キャンプに行こう〜呉編〜
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「キャンプに行こう!」

 

 

「「「「「は?」」」」」

 

 

昼飯時、珍しく呉を担う武将たちの多くが集まって昼食をとっていたとき、急ぎ気味に入ってきた一刀の急な一言にその場にいた将(雪蓮、冥琳、思春、蓮華、明命、亜沙)たちは揃って疑問の声をあげた。

 

 

「北郷、そのきゃんぷとやらは一体何なのだ?」

 

 

いち早く我に返ったのか、冥琳がその常に冷静さを湛えた瞳をこちらに向けてくる。その冥琳の言葉に一刀はああ、そっかというように手を打ち、説明を始めた。

 

 

「キャンプっていうのはさ、皆で山か川、または海に出かけてさ。昼はとことん遊び倒して、夜は皆で大量の肉を焼いて食べたりしてさ、その後は肝試しやったり大きな天幕の中で皆で寝て遅くまで雑談したりするんだ」

 

 

一刀は言葉を選びながらキャンプについて説明する。かなり簡略化しているがおおむね間違っていない…はずだ。

 

 

「へぇ、面白そうじゃない。冥琳、やりましょうよ。そのきゃんぷとかいうの」

 

 

楽しいこと大好きな雪蓮が真っ先にその話に飛びついた。

 

 

「はぁ、雪蓮。いくら三国が平和になったといっても処理しなければいけない案件はまだたくさん残っている。それをおろそかにして皆で遊びに行くなどできるわけないだろう」

 

 

「そこをなんとか。二、三日くらい何とかして空けられない?」

 

 

雪蓮の中ではすでに行くことは決定事項のようでお願いの形で言ってはいるが、その目はその本心をはっきりと言っていた。すなわち…なんとしてでもあけなさい、と。

その目を見てため息をついた冥琳は、他の者はどうか、と思い。周りを見渡した。

 

 

「私は…一刀が行きたいというのなら…行ってもいいわ」

 

 

と顔を赤くして言うのは蓮華。

 

 

「私は蓮華様が行くのであれば当然。………まぁ北郷と何かするもの吝かではないが」

 

 

と最後は一刀には聞こえないように小さく呟くのは思春。その頬は薄らと赤く染まっている。

 

 

「はうわ!面白そうです!」

 

 

と目を輝かせているのは明命で。

 

 

 

「きゃんぷ…ちょっと興味が」

 

 

と言っているのは亜沙だった。

周りには自分に味方してくれる人間はいないらしい。とはいっても、天下三分が為ってからは休む暇もなく後始末に追われていたおかげで皆に疲労や鬱憤が溜まってきているのは分かっている。それを考えれば一刀の提案はちょうどいいかもしれない。

 

 

「わかった。なんとか調整してみよう。流石に呉の武将全員が二日、三日完全に城をあけるのは無理だが、そうだな。一泊二日なら何とかしてみよう。だが、これからしばらくは仕事の量が増えると思ってくれ。そして、ちゃんとそれを片付けなければきゃんぷにはいけないということもな。まぁ、心配なのは雪蓮と祭殿だけだが」

 

 

そう言うが早いか、冥琳は食堂を後にした。おそらく、キャンプの日程をあけるための調整を行うのだろう。それを見て他の面々も早々と昼食を平らげ、食堂を後にした。その場にはキャンプの話のついでに皆と昼食を食べようと思っていた一刀だけが残された。

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そしてしばらくの時が過ぎ、ようやく一日だけだがキャンプの時間を作りだした呉の面々は近くの川へとキャンプをしに来ていた。今回の時間を作りだすために祭と雪蓮がいつになく真剣に仕事をしていたのは余談である。

そして、一刀の希望もあって全員が寝れるくらいの天幕を張った後、それぞれが思い思いに休日を堪能することになった。

あるものは問題児の監視から解放され、川に脚をつけて涼を取りながら読書を、あるものは元気いっぱいに川に入り水遊びを、あるものは泳ぎをひたすらに競っていたりした。それを小蓮から水をかけられながら見ていた一刀、提案して見てよかった!と思いつつも、周りの少女たちの水着姿に鼻の下を伸ばしていたりもした。

 

 

そして夜、祭や雪蓮が取ってきた獣の肉や、思春や冥琳が釣ってきた魚などを使ってのバーベキューが行われていた。一刀の元いた世界だと、まず間違いなく大人たちは酒を飲んで騒ぐという光景が見られたものだが、それは別に時代は関係ないらしい。雪蓮や祭などは肉や魚を食べつつ、いつも以上のペースで酒を飲んでいたのだ。

 

 

「もっとじゃ!もっと酒を持ってこい!」

 

 

「そうよ、これだけじゃ足りないわ!」

 

 

「雪蓮、祭殿、少しは自重しなさい!」

 

 

酔っ払いの相手だけはしたくないというように冥琳がそうなる前に止めようとするが、全く効果はなく、空の酒壺がどんどん増えていく。その三人の巻き添えは食いたくないとばかりに他の面々は少し距離を取ってバーベキューを楽しんでいた。

 

 

「一刀、この肉焼けているわよ」

 

 

「かーずと!シャオが食べさせてあげる。はい、あーん!」

 

 

「シャオ!私が先に食べさせているのよ!一刀、私が先よね!思春!一刀を抑えて!」

 

 

「御意」

 

 

「ちょ、シャオ、蓮華!そんなにはいら…もが、も……」

 

 

「か、一刀様の顔が真っ青に!?」

 

 

しかし、一刀だけは平穏無事ではいられなかったようだ。種馬の宿命と言うべきか女性関係のトラブルによって人によっては羨ましいともいえる命の危機に瀕している。明命が止めようとおろおろしているが、自分にとっての君主一族なので何もできずにおろおろしていた。そしてそれを見た雪蓮と祭が大笑いするという連鎖に陥っている。明命の隣では亜沙が胡麻団子を乗せた皿を持ちながら明命と同じようにおろおろしているのだが。

ちなみに穏なのだが、穏はにこにこと笑いながらその光景を見ているが、よく見れば身体がゆらゆらと揺れている。それも無理はないだろう。雪蓮たちの最初の被害者が穏だったのだから。

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「どうした北郷!蓮華様たちから直々に食べさせてもらえるのだからしっかり食べきってみせい!」

 

 

「そうよ〜。せっかくシャオと蓮華が食べさせてくれるんだから〜。そうだ、思春や明命たちも一刀に食べさせてあげなさいよ〜」

 

 

酔っ払いたちが更なる油を注いだ。それを聞いた思春たちは一瞬だけ動きを止めると、ついでアイコンタクトを交わしあう。そして

 

 

「ほ、北郷。き、今日だけは特別だ。私が…その…食べさせてやろう」

 

 

顔を赤くしながら、箸と皿を持ってじりじりと近づいてくる思春。

 

 

「一刀様、どうぞ!」

 

 

笑顔で、しかし逃がさないとばかりに距離を詰めてくる明命。

 

 

「あの、一刀様。今日のために胡麻団子を作ってきたんですけど。おひとついかがですか?」

 

 

控え目に尋ねてくる亜沙。なんとか回復した一刀には亜沙が天使に見えたらしい。そして未だなおゆらゆらしている穏。しかしその手にはきっちりと箸と肉が握られていた。結局は全員分の箸、または皿から差し出された肉、または胡麻団子を平らげることになり、青い顔で天幕へと戻ったのだった。

 

翌日、久しぶりの息抜きにより皆が以前より生気のある顔で城へと帰還した。その中でも一番生気に満ちた顔をしていたのは冥琳であった。常に政に頭を悩ませ、雪蓮と祭のさぼり癖に頭を悩ませ、日々ストレスが溜まる冥琳にはかなりいい休日だったのかもしれない。

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あとがき

 

初の一刀登場ss。しかも結局はキャンプじゃなくバーベキューネタでしたね。反省中。

 

私自身は剣帝?夢想というFalcom発のゲーム空の軌跡シリーズ文句なしの最強キャラの一人剣帝レーヴェが恋姫の世界に降り立つという半紙を書いています。そしてヨシュアバージョンの恋姫?夢想〜乱世に降り立つ漆黒の牙〜というのも。興味があったら覗いてみてください。

 

そして私が面白い、好きだなと思った作品、作者様は

 

超級覇王様 思春アフター

komanari様 思春の昔話

 

です、自身が無類の思春好きなのでまさにつぼでした。

 

次があればもっとましな話を投下したいなぁ

説明
第一回恋姫同人祭用作品です。
タイトルにはキャンプとかきながら別イベントになっているような…。
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コメント
320i様>おや、こんなところに同士が(へたれ雷電)
ジョージ様>ええ、ぶれませんとも!思春道まっしぐらw(へたれ雷電)
黒山羊様>思春こそ我が最愛の恋姫なりぃぃぃぃ!(へたれ雷電)
相変わらず、ぶれませんなww(嗜好) 俺程度の腕で満足して頂けているのか、今更ながら疑問……(峠崎丈二)
思春と言えばクーデレ、クーデレと言えば思春。思春いいっすよね。(聖槍雛里騎士団黒円卓・黒山羊)
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第1回同人恋姫祭り  真・恋姫†無双 

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