真・恋姫無双 〜黒天伝〜 #21
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―――友哉―――

 

まだ日も昇らぬころ、目の前には一万の呂布隊・天城隊の兵士が集まっている。これから赴くのは死地。しかし誰の顔にも絶望の色はうかがえない。

 

友哉「聞け!!我らは今窮地に立たされている。しかし、みなも『窮鼠猫を噛む』という言葉を知っているだろう。鼠でさえ猫に噛み付いたのだ。我らにできぬはずがない。ましてや今窮地にたたされているのは我らが飛将軍だ。このまま性根の腐った猫どもの喉を食い千切ってやろうではないか!命令は単純だ!死んだら殺す!!全軍抜刀!!突撃ぃーーーー!!!!!」

 

「「「「ウオオオオォォォォォォ!!!!!」」」」

 

俺の掛け声を合図に全軍が咆哮しながら敵軍へと突っ込む。さて、俺はどこに行こうかな・・・

 

 

 

こちらにまっすぐに向かってくる部隊がある。旗を見るに曹操軍の楽進・于禁・李典だろう。今回はこいつらの相手だな・・・

 

于禁「見つけたの!!」

 

楽進「天城殿!あなたも曹操様へと降ってもらいます!」

 

二人の女の子が目の前に現れる。様子からするにこの二人が先ほどの三人の誰かだろう。

 

友哉「誰ですか?」

 

楽進「我が名は楽進。曹操様の命により天城殿を捕縛しに参りました」

 

于禁「于禁なの〜」

 

友哉「そうですか。でもそういうことは俺を倒してから言ってもらえますか」

 

楽進「もとよりそのつもりです!」

 

互いに武器を構える。この『蒼天』で俺はどれほどの人を斬ってきたんだろう。現代ならばもはや妖刀と呼ばれているのかもしれないが、これがこの世界では普通なのだ。

 

楽進「行きます!!」

 

楽進がこちらに向かって飛び出してくる。彼女の戦闘スタイルは手甲による徹底的なインファイト。懐に入られると非常に戦いづらい。接近を防ぐため間合いに入られる前に右手(にもった『蒼天』今後は省略)で水平に一閃する。

 

楽進はかがみ込んでそれを回避すると同時に縮んだばねが伸びるようにあごをめがけてアッパーを放ってくる。だが俺の左手はやや早く振り上げの動作に入っていて、切っ先が楽進の腹を今まさに捉えようとしていた。

 

楽進「クッ!!」

 

それに気付いた楽進はアッパーを中断して斜め後ろへステップしてかろうじてよける。

 

後ろから風を切る音が聞こえてくる。振り向きざまに右手で于禁の二本の剣を受け止める。片手でも何とか受け止められる。二本対一振りのつばぜり合いが始まる。すると左後ろ、つまりさっき楽進がいたところから何か圧力のようなものを感じる。

 

于禁を意識しながら視界の端で楽進をとらえる。楽進の手が煌々と光を放っている。

 

――マズい

 

なんとなくだがそれほどない自分の経験でもそんなことを考える。その予測は大当たりして、その光があろうことかこちらに向かって飛んできた。避けることは于禁によってかなわない。この二人の連携の質の高さがうかがえる。

 

――避けられないなら・・・

 

友哉「叩き潰すまでだぁ!!」

 

いざという時のための左手で思いっきり飛んでくる光の玉を叩っ斬る。

 

ドォーン!!

 

すさまじい音を立てて爆発する。何とか向こうの切り札を防いだわけだがどういうわけかちらっと見えた楽進・于禁の表情は少しも曇らない。むしろいたずらを企む子供のような表情を浮かべている。ちなみにだが未だに于禁は俺の右手を捉えたままだ。

 

――何を企んでる・・・・

 

ドドドドドドドドドド・・・・

 

轟音が響きわたる。どこかで聞いたことがあるような・・・・そう、例えるならば工事現場のような・・・

 

こんなことを考えているとその音が自分の真下の地面から聞こえてくるのが判る。そして・・・

 

李典「だっしゃぁぁああ!!!!」

 

足元の地面が割れてとがった『何か』が飛び出してきた。横っ跳びで何とか回避するが服が少し破れている。もう少し反応が遅かったら、あのドリルっぽい『何か』に貫かれていたに違いない。

 

これが本当の切り札だったのかさすがの三人の表情に曇りが見える。だが、こちらとしては二人から三人に増えたわけで、かなり辛くなったのだがそれには気づいていないようだ。

 

友哉「あの、どちら様でしょうか」

 

李典「ウチは李典や、兄さんよろしゅうな!」

 

紫色の髪といい、関西弁(?)といい、露出が多いことといい。なんか霞さんに似てるなぁとか思う今日この頃だが、そんなに和んでいる暇わないわけで・・・

 

李典「ウチも混ぜてもらうで」

 

ギュイイイイン

 

とかいう異音を轟かせてさっきのドリルっぽい『何か』(以下「ドリル」めんどくさいから)を突き出してくる。さすがにこれを蒼天で受け止めるのは無理そうなので、腕に付けた手甲でわずかに軌道をずらし避ける。

ほっとしたのも束の間、今度はその後ろから于禁が双剣で襲いかかってくる。これもいなすが、またさらに後ろから楽進の光の玉が飛んでくる。

 

楽進の口が「ジェットス○リームアタック!!」と言っていたように見えたのは内緒だ!

 

それにしても素晴らしい連携だ。二人の時も素晴らしかったが三人になってますます隙がなくなり休む暇もなくなる。

 

どれだけそうやって戦っていただろうか。互いに肩で息をして、額には大粒の汗が浮かんでいる。そんな中ふと視界の隅に恋の姿がうつる。関羽・張飛・趙雲・孫策・黄蓋・夏侯惇・夏侯淵と対峙している。相変わらずの規格外だ・・・

 

ヒュッ!!

 

不意に風を切る音が聞こえてくる。その音の正体は一本の矢。だがそれは通常の三倍はあろうかという早さでまっすぐ恋に向って飛んでいく。(注:赤くはないです、たぶん)恋もこの矢に気づき少し体をそらして避けようとする。

 

その時、関羽・趙雲・張飛の三人が待ってましたと言わんばかりに三方向から同時に恋に斬りかかる。

 

恋はぎりぎりで矢を交わし戟を振るって三人の攻撃を受け止める・・・

 

しかし止まった攻撃は二つだけ。残った一つ、趙雲の槍が恋へとどんどん近付いていく。間違いなくこのままでは貫かれてしまう。俺にはそんな光景がスローモーションのように見えた。

 

そして急に時間が止まりいつか見た光景が再び頭の中を支配する。これを見るのは黄巾党以来だ。

 

――――

 

目の前で縛られた二人の女。体中に傷を負い俺に向って助けを求めている。でも俺にはどうすることもできない。俺もまた体を縛られているようだ。また残虐な行為は繰り返されていく。

 

そしてついに二人は動かなくなった。その腹にはそれぞれ剣が突き刺さっている。

 

――――

 

ここで目の前が暗転した。

 

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―――李典―――

 

戦い始めてどれくらいの時間がたったんやろうか。急に兄さん(天城)が呂布の方を向いて固まった。いくらウチらより強い言うてもこんな隙が判らんウチやない。

 

李典「兄さん、よそ見はアカンわ。おりゃぁあ!!」

 

ウチの『螺旋槍』を思いっきり兄さんの腹にぶちかました。さすがにこれは避けれへんと思った。でも・・・

 

スウッ

 

李典「なんや!?」

 

螺旋槍は空を斬った。さっきまで目の前におったはずやのにそこに残っとるんは、なんもない。あえて言うなら地面が燃えとるっちゅうことぐらいや。それと螺旋槍の先っちょが燃えとる・・・

 

――燃えとる螺旋槍もええなあ。今度作ってみよか

 

楽進「どこに消えたっ!!」

 

さすがの凪でもこれには吃驚しとったらしい。

 

于禁「ちょっとあそこ見てなの!!」

 

沙和が指さした方を見てみる。呂布が戦っとった方や。さっきちらっとやけど呂布がもうやられるのは見えた。関羽・張飛のを止めたけど、趙雲に串刺しにされとるはずや。

 

でもウチが見たんは趙雲の槍を受け止める、あの『紅蓮の天災』やった。

 

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―――恋―――

 

関羽と張飛と趙雲に攻撃されて、もうダメだと思った。

趙雲の槍に刺されるって思った。

だから覚悟して目を瞑った。

 

でも、痛いのなかった。

だから目を開けた。

そしたら・・・

 

友奈「ったく、やられんなっつっただろ?俺が来なかったら今頃串焼きだ」

 

恋「串焼き・・・(ジュルリ)」

 

友奈がいた。恋を守ってくれた。

 

友奈「どうやら敵さんも援軍が来たみたいだな。こっちは全滅か・・・」

 

恋「(フルフル)まだ、二人」

 

友奈「違いねぇ。だがこれで19対2だな」

 

恋「大丈夫、友奈、恋と同じぐらい強い」

 

友奈「そりゃそうだ。じゃあ楽しくお遊戯といこうじゃないか!!」

 

友奈が敵に向かって突っこんだ。すごい速い。だから恋も負けないぐらい速く敵に突っこんだ。

 

初めて恋と同じぐらい強い人と一緒に戦った。

 

つづく

 

説明
第二十一話
『呂布共闘』
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コメント
はなっから捕獲する気0じゃねぇか(博多のお塩)
ドリルで腹は死ぬだろ捕まえる気があるのは凪だけかw(2828)
捕獲する気ゼロだよね!W(ギミック・パペット ヒトヤ・ドッグ)
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恋姫 黒天伝  董卓 友哉 やっぱり強い主人公 反董卓連合 

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