おまけその１

可愛い霞　没ver

　「んじゃ、お休み」

　「かずとぉ、ウチまだ酔っとらんのにぃ」

　夜の帳も下りて、すっかり暗くなった。

　秋の夜風が火照った身体に心地ええから、もう一杯飲み直したい所やけど、

　一刀が仕事がああだの睡眠がどうだの言い捲し立てて、ウチは部屋に強制送還されてもうた。

　……ちぇっ。

　「駄目。明日は休みじゃないんだから、ほらさっさと寝ろっ」

　「へいへい……っと、なぁ、一刀ぉ」

　「どした？」

　「……送り狼、ならへんの？」

　あんまり一刀が釣れへんから、ウチの悪戯心がむくむくと顔を出した。

　にゃはは、照れとる照れとる♪

　「……寝言は寝てから言った方が可愛げがあるぞ？」

　「にゃははー、一刀はムッツリすけべぇやな」

　「誰がむっつりだ！」

　「だって、ウチの、このちょいとずれたサラシが気になるんやろぉ？」

　「っ……勝手に言ってろ！……全く」

　「あっ、今見たん？ちらっとウチの見たんね」　

　くいっ、と指で少しだけずらすと、一刀の視線はウチのソコに釘付けになる。

　一刀も男の子やもんなぁ。でも、そろそろ打ち止めかな。あんまイジワルし過ぎてもへそ曲げてまうし。

　「も絶対呑むのに付き合ってやらん！」

　「ああん、そない薄情なこと言わんといてぇな！」

　やっぱへそ曲げてまった。

　ウチは踵を返し戻ろうとする一刀の文官服を掴んでなんとか止めた。

　「一刀……」

　「なんだよっ！」

　「おやすみ、な……………………んっ」

　「っ！！？」

　ふわっ、ってなんか落ち着く一刀の匂いが鼻腔を撫でた。

　不意打ちに目の前の一刀の顔が、一寸間を置いて真っ赤になる。

　あー……いかんわ、ウチも真っ赤やん。　

　「…………っ……」

　「ん……にゃはっ、一刀分補給完了♪じゃー、また明日の朝に、やで！」

　ちょっと後ろ髪引かれる思いで、一刀から唇を離す。

　「……ちょ、ちょっと待ってし…………」

　「にゃは、送り狼さんは帰ってやー♪」

　そういって、ウチはさっさと部屋に引っ込んでまった。

　……だって、なぁ？　

　いまのこないな顔見せれんて。

　暫く、扉の前に一刀の気配があったけど、諦めたんか1刻程して帰って行った。

　……そこは押す所やろに……全く、女心わかっとらんなぁ。

　あー、それにしてもあっついわー。秋どこいってんねん！

　おもに顔があっついわ、全く、涼しさ仕事さぼんなや！

　……でも、一刀とくちづけしてもうたわ。勢い9割やったけど。

　あ……明日どないな顔して会えばいいんやろ……。

　なんやもう、明日がはよ来て欲しい様な来んで欲しい様な……。

　うー、あー……きゃーっ♪

　そのあとも、暫くの間ウチは一刀とのくちづけを思い出して寝台で身悶えしとった。

その２

おまけーふぁ(仮)