リアルRPG 第一章〜通勤〜 |
「ぐぁぁ!」
やっとここまで来た。
数多の敵を倒してここまで来たんだ。
しかし魔王は他とは違う。
「こんな所で死ぬくらいなら!!。」
俺は最後の必殺技を覚悟に決めた。
ただ死ぬよりいっそ俺が死んでも魔王も道連れにしてやる。
勇者はそう心に決め魔王に向かって走り出す。
そんな事も気が付かずに仲間はフォローの魔法を、攻撃を魔王に入れる。
「みんなありがとう。今まで楽しかったよ。」
小さくそう呟いた勇者は仲間を転移アイテムで城外へと送る。
「え!?なにを!!」
戸惑いの声と共に場に残ったのは魔王と勇者の二人のみ。
蒼い目の魔王が勇者一人に狙いをつける。
「フッ舐めた事を。所詮貴様らでは俺には勝てん。とっとと塵とかせ!!!」
魔王の攻撃を己の武器を放り投げる事によって相殺する。
「な!?」
驚いた魔王に一瞬で近づき。
「俺は魔法も強いんだぜ。」
魔王は遠ざかることは出来ず身を固める。
勇者は手のひらに小さな魔方陣を精製し呪文を唱えた。
「たーーーーーーーーーーーーまやーーーーー!!!!!!!」
その呪文と共に大爆発が起こり勇者と魔王が腹から真っ二つに裂けそして内臓が塵々に飛び散りそれさえも爆発の熱で焼け消えていく。
勇者は魔王を倒すため自爆の呪文を使ったのだ。
魔王は城もろとも消え去り勇者は世界を絶望から救った。
「ってなんだよあの呪文!!!!つか最後のシーングロイわ!!!」
「はぁ、はぁ」という荒い息を整えながら自分が見ていた夢に向かってツッコミを入れているのは
倉越宗司24歳会社勤めの社会人である。
趣味はゲームで特にRPG、嫌いなものはこのマンションの大家さん。
日課はもちろんゲームで最近は通勤途中のPSPと休日のゲームの時間が最大の娯楽だ。
しかし今日は平日で会社がある。
あるのだから仕方がない。
倉越はあのわけわからない呪文と破裂シーンに多少の感謝をしつつ出勤の支度をする。
朝食を済ませ会社へと向かっていく。
[!大家さんが現れた。]
「おはよう。もうすぐ家賃回収日だから忘れないようにね。」
「あたりまえじゃないですか〜。」
[倉越宗司の精神に10のダメージ!]
実は会社に勤め始めてすぐの頃井一度だけ家賃を滞納したことがありいまだにそれを根に持っているようだった。
初めての事であまりなれていなかったのと実際にお金がなかったこともあったのだが大家さんが「あらかじめ払えないときは3日前までには教えといて」と言っていたにもかかわらずそれをすっかり忘れて報告していなかったことを特に根に持っているようだった。
「では会社に行ってきます。」
朝から冷ややかな視線に見送られながらの出勤は実に体にこたえるものだ。
何よりも精神的に疲れる。
「そろそろ普通に接してくれよ。」
などとぼやきながら電車に乗り込む。
そしてPSPを取り出しゲームに没頭する。
「いやぁ〜やっぱいいな、ゲームは楽しいよ。」
すると電車が急に揺れて人に押される。
ガン!と音がなる。
PSPが壁にぶつかったのだ。
どうやら傷はなかったが周りの目が痛いので今日はここら辺でしまっておく。
時間を見るとあと5分で到着なので丁度いいくらいだ。
会社は駅から10分ほど歩いたところにある。
ななかないい場所にありこの会社を受けたところ合格したのは今から何年前の事だろうか。
などと感傷に浸りながら会社へと向かっていった。
そして会社の近くに差し掛かったところでため息を一つ。
軽く呼吸を整えビルを見て。
「今日も切り替えるか。会社RPGに。」
会社RPGとは会社の出来事をRPGのように考えるのだ。
そう、言ってしまえば『リアルRPG』。
攻略不能にしてエンド不明。
ステータスも見えない成長具合もわからない。
サブ要素もなければ寄り道もない、むしろしたらゲームオーバーまっしぐら。
そしてちゅうボスにすらボッコボッコにされる最悪最凶のロールプレイングである。
それは平日の朝7時。
会社の扉を開くところが起動ボタンである。
そして今日もこの先何十年と続く終わらせられないRRPGの世界に身を放り投げる。
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まぁ…続く・・・かな?w | ||
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小説 奸螺 会社 電車 RPG リアル RRPG | ||
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