決起の命令をだし数日。

一揆の偽装は成功し、その情報は美羽の元に届いた。

美羽は雪蓮姉さんに反乱鎮圧の命を出した。

命を受けた姉さんは本隊を連れ、俺達の待つ集合場所に向かう。

「前方に孫の牙門旗を発見しました」

姉さんの本隊を見つけた兵が報告に来た。

その後俺達にも見える距離まで本隊が来ると、いくつかの馬がこちらにやってきた。

「お姉さま！」

「シャオ！久しぶりね。元気だった？」

「もちろん！」

「烈火もシャオの護衛ご苦労様。

茶々、シャオは迷惑をかけなかった？」

「お久しぶりです！孫策様！」

「お元気でなによりです、孫策様。…いえいえ、当然のことですよ」

烈火はやや緊張しながら、茶々は普段通り落ち着いて答えた。

「は、初めまして！孫策様！…呂蒙と言います！真名は亞莎と申します！」

呉の王様である姉さんと面会しているせいか、俺の時のように緊張しまくっている亞莎。

「話は茶々から聞いているわ。とても優秀だそうね。

今回の作戦もあなたが考えたんですって？」

「そうだったのか！？」

初めて聞かされた話に俺は大きな声を上げて驚くと、その声にびっくりしたのか亞莎は体をびくつかせた。

「は、はひっ！そうです……」

「彼女は大変優秀ですよ」

おどおどする亞莎の肩に手を置き、茶々が言う。

「亞莎はまだまだ荒削りですが、将来が楽しみな軍師ですよ」

「そう、茶々がそこまで言うならそうなんでしょう。

亞莎、私の真名は雪蓮よ。これから私たちの仲間として力を貸して頂戴」

にっこりと笑い、姉さんは亞莎に手を伸ばす。

亞莎はそれに答え、姉さんの手を握り、

「よ、よろしくお願いします！この力、精一杯呉のために使うことを誓います！」

その後、亞莎は他の将とも真名を交換していった。

「顔合わせはこんなもんだろう。ではそろそろ行動を再開しようか」

冥琳は姉さんに言うと、姉さんは「そうね」と言い部隊の先頭に立った。

「呉の民よ！呉の精兵たちよ！

屈辱の時間はこれで終わる！

我等の地、呉を再び取り戻す時が来た！」

「「おおぉぉぉおお！！！！」」

「全軍、堂々と前進せよ！

これより宿敵、袁術を打ち倒し、我等の地を取り戻すのだ！」

「「おおおおぉぉぉおおおおおお！！！！！！！」」

姉さんの口上により、呉の兵たちの士気は上がり、勢いそのまま美羽の城、寿春城に向かった。

【張勲 side】

時間は一刀が建業について数日後。

「た、大変です！江東の各地で農民が一揆を起こしたのこと！

その数は十万以上！さらに民の数が増える見込みです！」

広間でお嬢様とおはなしをしていると、兵隊さんが慌ててやってきました。

「えぇ！！反乱ですか！？大変です！どうしましょう、お嬢様？」

わざとらしい、驚いた演技を行い、お嬢様に話を振る。

「何！反乱じゃと！？……民のくせになまいきな〜。

七乃！すぐに倒してしまうのじゃぁ！」

お嬢様も『演技』で怒ったフリをし、私に討伐命令を出す。

…あぁ、ぎこちない演技のお嬢様、かわいいです。

でもダメダメ。今はこっちに集中集中！

「無理ですよぉ〜。十万ですよ！いくら農民でもやられちゃいます！」

「じゃあどうするのじゃ？」

「こういう時の孫策さんたちですよ！孫策さんたちに出てもらいましょう〜」

「うむ！名案じゃ！早速孫策に討伐の命をだすのじゃ！」

「かしこまり〜♪」

その後私は孫策さんの所に向かい、江東に向かうように命令を出しました。

孫策さんはニヤリと笑いながら、

「本当にいいのね？」

「はい♪それがお嬢様の『願い』ですから〜」

すると孫策さんは「そう」と短く言うと遠征の準備に向かいました。

……とうとう始まるんですんね、一刀さん。

早くお嬢様を助けてあげてください。

『あそこ』にもういることは出来ません。

お嬢様の『願い』を叶えてあげてください…

袁家の『滅亡』を……

【張勲 side end】