黒子……ですの。その6 |
「…………遅い」
約束の時間は午前11時。そして今の時間は午後12時。
もうすでに約束の時間から一時間も遅れている。
せっかくのデートだというのに、遅れるなんて最低ですの。
上条さんとのデート……物凄く楽しみにしていましたのに。
来たら、絶対にお仕置きをしないといけませんわね。
「おーい、白井!」
やっと来ましたわね。約束の時間から、一時間二十分も経ってようやく来ましたわね。
「はぁ、はぁ……お、遅れてすまん! お、怒ってるか?」
「怒っているに決まってますの」
こんなにもレディを待たせておいて、怒ってないとでも思っているんですの?
そんな幻想、あるはずがないでしょう。
「ほんっとに、すみませんでした!」
流れるような動作で土下座をする上条さん。
まったく、土下座をすれば許してもらえるとでも思っているんですの?
それは甘えですわ。
「あ、あの……白井さ――っ!?」
「……なんですの?」
「あ、いえ――べ、別に白井のパンツを覗いたわけでは――」
「な――っ!?」
こ、この男は……!? 約束の時間に遅れておいて、わたくしの下着まで覗くとは……
さ、最低ですの! 最低すぎますの!
「あ、ご、ごめんなさい! これは不可抗力なんです! だから蹴らないで!」
「許しません。許しませんの!」
ゲシゲシと上条さんを蹴りながら、怒りを露わにする。
せっかくの、せっかくの上条さんとのデートでしたのに、どうしてこんな風になってしまいますの?
本来なら、もっとイチャイチャとしたかったのに……
「……ぐすっ」
「し、白井っ!?」
うぅ……恥ずかしいことに涙が出てきました……こんなことで、いちいち泣きたくはなかったの
ですが、上条さんとのデートを物凄く楽しみにしていただけに、ダメージが大き過ぎましたの。
「え、ちょ、し、白井!? 泣かないで下さい! いや、ほんと全力で謝りますのでお願いします!」
渾身の土下座をして謝る上条さん。
「……うっ、ぐす……っ、で、では、この後のデートでちゃんとわたくしをエスコートしてくれますか?」
「お、おう! まかせてくれ!」
「ちゃんとわたくしを楽しませてくれますか?」
「お、おう……」
「クレープを奢ってくれますか?」
「…………おう」
「では、いきましょうか上条さん♪」
上条さんの腕に自分の腕を絡ませて、クレープ屋さんへと足を運ぶ。
「あ、あれ? 白井さんすでに泣きやんでますけど、もしかしてさっきのは嘘泣きなのか?」
「……どうなんでしょうね?」
本気泣きに決まってますの。本当に悲しかったんですよ。
ただ、このまま泣いてばかりだと、せっかくのデートがもったいないですからね。
こうして軽い演技をしたんですの。それに……自然な流れで腕を組むことも出来ましたの。
少しだけズルイ女ですね、わたくしは。
ですが、恋する乙女というのはそういうモノでしょう?
そんなわけで早速、クレープ屋さんへと急ぎましょうかね。
「白井はどれにするんだ?」
「わたくしは、チョコバナナクレープにしますわ。上条さんは?」
「あー、俺はいいかな?」
「あら、そうなんですの?」
「あ、あぁ、あまり金がないからな」
「そうでしたか。では、わたくしのを少し食べますか?」
「いいのか!?」
「ええ。もともと上条さんのお金で買った物ですしね」
それにこういうのって、なんだか恋人っぽくていいですものね。
「では、上条さん。はい、あーん」
「…………あ、あーん」
「あーん♪」
ぱくり、と上条さんにクレープを食べさせる。そして、すぐさま上条さんが食べた場所からクレープを食べる。
「……ん、美味しいですの」
「確かにそうだな」
間接キス。それをしたというのに、上条さんは全然反応してませんね。
慣れているのか……いえ、たんに鈍感なだけですわよね。
それでも恋人っぽい事ができたのは嬉しいですわよね。
「ふふ……♪」
「どうしたんだ? 白井」
「いえ、何でもありませんの。それよりデートの続きを楽しみましょ♪」
上条さんの手を取り、道を進んで行く。
わたくしの初めてのデートはまだまだ続くんですの。
説明 | ||
デート編、前篇です。 そして、デートに遅れてくるのは上条クオリティなのです。 |
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黒子が黒子じゃない(VVV計画の被験者) | ||
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