真・恋姫†無双?群雄割拠〜
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 目を覚ますと、見知らぬ男の泣き顔があった。

 しかし、なぜだろう。彼女はこの男を知っているように思えた。

「わ……わら……わは?」

 かすれゆく視界の中、傍にたたずむ男の姿に声をかけた。

「君は俺を恨むかもしれない……。でも、俺は君に生きて欲しいだ」

「おまえ……は?」

 目の前が真っ白になる。

「美羽、生きてくれ……俺の代わりに」

 そこでまた意識を失った。

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最終話

 

『群雄割拠の終焉』

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 袁紹が攻めてきた。

 兵士から、報告を受けた公孫賛は、すぐさま兵を出兵する。幸い以前から袁紹の動きが怪しいと思い、様々な対抗策を用意していたため、被害も多く出ずに袁紹の軍と平原を挟んで対峙することができた。

「やい袁紹ー! 私の領地に攻めこんで来るなんていったいなんのつもりだー!」

「おーっほっほっほ、わたくしが天下を制覇する為に逆らう敵は攻め滅ぼすのは当然のこと、何を寝言を言っているのかしら?」

 両軍は戦いの火蓋が切って落とされるのを今かと待ちながらも互いに一定の距離を置いて睨み合っている。一度戦いが始まれば両軍が真正面からぶつかって大きな戦になるのは間違いない。

「袁紹様〜これで良かったんですか〜? 伯珪さんとは仲良くやってたじゃないですか」

 顔良が少し迂闊すぎるのではないかと尋ねると、それを袁紹は大笑いしながら人蹴りした。

「なにをおっしゃってるの。こんなのは序の口ですのよ? いずれはあのいけ好かないクルクル小娘を倒して帝を助けるのです。ましてや伯珪さんは今の世の中を満足している方。そんな方は死んでしまったほうが後々のためですわ。おーっほっほっほ!」

「はあ〜、こんな理由でいいのかなあ……」

 顔良は袁紹の不動的な動機に呆れる。そこへ顔良の左右の肩を軽く誰かが叩いた。

「アタイは別に戦えればなんでもいいけどね〜」

 右の肩を叩いたのは袁紹軍一番の武将文醜。

「そうそう。俺がちゃんと補佐するしね」

 左肩を叩いたのは袁紹軍の軍師北郷。

「文ちゃん、北郷さん……」

 少し恥ずかしかったのか顔良は赤くなる。

「それに俺、三人共大好きだもん。好きな女を守るために働くのって当たり前じゃないか」

「………」

「………」

 二人は目を細めた。

「あれ?」

「この前さ。見知らぬ女の子と楽しそうに話していたよね?」

「え……?」

「文ちゃん。その後、北郷さんその人を寝室に連れ込んでいたよね?」

「おお――そうか斗詩。その日ってさ、アタイ達と遊ぶ約束してたよね」

「うん」

「……(その日って、確か麗羽様の戯れの一環で村娘に変装してデートした日じゃぁ……)」

「信用してたのにな――アタイ」

 そう言いながら文醜は大剣を研ぎ始める。

「うん……」

 顔良も顔が笑っていない。

「では、お仕置きが必要ですわね」

「おい――――――。麗羽様っ!?」

 そこへ袁紹が仲裁をした。

「了解です!」

「いや――――――っ!!!!」

 北郷は大声を出しながら逃げ出す。

「………あー、なんか頭痛くなってきた。あんなのに負けたら私、歴史に一生可哀想な人と刻まれるよ」

 向かい合って聞いていた公孫賛は緊張感の無い敵に呆れて天を仰いだ。

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 曹操は呂布から徐州を奪ったが、すぐに許昌へ帰る準備をしていた。

 それは、後の袁紹との決戦準備のため。

「恐らくですが、袁紹が河北を支配することになると思います。袁紹と公孫賛の戦いは時が立つにつれて袁紹に流れが向いていますし……」

 荀ケは現在戦っている、袁紹と公孫賛の戦いの勝敗を予測して曹操に一日も早く許昌に戻ることを進言する。

「………わかっているわ桂花。でもね、ある一人の人間が気になってなかなか次の行動に移せないのよ」

 ため息混じりに曹操は呟く。

「劉備ですね。……彼女の存在は間違いなく華琳様の歩む道を阻む人間です。ここで始末した方がいいかと思まれす」

「それは難しい話だと思いますよ。桂花」

 郭嘉は、眼鏡をくいっと上げながら劉備暗殺を否定した。

「劉備とは呂布討伐ときに協力した関係の中。そして普段から劉備は民に慕われているために、逆につけ入る悪事の隙がありません」

「そんなのはいくらでも叩ければ出てくるわよ。稟」

 劉備暗殺を否定されたことが気に入らないのか荀ケの顔が少し強張る。

「ですが〜。安易な行動は華琳様を困らせることになちゃいなすよ――?」

 程cがのほほんとした声でさらに劉備暗殺を否定する理由を付け加えると荀ケは口を曇らせた。

「それは……」

 曹操が左手を上げて、口を閉ざすようにと促す。

「劉備は許昌に連れて行って、帝に会わせるわ」

「………っ!?」

 曹操の決断に三人が動揺した。

 そんなことをすれば、曹操を憎む帝が必ず劉備を後ろ盾に反旗をするのがわかっているからだ。

「華琳様、そんなことをすれば……」

 曹操が再び左手を上げ、口を閉ざすようにと促す。

「だからよ桂花。私はね、劉備を殺すことには賛成するわ。でも、ちゃんとした理由がないと誰も納得しないでしょう?」

「………それで帝を」

 曹操は微笑んだ。

「勘違いしないでよね。私は帝を喜ばすために劉備を許昌に連れて行くんだから」

 ツンデレぷりを見せる曹操だが、それは他者から見れば恐怖しか見えなかった。

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―――時代という舞台は、群雄時代から

 

曹操時代へと移行する―――

 

 

説明
前回のお話
二人の英雄が死んだ。
そして、時代は曹操の時代へと移る。
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