双子の吸血鬼 第2章;生まれ変わり
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 戦争は起こらなかったが、あの日を境にして、この世は騒乱に満ち溢れていた。

 

人々の目からはだんだん活気が無くなり、サバサバした空気が辺りを満たしていた。

 

しかし、そんな中でも役人は律儀にも重税を民たちに掛け、自分の腹の肥やしにしていた。

 

ヴァンガードの生まれた町でも、それは例外ではなかった。

 

ヴァンガードの父親と母親が都の者たちを連れて帰ってきたとき、いきなり、政治を行っていた者たちを解雇し、都からつれてきたものたちに政治の全てを任せるようになった。

 

その都の人たちの行う政治はひどいもので、目に見えるほどに、民たちの生活を圧迫していた。

 

その中でも、ヴァンガード、エヴァンジェリンの2人は何とか民たちの生活を楽にさせようとしているのだが・・・

 

前章から、一年後の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「かあさま! とおさま! 何処に折られるのですか?!」

 

ヴァンガードの声が城の中に響く。

 

ヴァンガードは先ほどの問いかけに、答えが無い事を確認すると、城の中を歩き回り始めた。

 

城の中にいるものたちは皆、都から連れてこられたもの場かり、あの時ヴァンガードたちの面倒を見ていたものは、いなくなってしまった。

 

そのことを知った、エヴァンジェリンの落ち込みようはひどかったものだ。

 

ヴァンーガードは歩き回り、一番両親がいそうな、母屋に向った。ここで、両親は生活をしているのである。

 

ヴァンガードは、目の前にある母屋の大きな扉を少し苛立たしげに開け放ち中に入った。

 

「かあさま! とおさま!」

 

その中に自分の父親と母親はいた。

 

しかし、その目は濁りここにいるものを見ているような目ではなかった。

 

「あらあら、どうしたの? ヴァン?」

 

「どうしたんだ? ヴァン?」

 

母と父がヴァンガードに答える。ヴァンと言うのはヴァンガードと言う名前が長いので、略した読み方だ。

 

「かあさま! わが町の民たちは重税により、ひどく苦しんでおります。 どうか、かあさま、とおさま自らのお力で政(まつりごと;政治の事)を行っていただきたく・・・・・・」

 

ヴァンガードは律儀な言葉遣いでそういう。

 

「あら、またそのお話かしら? ヴァン? この間も言ったでしょう? 都の人たちに任せておけば大丈夫だって・・・・・・」

 

ヴァンガードが、このことに関して、言及したのは今回が初めてではなかった。

 

ヴァンガードは民たちの事を思い前々から、こうして、訴えかけているのだった。しかし、ずっと同じ答えを聞く限りで違った応答をしてもらった覚えが無かった。

 

 

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だが、今回はこれで、終わるつもりは無かった。

 

「しかしお言葉ですがかあさま、今実際にこうして民たちが苦しんでいるのです。

 

しかも、この事は約一年前、都の者たちが政を始めたときからの事なのです。

 

かあさまの人選の目が狂っているとお思いになっているのではございません。

 

しかしながら、私にはあの者たちはこの町にとって害でしかない。そう思えるのです。

 

どうか、かあさま、とおさまお願いでございます。自らの手で政を行うよう。お願い申し上げるしだいでございます」

 

なぜなら、町のいっぱしで一回暴動が起きたのである。最近の不作と、重税のことに関してだろう。

 

その時は、この城の兵たちで鎮圧をしたが、こうして、民たちの不満がこうして形として現れているのである。

 

その事を思っての今回の行動であった。

 

「ふむ、ヴァンの言う事にも一理あるな、しかし、私たちには今のこの状況を一気にひっくり返す、手立てが残っているのだ。

 

なに、心配する必要は無い。お前たちにも、近々手伝ってもらう必要があるやもしれんがな」

 

しかし、その思いもこうして、父の言葉によって散った。

 

ヴァンガードは、もうこの町はだめなのかもしれないと思ったが。父の最後に言った言葉に掛けることにした。

 

 

 

 

 

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 あの日から、一ヶ月と数日が経った。

 

今では町のいたるところで、暴動が起きていた。

 

町の役人が使う施設に火を放っている為かいたるところから、火の手が上がっていた。

 

人々は叫び役人達に不満を命の限り訴えかけていた。

 

その光景を見て、ヴァンガード、エヴァンジェリンの2人は心を痛めていた。

 

「にいさま。どうして、とおさま達は何もなさらないのでしょう」

 

エヴァンジェリンが、今目の前で起きている事への恐怖のためか下を向いてうつむき言った。

 

「分からない。けど、とおさまはこの状況をひっくり返す手があるといっていた。それを信じよう。

 

それと、目を背けちゃダメだよエヴァ。 この結果は必ずこの町の領主の息子、娘の僕たちは目を背けてはならないんだ」

 

ヴァンガードがそう言うとエヴァンジェリンは、握っている手を少しだけ強く握りきりっと前を向いていた。

 

(それでいい、けれどとおさま達は何を考えているのだろう・・・・・・)

 

「にいさま、私は絶対にこの民達を救ってみせますわ」

 

「そうだね、エヴァ。『僕達』で絶対に救おう」

 

キョトンとする、エヴァンジェリン。

 

そして、2人は向き合い抱擁を交わす。

 

「そうですわね、『私達』で必ず救いましょう」

 

 この、正義に硬い2人の身に異変が起きたのは今日の宵の時である。。。

 

 

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 穏やかな寝息を立てる双子達。その双子達に歩み寄る一人の男がそして、離れた所に少数ではあるが城の兵がいた。

 

そして、その男は双子のベッドの近くへと行き、なにやら呪文を唱え始めた。

 

その呪文を唱える事が進むにつれ、その双子の表情が険しくなってくる。

 

そして、呪文を唱え終わった頃、その双子達は大きく目を見開き・・・・・・、なんと大きく見開いたその目は水晶体の部分が赤く紅く色づいていた。

 

2人合わせて気を失った。

 

「よくやったぞ、魔法使い」

 

「いやいや、この程度の事造作も無い」

 

カッカッカと、下卑た笑い声がこの双子の寝室に響く。

 

その声を発したのはウィリアムマクダウェル双子の父親だった男だった。

 

「よし、このままこの2人を牢獄へと連れてゆけ」

 

ウィリアムはそこにいた数人の兵士にヴァンガードと、エヴァンジェリンを牢獄へと連れて行くように命じた。

 

そのウィリアムの傍らには、ヴァレンタインがその光景を見て微笑んでいた。

 

「あぁ、あなたこれでようやく民たちの怒りも収まるのですね・・・・・・」

 

ヴァレンタインが言う。その目は濁りきっていた。

 

「あぁ、そうだよ。家の息子と娘がその命をもってこの怒りを納めてくれるのだ」

 

ウィリアムの目も濁りきっていた。普通に考えればこのことはおかしいと思えるのだが、この2人の濁りきった目ではこの事が間違いだとは気づけない。

 

「そうですな。このことで、あのお二方は、真祖の吸血鬼となり、その命を失することで、民たちの怒りは収まりましょう」

 

魔法使いは言う。

 

「なら、明後日にでもあの2人の処刑を執り行う事にしましょう」

 

「それがいい」

 

悪魔たちの会話だった。

 

 

 

 

説明
小説書き素人が無謀にも長編小説に挑戦
今作品は魔法先生ネギま!の二次創作です。
稚拙な文章ではございますが楽しんでお読みいただけたのなら
これ幸い。
では、「双子の吸血鬼 第2章;生まれ変わり」をお楽しみください。[2614文字]
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