双子の吸血鬼 第3章;逃亡 |
増えていく暴動をその目で見てそれを救う決意をするヴァンガード=マクダウェルとエヴァンジェリン=マクダウェル。
しかし、その決意をあざ笑うかのように何かをしでかす、魔法使い、そして目の濁りきってしまったマクダウェル夫妻
その何かとはその2人を真祖の吸血鬼にする魔法だった。
捕らえられてしまったヴァンガードとエヴァンジェリン、しかしそこに一つの救いの手が・・・・・・
「はっ!」
ヴァンガードが飛び起き、辺りを見回す。何故自分がここにいるのか分からないようだ。
そして、傍らで眠っているエヴァンジェリンを見つける。
「おい! 大丈夫かエヴァ!」
あわててエヴァンジェリンの基に駆け寄り、声を掛けるとその小さな胸が上下していた。
「よし、息はしている。あとは何故ここにいるかだが・・・・・・」
ヴァンガードは口の基に手を当て考えている。だがしかし、少し考えてみても何も分からないようだった。
そして、そのまま少ししたあと、ヴァンガードは自分の体が何かおかしい事に気づいた。
そのことに動揺し、自分の手をじっと見つめている。
すると、大きな音を出しながら牢獄のドアが開き、その音にびっくりしてヴァンガードは身をすくめた。
そしてそのドアから一人の人物が現れた。
「ヴァンガード様、私です。おぼえておられですか?」
その者は、いつだったか解雇されてしまった。元ヴァンガードつきの侍女であった。
「もちろんだよ。 久しぶり、今これはいったいどうなってるんだい?」
ヴァンーガードはいたって冷静に尋ねる。
「手短にお話いたします。そしてその時、驚く事がいくつもあると思われますが、私もいくつも危ない橋を
渡ってここまで来た故、大きなお声をおだしにならないと助かります」
「分かった」
ヴァンガードはその侍女の目を見て答える。
その目を見て侍女はうなずくと今世間がどうなっているかを話し始めた。。。
「まず、今あなた方お2人はこの町に災厄をもたらした吸血鬼として、明日大広場にて処刑されることになってしまっています」
「吸血鬼ってどういうこと?」
「はい、私もあまり知りえませんが、どうやらある儀式と呪文を唱える事でその対象となるものを真祖の吸血鬼としてしまう術があるそうです」
「僕はそれにかかったの?」
「恐らくは・・・・・・ヴァンガード様のお眼が紅いので間違いないかと・・・・・・くっ、ヴァンガード様をお守りできず。申し訳ございません」
そういうと、その侍女は悔しそうに舌打ちをする。
どうやら、この侍女は世話役というより、審判警護の任をしていたのだろう。
それから、しばらくヴァンガードとその侍女の2人は今おかれている状況を侍女の分かる範囲で話し続けていた。
話した内容は明日処刑されるということが城より正式に発表されているという事、この一軒の事はどうやらマクダウェル夫妻が黒幕ではないかということであった。
その話が一区切りついた後
「おにいさま! 今の話はどういうことですか? かあさまやとおさまが私たちを処刑しようとしているって、それに私たちが化け物になっているってどういうことなの!?」
エヴァンジェリンは取り乱してヴァンガードに詰め寄る。話しの途中で目が覚めたが、様子が怪しいので起
きるに起きれなかったのだ。
しかし、ヴァンガードもエヴァンジェリンに詰め寄られて困っていた。なにしろ、今この場で知った事しか
話さなかったので、どうしてそういうことになるのかが分からなかった。
「落ち着いてくださいエヴァンジェリン様。ヴァンガード様も大変御混乱の中におられるのです」
そういって、侍女がエヴァンジェリンをいさめ今後の方針について語った。
「私たち元侍女はこの城を解雇された後、あのときのヴァレンタイン様とウィリアム様の目を見て不審に思った私たちは、この民たちに働きかけ、あなた様がたに危機がおとづれた時
にお救いしようと日々準備してきたのです。
ですから、これからこっそり私が作った経路でこの城を抜け出そうと思います」
その提案に断る要素が無かったので、ヴァンガード、エヴァンジェリンの2人は顔を見合ってうなづき、立ち上がって侍女の後を着いていき、扉に手を掛けたとき
「そう簡単にはいかんよ。城の皆のもの、吸血鬼が今まさに逃げようとしている、とらえぇぇい!!」
そう上から声が降ってきた。その声にヴァンガード、エヴァンジェリンは聞き覚えがあった。
「「都の魔法使いだ」」
その声を聞いた2人は2人同時に呟く
「フフフ・・・・・・、では、急ぎましょう。私たちの目的地はお二方のご寝室でございます」
そのことに少し笑いをこぼしながらも、扉に手をかけ勢いよく開けてかけてゆく、ヴァンガードとエヴァンジェリンもその後に続いた。
城の廊下を走る3人、侍女を前にしてその後ろにヴァンガードとエヴァンジェリンが続く。
時折、ここの城の兵が出てくるが、その兵も侍女が蹴散らしながら進む。
後ろからの追っても怖いが気にしている場合ではなかった。
ちなみに2人の寝室は最上階の一番先にある。
「お二方!」
侍女が2人に声を掛ける。
「「なに!?」」
2人はいままで走っていたせいか息が上がっていた。
「お二方の寝室に着きましたら。 そこに窓がありますね? そう、一番大きい窓です。そいてその窓から外にある馬車に向って飛び降りてください!」
「「わかった!!」」
2人はそれに返事をして階段を上り上げ3人は最上階へと何とかたどり着いた。
しかし、うしろを向けば兵の山がたくさん追いかけてきていた。
距離も考えると、逃げ切れるかどうか微妙な距離だった。
「では、お2人とも私は今からあの方々のお相手をしてきます。 お2人は無事外に逃げ切ってください」
だから、侍女は一計を案じた。それは、自分が兵たちの足止めをするという。無謀な作戦だ。
「あなたはどうするの!?」
エヴァンジェリンが叫ぶ。
「大丈夫です! 私も後から必ず追いつきます!」
そして、侍女は寝室の扉が見えると足を止め、後ろを振り向くその目に映るのは絶望だろうか、明るい未来だろうか・・・・・・
「さようなら、お元気で・・・・・・」
そして侍女は兵たちを迎え撃つ。
ヴァンガードと、エヴァンジェリンの2人は侍女の思いを無駄にしないべく、先ほど以上に走るペースを上げ、寝室の扉を開け放つ、そして大きい窓に顔を出すと
「あった!あれだ!」
確かに城の直ぐそばに馬車が止めてある。 どうやらそれは、食物を運び込むための馬車のようだ。
その馬車を確認するとヴァンガードはエヴァンジェリンを抱き寄せ窓から飛んだ。
ボスン、と、鈍い音と共に馬車の荷台にうまく着地すると同時に馬車が走り出した。
「おきゃくさん、静かにしといてくれよ〜」
そう、馬を操っていた人が言う。
その言葉をまもり、ヴァンガードたちは口をふさいでいた。
そうして、裏門から馬車がでると、兵士たちが気づきヴァンガードたちを追っていく、しかし、そこの裏門には大勢の民衆がいた。
馬車と兵たちの間の壁となり民たちは持っていた鍬などを兵士に投げつけていく、瞬く間のうちにそこは一種の戦場となってしまった。
そして、ヴァンガードが馬車の荷台の隙間から外を少しうかがうとそこにはヴァンガードたちを処刑するために作ったのであろう、即席の処刑台があった。
そうして、町を出、ヴァンガード一向は逃げ切ったのだった。
馬車が町を出て、かなり離れた所まで来た頃馬車に乗っていた人が降りて双子を荷台の中から出す。
「すまねぇが、こっから先は自分たちで行ってくれねぇか? おりゃあ、あの町へ戻らないといけん」
その男は双子に向ってはなす。
「どうしてよ! 私たちと一緒に逃げれば良いじゃない! あの町に戻ってもきっと殺されてしまうわ・・・・・・」
エヴァンジェリンはそう言う
「おりゃあ、あの町で生まれて、あの町で育った、だから死ぬときもあの町が一番良い」
男はそう言うと懐から小さな皮袋をとりだした。
「こりゃ、ちっとですまねぇが、俺達が稼いだ路銀だ、おめぇさんたちの助けになるだろ」
「ありがとう、この恩は忘れないよ。 出来れば死なないで元気でいてくれ」
その皮袋をヴァンガードが受け取るとじゃあなといってその男は来た道を戻っていった。
双子たちはその男が見えなくなるまでその姿を見送っていった。
エヴァンジェリンはヴァンガードの腕に抱きつきすすり泣き声を上げていた。
ヴァンガードはこれから先の事を考えながら上を向くと真っ暗な闇が広がっていた。
しかし、その男が戻った先の、空は赤色の煙が轟々と上がっていた。
(これから先僕たちはどうなってしまうのだろう・・・・・・)
そう不安に思ったヴァンガードだが腕にすがり付いている、エヴァンジェリンを見つめ
(君だけは守っていこう)
決意を新たにするのだった。
説明 | ||
小説書き素人が無謀にも長編小説に挑戦 今作品は魔法先生ネギま!の二次創作です。 稚拙な文章ではございますが楽しんでお読みいただけたのなら これ幸い。 では、「双子の吸血鬼 第3章;逃亡」をお楽しみください。 |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
1768 | 1716 | 6 |
タグ | ||
魔法先生ネギま! エヴァンジェリン 長編 オリジナル主人公 小説書き初心者 | ||
帽子さんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |