真・恋姫†無双 〜天兵伝〜 第2話 |
「(漢王朝・・・・霊帝・・・・? 何言ってんだこの女は)」
一刀は大きくため息を吐いた。それ以外にどうすることもできなかった。
状況がまるで把握できない。 わかっているのは、ここが一刀にとって『未知のエリア』であるということのみ。
徐福は一刀の背後に控える巨大な鋼鉄の塊をチラチラと見ている。 気になるのだろう。
対して、一刀は腕を組んでじっとしているのみだった。 彼の表情は疲労感に満ち満ちている。
だが、いつまでもこうしているわけにもいかない。
「(まぁ、何か考えたところで状況が進展するとも思えねぇな。 まずはやるべき事をやって、それから考える方が建設的か)」
一刀は若干フラつきながらも、ヘリの方へ歩み寄っていく。
それを徐福は心配そうに彼に付き添おうとする。
が、一刀にとって彼女は完全なる他人だ。 他人にこれ以上の迷惑はかけられない。
「俺はもう大丈夫だから帰ってくれていいぞ」
「え? でも・・・・」
「すまないが今はロクに礼もできない状態だ。 これ以上アンタの世話になるわけにゃいかねぇよ」
「いえ!! お礼なんてそんな・・・・!!」
いっぱいいっぱいに両手を振って拒否の意を表す徐福を見て、一刀は少し心に余裕を持つことができた。
「家は近くにあるのか?」
「この森をまっすぐ東に進んだ所に私が住み込みで通っている女学院があります。 北郷殿はどうなさるおつもりですか?」
「しばらくはここに居るつもりだ。 やらなきゃならん事もあるしな」
「そう・・・・ですか」
「さ、とにかくもう帰るんだ。 なんなら送ってやろうか?」
「いえ、この先の小道を辿っていくだけなので大丈夫です。 では・・・・」
ペコッと一礼をし、徐福は歩き出した。
一刀は彼女を見届けたのち、ヘリのコクピット部へ向かった。
「・・・・こんなもんか」
頭痛と目まいに耐えながら、一刀はパイロットたちの埋葬を始めた。
ヘルメット、護身用の拳銃、ホルスターに予備弾薬、ナイフといったものはすべて外してしまう。
「お前たちはもう戦わなくていいんだ。 だから、こんな物騒なモンを持つ必要もねぇ」
遺体を埋葬し、黙祷を捧げる。
たとえ国籍が違えど、所属が違えど、彼らは『友軍』であり、一刀を目的地まで送り届けるため、命を懸けて任務に臨んだ『仲間』だということに違いはない。
一刀にとって、自分の命を背負ってくれた彼らを弔うのは当然のことだ。
「ゆっくり休め・・・・」
黙祷を終えると、一刀はあらかじめ外しておいた三人分の認識票をバックパックのポケットに入れる。
「(コイツらの装備は、ヘリの貨物室にでも入れておこう)」
パイロットたちが装備していた『M9』拳銃と、その他の荷物は貨物室の一角に置いた。念のため、M9拳銃はフィールドストリップ(野戦分解、工具不要で可能な分解のこと)状態で保管する
「(さて次は・・・・機体の状態を調べるか)」
一刀はコクピット部の無線機が作動しないかと、操作を始めたその時。
「こっちだ。 さっきこの道を歩いて行ったのを見たんだ!!」
「よし、おいお前ら、『狩り』の時間だ」
どこからともなく聞こえた複数の男の声が、一刀の手を止めた。
一刀と別れた徐福は、女学院に戻るべく東に向かって歩いていた。
不完全ながらも整備された小道をトボトボと歩いていく。
彼女はどこか難しそうな表情で、口元に指を当てて考え事をしている。
「(北郷殿、見た目はちょっぴり怖いけど、中身はそうでもなさそうだったなぁ。 また逢いに行っても大丈夫かしら・・・・?)」
彼女は一刀へ興味がわいていた。
「(異国の人間だというのだから、学院では身につかないような知識が得られるかも)」
といっても、一刀自身に興味があるわけではない。
彼女は学問を学ぶ身だ。 異国の学問や知識に関心があっても不思議な話ではない。
「(明日の授業が終わったら・・・・行こっかな)」
楽しみに思っているのか、徐福は笑顔を浮かべる。
「おおっ!! いたいた♪」
「女じゃん!! しかも上玉とみた!!」
「ヒヒ・・・・ねぇお嬢ちゃん、ちょっといいかなぁ??」
背後から聞こえた男たちの声。
彼らの声は、いとも簡単に徐福を恐怖のどん底に叩き落とした。
「・・・・・っ!?」
徐福は声も出せず、ただ振り返る。
見えたのは、片手に刃物を携えている三人の男たち。
「ねぇお嬢ちゃん。 オジサン達さぁ、女の子に飢えててさぁ、かなりキツイのよ。 ここであったのも何かの縁ジャン? だからぁ・・・・」
「キャッ!!!」
「ヘヘッ、慰めてくれるよなぁ??」
男が徐福の肩をつかみ、グイッと引き寄せた。
そして押し倒し、服をはぎ取る。
「イヤッ!! イヤァァッッッ!!!!!!!」
「おおっ、可愛い下着ジャン♪ でも邪魔なんだよねぇ。 脱ごっか?」
「やめてっ!! ダメェッ!!!!」
「テメェ、ちょっとおとなしくしろやぁっ!!! おい、お前もお前で何のんびりしてやがる。とっとと済ませろ!!」
「わかったよ。 さあ、お嬢ちゃん。いい加減にその下g―――――――」
「野蛮な連中だなぁオイ」
暗闇から姿を現したのは、一刀だった。
右手に『何か』を携え、無表情で男たちに目線を配る。
「ンだテメェ!!」
「そりゃこっちのセリフだ。 てめーら、自分が何してんのかわかってるか? とっととその女を離せ。 さもねーと殺すぞ」
「何が『殺す』だバカ野郎!! 刃物も持ってねぇお前が俺たちを殺すだと!? ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ!!!」
「ねぇオニーサン。 俺たちは今『お楽しみ』の最中なわけ。 邪魔しないでくれる?」
「ワリィが輪姦を見逃すほど俺は甘くねーんだよ」
すると一刀は右手のものを前に突き出し、徐福の下着に手をかけている男に向けた。
「徐福、すぐに助けてやる」
「ほ、北郷殿・・・・・助けて・・・・・ください・・・・っ!!」
「おう、約束だ」
その直後、耳をつんざくような破裂音が三回。
それが、三人の男達の命が爆ぜた音であるだなんてことは徐福の知るところではなかった。
「怖かったな。でも、もう大丈夫だ」
「ウッ・・・・ヒグッ・・・・!!」
声を殺して泣く徐福が小さく頷く。
一刀はそっと徐福の頭を撫でてやり、彼女自身、一刀に撫でられる事を拒絶することはなかった。
結局、彼女が泣き止むまで頭を撫で続けた。
これが、一刀と徐福の出会いであった。
あとがき
ども、マーチと名乗る者です。
今話でプロローグ終了です。次回から少し時間が経ちますので、その辺はご了承願います。
前話での支援とコメント、本当にありがとうございました。
海平?さん、ユーザー登録前から読んでくれてたんですね。ありがとうございます。 お互い執筆者として頑張りましょう。
ryouさん、ただいまです。 待っててくれてありがとうございます。
berufegoalさん、受験勉強とはうまく両立させていけるように頑張っていきます。
黒山羊さん、ただいま。 新作の第四話まで読みましたよ。 めっちゃ面白かったですよ。 二作品執筆は大変そうですが頑張ってくださいね。
tukasaさん、ただいまっす。 面白さは保障できませんが、なんとか投稿できましたよ。
さて、ちょっとお話を。
じつはこの『天兵伝』、前作より銃火器の登場種類が多くなる予定なんです。
理由はヘリです。
軍用ヘリは、墜落後のパイロットたちの護身用として銃を保管しています。
『ブラッ○ホーク・ダウン』という映画では、墜落したヘリにMP5というサブマシンガンが保管されていました。( 小説版では、さらにM-16というアサルトライフルも登場します)
それに、ヘリの積載物にも・・・・なんて考えたり。
まぁ登場させる銃が決まったわけでもないんで、何が出るかは不明ですがw
とにかく、最後まで読んでくださってありがとうございました。
説明 | ||
暇つぶし程度にでも読んでいただければ。 今回もあとがきに挑戦。 でも何書けばいいかわかんないです・・・・ |
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コメント | ||
最初は一刀の性格がやけに刺々しいなとおもいましたが…やはり、根は変わっていないようで一先ず安心。(kyou) おはようございます。帰ってきたのですね・・・待ってました!!(`;ω;´) 銃はもちろん、ど派手な銃(ロケラン然りアンチマテリアル然り)で!!Σd(・ω・´) 次回も楽しみにしています!!(森羅) M134搭載希望wwおはようございます。第4話読んでいただきありがとうございます。これから受験で大変だと思いますが、頑張って下さい。(聖槍雛里騎士団黒円卓・黒山羊) おはようございます!さっそく第二話読ませていただきました!自分も自分なりに小説書いてみたんですが、あまりにも自分の妄想を一気に詰め込みすぎたらしくわけのわからないものになってしまいました・・・。どうやったら見栄えがよく、かつ他の人にも楽しんで読んでもらえる小説が書けるのか、教えていただければ幸いです。次回も楽しみにしています!(海平?) ヘリは動くのかな?(ryou) |
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