いつもと違う流れ星 その19 |
〜一刀side
三人と山のような死体。
俺は空を見上げた。
空は陽で紅く染まっている。
まるで血のようだ。
・・・血か。
俺は地面に転がる首や胴体、飛び散った血を見る。
俺はこの町の人を救ったんだ。
この人達は町の人を救うための代償なのだ。
――命を救うのならば命を差し出せ――
俺の中でそんな言葉が聞こえた。
ここに転がった人達はその代償、仕方ないのだ。
・・・そう思わなければ俺はおかしくなってしまいそうだ。
そんな事を考えていると
愛紗「一刀殿ー!!」
愛紗さん達が町の方から駆けてきた。
桃香「一刀さん大丈夫でしたか・・・」
劉備さんはいつもとは違いどこか暗い。
愛紗「無事でよかったです。」
関羽さんはいつものように話す、いや・・・無理をしているか。
鈴々「人が・・・」
張飛ちゃんはこの光景ただ見入る。
管輅「・・・。」
管輅は無言。
一刀「・・・劉備さん、見ていてくれたね?」
俺は劉備さんの目を見る事が出来ない。
桃香「・・・はい。」
一刀「そうか、じゃあ理解したはずだ。」
俺は空を見上げる事しかできない。
一刀「これが・・・劉備さんのしようとしている事だ。」
劉備さんの悲しそうな目を見たくはなかったから・・・
桃香「違います!私はっ!!」
一刀「人の命を救うには人の命が必要なんだよ。」
桃香「そんな事ないです!!話し合えばきっと!!」
愛紗「桃香様・・・」
鈴々「お姉ちゃん・・・」
一刀「劉備さんはあの時言ったよね?“みんなでこの町を救いましょう”って。それがどう意味かわかって言っていたんじゃないの?関羽さんだってわかっていたはずだ。」
愛紗「・・・」
一刀「劉備さん・・・君が進む道は血に染まるような道だ。一人救えば一人の命を奪う事になるような道・・」
そして俺はここでやっと劉備さんの目を見て話せた。
一刀「それに耐える事はできる?優しすぎる劉備さんに。」
彼女の瞳には涙がたまり、身体は震えていた。
長い沈黙の後・・・
桃香「・・・耐えられます、救います!!救える人がいるなら救いたいんです!!」
一刀「それで劉備さんの心が壊れてしまっても?」
桃香「私には支えてくれる人がいます、愛紗ちゃん、鈴々ちゃんが!・・・っ。」
力み過ぎたせいか精神的に限界が来たのか劉備さんが倒れそうになる。
愛紗「桃香様!」
鈴々「お姉ちゃん!」
一刀「よっと。」
倒れそうになる劉備さんをなんとか支える。
桃香「・・・ください。」
一刀「ん?」
桃香「それでも壊れそうな時は一刀さんも支えてくれませんか?・・・私の心が壊れない様に、私が救えない人を救ってください。お願いします・・・御遣い様、力を貸してください・・・っ!」
その目には強い意志が感じられた。
力を貸してくれか・・・
一刀「それは御遣いとしての俺に?」
桃香「御遣いとして困っている人達の支えに、一刀さんとして私・・・私達の支えになってほしいです。」
つまり両方って事か・・・
はたして俺にそんな事はできるのか・・・
優しすぎるこの子の支えになる事など俺に。
だけど見てみたい気もする、劉備さん達が目指す平和な世界ってやつを。
なら俺がするのはただ一つだ。
管輅、俺の目的が見つかったよ。
一刀「・・・わかった、俺は天の御遣いとして、北郷一刀として君達に協力する。」
桃香「っ!ありがとうございます・・・」
そう言うと劉備さんは意識を失ってしまった。
やはりこの光景は劉備さんにはすこし辛すぎただろうか・・・
一刀「みんな町に戻ろう、そろそろ日が暮れる。・・・明日にでもこの人達のお墓を作ろう、このままじゃ悪いしね。」
そう言い俺は劉備さんを抱え町へと歩き出した。
町へ帰ると町の人達は大盛り上がりだった。
自分達の町が無事であることに。
俺は宿の部屋を借りてそこに劉備さんを寝かした。
一刀「関羽さん、あとはよろしく。」
そう言い部屋を出ようとする。
愛紗「・・・天の御遣いである一刀殿ならば全ての人を救えるのではないのですか?」
関羽さんがそう問いかけてきた。
一刀「ははは、俺は人間なんだ、そんな事はできないよ。」
そう言って今度こそ部屋を出た。
部屋を出ると管輅達が俺を待っていた。
左慈「一刀、お腹が空いたぞ!」
いつもと変わらない態度の左慈。
だけど少し違うところがある。それは・・・
左慈「ほら行こう。」(ムニュ・・・)
一刀「さ、左慈!そんなにくっ付かなくても・・・」
やたらと俺にくっついてくる。
左慈「いいだろう別に。夕飯を食べたら湯を沸かして一緒にお風呂に入ろう!それで一緒のベットで寝るんだ!それからそれから・・・」
・・・・。
一刀「左慈・・・俺は大丈夫だから。」
俺はそう言い左慈の頭を撫でる。
左慈「・・・一刀は優しすぎるから心配なんだ。」
さらにくっつく左慈。
一刀「心配してくれてありがとう、でも本当に大丈夫だから、ね?」
左慈「・・・うん!」
于吉「イチャイチャし過ぎですね〜、これは私も好感度アップのために手料理でも作りましょうかね。」
一刀「作れるのか?なんか楽しみだ。な、管輅?」
管輅「ん・・・食べれる物を作る事に期待する。」
于吉「失礼ですね〜管輅は。いいでしょう私の料理の腕前を見せてあげます!」
そんな会話をしながら自分達の店へと向かった。
左慈「う、美味い・・・于吉がこんなに料理が得意だとは。」
管輅「正直驚いた。」
一刀「本当に美味いな、今度教えてくれ。」
于吉「ふふふ、それほどでも・・・一刀君に教えられる事なんてありませんよ、私より料理が上手なんですから。」
于吉は満足げに笑っている。
一刀「俺のなんかよりずっと美味いよ。」
于吉「ふふ〜一刀君にそう言われるとうれしいですね、わかりました。今度教えてあげますよ〜手取り足とりじっくりねっとりとね・・・」
そう言って舌舐めずりする于吉。
一刀「よ、よろしくお願いします。」
そんな感じで于吉の料理を食べていると・・・
桃香「ご主人様ー!」
いきなり店の扉が開き劉備さんが入ってきた。
ってご主人様?
桃香「やっぱりここにいた♪」
一刀「りゅ、劉備さん・・・どうしたの?」
桃香「えっとね!『桃香様ー!』・・・愛紗ちゃんだ!」
愛紗「桃香様!いきなり走らないでください!!」
鈴々「そうなのだ!」
桃香「ご、ごめんなさい・・・」
愛紗「で?桃香様はなぜここに?」
桃香「ご主人様にあいさつするためだよ〜♪」
愛紗「ご、ご主人様っ!?桃香様またそのような事を・・・」
一刀「というかなんでご主人様?」
俺はとりあえずその質問をしてみた。
桃香「え?だってご主人様は私達のご主人様で天の御遣いなんだよ!・・・わかった?」
うん、全然わからん。
鈴々「鈴々は別にいいのだ!」
一刀「何が!?」
おk、よく考えよう。なぜこうなったのか・・・真実はいつもひとつっ!!
桃香「お腹空いたよご主人様〜。」
鈴々「これ食べてもいいのだ?」
于吉「どうぞ〜まだたくさんありますし。」
一刀「そっちはそっちで自己完結させるな!そうですよね関羽さん?」
愛紗「ご主人様、ご主人様ご主人様・・・うむ一刀殿よりご主人様のほうがしっくりくるな。」
なにかブツブツとつぶやいている関羽さん。
一刀「あの、関羽さん?」
愛紗「はい、なんでしょうかご主人様?」
一刀「関羽さん!?」
愛紗「はい?・・・は!桃香様!!なぜご主人様などと!?」
桃香「今日から一刀さんは私達のご主人様なんだよ、えへへ〜。」
なら仕方ない。・・・とか言わないからね!!
愛紗「ならば仕方ないですね。」
一刀「関羽さんっ!?」
どうしたんだ関羽さん!?
いつもならキレのいい突っ込みをしてくれるのに今日はそれがない。
一刀「それでいいの関羽さん!?」
愛紗「む、むぅ・・・桃香様がそれでいいと仰るならば私は・・・それに一刀殿であれば主として認めていいと私は思っております。」
頬を少し赤く染めそう言う関羽さん。
桃香「なら決まり〜、よろしくねご主人様♪」
愛紗「よろしくお願いしますご主人様。」
鈴々「よろしくなのだお兄ちゃん。」
一刀「どうしてこうなった・・・」
于吉「ふふふ〜私達もご主人様とお呼びした方がいいですか?ご・しゅ・じ・ん・さ・ま?」
左慈「ごごごごごごご主じうgblんふぉうl!!!!!」
一刀「于吉やめてくれ・・・左慈は落ち着け。」
桃香「嫌ですか?」
一刀「うっ!・・・べ、別にいいけどさ。」
桃香「やったー♪」
とまぁこんな感じに押し切られ劉備さん達にご主人様と呼ばれるようになり、劉備さん達が持ってきたお酒を飲む事となった。
そして・・・
桃香「あはは〜☆ご主人様がいっぱい〜!!」
一刀「酒弱過ぎだろ・・・」
左慈「ご、ごしゅじじjっじうぅ〜!!」
左慈は何を言いたいのか全然わからないし。
鈴々「おかわりなのだ!」
于吉「ふふ〜貴女の胃袋が限界になるか食材が尽きるかの闘いですね。」
張飛ちゃんと于吉はよくわからない闘いを始めている。
管輅は・・・
管輅「・・・(もぐもぐ)」
すごいスピードで杏仁豆腐を食べている。
まぁそんな事はどうでもいい。
一番困っているのは・・・・
愛紗「・・・ご主人様。」
そう関羽さんだ。俺にピッタリとくっついて離れないのだ。
一刀「関羽さん・・・どうしたのかな?」
愛紗「・・・ご主人様はお優しい。」
関羽さんが呟くようにそう言った。
愛紗「賊を倒した後のご主人様の顔はとても悲しそうでした、自分を殺そうとした相手にすらそのような感情を持てるご主人様はお優しいと思います。」
関羽さんは酔っているようだが言葉ははっきりして目も真剣そのものだ。
愛紗「桃香様に救うという意味を教えていた時もそうです。ご主人様は桃香様の考えを否定しました、ですが本当はご主人様も桃香様と同じ考えなのではありませんか?
全ての人を救いたい・・・そう考えているのではありませんか?」
一刀「・・・」
愛紗「ですがご主人様はそれは無理な事だと知っている。だから自分と同じ考えを持っている桃香様にそれを教えた。」
一刀「・・・俺達は神様じゃない。全ての人を救う事はできない。なら自分のできる範囲でたくさんの人を救いたいんだ、それで仲間を増やして自分の手の届く範囲が広くなればもっとたくさんの人が救える。劉備さんはきっとそれができる人だ。」
愛紗「ならば目の前で言ってあげてください。」
そう言い関羽さんは俺の後ろへ視線を向けた。
振り向くとそこにはさっきまで酔って騒いでいた劉備さんがいた。
関羽さんと話してたから全然気付けなかったな・・・いつから話聞いてたんだろ?
一刀「えと・・・いつからそこに?」
桃香「そのご主人様にお酒を注ごうかなと思ってきて・・・その。」
一刀「なら話は少し聞いていたよね?劉備さんならきっと多くの人を救える、だけど多くの人も犠牲になってしまうと思う・・・だからその犠牲が一人でも少なくなるよう俺が頑張ってみせる。だから一緒に困ってる人を救ってくれないかな?」
桃香「っ!はい!!私頑張ります!」
そう言って桃香は微笑んだ。
心のモヤが少し晴れたのか劉備さんのお酒にお酒を飲み、俺に絡みつく。
桃香「ご主人しゃま〜?」
一刀「むが・・・(む、胸が)!!」
愛紗「桃香様くっつきすぎです!」
そう言って関羽さんもくっ付く。
関羽さんも相当酔ってるな・・・
鈴々「鈴々はまだまだいけるのだー!!」
于吉「ふふ、この于吉を舐めてもらっては困ります。」
張飛ちゃんと于吉の闘いはまだ続きそうだし。
左慈「すーはーすーは・・・ご主人様!なんだ言えるじゃないか左慈、って一刀に抱きつくなー!」
左慈は怒ってこちらに走ってくるし。
管輅「・・・。(もきゅもきゅ)」
どれだけ食えば気が済むのだろうか?
こんな感じで宴会のようなものは夜遅くまで続いた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そしてみんなが寝静まった頃・・・
町から出ていく者がいた。
管輅「・・・」
管輅は一人でただただ歩く。
月明かりに照らされて・・・
そして・・・
管輅「さようなら。」
彼女は一言呟いた。
続く。
ちわです、コイケヤです。
追試などで結構遅くなってしまいました・・・
なんかうまく書けないですね。泣けます・・・ついに管輅がっ!!
どうなるのでしょうかね・・・
感想、意見要望お待ちしております!!
説明 | ||
ちわです、コイケヤです。 追試も終わりうれしいコイケヤです。 |
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コメント | ||
コメントありがとうございます!!貂蝉が付いてきますぜ?ww(コイケヤ) ボクッ娘は何も言わずさるのかぁ・・・貰って帰っていいですか?www(乾坤一擲) コメントありがとうございます!!キザですね〜〜ww(コイケヤ) コメントありがとうございます!!管輅はいったいどうするのでしょうか・・・(コイケヤ) コメントありがとうございます!!一刀君無双のはじまりですね!!(コイケヤ) コメントありがとうございます!!桃香のところが一番苦労しました・・・(コイケヤ) コメントありがとうございます!!管輅っ!!〜〜(コイケヤ) 管路 全て先回りして待ち構えているんですね 偶然だ といいながらw(シリウス) 約束したから…これは仕方ない事なのか…悲しいです(akieco) 管路は逃げ出した・・・・しかし回り込まれた・・・さぁ一刀大種馬からは逃げられないを実践してくれw(2828) 管路・・・まさか、誰にも告げずに立ち去るとは・・・寂しいよぉ〜!!! あと、桃花・・・少しは理解出来、覚悟も付いたかな?(トトクロ) コメントありがとうございます!!なんとも奥の深い言葉ですね・・・(コイケヤ) コメントありがとうございます!!ありがとうございます訂正しときますね。(コイケヤ) 告げるものその役目を終わり次の告げるべきことを探す・・・・・・。(shirou) P5 于吉のセリフ、高感度じゃなくて好感度かもです〜>< 管輅はどこへ!? これからもがんばってください^^(愛歌) コメントありがとうございます!!管輅の選ぶ道とは!?(コイケヤ) コメントありがとうございます!!管輅はどうなるのか!?(コイケヤ) うわぁ、管路行っちゃらめえ!!(TAPEt) |
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