れて、うつむき、ようやく立っている状態。
汽車は次の駅へ着き、停車時にオリンズはよろめく。
ドアが開き、ドッと雪崩れのように人が入ってくる。
オリンズは背を向けていて、その様子に気づいていない。
雪崩れの先頭に若い騎士が、後ろからの圧力に堪えきれず
ドーンと勢いよく、オリンズにぶつかった。
ゴチーン!!
数秒間、時が止まる。魔法……ではない。
オリンズは、おでこを押さえながら、ゆるりと振り返り
涙目で、下から若い騎士を見上げる。
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ファンタジー小説です、続きものです。 | ||
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