山田探偵の挨拶
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「大変だよ、山田さん!!」

突然大きな音を立ててドアを開け、さも大変なことがあったのだよ、という

顔つきで入ってきたのは何だかぽっちゃりしているくせに背が高くて、

縦にも横にも大きい感じの髪の長い女子大生っぽい女だった。

「一体どうしたの?」

それに答えたのは、買ったばかりのDDRセットで基礎練習をしつつ、

マットの具合が買ったばかりなのにおかしくて腹を立てていた

すらりと背の高いどことなく飄々としたこれまた女子大生であろうと

思われる女である。

「どうしたもこうしたもないよ。大変なんだよ」

何が大変なのかをなかなか言わない。これはよっぽど大変なのだろう。

そしてまた、彼女はよほど慌てているのだろう。

「そうか、大変なのか」

山田はやたら爽やかに微笑んだ後、何事もなかったかのように

DDRを続けている。

「大変だって言ってるんだからやめようよー」

この程度のことで何故か泣きそうな声をだしている。何とも軟弱な女だ。

「飽きたらやめる」

さすがだ。こんな時でも冷静沈着。何かが違う気がしないでもないが。

 

「ああ、よく踊った。踊ったらお腹が空いたなぁ」

十五分後、飽きたらしくうっかり買ってしまったばかりのプレステを

片づけながら 山田が言う。

「そんなこと言わずに何が大変なのか聞いてよ・・・」

忘れられてしまっていた女が言う。

「仕方ない。じゃあ食事をしながら聞こう。そういう訳だから、

何か作ってね、ゆかり君」

「いや、ご飯を作るのはいいんだけど、私はゆかりじゃないよ・・・?」

「まあいいじゃない、さやか君 」

「え・・・?さやかでもないんだけど・・・」

どうも、山田にとって名前などどうでもいいようだ。

「さあ、早く作って、まゆみ君」

「私の名前はぼろろなのに・・・」

泣きそうになりながらも、大人しく食事を作っている。

どうも気が弱いらしい。

 

そしてできあがったのは、鶏の唐揚げだった。何故こんな

手間のかかる物を作っているのかが分からない。

「で、何が大変かっていう話なんだけどね。実はさっき

こんな物が届いたんだよ」

そう言ってぼろろが差し出したのは文字でびっしりの一枚の紙だった。

エコロジーのためか、広告の裏に書かれている。

「で、何て書いてあったの?かすみ君」

「だから私はぼろろだって・・・。いや、実は読んだんだけど、

意味が分からないの」

ぼろろの話ではどうも暗号らしいということだった。

何故暗号の手紙が送られてきたからと言って大変なのだろう。

「どうしてそれが大変なの?」

山田も普通の神経は持っていたらしく、当然の質問をする。

「だって、暗号と言えば事件じゃないか」

何だかこいつもおかしいぞ。

 

「で、山田さんに解読してもらおうと思って」

「何で私が。っていうか、面倒くさそうだから嫌だ」

「何で!?」

 

「だって、字が多い」

やたら爽やかに言い放ち、食事を再開する山田。

 

 

 

かくして事件は終わった。

面倒だと言われそうだなぁ、と思いながらも山田のところに

持っていったのはやはり間違いだったかもしれない、と

思っているぼろろを残して。

説明
学生の頃、友人と自分をモデルに書いたミステリのふりをしたギャグ小説です。
某ミステリ作品のオマージュ的な内容含みます。
なろうにも別名義で投稿しています。
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創作 山田探偵 

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