もうなにも失いたくない。

そう思っていたのに、僕を置いてあなたも逝ってしまうのか。

信じようとしていたのに、あの人は僕を信じてはいなかった。

それがあまりにも辛くて……あんなことを言うつもりなんてなかったのに。

『バニー、大丈夫だ』

明朝には今度は僕があいつと戦う。

こういう時、あなたの根拠のない自信に僕がどれだけ救われていたのかがよくわかる。

『バニー……悪かった』

あの時のあの言葉が最後になるんですか？

「ねえ、おじさん……もうしばらくだけ、こうしていていいですか？」

ぎゅっと眠り続けるあなたの手を握る僕を、他の仲間が見たらどう思うだろう。

こんなボロボロになるまで戦わなくてよかったのに。

僕のために、こんなことまでしなくてよかったのに。

「僕のことなんか、放っておいて、くれれば……」

それでも、あなたはきっと僕のことを放っては置かないんだろうな。

きっとそれは僕があなたのパートナーだからで。

僕にとってあなたが特別だからで。

『バニー、お前を信じてる』

「わかってますよ、そんなことくらい」

だって、あなたと僕はコンビなんですから。

PiPiPi...PiPiPi...

ああ、もう呼び出しか。

「はい、なんですか？」

〈バーナビー、そろそろ準備をお願い〉

「わかりました」

僕が行かないと市民を守れない。

「おじさん、いってきます」

そして、僕を守ってください。

『バニー、お前ならやれるって信じてるからな！』