学園祭ぱにっく! その2(聖霊機ライブレード) |
★学園祭ぱにっく! その2(聖霊機ライブレード)★
「ね、アレ、ローディスの声じゃない?」
アイがすぐさま階段から聞こえてくる声に反応した。
「ホントだ。何やってんだ?」
トウヤたちが駆けつけると、ローディスは、階段の踊り場でしきりに誰かに話しかけているところだった。踊り場の隅に可愛らしい感じの女生徒が佇み、何やら困っているふうにもじもじしていた。両手はしっかりとローディスに握られている。
(ナンパかよ;)
トウヤは頭を抱えた。
「ちょっと、兄さん!!」
セリカが腰に手を当てて、階段の上からローディスを見下ろした。
「どーしていつもいつもそーなワケ? その人、困ってるでしょ?」
チッと舌打ちすると、ローディスはしぶしぶ女生徒の手を放し優雅に一礼した。
「あなたを困らせるつもりはなかったのですが。友人たちが迎えに来ましたので、失礼いたします。また、ご縁がありましたら」
いまだ呆然としている女生徒を残して、トウヤたちはその場を離れた。
「相変わらずだな、ローディスは」
トウヤの呟きに当のローディスはしれっと言ってのけた。
「魅力的な女性を前にして何もしないというのは、男としてどうかと思うが」
「へー、そーゆーもんかねー」
二人のやりとりをすぐ後ろで聞きながら、セリカは思った。この二人を足して2で割ればちょーどいいのに、と。
「トウヤさん」
先ほどから時計を気にしていたフォルゼンがトウヤを呼んだ。
「そろそろユミールさんを迎えに行きたいのですが」
「ああ、頼んだぜ」
それでは皆さん、と手を振ってフォルゼンは走って行った。
「トウヤ、その・・・カスミはどこにいるのだ?」
キョロキョロと落ち着きなくあたりを見回して、フェインが尋ねた。
「カスミなら教室で模擬店のウェイトレスやってるぜ」
「模擬店? 模擬店とは何なのだ?」
「ぶっちゃけカフェみたいなもんよ」
アイの説明に、フェインは神妙に頷いた。
「い、行ってみたいのだが・・・」
「ああ、ユミールが来るまで何か飲んでるか」
こうしてトウヤたちは、カスミの模擬店へと向かった。
「よ、カスミ」
「トウヤちゃん」
ウェイトレスの可愛らしいフリフリの制服を着たカスミが駆けて来た。
「おおっ!!」
それを見たフェインが感動したように叫ぶ。
「すごく似合っているぞ、カスミ。か、か、可愛いのだっ」
「え? そ、そう? なんだか恥ずかしいな。これ、少しスカート丈短いんじゃないかしら」
膝上15センチほどのピンクのスカートをトレーで隠すようにして、カスミは頬を染める。
「い、いや、そんなことは・・・」
「おまえ・・・」
そんなフェインにトウヤが冷た〜い視線を送ってよこした。
「なにげにカスミの足ばっか見てんじゃねーか。意外とムッツリなヤツだな」
「な、なんだと!」
フェインは真っ赤になって叫んだ。
「き、騎士たるもの、そんな破廉恥なことをするわけがなかろう!」
「は、どうだか・・・」
「おのれ、貴様侮辱するつもりかっ!」
そんな二人のやりとりを横目で見つつ、セリカとアイはハアッとため息をついた。
「な〜んか成長がないわねー、二人とも」
「ホントホント」
トウヤたちに聞こえないように囁き合った。
「いやー、お待たせしました、皆さん」
フォルゼンが漸く戻って来た。
「ユミールさん、さ、こっちですよ」
フォルゼンに手招きされ、ユミールが姿を現した。
「ユミール、久しぶ・・・げほっ」
トウヤは飲んでいたアイスコーヒーに激しく噎せ返った。
「ブフッ!」
その隣ではフェインが盛大に鼻血を噴いていた。
「わ、ユミールったら大胆vv」
アイ、セリカ、カスミの三人はキャアと黄色い声を上げ、ローディスは椅子から思いっきりズッコケた。
「おや、皆さん、どうしました? 私の妹は何を着てもよく似合う」
自慢気にそう言ったフォルゼンを、トウヤがビシッと指差した。
「あ、あのなー。どーゆーセンスしてんだよ、あんたは・・・。いくらなんでもユミールにセーラー服はねーんじゃねえのか?」
そうなのだ。ユミールはアイのところのセーラー服を着せられていたのだ。しかも、イマドキのコギャル仕様なので、信じられないほど丈が短いときている。
「お、おかしいわよね、やっぱり・・・」
うつむいてしまったユミールに、フェインが慌ててフォローを入れる。
「おかしいだなんて、そんなことはっ。ス、ステキですよ、ユミールさん」
「おまえ、とりあえず鼻血拭けよ;」
まだボタボタと鼻血を垂らしているフェインに、トウヤが突っ込んだ。
これでなんとかメンツも揃ったので、改めて学園祭の出し物を見て回ることにした。
「さとて、どこから回るかな」
考え込んだトウヤの背中を、誰かがポンと叩く。
「よっ」
「晃一郎」
西園寺晃一郎-------あんまり出番がなかったので最早忘れられているかも知れないが、トウヤの親友でロボットアニメおたくなヤツである。
「あれ? トウヤの友達?」
「ああ、実はアガルティアから呼んだんだ」
「へえ〜、それじゃこの人たちが一緒に戦ったってゆー」
晃一郎には、一年前の異世界での戦いのことを話してあった。どうせ信じてもらえないかも、と思ってダメもとで話したのだが、晃一郎はちゃんと信じてくれた。それどころか、自分も聖霊機に乗って戦ってみたかったと、しきりに悔しがっていたりする。さすがは、ロボットアニメおたくである。
「ボクんところでマッドビデオの上映会があるんだけど、観においでよ」
「マッドビデオ?」
聞き慣れない名前にトウヤは首を捻った。
「ああ。既製のアニメ作品を編集してちょっと面白いものを作ったんだ」
晃一郎はアニメ研究会の部長だった。
「上映会? 行く行く〜」
アイとセリカがのってきた。
「行ってみるか」
こうして一行は晃一郎について教室を出た。
その3へとつづく★★★
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その2です。 ユミール登場の回ですvv |
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