正史と外史の狭間で−冥琳の憂鬱−
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「全く。復活できたと思ったら、うさんくさい道士の操り人形だなんて」

 

雪蓮が不満そうに呟く。

 

「逆らったら、身体中から力が抜けて、立ってもいられなくなって、最後に砂になって消えるって。そんな馬鹿な話ある〜?」

「即、消えかけた奴が何を言う・・・」

 

奴らの前で復活し、内容を聞いた瞬間に切りかかる雪蓮も雪蓮だが、

実際に奴らの脅しが本物であることを身を持って証明してくれた。

床に這い蹲り、ぴくりとも動けなくなった雪蓮の姿は、

私達が仮初めの命を与えられた操り人形であることを、身を持って示していたのだ。

 

「まぁ、北郷と相対するのも先だろう。長江の南と、黄河の北では、あまりに離れすぎている」

「なんで、一刀とやり合わないといけないのよぉ。そりゃ閨だったら、いくらでも構わないけど」

「・・・お前という奴は」

 

愛する、変わらぬ友人の姿に、頭を抱える。しかし、懐かしいこの感覚。

 

「なんか、冥琳のそういう顔、久しぶりに見た気がする」

「・・・あぁ。貴女が亡くなってから、このように頭を抱えることは殆ど無かったからな」

 

こんなやり取りをもう一度。皮肉な形で願いが叶うとは。

 

だが、于吉の存在は影として圧し掛かる。

 

黄泉がえりを果たした私に加わった記憶。

雪蓮を早くに失い、天下を目指そうとしない蓮華さまに業を煮やし、反旗を翻す私の姿。それを拐した、于吉。劉備が存在せず、その役どころとして、王となっていた北郷。

これは別世界の、私の記憶だと。私が、認めるのに、それほどの日数は生じなかった。

 

そして、北郷の様子をなんとか探ろうとする私を止めず、敵対したり不利益になる行動をしない限り、私たちを自由に遊ばせておくこの余裕。前世での北郷や蓮華さまたちの行動。私の仮説が確かなら、北郷は既に不利な立場にいることになる。

幸い、道士たちに私の記憶が増えていることは悟られていない。ならば、私は───

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もにゅん。そんな感触に私の思考は遮られる。

 

「一人で何を考え事してるのよー」

 

後ろから雪蓮が抱きついてきていた。柔らかい感触は、そういうことなのだろう。

 

「雪蓮の自由人過ぎる行動を、どう制御しようか、考えているのだ」

「そんなこと言う冥琳はこうよっ!」

 

もみもみもみもみっ。

 

「ちょ、雪蓮!?」

「あれぇ、前より大きくなってる〜? まさか、一刀に揉まれて大きくなったんじゃ・・・」

「な、何を言っている!」

「動揺した」

「確認してあげるわ・・・じっくりと」

「待っ・・・しぇ、れ」

「問答無用〜♪」

 

雪蓮に寝台へ押し倒されながら、私はやっぱりこうなるのか、とぼんやり思った。

説明
再び生を得ても、冥琳の役割は変わらず。
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コメント
ありがとうございます。こちらは備忘録も兼ねているのですが、動画と合わせて楽しんでいただけると幸いです。(通り(ry の七篠権兵衛)
おお 動画の方も見てますよ。(hokuhin)
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